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クロス小説創作スレ

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/29(金) 01:29:26 ID:dTrfNw16
ともかく何かと何かをクロスさせてみるスレ。

せっかくの創作版ですから、冒険的クロスでも堅実なクロスでもお好みで自由にどうぞ。

250 :創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 17:02:13 ID:65hpEQ00
「ディアボロ……」
男の名を呟く。異国の悪魔の名を持つ男。
運命の袋小路に迷い込んでしまった男。
そうして、彼女と……梨花と同じ輪廻に捕らわれてしまった男。
梨花が死に、ループするたび彼もまた、戻って来る。
彼の死に方は、梨花とは違う。毎度毎度、それは惨たらしく死んでいく。
それはそれは呆気なく、死んでいく。
いつの間にか、二人の間には奇妙な連帯感が生まれていた。
繰り返される死の苦しみを知っている相手。
それが、彼に、彼女に、救いとなった。
「ドッピオ。ボクはもう、逃げないのです」
だからこそ、もう誰も死なせたくないと思う。
「ボクも、舞台に立ちます。ボクも、立ち向かいます。
 この運命を、乗り越えてみせるのです」
「……過去とは、乗り越えるべきもの。乗り越えた先にこそ、
 手に入れたいものがある。……ボスは前、そんなことを言ってました。
 僕もお手伝いします。ボスに、これ以上、死んで欲しくない。
 少しでも、救える可能性があるというなら運命に抗います」
魂を切り離されて、置いていかれて、それでも、彼はなお
彼のことをボスと、仕えるべき相手として、慕っていた。
ああ、それがなおのこと哀れなのだ、という思いを、
羽入――あるいは、オヤシロ様――はそっと胸の内に秘めた。

251 :創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 09:42:51 ID:oFZ7EQHJ
ダヴィンチコード見てたら、聖☆お兄さんとのクロスを思い付いたw

福引で海外旅行を当てたイエスとブッダがヨーロッパに旅行に行った際に
キリストの聖杯にまつわる事件に巻き込まれるみたいな感じで。

(キリストの妻のマグダラのマリアがどーだかの話で他の皆が盛り上がってるところで)
ブッダ「で、実際どうなの?」
イエス「どうなのって言われても……。って言うか皆が何故そんな事で騒ぐのかわかんないよ。
    君にだって妻子がいただろう? なら私にいたとしてもそんな大した事は無いと思うんだ…。」

252 :創る名無しに見る名無し:2009/05/17(日) 21:26:09 ID:WKSyS+EL
聖☆お兄さんとのクロスww
すごく面白そうだけど知識量が要求されそうだな

いつもの調子で特に意味もなく奇跡を乱発して
宗教関係にゆるい日本とは違う周囲の反応に驚きそうだw

253 :創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 00:29:40 ID:5HfQ82rp
このスレは化ける!

254 :創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 21:48:54 ID:Q7Wr+6PK
クォヴレーが恋姫世界へっての書こうとはしてるんだがなかなか難しい……

と言うか最近やっと真恋姫やったせいかクロスネタは浮かぶ癖に内容があまり浮かばんから困る

255 :装甲騎兵北郷一刀:2009/06/13(土) 19:50:04 ID:rBxYQ/h8
気が狂うかと思うほどの暑さと湿気、音も無く忍び寄る死と疫病を運ぶ虫ども。
緑に塗り込められてはいるが、ここは地獄に違いない。
だが易京を脱出して三ヶ月、追跡者の手から死に物狂いで逃れていた私にとって、内乱の
続くこの汝陽はまさに天国だった。

「お前、目ェ開けたまま寝言いう癖でもあるのか?」
いきなり隣りの男にそう言われた。
心の声のつもりが声に出していたらしい。
乳酸菌が不足しているせいだ。
我々傭兵志願の男たちを乗せた河川舟艇は、黄色く濁った水を湛えた川を、牛の歩みに等
しい速度で水関に向って遡行していた。
泥水と密林がどこまでも続く単調な船旅に、誰もがウンザリし始めていた。
「全くイライラするぜ、官軍にはこんなボロ船しかねえのかよ」
「輸送機は全部出払ってるんだと」
「チッ!シケた戦争しやがる」
舌打ちをして立ち上がった男が、次の瞬間蜂の巣になって吹っ飛んだ。
「黄巾賊だ!」
川沿いの密林から、特徴的な自動小銃の発射音を響かせて、曳光弾が飛来する。
船上の男たちも、手に手に武器を持って撃ち返す。
私は船首に置かれた積荷を覆った防水キャンバスを剥ぎ取ると、火炎放射器を取り出した。
タンクの底のバルブを捻り、両手で放射器を構えると、加圧ガスに押し出されたゲル化油
が燃料ホースを通り、放射器に充填される感触が伝わってくる。
トリガーを引くと、オレンジ色に輝く炎のリボンが勢いよく飛び出した。
炎の流れで風向きを確認すると、風上から風下に向ってゆっくりと放射器を振る。
火炎放射器が吐き出すのはただの炎ではない。
それは爆発的な勢いで燃焼する高粘度のナパーム剤で、対象が何であろうとそれが燃やせ
るものである限り、徹底的に喰らい尽くす。
景気よく燃える川沿いの木々の向こうで、人間の口から出たとは思えないような絶叫があ
がる。
誰かが調子外れな声で唄いはじめた。
「こげこげこげよ ボートこげよ たのしいたのしい川くだり♪」
確かに刺激的な船旅になった。

256 :創る名無しに見る名無し:2009/06/15(月) 12:13:30 ID:kxxvuIr+
・涼宮ハルヒシリーズと帰ってきたウルトラマン第33話「怪獣使いと少年」のクロス
・長門がメイン
・ハルヒは序盤こそ目立つけど…
・クロス先がクロス先なんで少々鬱い
・ハルヒを題材にしてはいるけどキョンの一人称形式では無い
・少々キャラ崩壊注意(特に長門)

257 :長門有希の怪獣使いと少年 1:2009/06/15(月) 12:14:28 ID:kxxvuIr+
 何時もの様に学校の授業を終え、SOS団の部室にいたキョン・長門・みくる・古泉の四人だったが
そんな時に突然勢い良くドアを開けてハルヒが入って来た。

「今日は川原へ行くわよー!!」
「なっ何だいきなり! 川原で何があるってんだよ!」

 いきなり川原に行くと言われて戸惑うキョンだったが、ハルヒの勢いは止まらない。

「何でも近くの川原に宇宙人がいるらしいのよ。今からそれを調べに行くわよ!!」
「はぁ? 宇宙人?」

 一体何処から仕入れて来たのかは知らないが、ハルヒのその情報にキョンはやや呆れた。
別に宇宙人の存在自体は身近にそれっぽいのがいるから否定はしない。しかし近く川原にいて、
ハルヒでもその情報を仕入れる事が出来る位にオープンな宇宙人等いるのだろうか…?

「何? キョン、私の言う事が信じられないって言うの!? とにかく行くわよ! 出発!」
「わっこら! 引張るな! 分かったよ! 分かったからそんな強く引張るな!」

 と言う事で宇宙人がいるとの噂の川原へ向かったSOS団であったが特にそれらしい物は見当たらない。
至って普通の川原であったし、まあある物を言えばオンボロな掘っ立て小屋程度。

「で、この川原の何処に宇宙人がいるってんだ?」
「だからそれをこれから探して確かめるんじゃない!」
「は〜………。」

 やはり川原に宇宙人なんてデマなんだろうとキョンは呆れていたし、ハルヒも少々焦り気味だったのだが、
そんな時に川原で中学生と思しき三人の少年が一人の子供の首から下を穴に埋めているのが見えた。

「あっ! 何やってんだ!? 幾らなんでも酷く無いか!?」

 三人の少年は、一人の子供の首から下を穴に埋めるのみならず、泥水をぶっかけたりとやりたい放題。
これは流石に見て見ぬ振りは出来ないとキョンが思った時には既にハルヒが飛び出していた。

「ちょっとあんた達何やってんのよ!!」
「何って…コイツが宇宙人だからに決まってるだろ!? だからやっつけてるんだ!」

 どうやら今穴に埋められている一人の少年が噂の川原の宇宙人だと言うのだが…
とてもその様には見えない。至って普通の少年だ。

258 :長門有希の怪獣使いと少年 2:2009/06/15(月) 12:15:35 ID:kxxvuIr+
「馬鹿じゃないの!? ただの子供じゃない!」
「そこれがこれから怖い宇宙人に変身すんだよ! コイツを放っとくと今に俺達がやられてしまうんだぞ!」
「だから馬鹿って言ってるの分からないの!? ただも子供を相手に宇宙人なんて…馬鹿馬鹿しい!!」

 せっかく川原で宇宙人に会えると楽しみにしていたらただの子供だった。ハルヒのショックは相当だったらしく、
その憂さを晴らすかの様に三人の少年達にぶつけ、あっという間に追い払ってしまった。

「うわーんあの姉ちゃん怖いよー!」
「ちっくしょー! 宇宙人を庇うなんて今に見てろよー!!」
「まったく…こんなただの子供を宇宙人なんて…あんた大丈夫? こらキョン! 何ボサッとしてるの!?
さっさとこの子を掘り出しなさい!!」

 結局子供を穴から掘り出すのはキョンがやらされたわけだが、子供は軽く礼を言いつつ
川原にポツンと建つ掘っ立て小屋へ走っていた。

「ありがとう! 僕は宇宙人何かじゃない! 僕が生まれた所は北海道、僕は日本人さ!」
「まったく…あんなただの子供を宇宙人なんて…本当馬鹿馬鹿しい…。とんだデマ情報ね! さっさと帰るわよ!!」

 川原へ行くのも強引だったが、そこから帰るのもまた強引だった。恐らく今日の事でまたハルヒは
閉鎖空間を作って古泉達は大騒ぎなんて事もありそうな気もしない事も無かったが………

「……………………。」
「長門、どうしたんだ?」

 ただ一人、長門だけは何故か掘っ立て小屋の方をじっと見つめていた。


 それから数日、未だ無くならない川原の宇宙人の噂に関して、ハルヒはすっかり興味を無くしてしまっていたが、
長門は何故か気になる所があった様で、再び川原へやって来ていた。その川原には子供が掘ったと思しき
大きな穴がポッカリと開いている事くらいしか変な所は無い。

「あ、いましたいました。ここにいたんですね?」

 そこへやって来たのが古泉。そして彼はポケットの中からメモ帳を取り出していた。

259 :長門有希の怪獣使いと少年 3:2009/06/15(月) 12:16:41 ID:kxxvuIr+
「実は機関の方で調べてもらったのですが、彼は間違いなくただの人間です。名前は佐久間良。
母は死亡、父は出稼ぎに行ったまま蒸発。そして彼もまた行方不明と言う事になってますが…。
恐らく父親を追ってここまで来たのでしょうね。」
「そう………。」
「その良君がこの川原の掘っ立て小屋に住んでいると言う事は、その掘っ立て小屋の中で
父親に代わる存在を見付けたのでしょうね。もし仮に彼が宇宙人呼ばわりされる原因に
その父親代わりの何者かが関係しているとしたら……後は長門さんに任せます。」
「………………。」

 と、古泉は結局情報を伝えるだけ伝えて帰って行ったが、長門は構わずに川原の掘っ立て小屋へ歩み寄った。

 長門が掘っ立て小屋の中へ入り、奥へ進むとそこには良少年の姿があった。

「あっ! どうして勝手に上がったんだ! 出て行け! 出て行け!」
「やめなさい…彼女は良いんだ…。」

 長門を突き飛ばそうとする良少年だが、そんな時に一人の老人が現れた。

「貴方は…メイツ星人…。」
「え? おじさんまさか…。」
「そう…私とは違うが…この人も…。」

 良少年は古泉が調べて来た通りにただの人間であるが、一緒に共同生活を送っていたこの老人が…
メイツ星と言う所から来て、地球で金山と名乗って暮らしていた宇宙人だった。そしてメイツ星人金山の
言葉から長門も同じく地球の者では無いと悟った良少年は大人しくなる。

「でも一つ分からない事がある…。表の穴は何? 何故穴を掘っている?」

 良少年と共に暮らすメイツ星人=金山の存在が分かった以上、次に問題にするのはそこだった。
掘っ立て小屋の外を見れば分かる通り、良少年は川原でひたすら穴を掘り続けていた。
彼を宇宙人と疑惑を持っていた三人の少年に埋められた時もその穴が使われた位。
だが…一体何故…あんな穴を…?

「それは私が話そう…。」
「おじさん止めた方が良い! 他人に知られたら宇宙に帰れなくなるよ!」

 長門をまだ完全に信用しきっていなかった良少年は言うが、金山は首を横に振った。

260 :長門有希の怪獣使いと少年 4:2009/06/15(月) 12:18:17 ID:kxxvuIr+
「どうせ…長くは無い命だ…。」
「おじさん…。」
「それは…一年前の雨の強い日だった…。私は地球の風土気候を調べる為に表の川原に着陸した…。」

 そう。金山は地球に来た際、地震の超能力を使って宇宙船を川原の地下深くへ埋めていたのである。

「その地球人の少年は…。恐怖と…寒さと…餓えの為に…殆ど死に掛けていた。それ以来…
良とはまるで親子の様に暮らして来た…。私はこのまま地球に住み着いても良いとすら思いました…。
しかし…秋が来て…枯葉が散る様に…私の肉体も…汚れた空気に蝕まれて…朽ち果てて行く……
あの車も…あの煙突も…シロアリの様に…私の肉体を………。」
「早くしないと…おじさんは…死んでしまうんだ…。」
「理解した…。宇宙船をあの一帯に隠したと言うのなら…探すのを手伝いたい…。」

 これで謎は解けた。良少年がひたすら川原で穴を掘っていたのは金山の宇宙船を掘り当てる事。
本来ならば最初地球に来た時に金山自身が超能力で宇宙船を川原の地下深くに隠した様に
同じく超能力で地下から出す事も可能だったのだが…地球の環境によって大きく衰弱した今の金山には
それが出来ない。そしてこのまま地球にい続けていては命にも関わる。だからこそ宇宙船を掘り当てて
メイツ星に帰るしか助かる道は無いと言う事なのだろう。

 そして、川原で良少年と共にスコップを握って穴を掘る長門の姿があった。

「父親は見付かった?」
「父ちゃんなんかいらないよ! 僕、おじさんと行くんだ! メイツ星へ…。」
「この星を捨てるつもり?」
「地球は今に人間が住めなくなるんだ。その前にさよならをするのさ!」

 良少年の言葉…そして金山の身体を蝕んだ元凶、川原の近くに見える工業地帯や高速道路から
発せられる多量の排ガスを見つめ、長門は無表情の中に微妙な面持ちを感じていた…。
 目的こそ違えど彼女もまた宇宙の彼方から地球へ派遣された存在。だからこそ…今の金山と
その金山と共に地球を去りたい良少年の考えは他人事とは思えなかった…。

「あの高速道路の向こうに、怪獣が閉じ込められているんだよ。」
「怪獣?」
「おじさんが念動力でやったんだ。凄いだろう!」

 まるで自分の事のように自慢をしながら、なおも穴を掘り続けていた良少年であったが…そんな時だった。
多数の人々のざわめきが響き渡ると共に沢山の人々がこちらへ殺到してきていたのである。

261 :長門有希の怪獣使いと少年 5:2009/06/15(月) 12:19:30 ID:kxxvuIr+
「呆れたもんだ! 誰だか知らないが宇宙人と仲良くしてる奴がいるなんてな!」
「お前の為に街が大騒ぎになったんだぞ!!」

 それは近所の街に住まう市民。良少年を宇宙人と信じる彼等はその宇宙人を退治する為に
徒党を組んで川原に殺到して来ていたのだ。

「大勢で一体何を…。」
「その子が宇宙人である事が分かった! だから俺達が退治するんだ!」

 暴徒と化した市民は長門を押し退け良少年へ寄って集り、一斉に手に持っていた棒で叩き始めた。

「何をするんだ! 僕が何をしたって言うんだ!」

 呆れる事に暴徒の中には現職の警官が数人含まれていた。そして必死に抵抗する良少年を拘束し、
何処へ連行しようとしていたのである。長門も何とか良少年を救おうとするが、数人がかりで
押さえ込まれてどうにもならない。流石に一般人の目の前で情報操作を行うわけにも行かないし…

「おじさーん! 助けてくれー!」
「待ってくれー……ま…待ってくれー………。」
「おじさーん!」

 そこへ良少年の危機に我慢出来なくなったのか…自身の弱った体に鞭打って金山さんが
掘っ立て小屋の中から現れ、ヨロヨロと近付いて来たのである。

「おじさーん! 助けてー! おじさーん!」
「宇宙人は私だー!」
「あっ! おじさん!」

 一度倒れ込む金山だが、手に持っていた杖で必死に身体を支え起き上がり必死に叫んだ。

「良君はただ私を守ってくれていただけだ! 宇宙人じゃない!」
「おじさーん! おじさーん! 助けてー!」
「さぁ…良君を自由にしてやってくれ!」

 金山の姿に驚いた暴徒の手が緩み、脱出に成功した良少年が金山に走り寄り抱き付いた。

「どうして出て来ちゃったんだよ〜!」
「もう良いんだよ…。」
「みんな! コイツを生かしておくと何を仕出かすか分からないぞ! 何しろ宇宙人だ!!」

 暴徒と化した市民は情け容赦無く良少年と金山に石を投げ、罵声を浴びせ、一斉に飛びかかる。
長門も何とか庇おうとするが、暴徒の数は半端では無く守りきれない。

262 :長門有希の怪獣使いと少年 6:2009/06/15(月) 12:20:49 ID:kxxvuIr+
「やめて。この人はただ宇宙に帰りたがっているだけ。」
「おじさんに酷い事をすると大変な事になっちゃうよー!」

 多数の暴徒に一斉に揉みくちゃにされる金山と良少年だったが…次の瞬間…一人の警官の
放った銃弾が…金山へ撃ち込まれた。

「うあぁ!!」
「!!」

 金山が撃たれ、良少年の口が大きく開いた…。しかし金山は真っ赤な血を吹きながら歩み寄る。

「殺すなら…私を殺せ!」

 次の瞬間…二射目の銃弾が撃ち込まれ…金山は倒れた。それに伴い暴徒達は下がって行くが…
金山を守りきれなかったショックなのか…長門はその場で膝を付いていた……。

「おじさーん! おじさーん…。おじさーん…。うああああああああああん!」

 良少年の呼びかけも空しく金山は息絶え、真っ赤だった血が忽ち緑色へ変色して行く…。

 次の瞬間だった! 金山の死によって、高速道路に封じ込められていた怪獣…巨大魚怪獣ムルチが蘇ったのだ!

「うああああああ!! 助けてぇぇぇぇ!!」

 大雨が降り注ぐ中、高速道路を破壊し、本能に身を任せて当たり次第暴れ始めたムルチに暴徒と
化した市民は散り散りになって逃げて行く。

「うあああ!! 助けてくれぇぇぇ!!」
「勝手な事は言わない方が良い…。あの巨大特殊生命体を蘇らせたのは貴方達…。まるで金山の怒りが
乗り移っている様…。」

 暴れ続けるムルチと逃げ惑う市民。しかし長門は一人ただ呆然と見送るのみだった。
そしてムルチが川原を越え、街へ向かおうとも…長門は何もする事は無かった。

 そんな時である。雨が降りしきる中その場に立ち尽くす長門の所へ一人のお坊さんが歩み寄っていたのである。

263 :長門有希の怪獣使いと少年 7:2009/06/15(月) 12:22:45 ID:kxxvuIr+
「長門…街が大変な事になっているんだぞ。」

 それはキョンだった。何故彼がお坊さんの姿をしているのかは不明だが…間違いなくキョン。
そして街ではムルチの暴れによって炎の海と化して行く…。

「長門! 分からないのか!?」
「!」

 キョンに諭され、長門は走り始めた。ムルチは金山が封じ込めた怪獣だ。いかに暴徒に非があろうとも
ムルチをこのままにしているのは金山の想いを裏切る事になる。代わりに何とかしなければ………
その長門の姿を見送ったキョンは一種にニヤリと微笑むが…

「で、古泉よ、何故態々俺がこうして坊さんの格好をせにゃならんかったのだ?」
「その方がムードが出るじゃありませんか。」

 ムルチの侵攻をこれ以上阻止するべく走った長門は自身の情報操作能力を駆使し、ムルチの周囲を
異空間化させた。こうすれば周囲の破壊を気にする事無くムルチと戦える。大雨が降り注ぎ、
何故かワンダバダワンダバダなBGMが流れる中長門とムルチの戦いが始まったのである。

 情報操作によって自身の周囲の物理法則を書き換えながら戦う長門であるが、彼女が巨大特殊生命体と
呼んだ通り、ムルチはただ巨大なだけな生物では無く苦戦を強いられる。
 それでも何とかムルチを押さえ込み、吹き上がる炎の中へ投げ落とすと共に自身の情報操作によって
産み出した高エネルギー光線を撃ち当て……ムルチを倒した………。


 雨が止んだ後…川原で再び穴を掘り始める良少年の姿があった…。

「おじさんは死んだんじゃないんだ…。メイツ星に帰ったんだよ…。おじさん…僕が付いたら
迎えてくれよ…。きっとだよ…。」

 目から涙を流しながらひたすらに穴を掘り続ける良少年の姿は…痛々しかった……。

「一体何時まで掘り続けるつもりなんだろうな…。」
「宇宙船を見付けるまでは止めないと思う。彼はこの星にサヨナラが言いたいらしい…。」

 遠くからキョンと長門の二人が見つめる中、良少年は金山の遺した宇宙船を掘り当てる為…延々と穴を掘り続けていた…。

END

264 :創る名無しに見る名無し:2009/06/15(月) 12:24:51 ID:kxxvuIr+
まあ色々突っ込みどころあると思うけど…スマソ

265 :創る名無しに見る名無し:2009/06/16(火) 23:06:57 ID:KpZvlpSt
その予防線を張らなければ好感は持てた

266 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 22:45:43 ID:rX/sPQ5b
いや充分に楽しめた
期待する

267 :金のキョン、銀のキョン:2009/06/30(火) 11:11:12 ID:vVjQzFaA
 キョンが長門と一緒に道を歩いていた時、ふと足を滑らせ池に落ちてしまった。

「うわー助けてくれー!」
「今引き上げる…。」

 池で溺れそうになるキョンを長門は表情一つ変えず冷静に引き上げようと手を伸ばすが、
それも空しくキョンは池の底へと沈んで行った。

「ブクブクブクブク…。」
「……………………!」

 これはもはや引き上げる所では無い。長門は表情一つ変えないながらも、大事を悟って
池の中へ飛び込もうとしていたのだが、そんな時に突如として池の中から女神様が現れたでは無いかw

「貴女が落としたのはこの金のキョン君ですか? それとも銀のキョン君ですか?」

 と、池の中から現れた女神はぞれぞれ金と銀で出来たキョンを長門へ見せる。
しかし、長門はやはり表情一つ変えずに答えた。

「私が落としたのでは無い。彼が勝手に足を滑らせて落ちただけの事。それに彼は金でも銀でも無い。
あくまでも蛋白質の塊…生身の有機生命体………。」

 すると、女神はニッコリと長門へ微笑んだ。

「おお何と正直な方でしょう。さあこの金と銀のキョン君の両方を差し上げましょう。」

 と、女神は金と銀のキョン君の両方を差し出し、池の中へ帰って行こうとしていたのだが…
次の瞬間、長門の右手が女神の頭を掴み止めていた。

「何をするのですか!?」
「待って。本物の彼をどこへやった?」
「さっきも言った通り、金と銀のキョン君を差し上げると言ったじゃありませんか。」

 やはりそう言って女神は再び池の中へ帰っていこうとしていたのだが…その態度に長門は
表情一つ変えずに切れた。今度は女神の顔面目掛け…アイアンクローをし掛けた!

268 :金のキョン、銀のキョン:2009/06/30(火) 11:11:55 ID:vVjQzFaA
「なっ…何を…………!?」
「……………返して……………………。」

 まるで女神の顔面よ砕けろと言わんばかりに物凄い力のアイアンクローで締め上げる長門。
それはその昔、鉄の爪、アイアンクローの代名詞と恐れられたフリッツ・フォン・エリックも
多分驚くかもしれない程のレベルであった!

「あ…あ…あ…あああああ…………。」
「…………………返して…………………本物の彼を………………返して……………。」

 女神の顔面をアイアンクローで締め上げながら池から強引に引き上げる長門の姿。
その表情は何時もと変わらない抑揚の無い物であったが…その目は真剣そのもの。
だからこそ、恐ろしい………………

「貴女は一体何をするんですか!? 私は女神ですよ!? 何たる無礼な!」
「そんな事は関係無い。貴女は彼を奪った。金と銀の彼なんか要らない。必要なのは本物の彼。
だから返して………本物の彼を………。」

 陸へ引き上げられた直後、長門の直突きが女神の顔面に撃ち込まれた。
血反吐を吐いて倒れる女神の上にさらにマウントポジションを取り、長門はさらにマウントパンチを放つ。

「ぐへっ! あべっ! げふっ! くぁ!」
「返して……返して……返して………返して………返して……返して………返して……返して…。」



 こうして…女神が本物のキョンを返してくれるまで長門は延々女神を殴り続け、
本物のキョンを返してくれた頃にはもはや原型を留めてはいなかった。

 それから、池の中から助け出されて全身ずぶ濡れのキョンを長門が情報操作で乾かしていた。

「は〜…何か良くわからんが散々な目にあった。けど長門ありがとうな。」
「貴方がいなくなったら涼宮ハルヒが困る。だから当然の事。礼を言う必要は無い。」

           ちょっぴり素直じゃない長門有希ちゃんでした。

 おしまい

269 :創る名無しに見る名無し:2009/06/30(火) 11:13:19 ID:vVjQzFaA
涼宮ハルヒの憂鬱シリーズと、金の斧銀の斧とのクロス。
童話ネタをクロスと言って良いのか分からんけど。

270 :SOS団全滅! 円盤は生物だった 1:2009/07/02(木) 00:21:59 ID:mk865MTr
 涼宮ハルヒ率いるSOS団は学校の屋上で空飛ぶ円盤が飛んでいないか星空を眺めていたのだが…
そんな時にハルヒが突然こんな事を言い出した。

「円盤ってさ、宇宙人の乗り物ってイメージあるけど…私は必ずしもそうじゃないと思うのよね。」
「は? いきなり何を言うんだ? お前らしくない。」

 ハルヒの言葉に眉を細めるキョンだが、彼女は構わず続ける。

「例えば、宇宙空間に生物が生存出来ないってのは常識だけど、もしかしたら宇宙空間で生存可能で
かつ自力で宇宙を移動する事の出来る生物がいるかもしれないじゃない。そう、円盤の様な生物…
円盤生物よ! そんな物がいたら素敵だと思わない?」
「思わん! って言うか不気味なだけだ…。」
「まったく…キョンって本当夢が無いんだから…。」

 などと…ハルヒとキョンの何時の様なやりとりが行われていたのだが……まさか…あんな事になろうとは………


 それから数日後、その日は何故かみくるの誕生日だったと言うので、SOS団の部室で
みくるの誕生パーティーが行われていた。

「みくるちゃんの誕生日おめでとうー!」
「皆さんありがとうございます。」

 と、皆でジュースを飲み、お菓子を食べながらみくるの誕生日を祝っていたのだが、
そこでジュースを切らしていた事に気付いた。

「もうジュース無くなったの? ちょっとキョン、今直ぐ買って来なさい!」
「仕方ないな…。今日は朝比奈さんの誕生日だ。それじゃ行って来るか…。」

 ハルヒに言われて立ち上がろうとするキョンだったが、それより先に長門が立ち上がっていた。

「私が行く…。」
「長門? 俺が行くから別にお前が行く必要は無いぞ。」
「そうそう有希は別に行かなくて良いよ。こういうのはキョンに行かせれば良いのよ!」

 どういう風の吹き回しなのか、ジュースを買いに行く役目を志願する長門に
キョンとハルヒはそれぞれ不思議に思っていたが、彼女の目は本気であり、何時もの様な
無表情ながらも強い目でキョンとハルヒをそれぞれキッと見つめていた。

271 :SOS団全滅! 円盤は生物だった 2:2009/07/02(木) 00:23:13 ID:mk865MTr
「私が飲料水を買いに行く…。」
「わ…分かった…分かったから…。」
「そ…そうね…有希が行きたいって言うんなら仕方ないわね。キョン、ちゃんと有希に礼を言っときなさい!」
「ああ、ありがとうな長門。」

 そうして長門はSOS団の部室から出て、ジュースのペットボトルを買いに出かけていたのだが…
そんな時にそれは起こった。

「…?」

 ジュースの自販機目指して歩いていた長門がふと上空に嫌な気配を感じた。
するとどうだろう。突如として上空からクラゲ状の形状をした半透明の物体が飛来していたのである。

「あ…あれはまさか…円盤生物シルバーブルーメ…。でも何故あれが…。」

 まだ長門が地球に派遣される以前、情報統合思念体の所にいた時に聞いた事があった。
宇宙の彼方に存在するブラックスターと呼ばれる星で誕生した円盤状の生命体…円盤生物。
その中でも奇襲を得意とし、対象全てを飲み込んでしまうと言う恐るべき円盤生物シルバーブルーメ。

 そしてそのシルバーブルーメが向かう先には学校が…SOS団の部室があった。SOS団の皆が危ない!

 ジュース購入を中断し、長門は円盤生物シルバーブルーメの侵攻を阻止するべく走った。
だが…シルバーブルーメのスピードは長門を持ってしても容易に追い付ける物では無く、
しかも学校のSOS団の部室の部分のみを器用に飲み込むなり…迅速に何処へと飛び去っていた。

「あ…………………。」

 こうして…突如襲来した円盤生物シルバーブルーメによって、SOS団は全滅した。長門一人を除いて…


 その日の夜、長門は一人自室の床の上に座っていた。その表情は何時もと何ら変わらぬ
感情の感じられない無表情であったが…その目からは一筋の涙が流れ出ていた。

「観測対象の死亡………私の……責任………。」

 円盤生物シルバーブルーメに飲み込まれた時点で、もう皆は助からないだろう。長門はあの時
自分でジュースを買いに行くと言う選択を取った事を心から後悔していた。もしあそこで自分が
部室に残っていれば、シルバーブルーメの襲来によってSOS団の皆が部室ごと飲み込まれる事を
阻止する事が出来たかもしれないし、最悪ジュースを買いに行ったキョンだけでも救う事は出来た。

 しかし結果はこの通り。ジュースを買いに行った隙にSOS団がシルバーブルーメの襲来を受け、
部室ごと飲み込まれ…長門は何もする事が出来なかった…。

272 :SOS団全滅! 円盤は生物だった 3:2009/07/02(木) 00:24:51 ID:mk865MTr
「全ては…私の責任…涼宮ハルヒを……そして彼を……皆を…守る事が出来なかった…。」

 長門の表情は変わらない…が…その目からは涙が延々と流れ出ていた。その時である。

「そう。全ては長門さん貴女の責任。キョン君だけならいざ知らず、涼宮ハルヒまで
円盤生物に飲み込まれるなんて…情報統合思念体はお怒りですよ。」
「……………。」

 長門の前に現れたのは消滅したはずの朝倉涼子だった。恐らく今回の事に関する
情報統合思念体本隊の意思を伝えるメッセンジャーとして再び物質化して現れたのであろう。

「今度は私が消える番………。」
「いえ、情報統合思念体も流石にそこまでは言っていませんでしたよ。」
「何故…。」

 普通ならこれ程の失態を犯してしまった長門は情報統合思念体から罰として粛清されて
当然のはず。だが朝倉いわく、そんな事は言わなかったと言う。ならば何故…

「涼宮ハルヒとキョン君とその他2名ならまだ生きていますよ。」
「それは何故? 普通ならばあの円盤生物に飲み込まれて直ぐに消化されて無くなるはず…。」
「部室ごと飲み込まれた事が幸いしたのでしょうね。しかもあの部室そのものが異空間化している事も
幸いしてまだ完全に消化されずに残っていますよ。ですが…それも何時まで持つんでしょうかね。」
「……………………。」

 SOS団の皆はまだ生きている。だがそれも何時まで持つか分からない。ならば助けに行く。
こうしてはいられないとばかりに立ち上がり、玄関へ駆けて行く長門に向かって朝倉はさらにこう呼びかけた。

「言っておきますが、今は猶予期間も同然と思っていて下さい。もし本当に涼宮ハルヒを死なせる事が
あった場合…情報統合思念体は本気で貴女を消すと仰っていましたよ!」
「分かった……………。」

 そして長門はマンションから飛び立った。目標は無論、SOS団の皆を飲み込んだ円盤生物シルバーブルーメ!
 
 雨雲が太陽を遮り、雨が降り始めた頃、シルバーブルーメは再び雨雲を突き抜けて姿を現した。
その半透明状の身体の奥にはうっすらと先に飲み込んだSOS団部室の姿が見える。

 シルバーブルーメがまた何かを飲み込もうと地上へ降下しようとした時、地上の方から何かが
高速で上昇している事に気付いた。長門である。

「見付けた…今度は逃がさない…。」

 情報操作によって高速飛行を行う今の長門ならばシルバーブルーメにも対抗出来る。

273 :SOS団全滅! 円盤は生物だった 4:2009/07/02(木) 00:26:34 ID:mk865MTr
「涼宮ハルヒを……そして彼を………返してもらう。」

 長門はシルバーブルーメ目掛け上昇しながら情報操作によって生み出したエネルギー光球を
投げ付け、シルバーブルーメの周囲で小規模な爆発が次々に発生する。

 シルバーブルーメは触手を伸ばし、長門の身体へ巻き付け雁字搦めにしようとするが
長門はそれを引き千切り、シルバーブルーメの口目掛け突っ込んだ! 一見するとただの自殺行為に
過ぎないが…長門とて何も考えずにシルバーブルーメの口の中へ突っ込んだわけでは無かった。

「これが…円盤生物の体内…。」

 長門は自身の身体の周囲に情報操作を利用したバリアーを張り巡らし、消化を防ぎながらシルバーブルーメの
体内を突き進む。その内部は、外見から見える体積からは想像も出来ない程にまで広々としていた。
恐らくこれもまた異空間化しているのだろう。そして長門はそこで消化されずに残っていたSOS団部室を
発見するのである。

「良かった…部室は…無事…。」
「おーい長門ー! これは一体どうなってるんだー!?」

 シルバーブルーメ体内に漂っていた部室の窓の向こうにキョンの姿があり、必死に長門へコンタクトを
取ろうとしていた様だ。なお、部室の奥を見てみるとハルヒが倒れているのが見える。
恐らく余りにもあり得なさ過ぎる事態に気絶してしまったのだろう。だがこれは長門ととしても好都合。

「大丈夫…今助ける…。」

 長門は部室の周囲にも情報操作を利用したバリアーを張り巡らせると共に、シルバーブルーメのコアと思しき
器官目掛け、同じく情報操作によって作り出したエネルギーの塊を発射した!

 さしものシルバーブルーメも内側からの攻撃には一溜まりも無く、全身から眩い光と火花を散らしながら
大爆発を起こし、その爆発の中から長門とSOS団の部室が現れていた。


 その後、長門の情報操作によってSOS団部室は元通りの位置に収まり、さらに一般の人々の記憶に
関してもシルバーブルーメの部分を消した。つまりこの事件は一般的には無かった事になったのである。

「まったく…酷い夢を見たわ。突然クラゲみたいな変なのに飲み込まれて…。」

 なお、この件に関してハルヒ本人はシルバーブルーメに飲み込まれた事を『悪夢』と認識していた。
余りにもあり得なさ過ぎる事態にハルヒが現実と認識する事を拒んだのである。
流石は超常現象を求めていながらも、その根底には常識的な物が存在しているだけはある。

「全く酷い目に遭っちまったな。まさかあんなのが出て来るなんてな。また起こったりしないだろうな?」
「それは分からない。円盤生物はシルバーブルーメ以外にもノーバやブラックエンド…ロベルガー等
様々な種類が存在する。それらのいずれかが襲来する可能性も捨て切れない。」
「そんなにいるのか? 勘弁して欲しいもんだな。」
「でも今度は…私がさせない。絶対に涼宮ハルヒと貴方を…守ってみせる…。」

 キョンと共に帰宅する長門の表情こそ今まで通りの無表情であったが、その瞳の奥底には
強い決意の様な物が感じられた…。

END

274 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 00:28:15 ID:mk865MTr
涼宮ハルヒの憂鬱とウルトラマンレオの恐怖の円盤生物シリーズ第一弾の
MAC全滅! 円盤は生物だったのクロス

ただ、ガチで全滅したMACと違い、こっちは全滅とか言っておきながら結局全滅しなかったけど。

275 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 08:10:23 ID:6fR+BYqj
色々な作品のキャラクターがそれぞれ色んな理由でとある田舎町に行き、そこで怪異に巻き込まれる
という何処かで聞いたような話を書いてみようと思う。


276 :『序章』 ◆f2cg6/u08U :2009/07/17(金) 19:41:13 ID:To3+hVYs
時は西暦2009年の7月。真っ赤な太陽が地球を睨み付け、その暑苦しいまなざしにより
地球の上半分はやたらと暑くなる。下半分はと言うと抜け目なくその視線からは逃げられたものの、
冬将軍率いる冬軍団の襲撃を受け、現在厳しい寒さと戦っているところだ。そして、地球自身はというと
人間という生物が撒き散らかすシーオーツーに代表される温室効果ガスのせいで
常に温かい状況になってしまっている。

そんな地球のために人間はこれから何をすべきなのだろう。それを考え、実践して
行くのがこれからの人間の使命だろう。特に先進国という技術が進んだ国に住う人間は。
さて、地球の上半分、地球最大の大陸であるユーラシア大陸の東端から更に海を渡ったところに
日本という小さな島国がある。世界で2番目の国民総生産を誇る経済大国であり
まごうことなき先進国であるが、それが実感できるのはえてして都会であり、
山中の田舎町ともなれば都会に住む人間からすれば同じ国だとは思えないのではなかろうか。

この物語は、その日本のとある田舎町を様々な理由で訪れ、異変に巻き込まれた人間たちの群像劇である。

日本には、47の都道府県がある。小学生の頃社会の授業で習うのだが、白紙の日本地図を見ると
何処が何県なのか47全てを正確に答えられる人間は日本の人口一億二千万のうちに
果たして何人いるのだろうか。

さて、その日本地図を見てみると、首都、東京から左に少し行ったところに長野という県がある。
1998年には冬期五輪が開催された場所でもあり、たくさんのドラマが生まれた場所だ。
その長野県の県庁所在地である長野市からローカル線で一時間半程行った後、終点の駅で降り更に2時間に
一本出るかどうかのバスに乗り込み、一時間程一応はアスファルトで舗装されている山中道路を
走り、ようやくたどり着くことができる村がある。

名を羽見沢(はねみさわ)村という。人口およそ2000人程の、村というよりは集落と
言ったほうが適当かとも思えるような小さな村だ。この辺りは日本屈指の豪雪地帯であり、
冬ともなると年寄りばかりで雪下ろしがきついのだろうと訪れる人間は思うのだが
2000人の中で老人の人口は2割程度であり、後の8割はこの村の主産業である農業に従事する
農家のおじさんやらおばさんが全体の5割程で、残りの4割が若者や、まだ幼い子供である。

雪下ろしはこの村では若者の仕事であり、お年寄りは苦労していないのだ。もっとも、今は7月であり、
今はそんな話はあまり関係がないのだが。さて、この村では毎年この直になると
村の神社、名を『古手(ふるで)神社』というのだが、その村で行われる祭りが
あるのだが、これが幻想的で美しいと訪れた人達から口コミで人へと伝わり、
それなりの観光客が訪れるのである。

ただ、余所者がこの村にみだりに出入するのをお年寄たちは何故かあまり快く思っておらず
特にこの村を代々治めて来た『園崎(そのざき)家』の現当主である
園崎お魎はその筆頭とも言える存在であり、
この村の農業を取りまとめる太田家、古手神社の神主を代々務めて来た古手家、
この村に隠されるとある禁忌を守る神代(かじろ)家と並び、
その当主達と長きに渡ってこの村を守って来たという歴史がある。

園崎お魎は親族から鬼婆として恐れられ、この羽見沢村の頂点として君臨しているが、
他の当主たちは彼女を前にした、通称『御前会議』においても臆することなく意見する。
ちなみに、現当主はそれぞれ、太田家の太田常雄、古手家の古手梨花、神代家の神代淳、である。

277 :『序章』 ◆f2cg6/u08U :2009/07/17(金) 20:42:08 ID:To3+hVYs
この4家によりこの村の全てが治められているのでこの村には村長という役職がなく、
この『御前会議』で決定したことにより村は動くのだ。
さて、その4家の体制だが、園崎お魎の独裁体制、というわけではなく、各々が各々の分野にて
持ち寄った議題をこの会議にて議論し、そして多数決により決めるというものだった。
多数決の場合、4人だと決着がつかないということもあるので、各家は親族から1人を同席させるのだ。

園崎お魎は次期当主で孫娘である園崎魅音、まだ高校生くらいの少女である。
太田常雄は娘の太田ともえ、もう26歳になり、そろそろ婿をもらってもいい年齢である。
古手梨花だが、彼女にはとある理由により親族がいないので古手家は彼女一人で出席することとなる。
神代淳は許婚の神代亜矢子、はっきりいって世間知らずのお嬢様で、太田ともえとは
常に反発している。会議はこの7人で行う。

さて、今回の議題はというと、間近に控えた古手神社での祭り『綿流し祭』についてである。
古手神社の巫女、古手梨花が巫女装束を身に纏い、神具である鎌で布団を切り裂き、
中の綿をこの村を流れる『四鳴(しめい)川』に流すことでこの村の汚れを浄化し、
その年の住人たちの健康と農家の豊作を祈願するという催しだった。
この祭りを一目見ようと遠方からも人がやって来て賑やかになり、村の活性化にも繋がる。

しかし、余所者がこの村にみだりに出入りする事をよしとしないお魎が待ったをかけた。
今年は『綿流し祭り』を中止にしようと言い出したのだ。今年に限って。これに対し、古手梨花は当然反発した。
いつもならばお魎はここで物凄い剣幕で怒鳴り、彼女を黙らせてしまうのだが、
この祭りは豊作も祈願している。村の農業の一切を取り仕切る太田常雄がこの事態を見過ごすはずがない。

すかさず梨花を擁護したのだった。無論、ともえも。この時点で多数決を取れば結果は3対2。
綿流し祭は実行されることになる。しかし、もしか神代家の2人がお魎に肩入れ
するようなことがあれば綿流し祭は中止となる。つまり、この会議の鍵は神代家が握ったことになる。
他の出席者もそれは重々承知している。お魎は物凄い眼光で淳を睨み付ける。圧力をかけているのだ。
しかし淳はその眼光に臆することなく、フッと鼻で笑ってお魎に言い返す。

「お魎さん。お年寄のわがままに僕らを巻き込まないでもらえませんか?
それに、余所者なんてこの時期にしか来ないんですから少しくらい我慢してくださいよ」
この淳の言葉により、会議の結果は決まった。多数決の結果は5対2。無事に綿流し祭は
執り行われることになった。それが、この村を破滅へと導くことを、この時知っていたのはお魎だけだった…

『序章』 完

278 :創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 04:32:22 ID:+/TJwoAg
神代……SIRENか?

279 :創る名無しに見る名無し:2009/08/16(日) 15:10:59 ID:YzSLtgv/
SIREN1、2とひぐらしか。いいねえ

280 :長門の首がすっ飛んだ!:2009/08/25(火) 12:58:27 ID:3mUxJOYm
 涼宮ハルヒを中心としたSOS団は何故かとある田舎にやって来ていた。

「で、ハルヒよ。こんな何もない所で一体何をやるって言うんだ?」

 いつもの様にハルヒの奇行に文句を言うキョンであったが、ハルヒはそこである方向を指差した。

「あれを見なさい。」
「あれって…お地蔵様がどうしたんだよ?」

 ハルヒの指差した方向にあるのは一つのお地蔵様。そしてハルヒはそのお地蔵様へ歩み寄って頭に手を当てる。

「何でも話によると、このお地蔵様は悪い妖怪を封じ込めてるって噂。でもそれが本当なら面白いと思わない?」
「おい…お前がやろうとしてる事が分かったぞ。お前そのお地蔵様に何かしようってんだな!?」
「そう! その通りよ! キョン、今直ぐこの地蔵を倒してみなさい!」
「そんな罰当たりな事出来るか!」
「何言ってんのよバカキョン! 妖怪見たくないの!?」

 その地蔵が妖怪を封じ込めていると言う噂が本当か否かはともかくとして、地蔵を倒させようとするハルヒに対し、
キョンは恐れ多いと頑なに否定する為、ハルヒは腹を立ててしまった。

「キョンがやらないなら私がやるわよ! てやぁぁぁぁ!!」
「あっ! バカ! ハルヒやめろ!!」

 キョンの制止を振り切ったハルヒの飛び蹴りが地蔵の頭部に炸裂し、もろにぶっ倒れてしまった。
しかし、それだけ。それだけである。ただ地蔵が倒れただけで、特に何か起こる気配は無い。

「何だ。何も起こらないじゃない。馬鹿馬鹿しい。私帰る。」
「おいこらハルヒ! 帰るならせめて地蔵を元に戻してから帰れよ! 地元の人に怒られるぞー!」

 が、呼び止めるキョンを無視し、ハルヒはそのままそそくさと帰ってしまい、その場には
キョン・長門・みくる・古泉の四人だけが残されてしまった。

「キョンく〜ん…このお地蔵様どうしましょう〜?」
「と…とりあえず…元に戻しましょう…。」

 帰ってしまったハルヒに代わって仕方なく地蔵を元に戻そうとする四人だったが、
そこで突然地蔵の後の山から何かが現れた。

281 :長門の首がすっ飛んだ!:2009/08/25(火) 13:00:31 ID:3mUxJOYm
「な…何だ!?」

 山肌を吹飛ばして現れたそれは、まるで仏教世界において死者を裁くと言う
閻魔大王を思わせる形相の何者かだった。

「え…閻魔大王!? って事は…この地蔵は……本当に……。」

 状況から見るに、ハルヒが倒した地蔵は本当に何かを封じ込めていたのだろう。
それも、妖怪では無く閻魔大王を。しかもその閻魔大王は右手に持った巨大な刀を
振り回して見境の無い大暴れを始めたでは無いか。

「うああああ! 地獄から閻魔大王が蘇ったーって言うかどうするんだよこれー!」
「違う…これはえんま怪獣エンマーゴ…。」
「えんま怪獣…エンマーゴ?」

 長門が言うにはこれは正確には閻魔大王では無く、えんま怪獣エンマーゴと言う
似て非なる物らしい。長門が何故それを知っていたのかはキョンには分からなかったが、
長門はキョン達を守る為にエンマーゴの前に立ちはだかった。

「私が相手に立つ。」
「長門!」

 以前長門はキョンを守ると言ったし、実際朝倉に襲われたキョンを助けてくれた。
今回もまたキョンを守る為にエンマーゴに立ち向かって行ったが、情報統合思念体が
作ったインターフェースと言う地球外の存在が、妖怪変化の一種っぽいエンマーゴに
戦いを挑むと言うのは冷静に考えると凄いシチュエーションだよな。

 口から黒いガス状の霧を噴出し、刀を振り回して暴れるエンマーゴを取り押さえようとする長門だが
どうやら力に関してはエンマーゴの方に分がある様だった。

「長門ー! お前の情報操作とやらで何とかならないのかー!?」
「先程から試しているが…あれにはこちらの情報操作を無効化する何かを持っているらしい…。」
「何!?」

 大抵の相手なら、長門は戦うまでも無く情報結合の解除によって相手を消滅させる事が出来る。
しかし、エンマーゴにはそれが通じないと言うのである。何故長門の情報操作を受け付けないのかは
分からないが、やっかいな相手である事には変わりない。やはりエンマーゴは閻魔大王なのか?

282 :長門の首がすっ飛んだ!:2009/08/25(火) 13:01:50 ID:3mUxJOYm
 エンマーゴ自身に情報操作が通じないならば、外部の情報を操作する事による正攻法で攻撃し
倒す以外には無い。長門は自身の情報操作によって作り出したエネルギーをエンマーゴへぶつけようとするが
エンマーゴが左手に構える巨大な盾によって弾き返されてしまった。なんと言う頑丈な盾であろうか?

 長門の攻撃を防ぎつつ、刀を振り回して迫るエンマーゴ。長門は何とかエンマーゴの刀を回避しながら
下がる事しか出来ない。

「いかん長門がパワー負けしている! 一体どうすれば…はっ! そうだ! お地蔵様だ!」

 エンマーゴはお地蔵様によって封印されていた。それをハルヒが倒してしまったから蘇ったと言うのなら
お地蔵様を元に戻せば何とかなるかもしれない。

「古泉! 俺とお前でこの地蔵を元に戻すんだ!」
「わ…私も手伝います〜。」

 キョン・古泉・みくるの三人で倒れた地蔵を何とか持ち上げて元に戻そうとするが、これが中々重く
持ち上がらない。しかし、このままでは長門はエンマーゴにやられてしまう。

「くんぬぅぅぅ!」
「お…重いです〜…。」

 それでも何とかゆっくりではあるが地蔵を元の位置に戻す事に成功したが、一方長門は
エンマーゴの口から噴出された黒い霧によって視界を封じられ……

「なっ長門ー!」

 黒い霧で長門の視界が封じられた隙を突き、エンマーゴの刀が横一文字に長門の首をすっ飛ばしていた。

 しかしその時だ。元の位置に戻された地蔵の目が光を発し、何処からともなく響き渡る念仏を唱える謎の声。

 恐ろしいエンマーゴの刀攻撃に、長門は死んでしまったのかと思えた。が、地蔵から発せられた念力が
エンマーゴの動きを封じ、そしてエンマーゴに切り落された長門の首を元通りにしていたのである。

 地蔵の念力でエンマーゴの力が封じられた今ならば情報操作が通じる。蘇生した長門はとっさに
情報操作を行い逆にエンマーゴの首を切り飛ばし、首を失った胴体に情報操作によるエネルギーを
ぶつけ、木っ端微塵にしていたのだった。


「全く災難な事になっちまったな。やっぱりこういうのにイタズラをしてはいかんと言う事だな。
ハルヒに関しては俺の方からきつく言っておきますんで…。」

 エンマーゴが倒された後、キョン達は地蔵の前に手を合わせ拝んだ。

おわり

283 :創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 13:03:38 ID:3mUxJOYm
ハルヒとウルトラマンタロウ14話「タロウの首がすっ飛んだ」のクロス
閻魔大王と戦って長門の首がすっ飛ぶのをやりたかっただけと言うお話

284 :創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 19:09:57 ID:YBw2blFC
後楽園ホールは重い沈黙に包まれていた。
先程ブロッケンマンが胴体を真っ二つに引き裂かれた光景が、観客全ての脳裏に焼き付いて離れ
ない。
いまだ強烈な血の臭いが漂う中、ラーメンマンがかつてブロッケンマンだったラーメンをすする
音だけが響いていた。
「おい、お前! そこは一般人は立ち入り禁止だ!」
放心状態だった観客達は、警備員の声で現実に引き戻された。見れば、サラリーマンと思われる
オールバックの貧相な男がリング上に駆け上がっている。ラーメンに舌鼓を打つばかりで乱入者の
存在など意に介さない様子のラーメンマンに、男は冷ややかな視線を向けている。
マイクが偶然、音を拾ったのであろうか。次の瞬間、男の相手を見下すような声が会場に響き渡
った。
「やれやれ。そんなラーメンをうまいと言っているようじゃあ、本当に残虐超人か怪しいもんだな」
「なんじゃと! こいつは対戦相手を残虐なやり方で殺して……」
キン肉マンが抗議の声をあげるが、男はまるで気にしない。
「食材の超人強度は高ければいいってもんじゃない。料理との相性が大切なんだ」
「でもブロッケンマンはドイツ代表にふさわしい一流の超人ですよ?」
男はミート君を軽蔑しきったような顔で一瞥すると、吐き捨てるように宣言した。
「このブロッケンマンは出来損ないだ。食べられないよ」
会場がざわめきに包まれる。
「彼は毒ガス攻撃を得意としていた。そんな奴を使った料理が健康にいいか?」
「ミー達はそんな物を食わされていたのか!」
いつの間にかこちらの会場に駆けつけていたテリーマンが叫びをあげる。ラーメンマンからご相
伴に預かり、今まさに食べようとしていたブロッケンラーメンは床に叩きつけられた。
「明日もう一度後楽園ホールに来て下さい。そこの弁髪が作ったのより、ずっとうまいラーメンを
ご覧に入れますよ」
ラーメンマンは何も言わなかった。しかし、その目には静かな闘志が宿っていた。
本場で鍛えられた超人ラーメンと究極のラーメン。
今、会場には先程とは違った緊張が広がっている。



続かない

285 :創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 19:26:28 ID:gQNKV+hA
激しくワロタw

286 :創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 21:12:42 ID:V+/ScBkN
何でそうなるww

287 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 20:23:16 ID:DRGN2+gt
とある日曜日の昼下がり。
フレプリ4人娘は例のごとく謎の男カオルのドーナッツ屋でまったりと過ごしていた。
ラブの視界を横切る少年が一人。
「あれ?フィリップ君だ」
「フィリップってラブが落とした財布をあっという間に見つけてくれた人?」
「なんだか随分慌てているわね」
「あ、ベンチに躓いて前方回転受身でゴミ箱に嵌った!」
「何かに集中していて足元がお留守になってるみたいだけど…」
「あたしちょっと行ってくる!」
「あ、ラブ待って!」
「私達も行きましょう!」
「ええ!」

誰か続きヨロ

288 : ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:13:25 ID:6WKHQlKh
ロックマンZX×カブト投下します。

注意
※オリジナルあり(モブ、敵のみ)
※クロス設定あり

289 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:15:35 ID:6WKHQlKh
プロローグ

「おばあちゃんがいっていた。ちゃぶ台をひっくり返していいのは、飯がマズかったときだけだとな。
ちょっと七年前までひっくり返してくる」
 男はそういい、カブト虫を模した強化装甲をまとって時を遡った。
 人々を滅ぼす悪魔の隕石と共に、過去へとたどり着いた男は歴史を変えたのだ。
 妹と、心を許した仲間に平穏な世界を与えるために。それはいかなる理由をもっても行うべき行為ではないと知りながら。
 世界は歴史の変更を嫌う。
 男が行った行為は世界の理を破り、時空の復元力をもってしても修復が間に合わなかった。
 ゆえに男は世界に否定される。肉体も、存在も、魂も。
 されど男は覚悟をしていた。彼の所業は永遠に呪われてしかるべきのものである。
 だからこそまだ消えてはならない。もう少しだけ、世界に抗わなければならない。
 男はすべての始まりの場所へとたどり着き、自らのベルトを少年へと向ける。
「ベルトをつかえ」
 その少年が妹を守る姿を見届け、男は満足気に微笑んだ。
 これで思い残すことはない。
 たとえいかなる罰を受けようと、たとえいかなる苦しみを与えられようと、この流れを作るために男は命を投げ出した。
 彼は自分を世界の中心だという。
 だからこそ、自分が中心であるベキの世界を守るのは当然の選択であった。
 男は黄金のタキオン粒子となり、瓦礫に埋もれた少年と少女から姿を消す。
 後は、妹はこの世界の自分に託せばいい。
<br>
<br>
 歴史を変え、世界に嫌われた愚か者。
 天の道を往き、総てを司る男。
 天道総司。
 彼は死よりも辛い、時間に溶ける間際まで微笑んでいた。



「はいはい! 依頼とあらばどんなものでも どこにでも!
こちら「運び屋」ジルウェ・エクスプレスでございます! 」
 黒い髪を肩まで伸ばした、活発そうな少女が通信機に向かって警戒に応えていた。
 青い服装に白いパンツルック、全身に黒いタイツをつけているのか、腕や足を黒い布が覆っていた。
 青いジャケットを羽織り、青いバイクに寄り添っている。
 彼女の名はエール。この国の英雄であり、人間の少女であった。
「はい、はい……それでは向かわせてもらいまーす」
 彼女はそういって通信を切る。彼女が行っている運び屋には、彼女だけでなくジルウェという青年がいたのだ。
 冷静で優しく、しかし厳しいところは厳しい青年であったのだが、一年前ある事件で彼女を庇って亡くなってしまったのだ。
『エール、順調だね。けどまた危険な仕事を受けたの?』
 この岡には彼女一人しかいない。なのに、声がかかってくる。
 エールは慌てず、声の主を“取り出した”。
「大丈夫よ。今回は安全な常連客よ。それに、なにかあったら力を貸してくれるでしょう?」
『だからといって、この前みたいにイレギュラー相手に油断されては困る』
 また別の声があがり、エールはうっ、と気まずそうにする。
 光り輝く手のひら大の青と赤の金属デバイスが現れて彼女へと話しかけていたのだ。
 彼らはライブメタルモデルXとモデルZという英雄の力を宿した生きたデバイスであった。
『モデルZ、彼女はそのことに対して反省をしているよ。エール、今度の依頼主は人間かい?』
「いいえ、レプリロイドよ。どこかでアタシの噂を聞きつけたみたい」
 エールはそういってモデルXへと微笑み、青いバイクに跨った。
 ライブメタルモデルXとモデルZは、向こう見ずの少女に微笑み、あるいはため息をついて彼女の元へと戻った。

290 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:16:17 ID:6WKHQlKh


 レプリロイド……それは人間と共に道を歩む機械生命体である。
 数百年前、人間とレプリロイドは相違の思想の違いにより対立して、戦争が発生した。
 長年にわたって戦争は続いたが、首謀者は倒されて人間とレプリロイドは共に道を歩むことを決意をする。
 人間とレプリロイドは真の平和を求めて、人間に『機械の体というレプリロイドと同じ力』を、レプリロイドに『寿命という人間と同じ命の重さ』を与えられたのだった。
 戦争の傷跡も癒え、人とレプリロイドが共に手を取り合って生きていた。
 しかし、一年前『セルパンカンパニー』によって人々が争いの渦へと巻き込まれた。
 長年人々の英雄と語り継がれていた『セルパンカンパニー』は狂ったレプリロイド・イレギュラーを裏から操って自作自演の茶番を行っていたのだ。
 それはすべて、ライブメタルモデルVを覚醒するため。
 支配するロックマンへと変身したセルパンをとめるものはいないかと思われた。
 それをかぎつけたガーディアン、及びモデルXの適合者エールによってセルパンの野望は阻止されたのだった。
 それから一年たった今、少女は日常を取り戻し、運び屋として日々を過ごしていたのだ。
「うーん、いい風……」
 エールは気持ちよさそうに呟き、空を見る。彼女が守った青空だ。
 十一年前のイレギュラー襲撃によって母を失った彼女の、初めて守れた世界。
 だからこそ彼女は英雄の賞賛足りえた。
「それじゃ、いこうか。モデルX、モデルZ」
 いまや仕事の相棒となったライブメタルに語りかけ、彼女はアクセルを回した。
 エールは青いバイクを走らせ、運び屋として依頼を果たそうとする。
 それが彼女を守ってくれた、ジルウェとの絆だったからだ。


「アレがお前の標的……でいいのか?」
『ククク、そうだ。あの気配……忘れてやらない……』
「俺にはただの小娘にしか見えないがな」
 そういって男は双眼鏡を降ろした。彼以外には人影を発見することはない。
 確かに男以外の声が、人影のないビルの上で響く。まるで丘のエールとライブメタルたちのように。
「まあ、俺は暴れられればそれでいい……」
『話が早い。いくぞ……』
 男は取り出した金属デバイス……ライブメタルを手に口元を歪める。
 笑っているようにも見える狂気の表情のまま、彼は呟いた。
「ロックオン……」
 風が吹き雲が太陽を覆う。
 彼女が守った青空を、乱すものが現れたことを示すように。



291 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:17:13 ID:6WKHQlKh
プロローグを投下終了します。
続けて、一話を投下いたします。

292 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:18:02 ID:6WKHQlKh
一話 START [始まり]

 風が吹いてエールの黒髪が揺れる。右手で髪を抑えて空を見ると雲が出てきた。
 さっきまで雲一つなかった青空だったことを考えると、風が強くなったのだろう。
 エールはそれ以上気にとめず、依頼主へと歩みを進めた。
「こちらがご依頼の品です」
「まあ、ありがとう。エールちゃんも大変だったでしょう?」
「いえいえ、そんなことはありませんよ。それよりも、運び屋『ジルウェ・エクスプレス』をまたご利用ください」
 エールはそういって品物を柔和な中年型女性レプリロイドに渡した。
 レプリロイドといっても、外見はさまざまだ。わざわざ年上に設定するものもいる。
 目の前の常連客もその口であった。もっとも、その理由は想像がつくが。
「おや、エールさん。今日も仕事かね?」
「はい、オジサン。いつも贔屓にしてもらって助かります」
 現れた恰幅のいい男性は人間であり、依頼主の夫であった。
 婚姻はレプリロイドと人間は平等である、という事例の一つだ。
 エールは男性とにこやかに挨拶すると、彼のそばにトラックがあることを目ざとく見つける。
「どこか出かけるんですか?」
「ああ、少しDエリアのハイウェイを通った先の家にこの荷物を運びにね」
「……!? でもあそこは……」
 エールがいいよどむと、いいたいことを察したのだろう。
 男性は笑みを浮かべて、安心させるように告げる。
「エールちゃん、大丈夫だ。イレギュラーはここ数ヶ月、Dエリアのハイウェイで姿を現していないという話だ。
それに、うちに飾るにはどうしてもあそこを通らないといけないからね」
「だからって、なにも準備せず向かうのは危険じゃないですか? せめて護衛を雇うくらい……」
「なに、そう遠くはない。すぐ済むから大丈夫さ」
 そして男性は妻の依頼を叶えたことに礼をいってトラックへと乗り込んでいった。
 エールは少しだけ不安を感じ、彼らが離れていくのを見届けた。
 

『エール、さっきの人たちが心配かい?』
 モデルXに話しかけられ、エールはバイクを止める。それはそうだ。
 あそこに発生したイレギュラーと激闘を繰り広げていたのは、エールたちであったのだから。
『あそこのイレギュラーはモデルVとセルパンカンパニーの爆発と同時に姿を消した。
今更現れることを心配するほうがおかしい』
「モデルZ、理屈はわかっているんだけどね」
 エールの母は十一年前のイレギュラー襲撃で亡くなっている。
 イレギュラーと戦うNGOの辺境警備隊のガーディアンとしてイレギュラーと戦ってきたのも、そのときのトラウマが原因だ。
 イレギュラーに関わる可能性がある、というだけでエールが心が乱れる。それを誰も責められまい。
「ま、心配してもしょうがないし、次の依頼でも待ちましょう。それにしても、モデルHたちは元気かな?」
 エールは表情を一転、明るい笑顔を浮かべて話題を変える。
 つい最近、ライブメタルの研究のためにガーディアンへ預けたモデルがあるのだ。
 電撃を纏い、空を翔けるモデルH。
 炎を噴出し、固い岩盤すら砕くモデルF。
 氷の竜を召還し、水中を自在に泳ぐモデルL。
 闇を纏い、敵をすり抜けることすらできるモデルP。
 いずれもモデルVを使ったセルパンカンパニーの野望を砕くときに力を貸してくれた。
『ガーディアンの研究所に預けているから、大丈夫だと思う。けど、エールは変わったね』
「そう? アタシは自覚ないんだけど」
『前は依頼主に対しての言葉使いがなっていなかった』
「ちょと、モデルZ! そんな昔の話はよしてよ!」
 まあまあ、とモデルXがエールとモデルZをとりなす。

293 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:18:44 ID:6WKHQlKh
 変わった、と告げた張本人という自意識がモデルXにはあるのだろう。
 モデルXは柔和な雰囲気だが、モデルZはたまにとげとげしい部分を見せる。本当にたまにだが。
 実は内面以外にもエールが変えようと考えている部分がある。
 ジルウェは髪の長い青年だった。あの長い髪は、異性ながら憧れを抱いてしまう。
 密かに髪を伸ばそうと決心しているが、彼らには告げず黙っていた。妙に気恥ずかしいのだ。
 さて、と一声あげてバイクのハンドルを掴む。
 エールがそのまま次の仕事を請けようとして、通信機が鳴った。ガーディアン専用通信回線だったため、驚きながら通信機を取った。
「はい、プレリー? どうしたの?」
 プレリーとは、ガーディアンの指揮官の名前である。
 見た目はエールとそう年の離れていない少女だが、イレギュラー戦争時代から生きている歴戦の戦士だ。
 レプリロイドに寿命を設定する法から逃れているのは、職業上の特例なのだろう。
 エールは密かにプレリーの美しい金の長髪と、女性らしいスタイルに憧れている。
 絶対口にはしないが。
『エール、聞こえている? 急にイレギュラーが活発化したの!』
「イレギュラーが……現場はどこ? ミッションは受けるわ」
『……Dエリアのハイウェイ。お願い、エール。また戦いに巻き込むけど……』
「いいっこなし。……って、エリアDィ!?」
 エールの表情が変わる。エリアDには先ほどの夫婦が向かっている。急がねば彼らのみが危険だ。
 モデルXとモデルZも押し黙る。
「ごめんね、プレリー! あそこには人がいるの。エリアDに向かうから、支援をお願い!」
『わかったわ。エール、気をつけて』
 通信機を切り、エールはUターンしてエリアDへと向かう。
 やはり先ほどの夫婦をいかせたのは間違いだった。
 エールは後悔を噛み締めながら、バイクを走らせた。
 

 時間は少し遡り、エールに依頼をした夫婦……夫をゴルクル、妻をミラという。
 共に寄り添って二十年近くになる。この時代、人間とレプリロイドの夫婦は特別珍しいものではなかった。
 穏やかに日常を過ごし、今日のこの日も荷物を市街の家に運んで飾り、夫婦水入らずで過ごす予定であった。
 この日、日常と違う事態が起こる。その一つを発見したのは、ミラのほうだった。
「あなた。止まって!」
 妻の言葉にゴルクルは疑問を抱いたが、素直に従う。彼女の言うことは、ゴルクルにとって間違ったことがないからだ。
 車を止めると、ミラは車を降りて道路の脇を進む。ゴルクルも降りると、妻が車を止めた理由がわかった。
 道端に人が倒れている。ゴルクルは妻と青年へと駆け寄った。
「行き倒れなのか? ここはイレギュラーが発生しているため、ほぼ無人だったはずだが……」
「ですが、彼が倒れているのは事実です。あなた、この人を放ってはおけません」
「そうだな。見たところ外傷はないが、市街の病院に見てもらったほうがいい。運ぼう」
 ミラの言葉に頷いたゴルクルは、青年を抱えて横たえる場所を確保した荷台へと乗せる。
 癖の強い黒髪に、整った知性的な顔立ち。細く見えて、鍛え抜かれた肢体を白い衣装で上下を整えていた。
 この不思議な青年を拾った。それが人のいい夫婦の、ちょっとした非日常であった。




294 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:19:27 ID:6WKHQlKh
 天道総司は妹を守ってやれなかった。
 宇宙より降り注いだ隕石により、地球は海を失って人類の数は大きく減少し、災害に妹と巻き込まれたのだ。
 目の前で救いを求める手を握ってやれなかった。
 あんなにも苦しんでいたのに。兄とは妹を守るためにあるはずなのに。
 天道はそれからさらに大切なものを喪うことになる。
 七年、天道は喪失という名の闇を抱え続けていた。
 祖母の言葉を胸に、涙を見せず強がり、カブトゼクターを手に戦い続けた。
 異星より現れた謎の生命体、ワームとの死闘を運命付けられても、天道は変わらない。
 世界の中心であり続けるため、大切な人たちのために更なる力(ハイパーゼクター)を求めた。
 そして手に入れた力で、世界に喧嘩を売ったのだった。
 

「うっ……」
 天道は自分のうめき声を耳にして、意識を覚醒させた。
 瞼が開くと同時に、太陽の光が天道を照らす。目を覚ますと、荷台で柔らかい寝袋に包まれていた。
「おや、目が覚めたようだね。よかった。私はゴルクル。自分の名前を言えるかね?」
 柔和そうな男性の声に天道は視線を向ける。
 自分の身体を静かに調べて、彼が自分を助けてくれたのだと悟った。
「すまない、助かった。俺は……」
 そういって静かに天道は右手の人差し指を天に刺して、厳かに告げる。
 尊大な態度でふてぶてしい。この性格は死んでも直ることはないだろう。
「天の道を往き、総てを司る男。天道総司だ」
「そ、そうなのか。天道君……でいいのかな? 礼は妻にいってくれ。ワシは手伝ったに過ぎんよ」
 そう言われ、ミラに礼を告げて天道は座りなおす。ここはどこだろうかと現状を把握することに努めた。
 天道の最後の記憶は、世界を変えて過去の自分にベルトを託すところまでだ。
 なぜ消えたはずの自分が存在し、彼らと同行しているのかがわからない。
 ふと、首を回すと天道の上半身くらいのコンテナが目に入る。
 トラックの荷台に固定されたそれは、妙に天道の目を引いた。
「ああ、それは遺跡から発掘された古代の遺産だよ」
「遺産? 骨董品でも集めているのか?」
「そういう趣味でね。ライブメタルという遺跡には高い懸賞金がかけられているが、そういったものではない。ごく安全な、アンティークさ」
 ハハ、とゴルクルは笑って説明をする。そういうものか、と天道が納得して外を見ていると、眉をしかめて勢いよく振り向いた。
 天道にしては珍しく、語気を粗く忠告する。
「撃たれた! ハンドルを切れ!」
 天道の忠告と同時に、トラックが揺れる。現状を把握していないにもかかわらず、ゴルクルは車の速度を上げた。
 とっさにしてはいい判断だ。人型のロボットだろうか? 腕に取り付けた銃がゼクトトルーパーのマシンガンブレードを思い出す。
 天道は知らないのだが、野生化したイレギュラーの典型例、ガレオン・ウィングであった。
「そんな! ここ数ヶ月、イレギュラーの発生は報告されていなかったのに!」
「不確定要素(イレギュラー)? それより、車を運転することに集中しろ。このままだと死ぬぞ」
「あなた……」
 天道の忠告どおりゴルクルが必死でトラックを制御する。
 天道はどうすべきか、思案をした。戦おうにもベルトは七年前の自分へと譲った。
 歴史が変わった以上、もはや彼は自分になりえないのだが、便宜的にそう呼ぶことにする。
 彼ら夫婦を見捨てれば天道一人生き延びることができるだろう。しかし天道はその選択を取らない。
 彼らを救い、天道が生き延びる程度、天の道を往く男には可能でなければならない。
 この程度の逆境など、ハイパーゼクターを求める戦いで何度も味わった。潜り抜けるなど容易だ。
「そこの建物へ突っ込め!」
「天道君、どういう……」
「いいから言うとおりにしろ」
 出会ってすぐの人間を信用しろ、というのは無理があるのは天道自身自覚がある。
 だが、ここは脅してでも実行してもらわねばならない。
 幸いにも人がいいゴルクルは天道の言葉を実行した。
 大きくタイヤを軋ませ、不愉快な音をたてて使われていないだろう建物へと突っ込んだ。
 中を突き進みながら、ゴルクルが天道に視線をやる。
「ゴルクル、奥さん。二人ともいったんここで降りて隠れていろ」
「どういうことですか?」
「まさか……囮になる気か? 天道君!」

295 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:20:08 ID:6WKHQlKh
 ミラの疑問を、ゴルクルが告げる。ミラがハッとした視線を天道に向けるが、天道は余裕を崩さず笑みを浮かべた。
「なに、このトラックは必ず返す。念のため荷物を今渡したいところだが、そこは時間がない。すまないな」
「駄目だ、君はさっきまで意識を失っていたのだぞ? そんな危険な真似を……」
「いいから従え。奥さんも死なせたくないだろう。大切な人を失うのは辛いぞ」
 ゴルクルは迷い、ミラも心配そうに天道を見る。天道は素早く運転席にたどり着き、降りるよう促した。
 ゴルクルは顔を伏せ、数秒黙考した後にミラの手をとり、トラックから降りた。
「すまない……天道君……」
「天道さん、いざとなったら荷物をトラックごと捨てて逃げてください。私たちのことは構いませんから……」
「大丈夫だ、奥さん。おばあちゃんが言っていた。二兎追うものは、二兎とも取れってな」
 呆気にとられた夫婦に振り返らず、天道はアクセルを踏み込んだ。
 夫婦が身を隠すのをバックミラーで確認して、建物を突き抜ける。
 案の定謎のロボット集団が襲ってきた。
 正直対抗する手段はない。ベルトもなければ、今の天道に武器もない。
 しかし、そんなことは問題じゃない。
「こい、キサマたちの相手はこの俺だ」
 天道は不敵に笑う。天の道を往き、総てを司る男にはこの程度の相手は敵でないのだ。
 天道はアクセルを踏み込んで、思いっきりハンドルを切った。
 

「これは……」
 エールがたどり着いたDエリアは破壊の限りが尽くされていた。
 ガードレールは吹き飛び、道路は穴だらけ。イレギュラーとなったメカニロイドが徘徊し、真っ二つになった車から炎が吹き出た。
 建物は燃えて、人々の悲鳴がエールの耳に届く。ガーディアンの仲間たちが救出活動を続けているが、火のまわりは速い。
 ギリッ、とエールは奥歯を噛み締めて、二つのライブメタルを取り出した。
「モデルX、モデルZ、準備はいい?」
『いこう、エール』
『いつでもいける』
 モデルXたちも怒りを押し殺しているのだろう。冷静でありながら、声色に怒りがあった。
 エールはすべてを守るロックマンとなったのだ。その決意をあざ笑うかのようなイレギュラーたちの行動が許せない。
 巻き込まれた人々を守る。エールの勇気に呼応して、ライブメタルのモデルXとモデルZが輝いた。

「ロックオン!!」

 エールの決意の宣言と共に、二つのライブメタルから力が放出される。
 エールの両腕に腕輪を分解、赤い篭手が形成された。
 黒いタイツを覆うように、赤い装甲がブーツにジャケットと無から生み出されてエールを守るように覆った。
 エールが正面を向くと同時に、赤いヘルメットが被さって額に緑のクリスタルが生まれた。
 幾何学的な模様がクリスタルに浮かんで、金の髪がヘルメットよりあふれ出た。
 エネルギーの刃を形成する剣の柄を握り、エールはロックマンZXへと変身を果たした。
 モデルXの力で、本来モデルZの適合者ではないエールでもZの力を引き出すことが可能となっている。
 その状態のエールは、ロックマンZXと呼ばれ、野望に満ちた相手をイレギュラーと共に切り伏せてきたのだ。
 ロックマンZXに気づいた一体のガレオン・ウィングが襲いかかって来る。
 エールは冷静にガレオン・ウィングの動きを見切ってZXセイバーにエネルギーの刃を形成して振るった。
「えいっ!」
 一刀で真っ二つにして、その場をロックマン独特の高速移動、ダッシュで離れた。
 前方に大きく移動したエールに、三体のガレオン・ハンターがバスターを向ける。
 何百と相手にしたガレオン程度ではロックマンZXを止められるわけがない。
 エールはZXセイバーの柄を銃へと変形させ、エールほどの大きさの光弾でまとめてガレオンの群れを吹き飛ばした。
 圧倒的。
 イレギュラーとの数の差などものともしない。ロックマンの力が、人を救うために振るわれた。
 



296 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:20:59 ID:6WKHQlKh
『相変わらずぬるいことをしやがる』
「そうか? 俺にはどうでもいいが」
 高層ビルの屋上でボサボサの金髪をかきながら、紫色の毒々しいジャケットを着込む男が一人で会話していた。
 いや、一人で会話しているように見えていた。明らかにもう一つの声は、男のものではない。
 ギラギラと狂気を宿した瞳を、眼下で奮闘するエールに向けている。
 野性的であり、かつ人間にしか持ちえない畏怖を他人に刻み込みかねない男はゆったりと右手を開いた。
『まさかあいつらの言うとおり、このまま様子を見るだけというわけじゃないよな?』
「くだらない。わざわざパンドラとかいう奴に従う必要はない。俺は……」
 男は渇いた喉をかきむしるように左手を喉にあて、唇を歪める。
 笑顔というには歪みすぎた表情のまま、右手をゆっくりと前方にかざす。
 握られているものは、ライブメタルそのものだった。
 ただ、モデルXたちに比べて禍々しい。

「この渇きがおさまればそれでいい。ロックオン!」

 蛇のように腕をしならせ額にあわせたライブメタルから、禍々しいエネルギーが噴出して男を包んだ。
 エネルギーはオーラと変換し、男の身体を装甲で包む。
 濃い紫色の装甲が全身を包み、Y字の黒いバイザーに赤い単眼が光る鉄仮面のようなヘルメットが頭を覆う。
 右肩の砲台が妖しく光り、左肩と一体化しているミサイルランチャーが細身に重厚な雰囲気を与えていた。
 男はロックマンの一人。そしてライブメタルの名は……。
「いこうぜ、モデルVA。早く行かないとイレギュラーどもが全滅して終りだ」
『ククク……いいぜ、ペンテ。大暴れしてやろう。誰が最強か、またその身に刻んでやるぜ! モデルX!』
 ペンテと呼ばれたロックマンは、迷わず高層ビルから飛び降りた。
 その瞳にエールを映しながら。
 

「だいたいこんなものか」
 天道はアクセルを全開にしながら、急ブレーキをかけてハンドルを切り、車を横向きにして減速した。
 壁にぶつかるか否かの絶妙なタイミングでトラックが完全停止する。
 するとトラックを追いかけるためなのだろう、ガレオン・ウィングも停止ができず、トラックがぶつからなかった壁へと激突した。
 天道の思惑通りである。まとめて全員潰したのを確認し、天道はトラックを降りて残骸を拾う。
「やはり完全な機械か……ここはいったい?」
 天道が疑問を持つが、応えてくれるものはない。
 とりあえずトラックを無傷で済ませれたことに安堵して、あの夫婦に返そうと思考したとき、勢いよく振り返る。
 援軍だろうか。次々とガレオン・ウィングが現れた。
 戦闘手段のない天道は、新たな敵に焦りを……。
「ほう、そうくるか。いいだろう、相手をしてやる」
 焦りを見せず、あくまで余裕な態度のまま手を天にかざす。
 天道には確信があった。過去の自分に与えたベルトが、今この場で自分が望む限りまた現れるのだと。
 根拠などないに等しい。一度失ったものが都合よく現れるなど、奇跡でも起きないと無理だ。
 だが、天道という男は。
「こい、カブトゼクター!」
 奇跡といえることを平然と顕在させる、天を手にしたような存在なのである。
 天道の呼び寄せる声に応えるように、空の空間が割れて、赤いカブトムシ型デバイスが姿を見せた。
 トラックの荷台をコンテナごと貫きながら、カブトゼクターが天道の手におさまる。
 召還時には存在しなかったベルトが、カブトゼクターの角に引っかかっていた。
 天道はトラックのコンテナに遺跡として掘り出されたのか、と予想をつける。
 偶然だとは思わない。天道がカブトであることは、世界が決めた運命であるのだから。
「わけのわからないこの場所でこの運命……やはり俺は天の道をいくしかないようだな」
 天道が正面を見据えて、不敵に笑う。
 三体のガレオンが編成しながら迫る中を、恐怖を一欠けらも見せずにベルトを巻いた。

「変身」

 まるで厳かに、儀式の始まりを告げるかのように天道は呟く。
 カブトゼクターの『Hen-shin』という電子音を背景に、天道もまたロックマンとは違う装甲を纏った。
 

To be continued……

297 :ロックマンZX × カブト ◆SaBUroZvKo :2009/11/24(火) 20:22:13 ID:6WKHQlKh
以上で投下を終了します。
書き溜めは現在二話分あるため、二話はまた明日にでも投下します。
それでは失礼しました。

298 :創る名無しに見る名無し:2009/11/24(火) 21:10:44 ID:i93Pue0k
投下乙!なんか天道がゼクス世界になじんでるなw
面白かったぜ

299 :創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 00:43:19 ID:Oz1nGadi
ロックマンZXなんてのが出てたのかー
Xとかダッシュはやったけど、これはプレイしたことないな
でもカブトは好きなので楽しみ
続いて欲しいぜ

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取りに行ったけどなかった。次は一時間後に取りに行くです。
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