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【邪気眼】中二病な小説・設定【いちおくえん】★3

1 :創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 20:25:18 ID:IkJsz6aP
オリジナルから二次小説、最低テンプレSS等の痛い設定を挙げていくスレです。

前スレ
【邪気眼】中二病な小説設定【いちおくえん】★2
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1226039669/901-1000

【邪気眼】中二病な小説設定【いちおくえん】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1219852047/l50

2 :創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 23:26:18 ID:MP489Zfo
IDが魔法使いな私です
前スレがすでに埋まっててワロタw
まあ、タイトルはこのままでいいと思う
スレ利用者が中二病限定ではないって事を把握してれば、つまりはそれでOKだからね
って事でスレ立て乙です
このスレは定期的に見てるから書き込みがあると嬉しいな
新しく来た人も中二病設定って事に気兼ねなく書き込んでいけばいいと思うよ
って事でこのスレの繁栄を祈りつつ2get

3 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 12:32:32 ID:3ScxCLRT
おおースレ立て乙!

4 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 13:55:02 ID:bzW48PzI
ふっ……乙とでも言っておこうか……
     サンクチュアリ
三番目の聖域の生誕にな……

5 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 19:37:38 ID:qdXFEdSx
(5皿5)
  人  ウィーン オーストリア フランクフルト

5ゲットロボだよ
自動で5をゲットしてくれるすごいロボだよ

6 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 00:41:39 ID:CbEmC//l
投稿したいが……夏みかん氏の連載終わるまで待つ。

7 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 12:52:59 ID:icxncLBZ
こんなシアナさんは嫌です



アタシ

シアナ

歳?

18

まぁ今年で19

階位?

まぁ

当たり前に

第三騎士隊隊長

てか

隊長じゃない訳ないじゃん

みたいな

功績は

龍殺し

てか

あたしが

刻印の呪い受けてあげてる

みたいな

8 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 14:40:25 ID:CbEmC//l
前スレまとめですね、わかります。

9 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 14:45:43 ID:CbEmC//l
前々スレから統括、よくある中二病な設定のまとめ
【主人公編】
・感情が昂ぶると意識を失い、謎の力が発動して敵が死ぬ
・口癖は「別に……」「だりぃ」「うぜぇ」
・魔眼(邪気眼)を持っている
・腕に包帯を巻いている
・両目の色が違う
・隻眼
・銀髪
・美形
・アルビノ
・頭痛持ち
・不死身
・記憶喪失
・多重人格
・能力が封印されている
・実家は武術道場。鍛錬はさぼりがち。でも誰にも負けない
・代々暗殺者や武術家の家系で、若くして歴代最強の称号を持っている
・主な武装はピアノ線や日本刀。銃と刀が合体したような謎の武器も使う
・バックに強大な財閥や裏組織がいる
・学生だけど親とは別居して一人暮らし
・微笑んだだけで女の子が惚れる
・頭を撫でただけで女の子が惚れる
・名前が「零」
・前世が神話関係者で、必殺技も神話の単語から引用が多い
・斜に構えた性格で口数が少ない。作者が言うにはクール系
・この世は弱肉強食だと思っている
・大人はみんな敵
・謎の組織から追われている
・実は超天才
・悲しい過去を持っているが、それが自業自得でも誰も主人公を責めない

10 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 14:48:39 ID:CbEmC//l
前々スレから統括、よくある中二病な設定のまとめ
【作者&本文編】
・原作を未プレイ・未読なのに二次創作を書き出す
・文章作法を一切勉強せずに書き始める
・設定を考える時でも下調べをろくにしない
・キャラ数人が同じ台詞を言う際に「はい!」×3 や 「「「はい!」」」
・携帯やネットの掲示板感覚で、台詞の後に「orz」(泣)(ぉぃ)
・小説なのに、台詞の前にキャラの名前を書いてしまう台本形式
・自分の考えた設定>公式設定
・主人公は、作者の願望を投影して常に最強
・本編が完結していないのに外伝が始まる
・細かい設定集を作り、登場キャラのイメージCVまで作成
・既存のアニメ・漫画・小説から設定や文章の引用が多い
・正論を言われたり、引用を指摘されると逆ギレする
・出入り禁止を言い渡されると「受験なので気が荒んでいました許して下さい」
・聞いてもないのに「初心者です!」と言い張る
・後書きで作者と登場人物が対談。大抵作者が殴られるか死ぬかで終了する
・作中では『side〜』と頻繁にキャラの視点が変わる
・罫線と三点リーダーをとにかく多用
・過剰なまでにスペースと改行を使用
・戦闘シーンでは擬音を連発
・難しい漢字の羅列が大好き
・意味が分からなくても横文字が大好きで羅列
・「死」や「殺」だけでページが埋まる
・「五月蝿い」「否」「刹那」という単語を好んで使用する
・頭のいいキャラを作ろうと、学術書などから理論だけを抜粋して本文で使う
・でも作者自身がそれを理解できていないのでよく分からない内容になる
・もしくは完全に間違っている
・原則的に主人公は童貞で恋愛下手。理由は作者自身がry

11 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 15:01:43 ID:CbEmC//l
前々スレから統括、よくある中二病な設定のまとめ
【物語の設定・ファンタジー編】
・交通事故で異世界に飛ばされるシーンからスタート
・最初はシスターかエルフと接触
・「神様」を登場させて、細かい理由は全て神様がやったからと丸投げ
・神様や死神といったキャラは、なぜか大抵ノリが軽い女の子

12 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 17:45:26 ID:enoUPmqy
>>9-11で見事に全てがまとめられているな

13 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 22:58:21 ID:CbEmC//l
前スレから統括、よくある中二病な設定のまとめ
・男:穴空きグローブ
・女:ノースリーブ、又はアームウォーマーを着用。穴空きグローブの本当の役割を知らない
・成り行きで試作や規格外の武器やロボットを使うことになるが、「何故か」最後まで使うことになる。
・仲間になる予定だったら、意見が食い違おうと、敵だろうと「何故か」直接戦う事はない。仮に戦ったとしても手を抜く
・主人公と戦わない自称「ライバル(笑)」
・敵がやたらと不幸自慢してきて、萎える
・そのくせやってることが小者くさいのでタチが悪い
・DQNは最後までDQN
・やたらと「心」とか、「闇」と言う言葉を使う。
・大抵は怒ることや悲しむ事が悪(笑)
・「お前が言う立場か」と思う奴がやたらと説教する
・指を組んで祈るヒロイン、実態は尻軽女だったり空気だったり
・悲劇モノを書くが、一番悲劇的なのは作者の頭の中


14 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 23:21:23 ID:CbEmC//l
前スレから統括、よくある中二病な設定のまとめ
・「ゑ」「ゐ」「ヴ」を使用する。
・女子学生が日本刀
・どう考えても人間に持てないサイズの巨大剣(FF7)

前スレ作者一覧
・202-216(リレー小説・第一部完結)
・規制ネタで厨二魔法物氏(完結)
・290氏(原稿紛失のため中断)
・323-327(第一部完結)
・338-342(完結)
・邪気眼 ◆WXL4HPZ/HQ氏(完結)
・かねごん ◆6fnu658DIE氏(規制のため中断)
・夏みかん ◆6/YyOSVhvI氏(前スレ落ちのため中断)←いまここ。

あとは設定を作ってたな〜
設定まとめは>>9-13と被ってたからいいか。

15 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 01:32:36 ID:E4bmBPV0
一方その頃。
新米騎士イザークは血腥い激戦の中、奮闘していた。


あの地獄のような特訓でシアナが忠告してくれた教えを、頑なに守り、戦い抜いている。
脇が甘い、と言われた。だからもう二度と隙を作らないように姿勢を維持する。
柄を握る力が入りすぎていると言われた。力は最小限でいい。大事なのはいかに最小の力で相手を捻じ伏せるかだ。
それから踏み込みが遅いと言われた。だから意識して、もっと速く――そう、それこそシアナのように動けたら。
(でも……それじゃ、駄目だ)

自分が目指すのは、あの人じゃない。
自分は、隊長になりたいんじゃない。
自分がなりたいのは――……

「うわああっ!!」
斬撃。
横に並んで戦っていた仲間が倒れる。
「……!!」

仲間を切り伏せたのは龍の騎乗したゴルィニシチェ兵の一人だった。自分が貫いた獲物から、長い槍を引き抜く。
取り巻く空気を肌で感じ、一目見て強敵だと分かった。三下の者と格が違うであろうことを悟る。
今まで強いと言われる人間を飽きるほど見てきたイザークだからこそ、培われた直感だった。
兵が狙いをイザークへ切り替える。

16 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 01:33:29 ID:E4bmBPV0
ドクン。

「お前、怯えているなあ!? 安心しろ。お前もすぐ殺して仲間の所へ送ってやる……」 
「……っ」

怯えている?
自分は――自分は怯えているのだろうか。

手足は震え、呼吸はあがり、頭の奥は妙に冷めているのに、鼓動だけがやけにうるさい。
徐々に接近してくるゴルィニシチェ兵から目が逸らせない。

「天下のフレンズベル騎士団も名ばかりか。お前のような弱いヒヨッコがうようよいやがる。
まあ倒すのは楽で結構だけどなあ……まあいい」

くるくると兵士は長槍を振り回す。
イザークの頭上から、それを投擲するように突き出した。

ドクン。

「死ね!!」

自分は怯えているのだろうか――否、違う。
眼前に迫ってくる鉄の槍。潜り抜けるのは至難の業だ。以前の自分ならば。
だが今は違う!!
――ドクンッ!!

17 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 01:39:41 ID:E4bmBPV0
「……震えてなんてない、これは武者震いだ」

剣と槍が紙一重で突する。
金属音の唱和と共に火花が散り乱舞する。イザークの剣は腹で槍の一撃を見事に止めていた。
ゴルィニシチェ兵はイザークが自分の攻撃を受け止めたのが意外だったらしい。
一瞬目を瞠り、へぇと感嘆の息を吐いてみせた。続け様に第二打、第三打と突進が行われる。
それを全て受け切り、イザークは敵兵と相する。

「ヒヨコのくせに生意気じゃねえか……」
「……お前は、分かってない」
「ああ?」

冷静に対処すればどうってことない。なんて愚鈍な攻撃だ。シアナ隊長の手加減された攻撃さえこれを三倍は上回る。
それに、なんて一打一打が弱弱しいことか。地獄の特訓は打ち合うだけで手がもげそうになった。
あれに比べたら、目の前の兵の攻撃は、紙吹雪にさえ及ばない。

ブン、と剣を振る。自分の頭上で剣を構え、イザークは敵兵を渾身で睨みつけて言い放つ。

「ヒヨコにだって龍を突付くくらいの嘴はある。
あんまり舐めてると、出し抜かれるぞ龍騎兵」


18 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 01:40:47 ID:E4bmBPV0
そうだ。自分はシアナ隊長に憧れて騎士になった。……今は隊長じゃないかもしれないけど、俺の中ではずっとあの人は隊長だから。
あの時、助けてくれた隊長が本当に格好良くて。でも何も出来ずに震えてた自分が
弱くて情けなくて、惨めで……だから俺は隊長みたいになりたくて、もし騎士になったらあんな風に誰かを守れるんじゃないかって思った。
騎士隊に入って、隊長のいる隊に入れて、近くで隊長を見れるようになって……嬉しかった。
あの人はいつも強かったから。それを間近で見れて、益々憧れた。

でも俺が目指すべきは、隊長じゃない。
俺がなるべきは隊長じゃなくて――

「――今度は俺から行く、覚悟しろ」

俺は、あの人を超えたい。
今度は自分が、シアナ隊長を守れるように。

イザークも、敵対する兵士も気付いていなかっただろう。
もし騎士隊の誰かがその時のイザークを見たら、呟いたかもしれない。
絶望と恐れることを忘れた瞳が、シアナにそっくりだ、と。


19 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 02:41:19 ID:E4bmBPV0
ひゅう……
乾いた風が砂を巻き上げて煙らす。
黒き龍はシアナが手を伸ばせば届く位置へ歩み、空腹を満たせることへの歓喜か、
はたまた龍殺しを屠殺出来ることへの狂喜か――大きく巨体を奮わせた。
左右の翼は空へ突き出すように広げられ、揺らめく。羽が舞う。あたり一帯は夜が覆ったかのように
羽で埋め尽くされた。
黒き羽は死を喚起させるには十分な程に忌まわしい艶を帯びてシアナを囲む。


龍が唸る。口から零れ落ちた唾は地へと垂れる。
じゅう!!
溶ける音と異臭。龍の唾液が降り注いだ場所は見る間に死の沼と化した。
蒼黒龍の体液は酸性の毒だ。それ自体が凄まじい毒性を持った成分だ。
体液に触れればたちまち腐り落ちると言われている。
黒き龍は肉体さえ毒……死で出来ている。目の前にいるそれは、最早龍という規格さえ
超えていた。

シアナはひたすらに迫ってくる龍を睨みつける。
刻印は封じられ、そして自身は手負いの状態だ。持っている剣は自分のものですらない。
常時でさえ苦戦することは分かりきった相手に、刻印なしで立ち向かう。
それが無謀であることは百も承知だ。
しかしここで自分が龍を倒さなければ――奴を地に這わせなければ、この龍はもっと多くの仲間を食らうだろう。
だから決して退くわけにはいかない。
この龍だけは、例え差し違えてでも――殺してみせる!!


20 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 02:42:02 ID:E4bmBPV0
「そんなに……私を喰らいたいか、ならば来い……っ!!」

シアナの声に応え、龍は口を広げた。何百と同族を屠ってきた龍殺しを喰らわんと、牙が迫る。

龍の弱点は咽喉の部分にあるとされる。龍が自分を喰らおうと近づいた瞬間、一気に打つ。
もうそれしか残された方法がない。

そうしてシアナが剣を突き出した瞬間――
龍は、その手ごと、牙を穿った。

「ぐああああっ!!」

龍の牙は手甲の上からシアナの腕を突き刺している。
頑丈な鉄製の手甲は脆くも崩れ、鋭い牙ががちがちと腕を抉っていく。
同時に酸性の唾液が皮膚を焼く。あまりの痛みにシアナは絶叫した。

「……ぐあっ…ああ……」

龍は攻撃を緩めない。そのまま腕を切断するかの勢いで、牙を押し込んでいく。
騎士達がみかねてシアナを救出しようと龍の周囲に群がった。
「隊長!! 大丈夫ですか……っ!!」
「シアナ隊長をお助けしろ!!」

21 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 02:43:27 ID:E4bmBPV0
しかし、シアナはそれを払う。

「っあ……来るな!! 来ちゃ駄目、食われるわ…うっああ、ぐ…っが」

その様子を観察していたノクトは、ふむ、と頷いた。
「賢明だな。殺されたくなければ傍観しているがいい」

騎士達はシアナに制され、迂闊に近づけない。それにもし近づけば、シアナへ龍の攻撃が増す。
片手で剣を振るい、打撃を与えるが龍にさしたる効果はない。
容量を超えた痛みに、痛烈な吐き気と眩暈がこみあげる。

私は……ここで死ぬのか。
こんな所で龍に食われて無様に死ぬなんて……それだけは自分で自分が許さない。
ならば、立て。動け。逃れろ。早く。
肝心の剣と手は龍に囚われたまま。
刻印が使えたら――こんな敵、いくら強かろうと倒してみせるのに!!

龍がシアナの腕をいよいよ噛み千切ろうと力を入れた瞬間――馬の蹄の音が、聞こえた。
漆黒の鎧の騎士が馬に乗り駆けて来る。
悪魔の騎士――エレだ。
馬を走らせたまま、馬上で立ち上がり、跳ぶ。

22 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/30(月) 02:44:22 ID:E4bmBPV0
「ハッ!!」

龍の近くに鮮やかに着地すると、――光陰のような速さで、剣を放った。刻印の力を帯びた武器を。
龍の咽喉に剣が突き刺さる。そしてそこからじわじわと黒い斑点が龍を侵食していった。
黒が黒を覆う。龍の体躯を虚無が侵食していく。
シアナを喰らっていた牙も虚無の前にひれ伏し、静謐に飲み込まれていく。
激しい咆哮。その声さえ、悪魔の目の刻印は殺す。完璧に殺害する。
死の使いである黒い龍も、悪魔の目に睨まれては存在する術をなくす。
絶対殺戮の前にあっては何者も無力が故に。


シアナは束縛を解かれその場に崩れ落ちた。

「……何っ」

ノクトがその様子を見て声を荒げた。

23 :創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 12:34:53 ID:aAwvDCMH
おおぉーイザークかっこよくなったな!
シアナたん死にそうでガクブルだったけど((((;゜Д゜)))
ちょっと希望見えてきた!

24 :創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 16:46:06 ID:beOI2ok9
設定に目の色が左右異なる
これ追加だろ!!

25 :創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 20:36:03 ID:zwhf18jb
>>24
>>9に書いてあるぜ「両目の色が違う」
オッドアイってかっこいいよな

26 :創る名無しに見る名無し:2009/03/31(火) 21:07:36 ID:uaW+35Ur


27 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/31(火) 23:39:45 ID:TyFW+P2F
>>6
ごめん、急いで終わらせるように頑張る
投下楽しみにしてる!!

>>7
いや、むしろアリ!!
中二小説でコギャルな主人公って新しいと思うぞ
書くほうは大変そうだが

>>23
おおありがたい!!そろそろイザークの株が上昇するといいなあと思います
主人公なので死ぬことは……ないとオモ……うよ、多分
感想ありがとう!!


28 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/31(火) 23:40:36 ID:TyFW+P2F
蒼黒龍は虚空に溶け跡形もなく消え去った。
龍の残した黒羽だけが、ゆらゆらと行き場なく浮遊している。
死の使いを殺した男はそれを気だるげに剣で払うと、声もなく歩き出した。
負傷したシアナの前に、無言で出でる。

「……お前の力はそんなものか、龍殺し」

今のシアナに、問いかけに答える気力はない。
ぜえぜえと苦しげに息を吐き出して、エレの背を見上げることしかできない。
攻撃を食らった利き腕が痛みを感じない。……認知できる痛みの許容量を超えたのだろう。
力を入れてみても、ぴくりとも反応せず、血を垂れ流している。
これではまともに戦闘など出来るはずもない。腕を動かすことすら出来ず、悔しげに唇を噛む。

「温い、な……もっと死の淵で足掻いて俺を愉しませてみろよ、出ないと――」

――容易く俺に殺されても、文句は言えないぜ?

低く、嘲るような声が、鼓膜を震わす。
エレの横顔が見える。頬に刻まれた証、悪魔の目の刻印が暗黒色の灯火をあげている。
エレの髪とマントが乾いた風に乗って靡く。
悪魔の騎士はノクトの前に歩む。


29 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/31(火) 23:42:20 ID:TyFW+P2F
「お前はどうだ? 俺を愉しませてくれるか……否か。不甲斐ない龍殺しは戦えないようなのでな――余興に付き合え」
「その刻印は……成る程、貴様も刻印の所有者というわけか。……ふ、ならば丁度いい。相手になろう」
「……ふん、貴様の力のからくりは知っている。刻印の力を殺すんだったな」
「知っているのか」
「ああ、先刻まで様子を観察していたからな。だがそれがどうした? 俺は刻印の力が使えずともお前を殺せるぞ――こんな風にな!!」

瞬きすら許さない速度でエレはノクトの眼前まで迫る。
銀の光が戦場で煌いた。
エレは怒涛の猛攻をノクトに仕掛ける。
剣の突、打、殴、斬。
目にも捉えられない速さで、エレとノクトは打合する。
シアナは、目の前でくりひろげられる剣戟から目が離せないでいた。
幾多の兵の競合いを目の当たりにしてきたシアナですら、この打ち合いのレベルに勝るものは未だ見たことがなかったかもしれない。
熟練し、剣に手馴れた者だからこそ到る境地。武も極めれば舞に等しい。二人の踊り手は地を駆け、風を裂き、躍動する。
双方の匠業が、激しく、そして細やかに行われる。繊細に、凛烈に――勇ましく。


30 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/03/31(火) 23:45:23 ID:TyFW+P2F
奇跡のような打ち合いがここに存在していた。

エレを攻撃に突き動かす衝動はひとつ。死への渇望。それは裏を返せば生への渇望と何ら変わりない。
なぜならば――間近に死を感じなければ、彼は生きているという実感を得ることが出来ないのだから。
畢竟、死を求めることは生を願うことだった。
その為にエレは戦いを望む。戦場を希う。強敵と剣を交わせ、血潮を滾らせることこそエレの存在意義。
幾人の血を浴びて、幾多の屍を踏み越えて、それでも、まだ貪欲に争いを羨望する。

戦場の中でこそ、悪魔の騎士は真の意味で生きることが出来る。
エレは、今、生を謳歌していた。


31 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/01(水) 00:10:59 ID:s6dNIMub
強敵と打ち合う最中に感じる昂ぶり。
この高揚感はどうだ。
退屈で蒙昧な日常では味わうことの出来ない、感奮がここにはある。

これが愉しめるのならば幾らだって肢体を血に染めて剣を振るおう。
何千という戦場に訪れ、刃向う奴は全て虐殺してやろう。
俺が心底満たされるまで終わりのない饗宴を続けよう。

「ああ、だが駄目だな――」

幾ら剣を交わした所で、心底胸が躍るような事はありはしない。
俺を狂喜に駆り立てる獲物はただ一人だ。シアナ。龍殺しの騎士。
あいつと視線を混じらせ、敵意と殺意を感じた時にだけ心は震える。
反して乾きは止むことなく増していく。

「お前では、物足りない……」

故に、満たされることなど、ありはしない。
心はいつも乾いている。この身はいつでも血を求めてやまないのだから。
……そう、龍殺しの血を浴びるまで、例えあいつを屠ったとしても、渇望は止まらないだろう。
俺は、死を求めている。
止むことのない熱望は俺の中に広がって、狂乱へと駆り立てる。


32 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/01(水) 00:22:22 ID:s6dNIMub
「あれが悪魔の騎士か……将軍と互角に打ち合ってやがる。化けモンだ……!!」

雑魚の兵が何か言っている。

悪魔、か。

成程、誰が言い出したか知らんが面白い。
――俺が悪魔なら。この飽き飽きする世界は牢獄といったところだろう。
「クッ、馬鹿馬鹿しい」

それじゃあお前達は、何だ?
どいつもこいつも牢獄に閉じ込めらているのなら、咎人と変わらないな。
罪を負わないものは、この世にはいない。
罪人という点で、龍殺しも俺も。結局、何一つ変わらないのだ――。


エレの剣はノクトを押していた。
しかしノクトも一国の将軍。簡単に討ち取らせてくれるはずもない。
巧みにエレの剣を受け流し、反撃に転ずる。


33 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/01(水) 00:41:09 ID:s6dNIMub
「はっ……はっ、ぐ……」

シアナは地面に膝を付いて、その様子を眺めていた。
悔しいが今はエレにノクトを任せるしかない。その状況が歯がゆくて仕方ない。
無力でいることに甘んじている自らが、いたたまれない。
そこに、ゴルィニシチェ兵が接近する。
兵も愚かではない。弱りきった敵国の隊長を逃してくれるほど甘くもない。
剣を手に、消耗したシアナへ近づいてくる。
シアナは敵の気配に気付き、左手で剣を握った。
だが先刻、身に受けた怪我が重過ぎる。
立ち上がることもままならず、剣をしっかりと持つことすらおぼつかない状態で戦うことなど出来るわけがない。
「覚悟!!」

振り下ろされた剣を、身をよじり寸での所で回避した。
しかし続けて次の攻撃が放たれる。
避けられない。――やられる!!

34 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/01(水) 00:42:36 ID:s6dNIMub
ギインンッ!!

「……っ」
目は閉じなかった。死ぬ最後の瞬間まで目を開けているつもりだったから。
だから何が起こったのか、はっきり分かった。

「隊長、ご無事ですか」
敵とシアナの間に割って入ってきたイザークの剣が、振り下ろされた刃をぎりぎりの所で受け止めたのだ。
「……へ、いき……よ、これくらい」

苦痛に顔を歪ませながら吐息混じりに吐き出すシアナ。
それを聞いたイザークは、全くこんな時までこの人は強がるんだからと苦笑した。
どう見てもボロボロで平気じゃないじゃないか。ああ、だけどそんなことより今は。

「間に合って……よかった。今すぐ終わらせます、待っててください」

イザークは敵兵に立ち向かっていく。その後姿は、立派に騎士然としていて、シアナは正直驚いた。
訓練如きで涙を見せていたあの頃が嘘のようだ。何かあると泣き言や愚痴ばっかり吐いていたのに。
いつの間に、こんなに強くなったんだろう。


35 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/01(水) 00:45:22 ID:s6dNIMub
ちょっと前までは、私が守っていたのに。
今は反対に守られているなんて。

イザークは、兵に斬撃を食らわせる。兵は倒れて動かなくなった。
笑顔でふりむくイザーク。戦場に出ては怯えていた彼は、もういない。

「……隊長、俺ちょっとは役に立てましたかね」

無言で、頷く。嬉しそうに目を細めて、イザークは接近してきた兵へと走る。
そこにいたのは、以前の臆病なイザークではなかった。ただの一人の騎士だった。

つい以前の癖で、イザークを守ろうと目で追ってしまう。
けれどその心配はなさそうだ。訓練の成果だろう。

そうか、私の助けはもういらないのか。シアナは安堵する。同時に、
イザークの成長は喜ばしいことのはずなのに、少しだけ寂しかった。


36 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/01(水) 00:46:24 ID:s6dNIMub
今日はこれで終わります。見てくれてありがとう。
ではではまた来ます〜


37 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 01:58:41 ID:+euR2Gkp
>>9
ほぼコードブレイカーww

38 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 16:05:50 ID:uPtf+uar
>>37
(´?????)商品名出しちゃダメでしょ〜
(´?????)も〜

39 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 16:07:22 ID:uPtf+uar
(´・×・`;)顔文字バグった・・・

40 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 17:17:56 ID:G/nE9zE4
イザーク来ましたね!
イザークとシアナのコンビが好きなので、この展開は待ってました!って感じです。

41 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 19:04:09 ID:uPtf+uar
電撃文庫の「9S」も見事に邪気眼が発揮されてるよね〜
\巻で止まっているが、まだ続くんだろうか?
でも俺は「され竜」の図書カードを使うことだけは絶対にしないぜっ!

42 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 20:21:57 ID:XCBMRbgL
され竜のじゅ式(変換できね)の名前はある種の極みだと思うんだ。厨二的な方面で

43 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 20:50:35 ID:uPtf+uar
咒式は何か悪魔の名前を参考にしてるらしいと知っている俺は中二病(*´∇`*)

44 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:18:28 ID:59OOOyQB
そろそろスレチだろ

45 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:32:04 ID:XCBMRbgL
厨二病要素のある小説の話題くらいならいいと思ったが駄目なのか

46 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:44:16 ID:ObZoPVBk
いいんじゃないか?
浅井ラボの作品を知っている人から見れば充分話題に沿っているかと
まあ、本を知らないんだったら仕方ないな
注意する前にググレとしか言いようがない

47 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:49:20 ID:ObZoPVBk
>>44
こいつのIPを検索したら残念な検索結果になった
ありえんわ、あんた……

48 :創る名無しに見る名無し:2009/04/01(水) 21:59:11 ID:59OOOyQB
>>47
すまん誤爆した…

49 :創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 01:04:56 ID:u5PSYvs2
誤爆はよくあること。
仕方ないじゃない。

50 :創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 01:33:10 ID:Os0iMhFi
斜に構えた性格で口数が少ない。作者が言うにはクール系
しゃにかまえる=堂々としてるだったよな

51 :創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 21:42:26 ID:9CkV1utT
吸血鬼って……いいよな
なんか設定だけがもりもり浮かぶんだ……
設定だけ……

52 :創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 21:54:39 ID:IAuTaW6O
お前らトワイライト観に行くの?
海外で話題になったときのレビュー見た感じだと
コバルト文庫の底辺と似たような(ry

53 :創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 11:10:35 ID:Vi1XqNzC
>>51
吸血鬼も厨二の典型だよな。
血を吸うってのが受けるのか?

54 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 16:44:57 ID:fDav8ETn
「皆さん、ご無事ですか!?」
「……リジュ」

疲弊したシアナの前にリジュが駆けて来る。
彼はシアナの前に屈む。怪我の具合を見るなり直ぐに回復呪文を口にする。
暖かな微風がシアナを取り囲んだ。
傷を負った部位に手を添えて、応急処置に布を巻く。

「ごめん、ありがとう……」
「いいえ、これが仕事ですから。動けますか?」
「なんとかね……ぐっ」

体を起こそうとすると痛みが襲う。
無理に起き上がろうとするシアナを制し、リジュは腰をあげた。

「まだ無理そうですね。僕の回復呪文は即効性があるものじゃないのでじわじわ効いてくると思いますが……」
「さっきよりは大分マシになったわ」
「それはよかった」

優雅に微笑するリジュの背後を狙い、兵士が剣を振り翳した。


55 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 16:46:38 ID:fDav8ETn
「――あ!!」

しかし。シアナが声をあげ警告するよりも早く、兵士は烈風に塗れて吹き飛ぶ。
苛烈な風は容赦なく、白き爪牙を兵士へと向けて引き裂く。
「うわ、うわあああ!!」

風に揉みくちゃにされたゴルィニシチェ兵は、宙で切り裂かれた挙句地面に落下した。
兵士の死骸の上を砂塵がぱらぱらと舞う。
死神に剣を向けて生き残れるものはいない。
兵は自らの死をもってそれを証明した。

「おやおや。いけない人ですね。背後から攻撃しようなんて卑怯な真似をするからですよ」
「……」

敵を目に入れることなく術を発動したのか。なんて非常識じみた強さ。やはり睨んだ通り、この人物は曲者だった。
それもそうか。でなければこの騎士隊でやっていけないだろうし、死神などという渾名がつくわけがない。

リジュは翻り、攻撃してくる敵を風で払う。剣で切り裂きながら、同時に風で敵を切り裂く。
風は敵の血を流し、疾走する。それでも彼は身に纏った白い外套を汚すことなく。


56 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 16:48:04 ID:fDav8ETn
呪文はいつ発動させたのだろう、とシアナはぼんやりと思う。
ここに来てから呪文なんて唱えていただろうか――?
思い当たったのは先程の回復呪文。まさか、あの時同時に攻撃呪文も詠唱していたのだろうか。
詠唱の合間に、他の魔術の詠唱を挟み、同時に複数の術を詠唱する。
それがどのくらい至難であるか、魔術を本格的に学んだことのないシアナですら想像がつく。
剣に例えれば二つの太刀で同時に二人の人間を相手に戦うようなもの。同時詠唱はどんな魔術師であろうと努力で習得できるような代物ではない。
それは才能が必要だ。……魔に対しての圧倒的なスキルと、生まれ持っての天賦の才が。

その時、覚えた感情は、このリジュという人間が味方でよかったという安心感と――
それとは裏腹に、心の奥で何かが震えるような……そう、最も近い言葉で言えばそれは戦慄、だった。

リジュは風と追走し、ノクトと打ち合っているエレの横に着地する。

「さて……どうしましょうか」

リジュの場違いな台詞に、エレは剣を受けながら答えた。

「手出しはするな。お前はそこで黙って見ているがいい」
「そうは言われましてもね、味方も限界が近いですし、さっさと終わらせたいんですよ。これ以上長期戦になると厳しいですし」
「ふ、ならばどうする? 俺を巻き添えにして得意の風でも起こしてみるか」
「――それもいいかもしれませんね」
「…………」
「ふふ、冗談です」


57 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 16:50:06 ID:fDav8ETn
エレは鼻を鳴らす。
――フン、食えない男だ。何を考えているか読めないから余計始末に悪い。
後方に跳んで、エレはノクトと距離を取る。

「どうですか、ここはひとつ、共闘でもしてみませんか」
「ふざけるな。誰が貴様などと――」
「僕は別にいいですよ。戦いが長引いても。負けたとしても最後まで生き残れる自信がありますから」

でも、とリジュは声を低くした。

「シアナさん、このままだと死んじゃうんじゃないですか? 貴方としてはそれは避けたいですよね。
彼女と戦うのが貴方の望みなんでしょう?……だったら、さっさと僕の提案を受け入れた方がいいと思いますよ」
「……お前……」

エレが苛立ちをこめてリジュを睨みつける。
リジュは気にする様子なく、そよ風のような表情を湛えたまま。

「目的の為ならば瀕死の仲間さえ駆け引きに利用するか。……その貪欲さは悪くない」
「お褒めに預かり光栄です」
「調子に乗るな。死ね。……行くぞ」

二人の騎士が、ノクトに肉薄した。


58 :創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 17:25:37 ID:A/2jQIOo
吸血鬼は血を吸って「変貌」する所が受けるんじゃね?

59 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 18:19:46 ID:fDav8ETn
「Ανεμο? χορον」
一陣の風が猛りをあげてノクトへ迫る。
風を追いノクトへ突っ込んでいくエレ。
意図したものか、はたまた偶然の御技か。烈風とエレの太刀が重なり、ノクトへ降り注ぐ。
「……はっ!!」
風と剣と。二つの刃が絡み合い、一撃となって――ノクトを狙う!!
肩からばっさりと引き裂かれ、ノクトは僅かに顔をしかめた。

「……一人では無謀と、二人で突進してきたか」
「卑怯だと哂いますか? 今更手段を選んでる暇はありませんから。全力で叩き潰します」
「ふっ、いや、いい決断だ。しかし一歩遅かったな……」
「何」

上空を見上げるノクト。リジュも煽られるようにして空に視点を移す。
禍々しい影が上空を埋め尽くす。そこに、南方から飛来する影の一群が見えた。

「あれは……増援!!」

これ以上、尚戦力を増やそうというのか。
数で押されているのに、これ以上敵が増えたならば――敗北は必至。
リジュの顔に初めて焦りの色が浮かぶ。ノクトは舞い降りた龍騎兵へ駆け寄り、龍の背に騎乗する。


60 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 18:21:11 ID:fDav8ETn
「左様。一網打尽にされぬよう味方の部隊を分けるのは定石だろう? 騎士よ」
「待て。貴様は俺が相手になる」
「残念だが諸君と遊んでいる暇はない。ではな」

ノクトはとエレの手をかわして空へと飛んでいった。
空を仰いで目に見えるのは、まさしく絶望だった。黒い龍騎兵で満たされた空は暗く、騎士達の心に不安と阻喪を増していく。
何千という兵がフレンズベルを落とそうと縦横無尽に天空を闊歩する。
地上を進軍してくる兵の数も増していた。

「……何かいい策は考え付きましたか?」
「さあな」

味方の騎士隊は押されている。戦力差が違いすぎて手も足も出ないでいる。
倒しても倒しても敵が沸いてくるのだ。これでは埒が明かない。

――早く、終わらせてしまうか。

気だるげにエレは歩き出す。
そして、力を解放した。
しかし刻印の力は先程、合間見えたノクトによって封じられている。


61 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 18:22:36 ID:fDav8ETn
エレは歯軋りしながら意識を集中させる。
頬を燃えるような痛みが走り、内側で猛り狂っている。
これは刻印を封じられた作用なのか、それとも刻印自体の持つ痛みなのか――どちらにせよ、やるべきことは変わらない。
ただ死を刻み殺す。無へと引きずり込んで、敵を破滅させる。
「……ちいっ……」
この力は、刻印は自分のものだ。ほかの誰でもなく、自分の力。
外部から封じられて力を押さえ込まれるなどあってはならない。
生まれた瞬間から、この刻印と共にあった。この力は――悪魔の目は、我が身も同然。
この力で屠り、嬲り、穿ち、敵を殺す。

それが破滅をもたらすものだったとしても。自分は死ぬまでこの刻印を使い続ける。

「お前は……俺の力だろう、俺の命に従わぬのなら去れ……でなければ」

痛みがこの身を食らおうというならばくれてやる。贄に我を捧げよう。
さすれば力は我が身、即ち自身である。エレは高らかに声をあげた。

「刻印よ、力を貸せ!!」


62 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 18:23:21 ID:fDav8ETn
兵も、騎士も。何が起こったのか分からなかったに違いあるまい。
爆発のような光が放射した後、黒い斑点がエレを中心として放たれ、飛散した。
黒に飲み込まれた者は有無を言わさず消失していく。
それは――死の顕現だった。
悲鳴すらあげることを許されない消滅。

あれほど多く空を埋め尽くしていた敵兵は次々と悪魔の目の刻印の前に敗れ去り、虚無へと還る。

「これは……」
「……っ」

死の黴が世界を覆っていく。リジュもシアナも騎士隊の者全て言葉をなくし立ちすくんだ。
これほど絶対的な殺戮は未だかつて見たことがない。
ノクトの力すら――エレの絶対殺戮に殺されたのだ。止めるものなど存在しまい。

「……成る程」
その様子を観察していたノクトは、龍の向きを変え、残された兵に告げる。
「今日の所は一旦、退却する」


63 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 18:25:03 ID:fDav8ETn
兵がノクトの退却に続く。ゴルィニシチェ兵達は退いていった。
しんがりを務めた者達は、エレの力の犠牲になった。
兵が退いてもまだ力の解放が終わらないエレに、不穏を感じたシアナはよろよろと立ち上がる。
エレは虚ろな瞳で空を見上げている。濁った眼からは意識があるのかすら判別できない。

これは――……まさか、力が暴走している?

ノクトの刻印の力に抗い、力を解放しようとした結果、力は捻じ曲がった形で現れた。
エレの意識を侵し、奪い、溢れてなおやまない。刻印の力は、今や敵だけでな騎士達も飲み込もうと牙を剥いていた。
黒く霞む視界の向こうに、エレが見える。
遠くでシアナを呼ぶ声が聞こえた。

「シアナ、無事か!!」
「……!! 総長!!」

ズイマ総長が増援を連れて駆けつけたのだ。
敵兵が退いた今、その増援は無駄になってしまったが……心強いことに変わりはない。
騎馬隊がズイマ総長と共にシアナの前に並ぶ。


64 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/03(金) 18:34:35 ID:fDav8ETn
「これは一体……まさかエレの力か」
「はい、総長、どうすれば――」
総長は僅かの間、考えを巡らし口を開く。

「ああ……。よし、ここは私が行こう。シアナ、お前はここにいなさい。皆の者も黒い点に当たらぬように!!」
「総長、危険です!!」
「いや、いい。あれは私の息子のようなものだからな――私が面倒を見てやらねばなるまい」
「総長……」

初めて聞いたズイマの想いに、シアナは何も言えなくなった。
親が子供を守るのを止める理由が何処にあろう。その気持ちは痛いほどよく分かる。だからこそ――。
その背中を見つめるのが、不安でたまらないのだ。

また、目の前で誰かが消えてしまうのではないかと思うと、心が叫び立てる。

馬から飛び降りると、総長は黒い斑点が蠢く中、エレへと歩みだす。
一歩、一歩、着実に。シアナ達に背を向けて。
「全く……馬鹿な子ほど可愛いというが、限度があるぞ」

ようやくエレの元へとたどり着いたズイマは、手刀をエレの首元へ振り下ろした。
エレは崩れ落ちる。刻印の力が急速に収まっていく。世界が元の色へと戻っていく。
静寂を取り戻した戦地跡。何人もの騎士と兵が倒れ、死臭が風に乗る。そこは元通りになっても悲しい場所のままだった。


65 :創る名無しに見る名無し:2009/04/03(金) 22:20:05 ID:ubQ/Rp5X
設定厨ですが何か?

【ゼウス・ノヴァライトニング】
30分に及ぶ詠唱を必要とする大魔法。天から巨大な雷が降り注ぐ。
広い攻撃範囲を持ち発動すれば城砦を跡形もなく消し飛ばす事が可能。
しかし詠唱とともに攻撃範囲を魔法陣が囲むためバレバレであり、
術者を守る仲間がいて初めて実用的となる。

【ガルド・バロン】
『断崖絶壁』の異名を持つ屈強な大男。全ての身体能力において人間のレベルを超越している。
素手で戦う武闘派で、全ての体術をマスター済み。
決して縮まらないだろう絶望的な実力差は、まさに断崖絶壁である。

66 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 12:36:34 ID:9ROw7yq2
エレでさえリジュさんにビビってる件wwww
リジュさんが敵でなくて本当によかった・・・
刻印の能力的に、攻撃範囲の広いエレの刻印の暴走は厄介だな。



67 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:04:20 ID:VqVkJxbk
ちょっと面白い能力考えたwww

能力名:メリー
発動条件:相手に電話をかけて現在地を聞き出すこと
その時点で殺人少女メリーが出現。包丁片手にターゲットを殺しに向かう
メリーに触れることはできないので、助かるには能力者本体を叩かなければならない
相手の場所を把握している時のみ電話がかかり、現在地を伝える
メリーは能力者と視覚を共有しているため、メリーが見失っても能力者が見つければ再度追跡開始

ってのを昨日思いついたんだが今思うとそこまで面白いわけでもない
でもどうせだし書き込むことにした
後悔はしていない

68 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:23:15 ID:W1yTKLo6
要するにメリーさんは新手のスタンド使いの攻撃だ、と。
いや、まあ・・・ねえ?

69 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:44:27 ID:VqVkJxbk
やっぱスタンドっぽいよな
この能力を敵側でシミュレーションして脳内バトルとかさせても
ジョジョっぽいバトルにしかならない

70 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 23:52:18 ID:lyxOI7we
メリーさん強そうだなw
最近メリーさんスレ見ないが何処行ったんだろ……
だれか中二病設定でメリーさん小説書いてくれよw

71 :創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 00:13:29 ID:DOqur9hc
前スレは見れなくなっちゃったのね
前スレでリレー小説みたいな事してたが面白かったわ
あと、前スレ完結を書いた二人の小説もレベル高かったなぁ
どっちもされ竜の影響受けててワロタ
遅くなったけど、スレ立て乙

72 :創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 13:19:39 ID:0XDjREeW
夏みかん氏はリアルが忙しくなったのだろうか。

73 :創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 13:50:37 ID:lc6MAtxx
簡単なまとめみたいなの作ろうと思って1スレから読み返してみたけれど……
小ネタを一つずつまとめようとしたら数ががが

74 :創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 18:52:42 ID:YWXAm3kx
そういえば、以前リリカルなのはのエロパロにわざと痛く書いた話が何作か投下されてたな

75 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:10:53 ID:X29EtO/D
騎士隊は城へ帰還した。
先の戦闘で隊員の数も削られ、残された隊員達の磨耗も著しい。
未だかつてないほど疲弊したフレンズベル騎士隊に覇気はなく、皆一様に沈んでいた。
隊員の治療にひっきりなしに追われるリジュ。何か手伝えることはないかとシアナは聞いたが、その怪我では無理ですから
ゆっくり治療して下さいと念を押されてしまい、隊議にも顔を出すことなく部屋に帰ることにした。

私は……何も役に立てなかった。刻印がありながら――龍を殺せるのは私だけだったのに、力を封じられ旨い具合に翻弄された。

ノクトの表情が思い起こされる。冷徹な将軍。ファーガスを操り、私の力を暴いた張本人。
エレの刻印が予期せず発動したおかげで、ゴルィニシチェは退いてくれたが、いつまた攻め込んでこないとも限らない。
それに、エレの刻印は……敵だけでなく味方までも飲み込もうとしていた。総長が来るのがあと少し遅かったら、自分はおそらくここにはいない。

「馬鹿ね……」

浮かんでくるのは悔しさと後悔ばかりだ。
あの時こうしていたら、もしこうだったらなんて仮定は無意味だ。
だから、これからの事を考えなくてはいけないのに。


76 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:11:52 ID:X29EtO/D
部屋をノックする音がして、シアナは顔をあげた。

「はい、どちら様……あ」

扉を開いてそこに佇んでいたのは、刻印を研究している少女――シェスタだった。
髪をリボンで二つに束ねて、愛くるしいドレスに身を包んでいる。
見た目はまるっきりメルヘンの住人だ。シアナは一瞬呆けてしまった。

「お久しぶりですお姉さん」
「久しぶり。どうしてここに……?」
「ヘタレ……いえ、イザークさんに会って、お姉さんのお部屋教えてもらいました。刻印の事知らせる約束だったでしょう?」
「ああ……そうだったわね、ごめんなさい。ちょっと立て込んでて……」
「いえ気にしないで下さい。ゴルィニシチェと戦があったんですよね。戻ってきてくれただけで嬉しいです」
「……そう。それはどうも。じゃあ、入って。狭いけど」

シェスタを招き入れて、椅子を差し出す。
シェスタは柔らかく微笑むと、小さな体でようやく抱えきれそうな本を取り出して膝の上で広げた。

「お姉さんにこれからお話することは刻印の起源、発祥。それから刻印にまつわる話になります。
これは多分、お姉さんにとっては辛いことになるかもしれないけど……でも知っていて欲しかったから」
「うん……分かったわ。話して」
「はい」


77 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:13:15 ID:X29EtO/D
そしてシェスタは――刻印の話を始めた。
龍殺しにまつわる、呪いの話を。

「お姉さん、私が前に刻印は呪いだって言ったの覚えてますか」
「覚えてるわ」
「よかったです。じゃあ話が早いですね。ええと……刻印は呪いです。それは裏を返せば、呪いをかけた者がいるということになります。
ある対象の強い思念や憎悪、そういった<想い>が歪んだ形となって誰かに刻まれると、お姉さんのような刻印を持つ人が出てくるんです」
「……呪いをかけた者?」
「ええ。例えばお姉さんが誰かを殺そうとしたとしますよね。死ぬ瞬間、殺される人は思うはずです。死にたくない、と。
それも命に関わることですから強烈に……。強烈な思念は想いとなってその場に留まることがあります。
これが残留思念と呼ばれるものなのですが、この残留思念を人間が取り込んでしまうと……その人間は刻印の所有者となるのです」
「……でも」
「そう、刻印の所有者はほぼ、先天的です。後天的に所有する者の方が少ない。生まれる前に体に取り込むことは難しい。
……これは私のちょっとおかしな想像ですけど、刻印は体にではなく、魂に刻まれるんじゃないでしょうか」

シアナは無意識に刻印に触れていた。じわりと熱を帯びているような気がする。

「……龍殺しの刻印について徹底的に調べてみました。古代の文献をあたってようやく記述が見つかったのですが……。
刻印の始まりは、こう言われています」


78 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:14:03 ID:X29EtO/D
その昔、ある国に一人の騎士がいました。
騎士の住んでいる国には沢山の龍がいました。
騎士は森に住んでいる一匹の龍と友達になりました。

龍は賢く聡明で、沢山のことを騎士に教えました。
騎士も人間のことや、家族のこと、天気のこと、沢山のことを龍に話しました。
二人は友人と呼べるほどに、とても仲良くなりました。
ですが、龍はある時から騎士を遠ざけるようになります。

騎士は何故だと龍に聞きました。龍は言いました。
お前とは仲良くなりすぎた。これではいけないのだ。私の本能が徐々に目覚めている。
そして本能を完全に思い出してしまったとき、私はお前を殺してしまうだろう。
だからもうここに来てはいけない。人間は人間の住処がある。そこへ帰るのだ。
騎士は龍の言うとおり、自分の住むべき場所へ帰ることにしました。

それでも、毎日龍の元へ行きたくてたまりませんでした。
ある日、騎士に命令が下ります。それは凶暴化した龍の討伐でした。


79 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:15:07 ID:X29EtO/D
命令に従い、騎士は龍のいる場所へ向かいました。それは騎士と仲が良かった龍のいる森でした。
龍は、龍の本能に目覚めてしまったのです。沢山の人を食らい、それでもなお人間を食べようとしていました。
騎士は、龍に自分のことを気付かせようとしました。龍は騎士のことを忘れてしまったようで、
騎士がいくら叫んでも何も反応してくれません。龍は討伐に来た騎士達の沢山を殺しました。
騎士は悲しみました。もう目の前の龍は自分の知っている龍ではなかったのです。

龍は騎士に牙を剥き襲い掛かってきました。騎士はその時決意しました。自分がこの龍を殺そうと。

長い戦いの末に、ようやく騎士は、涙を流しながら、龍に最後の一撃を与えました。
龍は倒れて動かなくなりました。もう二度と、起き上がることはありませんでした。
それでも龍の魂だけはその場に残りました。それを壊すことが出来なかった騎士は、自分の中に魂を取り込んで、

これからずっと共に歩んでいこうと誓いました。誓いの証に自分の身体に剣で傷を刻みました。
それが自分の罪の証であると、騎士はそう思う事で、いつも龍のことを忘れないようにしました。
それから騎士は、自分のような思いをする者がいないように世界を巡り、何頭もの龍を殺しました。
殺すたびに身体に自分で印を刻みました。そして龍の魂を自分の中に取り込んでいきました。
全ての業を背中に背負い、自分が悪となることで、誰も苦しむものがいないように。


80 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:15:52 ID:X29EtO/D
それを何度も繰り返すうちに、男は人間をとっくに超えて、違うものになってしまいました。
自分に刻んだ印はいつしか<龍殺し>という力を持ち、自分が剣を使えば龍は必ず死ぬことに気付きました。
死んだ龍の魂は男の中へ入っていくのです。そうして男が数え切れないくらいの龍を殺したとき、
龍の魂は男の中ではちきれんばかりに膨れ上がりました。

刻印は、龍の魂で満たされた男を「龍」と勘違いし、暴走しました。刻印自身が男を殺そうと力を爆発させたのです。
男は死の間際、自分が殺してきた龍の幻を見ました。その中にかつて友となった龍もいました。
龍は悲しそうに涙を流していました。それを見た騎士は、これからも罪を贖い続けることを誓いました。

そうして男の魂は、死して転生を繰り返してなお、刻印を刻み、自分の魂を龍に食われる事で贖いを続けているのです。


81 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:16:53 ID:X29EtO/D
「……これが龍殺しの発祥の物語です。これが果たして本当にあったことなのかは分かりません。もしかしたらただの伝説なのかもしれないですし、
何かを遠まわしに表現した比喩もしくは暗号なのかもしれません……でも」

シェスタは本を閉じ、シアナを見た。

「刻印の起源は皆、陰惨だったり忌まわしい罪の起源から始まっています。刻印が、罪の記憶だとするのならば……
私は思うんです。人間に刻まれることによっていつか……刻印自体が許される日を待っているんじゃないかって。
だから刻印を持って生まれてくる人がいるんじゃないかって……罪を背負わされた人は罪を贖うことが出来なかったから」
「……勝手な話ね」
「……そうですね。だってお姉さんには何の罪もない。生まれてくる人間には何の罪もないんですから」

シアナはシェスタの話に、ちょっと待ってと口をはさんだ。

「ごめん、言い忘れてたけど私先天的に刻印を持っていたわけじゃないの」
「えっ? じゃあ……後天的に刻印を開花させたんですか」

シアナの顔が曇る。おぞましい記憶が甦る。紅蓮の炎と燃える町。
悲しみに彩られた幼い日の事が。

「いいえ……この力は……元々私のものじゃなかった。この力は……この龍殺しの力はね……父から受け継いだの」
「お父様から……?」
「ええ。父は普段絶対にこの力を使わなかった。でも……とうとう使わないといけない時が来て……」


82 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:19:13 ID:X29EtO/D
――シアナ、ここで待ってるんだよ。大丈夫だから。

「自分が使えば私が危ないと分かっていたから……この力を私に託して……」

語尾が震える。無理に続けようとすると、シェスタは「いいですよ、無理に話さなくて」とシアナに優しく微笑みかけた。

「次に効能ですが、これはお姉さんが一番よく分かっていると思います。
刻印を発動させるということは罪を思い出すということ。刻印の起源に近づいて魂から能力を引っ張り出すということです。
龍殺しの効能は……分かりますよね。龍に対して絶対的な優勢を持つ代わりに、所有者は龍に絶えず狙われる宿命を負うことになる。
それも、能力を使えば使うほどどちらの力……呪いも増していくんです。それは呪いが、起源に近づいていっているから……。
魂から、能力を思い出して引っ張れば引っ張るほどに呪いの効力は強くなります。
そして代償ですが……このままお姉さんが刻印を使い続ければ」

今度はシェスタの言葉が震える番だった。気丈な素振りをして、淡々と説明していく最中に、ふと掠れる。


83 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:20:14 ID:X29EtO/D
「ごめんなさい。お姉さん、シェスタ、一杯探したんです。でも分からなかった。それを防ぐ方法が分からなかったんです」
「……どう、なるの……」
「……過去の、事例でいくつか龍殺しの所有者の記録がありました。
刻印を使い龍を殺すと、刻印に龍の魂が吸い取られるそうです。吸い取った魂の数は刻印に刻まれる。……そして」

シアナは先程聞いた、龍殺しの起源の話を思い出す。
あの男は。あの男は最後どうなった。

「あまりに龍の魂が入り込むと……所有者の刻印は、所有者を龍と誤認し、所有者を殺そうと暴走します――お姉さんはこのままだと……死にます」


84 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 21:28:27 ID:X29EtO/D
>>66
うん本当によかった。
リジュは実力より性格が鬼畜という点では騎士隊の中で
最高峰だと思ってます

>>72
帰ってきましたぞ〜
今日からまた以前と同じようなペースで連投できると思います
ご心配おかけしました

85 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 22:27:21 ID:X29EtO/D
死ぬ。
シェスタの言葉が遠くで聞こえる。
痛みを増していく刻印、使う度に強くなっていく刻印の能力、呪い。
あれは全て、呪いが魂から私を侵食していっていることの証だった。

……そうか、そういうことだったのか。
何ひとつ知らず使っていた私が、愚かだったんだ。

「お姉さん……ごめんなさい」
「いいえ。シェスタが謝ることじゃないわ……聞かせてくれてありがとう」
「お姉さん……」
「ようするに、もう刻印を使わなければいいのよね」
「ええ……でも」

シェスタの言いたいことは分かっている。
この刻印を持つ限り、龍に狙われ続けるのならば、刻印を使わないわけにはいかない。
だから私はいずれ死ぬ。
魂に刻まれた罪が、罰として贖うことの出来なかった私を殺すのだ。
シアナは静かに目を閉じた。


86 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 22:28:15 ID:X29EtO/D
「刻印を取り除くことは出来ないの?」
「……やったことがありませんから分かりません。ですが例えば刻印の刻まれている部位を切り落としたとしても……おそらく刻印は消えないと思います」
「身体じゃなくて、魂に刻印が刻まれているから?」
「ええ……魂に刻まれたものを外部から剥離させるのは不可能です。無理にやったとすれば……良くて廃人になるか」

その先は言われずとも予想が着いた。
悪くて――死ぬのだろう。
シェスタの言葉から知るに、刻印は魂の一部のようなもの。それを剥ぎ取っておいて無事でいられるはずがない。

「大丈夫よ。どうにか刻印を使わなくて済む方法を探すわ」

シアナはシェスタを安心させるように力強く頷いて見せたけれど――分かっていた。
生き残るためには、刻印の力を使い続けるしか道はないのだと。
そして刻印に頼り続ければ、死へ近づいていくことも。

シェスタは赤くなった鼻をこすり、「はい」と答えた。
シアナの決意を知っているかのように。


87 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 22:29:46 ID:X29EtO/D
「あともうひとつ、お兄さんの……エレさんの刻印の話もしておきますね。こっちも大切な話だから……出来れば本人に直接言いたかったんですけど」
「ああ、エレは今……多分休んでるはずだからそっとしておいてあげて」
「はい。じゃあお姉さんに伝えますね――お兄さんに伝えてください。あ、でも……もしお兄さんがどうしても知りたくないと言うなら」
「分かってる。知らせないわ。私だけの胸の内に留めておく」
「わかりました。では……」

そこから始まる話は、シアナの刻印の起源と繋がりのある話だった。
全てを聞き終え、シェスタから悪魔の刻印の起源、そして効力を聞いたシアナは、
悲しみに満ちた顔で押し黙り、固く手を握り締めるしかなかった。
シェスタがシアナの部屋を後にして、随分経っても、シアナはそうしてぼんやりと虚空を見上げていた。

シェスタの話は衝撃的で、重苦しい未来を想像させるものだった。

何日か眠れない夜が続いた。日は過ぎて、隊内にもようやく落ち着きが戻ってきた頃、
エレも起き上がれるようになった。そんな時、部屋にイザークが尋ねてきた。


88 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 22:30:58 ID:X29EtO/D
「隊長!! どうですか怪我の具合は」
「だから隊長じゃないって言ってるでしょ」
「で、でも僕にとっては隊長は隊長ですから」
「意味わかんない」
「あはは。いいですよ分からなくて」

コツコツと歩くたびに木の音がする。シアナは松葉杖を付いていた。
龍に負わされた怪我は相当重傷だったらしく、本来なら神経をやられていてもおかしくない怪我だった。
リジュにすぐ回復してもらったおかげで幸いにも何ヶ月か大人しくしていれば治る範囲だったので
安堵したが、剣の稽古が出来ないのが何より痛い。それにまたゴルィニシチェが攻めてくるかもしれないという緊迫した状態の中で
戦場に出られないというのはあまりに重いハンデだ。

「大丈夫よ、今日は痛みもないし落ち着いてるから」
「そうですか? ならいいんですけど……あ。そうだ。城下町でお祭りがやるみたいなんですよ。
シアナ隊長さえ良ければ行ってみませんか」
「お祭り?」

ああそうだ、もうそんな時期か。
フレンズベル国の城下町アイシェでは秋頃に行われる蛍祭という祭がある。
夕刻から夜半にかけて、町を流れている川に行き紙で出来た小船を流すというシンプルな祭りなのだが、ちょうど活動時期を迎えた蛍が
沢山飛んでいるのが見られるのだ。そこからついた名前らしい。
月と蛍が夜空を彩る様は、幻想的で、シアナはこの祭りが気に入っていた。
夜には屋台も並んで、国のちょっとした風物詩である。


89 :創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 23:05:11 ID:qBd2E54n
>>73
数が多すぎたよね^^;
上の方でまとめてみたが、少なくて後悔してる
誰かまとめなおしてくれる人頑張ってくださいっ!

さ〜てと、ネットが使いづらくなるから思い出のあるこのスレともお別れか
2の途中からだけど、ほんと出会えてよかった
みんなが健康で楽しく頭の中が文学≠オてること(「文学少女」より抜粋)を願ってるよ
それじゃ〜ね〜^^ノシ

90 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 23:23:00 ID:X29EtO/D
「でもこんな時に……」

ゴルィニシチェの事を考えると遊んでてよいものかと思う。
イザークは渋るシアナに追撃してみせた。

「こんな時だからですよ。行きましょう、隊長。最近ずっと暗い顔してるから。ぱーっと遊んで気分転換しましょうよ」

イザークがあまり熱心に誘うので、とうとうシアナが折れた。

「……そうね、まあ、たまにはいいかな」
「よしっ!! 決まりですね!! ええとじゃあ、七時に城門の所で待ってますから!!」
「了解」

イザークは嬉しそうにシアナの部屋を出て行く。
何がそんなに嬉しいんだか、とシアナは首をかしげた。

ああ、そうだ。
そういえばエレは今どうしているだろうか。
シェスタに聞いた話を伝えなければいけない。
憎たらしい顔を思い出す。以前はエレの事を考えるだけで頭痛がしたが――今彼に感じるのは、別種の感情だった。
暗くて、重い、悼むような何か。
同病者に向ける同情なのか、憐憫なのか、友情なのか――どれでもない気がする。
寄宿舎を探したがエレの姿はなかった。


91 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 23:24:34 ID:X29EtO/D
「何処に行ったんだろ……あいつ」

隊員に聞いてみたところ、寄宿舎から出て行った所を目撃したらしい。
祭りに行くという柄でもないだろうし、どうしたものか。
シアナは約束した時間が迫っていることに気付くと、エレを探すのを諦め寄宿舎を出て待ち合わせ場所へ向かった。
先に待っていたイザークがシアナに気付いて手を振る。

「隊長!! こんばんは、お久しぶりです」
「久しぶりってあのね……さっき会ったばっかりじゃない」
「ええ、でもここで何時間も待ってたんで」
「…………」
「隊長? どうかされましたか」
「アンタって……いやなんでもないわ。行くわよ」

シアナはさっさと松葉杖片手に歩き出す。
イザークは慌ててシアナを追った。
城下町は祭ということもあり盛大に賑わっていた。
露天と屋台が軒を連ねており、行き交う人は皆祭りの雰囲気に酔いしれ楽しんでいる。
シアナとイザークは並ぶ屋台を眺めながら歩いていた。


92 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 23:25:20 ID:X29EtO/D
「人が多いわね」
「そうですね、はぐれないようにして下さい。迷子になったら探すの大変ですから」
「……それ私より自分に言い聞かせた方がいいんじゃない」
「あはは、やっぱり? ですよね〜」
「迷子になったら置いて帰るから」
「ええ!? 酷いですよ隊長!! 探してください!! 僕も探しますから」
「嫌よ面倒臭い」
「隊長〜っ!!」

そんな会話を交わしながらも、シアナは祭を楽しんでいた。
こういうのも悪くないか、と思う。
人の流れに乗って、川へ続く道を行く。
その最中、逆方向から知り合いが歩いてきた。

「ビイシュ隊長」

ビィシュ・フォンクルーレだった。珍しく普段着だが、身に纏った威圧感とカリスマ性は健在だった。
雑踏の中でも一際目立つのは彼の雰囲気のせいだろう。イザークが畏まり敬礼する。
ビイシュは、「ああ、今はいい」とそれを制した。


93 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 23:26:18 ID:X29EtO/D
シアナは何処となく気まずさを感じて、小さく頭を下げた。
前に言われたことが心に引っかかっていたのかもしれない。
期待を裏切ったという罪悪感も手伝って、上手くビイシュの顔を見れなかった。


「……シアナ」
「何」
「前は辛辣な言葉を浴びせてすまなかった」
「いえ、あれは私が悪いから……いいのよ」
「遺憾な行為とはいえ、君にも何か事情があったんだろう。それを汲み取れず責めたのは私の落ち度だ。
許されるとは思ってないが……せめて謝りたかった」

シアナはビイシュの謝罪を意外に感じた。自分の言葉には絶対なまでの自信があり、
言ったことを取り消したりはしない人物だと思っていた。
それが、今、崩されていく。目の前の騎士は素直に自分の否を認めて頭を下げている。

「私、貴方を誤解してたみたい」
「ほう? どのようにだ」
「こんな風に謝ったりしない人だって思ってたわ」
「……私も人間だからな。間違いを犯すことくらい、あるさ」
「そうね……」


94 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/05(日) 23:40:36 ID:X29EtO/D
ビイシュは今まで見せたことのない穏やかな表情になって言った。

「だが一番重要なのは、間違いを認識して正そうとする事だ。
人は間違うかもしれないが、それを取り返すことも出来るのだからな。
ゴルィニシチェ軍との戦いでの奮迅ぶり、見事だったと聞いている。
国を守るために――君は……必死だったんだな」
「え?」
「前も、何かを守ろうとしたんだろう? 私も昔は君のように短気だったからな。よく分かる」
「……」

とてもそうは思えない。
シアナが言いたいことを悟ったのか、ビイジュは口を開いて破顔した。

「守る者の為に戦えるのなら、まだ騎士としての心は死んではいないだろう。これからの君にも期待する」


ビイシュは、最後にそれだけ言い残すと、そのまま人波の中へ姿を消した。


95 :創る名無しに見る名無し:2009/04/05(日) 23:42:39 ID:cv7x70zR
しえん

96 :創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 00:24:37 ID:XnhN6/UE
投下された作品に触発されてちょっと書いてみてるが組織名とか二つ名がなかなか思いつかないな

97 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 00:41:01 ID:kj19Ob8s
「ビィシュ隊長、あんな顔も出来るんですね」
「そうね、驚いた。てっきり鉄仮面だと思ってたわ」
「……シアナ隊長、それ失礼ですよ」
「ふふ、そうね。行きましょうか」
「あ」
イザークは目を瞠り、シアナを見つめた。

「何」
「いや、久しぶりに隊長が笑う所見たなあって……」
「普段は鉄仮面で悪かったわね」
「いやっ!! そういうことじゃなくて……ああもう」
イザークはぶつぶつ何か呟いていたが、「駄目だなあ俺」と言う言葉だけがシアナの耳にはっきり聞こえた。
別に今更だから気にしなくていいのにとシアナが思ったと知ったら、イザークは余計凹むだろう。
屋台の店主が話しかけてくる。

「おやシアナ隊長じゃないですか、どうです? うちの焼き鳥食べていきませんか」
「そうね。一本ずつもらおうかしら」
「よしきた。はい、隊長にはサービスしちゃうよ、そこのお兄さんの分もね」
「どうも。はいお金」
「毎度ありー」


98 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 00:41:45 ID:kj19Ob8s
シアナは受け取った焼き鳥をイザークに渡す。
「はい」
「あ、ありがとうございます」
「もぐ……うん、美味しいわね」
「んぐんぐ……はい、美味いです」
「……もぐもぐ」
「……ご馳走様でした」
「もぐもぐ……どういたしまして」

焼き鳥を食べながら、二人は進む。

「みんな楽しそうね」
「……そうですね」

戦いがあったとしても、まだ民はこんなにも元気だ。
この明るさを守るために……戦わなければ。これからも。

川の近くまで行くと、既に船を流してきたのだろう、リジュがいた。


99 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 00:42:45 ID:kj19Ob8s
「リジュ」
「ああ、シアナさん、それにイザークくん」
「こんばんはリジュ隊長」
「こんばんは。これから流すんですか」
「ええ。リジュはもう流したの?」
「はい」

流れる小川に目を向ける。蛍火が薄闇の中揺らめいて、舞い踊る。
月は朧げに光を放ち、下流へ漕ぎ出す船を照らす。
人気はあまりなく、静かだった。

リジュはシアナとイザークに、小船を作るための紙を手渡した。

「この間の戦いで、結構僕の部隊の隊員も亡くなりまして。……彼らの魂の平穏を願っていました」
「……そう」

祭の起源は遠い昔。元は死者を弔う為に始められたものだ。
船に灯りを乗せて、大海へと流し、亡くなった人の魂を鎮めるのが本来の意味だという。
戦いの後に行われる祭としてこれ以上ふさわしいものはなかった。
シアナの部隊も何人か死傷者が出ている。戦場では人の命があっさり奪われる。その覚悟は騎士である以上できている。
しかし、それを差し引いても、その現実が痛ましいものであることもまた事実だ。


100 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 00:45:32 ID:kj19Ob8s
人の死はいつも身近にある。明日は自分が死ぬかもしれない。だからこそ――。

「……私も、祈るわ」
「ええ。ありがとうございます。きっと彼らも喜びますよ」

イザークは小船を作るために、シアナから紙を受け取って折り始めた。
手の不自由なシアナの為に、二つ分。
船を流してその様子を川沿いから座ったまま眺める。
ゆらゆらと漂う蛍が、空に昇っていく亡くなった者達の魂のように思えた。

「綺麗ね」
「ええ、そうですね……」

二人が沈黙していると、リジュがそうだ、と思い出したように質問を投げかけた。

「そういえばお二人は今日はどうしてここに? デートですか?」
「デッデデ!! デートですか!!」

イザークが過敏に反応する。シアナは気だるげに、言葉を返した。
「違うわよ。変な事言わないで」
「…………」
「ああ、そうなんですか、ふふっ、あらら、落ち込んじゃってますよイザークくん」
「どうしたのイザーク。からかわれたくらいで落ち込まないで元気出しなさい」
「いや、いいんです、いいんですよ僕はどうせそういう扱いなんですから」


101 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 00:46:44 ID:kj19Ob8s
イザークは地面に何かくねくねした字を描いている。
シアナはため息を吐いた。

「全くアンタって、とことん意味分からないわね……」
「……うう」
「シアナさん、イザークくん苛めるのもそこまでにしてあげてください。見てるこっちが胸が痛みますよ」
「はいはい。よく分からないけどここまでにしとくわ、ってあれ――」

遠くに、エレの姿が見えた。川沿いの端、人が屯う波の中、ぽつりと。
シアナは反射的に腰をあげて、歩き出す。

「隊長?」
「ごめん、用が出来たの。すぐ戻るわ。そこで待ってて」
「えっ……ちょっと、待ってください、隊長……!!」

怪我をしているとは思えない速度でシアナはエレを追った。
その背中を見送りながら、イザークはやれやれと腰を下ろす。
「はあ……」


102 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 00:47:25 ID:kj19Ob8s
イザークの苦悩を知ってか知らずか、リジュは意味ありげな視線を投げてよこした。

「大変ですねえ」
「わかりますか……」
「ええ、なんとなく」
「リジュさんも分かるのに何で隊長は分かってくれないんですかね」
「人生とはそういうものです」
「辛いです」
「ふふ、そうでしょうね」
「あの、なんか楽しんでませんか?」
「僕、人が苦しむのを見るの大好きなんです、秘密ですけど」
「……」


103 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 01:37:35 ID:kj19Ob8s
シアナは駆けていた。怪我のことなどお構いなしで疾走した。
急がないと、エレを見失ってしまいそうだったからだ。

もしかして見間違いだっただろうか? いや、確かにあれはエレだった。

川岸の一番端までたどり着いたシアナは、そこに佇むエレを視界に認めて、息を吐いた。
良かった。本人だった。

「エレ、探したわよ。寄宿舎にもいないんだもの。こんな所にいたのね」

エレは夜の風に髪をなびかせ、遠くを見ている。
退廃的な雰囲気がいつにも増して濃いと思うのは、蛍と月と、流れる小船と。この幻惑的な風情のせいだからだろうか。

「貴様か……俺に何用だ」
「えっと……」

一目散に走ってきたものの、何と切り出せばよいのだろう。
シェスタに聞いた刻印の事を告げるには、気が咎める。あまりにも――あの話は残酷だったから。
それでも引き受けた以上、言わないわけにはいかない。
シアナがおずおずと口を開こうとすると、エレは皮肉じみた嘲笑を浮かべた。


104 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 01:40:06 ID:kj19Ob8s
「ふん、当ててやろうか。どうせ……刻印のことだろう」
「……!!」
「名答か。分かりやすい奴だ。貴様が俺に用と言ったらそれくらいしか思いつかん」
「ええ、当たりよ。……あんたの刻印の話。いい話じゃないから一応聞いておくけど、聞きたい?」
「御託はいい。さっさと話せ」
「……分かったわ、これから話す話がどんな事でも後悔しないでね」

シアナは腰を下ろすと、エレと同じ方向に目を向ける。
水面に二人の姿が映り揺らめいていた。

シェスタに聞いた話が鮮明に思い起こされる。
出来れば覚えていたくなかった。それほどまでに、あの話は。
あの時シェスタは、シアナに悪魔の刻印の起源の物語を告げた。


105 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 01:41:30 ID:kj19Ob8s
『悪魔とは異国の言葉で龍のことです。
昔、龍殺しの刻印を持つ騎士がいました。その騎士にやられた龍がおりました。
龍は死にそうな身体でなんとか這い蹲り、騎士の手から逃れました。
そして暗い洞窟の中で、まれにやってくる人間を喰らいなんとか生き延びていました。
そこに人間の娘がやってきました。龍は自分を怖がらない娘を新鮮に思いました。
最初は、娘も食べてしまうつもりでいたのですが、話をしているうちに、親しみを覚えてしまい、
娘に手を出せなくなってしまったのです。

……ですが龍は龍。人間を目の前にして、平静でいられるはずもありません。
段々と龍の本能が目覚めていき、龍は娘を食べてしまいました。
龍は泣きながら、娘を食べている自分に吐き気がしました。
娘は食われながら龍に呪いをかけました。
それは、呪われたものが誰かを殺せば殺すほど自分の命を削っていくという呪いでした。
魂に永遠に安息はなく、安らぎも慈しみも与えられず、何者に生まれ変わろうが蝕まれる呪い。
龍は転生し人になりました。しかしその身体には呪いが刻まれていました。
人間から龍へ転生した為、呪いも妙な形で捻じ曲がってしまい、龍の時の力と呪いがごちゃごちゃになっていました。
龍の力は死を与える力。そして呪いは殺せば殺すほど、身体を死が蝕むというもの。

それは自分にとって最も大切な人を殺してしまった罪業の印でした』


106 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 01:42:41 ID:kj19Ob8s
シェスタは悲しげな瞳で、シアナに言うのだった。隠すことなく真実を。

『お姉さん、悪魔の刻印の効能は……全ての刻印の中で最も強烈です。
それは抗うことを決して許すことがない絶対性から、無二といってもいいくらい……。
対象を必ず殺す。それが悪魔の刻印の呪いにして力です。

これを持った所有者は……徐々に死に脅かされ、例え刻印を使わなくとも、いずれ死にます』

咽喉が詰まる。そんな残酷なことを告げろというのか。
例え反発してもエレは――仲間だ。
騎士隊の仲間なのに。共に戦ったその相手に、お前は長くないと告げろと言うのか。
シアナは起源を話す途中で、その先が続けられなくなった。

「何故黙る……話せよ」
「だって」
「お前が話すと言ったんだろう。あの言葉は偽りか」

だって、あんたは死ぬのよ。どう足掻いたって無理だってシェスタが言ってたのよ。それをどうして本人に伝えれるのよ!!
シアナは肩を震わせて、顔を膝に埋めた。


107 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 01:44:38 ID:kj19Ob8s
私には出来ない。口に出せばきっとエレを傷つける。高慢だろうが、悪魔の騎士だろうがひねくれてようがエレだって人間なんだから。

「……っ」
「……ふん、女々しい奴だな」
「うるさい」
「お前に言われずとも、大体予想は着いている。……俺は、死ぬんだろう」
「……!! なんで……」

顔をあげてエレを見るシアナ。
エレは、笑っていた。多分、強がりでもなく、虚勢でもなく本心から。

「これまで何年この刻印と付き合ってきたと思っている。この刻印を使う度に俺の身体が蝕まれ冒されていくことくらい、とうに知っていた」
「じゃあ何で……」

あんたはそんな風に平気そうに笑うのよ。
死んじゃうかもしれない、いずれ……あんたは、死ぬのに。死んでしまうのに。
刻印を持って生まれたからってだけで……刻印に死を強制される。
そんな運命って……ない。
その理不尽さに、シアナは憤り、涙した。


108 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 01:46:26 ID:kj19Ob8s
「何でだと? 仕方あるまい。今更この刻印を棄てるなど出来るはずがないのだからな……それに、俺は……死を感じるのは嫌いじゃない」
「どうしてよ!!」
「死を感じれば相対的に……生きてると実感できるからだ」
「……」
「だから、愉しい……ああ、愉快だ。お前と切り結んでいる時も、刻印を使うときもな」

エレにもまだ告げていないことがある。

『お姉さん、ここからが重要な話です。よく聞いてください。
最悪、もし悪魔の刻印の力が、暴走してしまったら……所有者は……』



魂を冒され完全な龍へと変わる。――悪魔という名を持つ、神へ変わる。
そんなことは絶対に起こさせない。もし次に刻印が暴走したら、私が止める。
風が頬を伝う雫を乾かしたら、この事実をエレに伝えよう。
もうあんな暴走は起こしてはいけないのだから。

シアナは、そう誓った。


109 :創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 02:37:05 ID:S7bBiD2Y
>>96
組織名をここで募集するっていう手もある

例えば俺の黒歴史ノートには「バチルス」っていう組織が警察の暗部に対してクーデターを起こし、
そこに実験体で、薬を飲むと全ての感覚が研ぎ澄まされ、全ての情報が高速化し脳に伝わり、
目には見えないほど速く動ける主人公がなんか特別な銃を持ってて、その銃は世界で三個しかなくて、
うち一つは主人公の手にあり、もう一つは過去で破壊されて、最後の一つがライバルの手にあり、
まぁ、その銃同士が撃ち合って破壊するしかないっていう黒歴史をここまで書いてあまりの羞恥心に
鼻血をだしたところで俺の冥福を祈ろう。

心の病と書いて中二病。
それは遠い昔のお話だったのさ。

                                おわり

110 :創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 11:15:47 ID:kig8hbyP
>>109
辞書で適当に引いて目についたやつを使っちゃうのが中二病だよね〜
なんかもうね、小説書くには色んな知識をおぼえないと書けないから疲れたorz

111 :創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 13:36:08 ID:Wbv6qy6h
シェスタ待ってた!
俺設定厨なとこあるんで、刻印の裏の話とか読むの楽しいんだわ。
今までの伏線とかが分かって面白かった。

>「ええ!? 酷いですよ隊長!! 探してください!! 僕も探しますから」
ここワロタw
戦場では騎士だけど、素に戻ると天然だよなww
そして恋愛方面に鈍感な上司で大変だろうがガンガレw

112 :創る名無しに見る名無し:2009/04/06(月) 13:41:19 ID:Wbv6qy6h
>>96
このスレ参考にしてみるとか。
ほとんど人名だけど、組織名とかも募集してみたらいいのあるかもよ。

■■■ 名 前 M E M O ■■■
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1226300156/l50

113 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 19:45:18 ID:kj19Ob8s
>>96
そんな貴方に二つ名メーカー
http://pha22.net/name2/

ネットで探せば名前を自動で作ってくれる所とか結構あるよ〜

>>111
待っててくれた人が……!!サンクス!!
設定いいよね。自分も読むのも考えるのも好きだよ。
考えているうちにドツボにはまったりするけどw

昨日言い忘れたけど
しえんしてくれた人もありがとう!!

114 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 23:23:53 ID:kj19Ob8s
ぽつりぽつりと、説明を終えて。シアナは急に吹いてきた風にそっと髪を押さえた。
蛍燈が点々と瞬き、黄の残像を視界の中に残す。
冷たい夜風が船を遠くに流して運んでいく。耳に響くは川の音と、虫の歌声。
雲が月を覆い隠し、周囲は静かな闇夜に包まれる。

「もう、あの力は使わないで」

切々とした様子で、シアナはエレに懇願した。
使えば死への足取りを早め、暴走すれば龍へと変貌してしまう刻印。
使わないとしても、エレは死ぬとシェスタは言った。そんなものを――
エレはずっと使用し続けてきた。それが自分を殺すものだと分かっていて。
龍に変わると言った時でさえ、顔色ひとつ変えない悪魔の騎士。

「……龍に変わる、か」
「怖くないの」
「怖い? 何がだ」

……理解できない。
それでも、癪だけどこいつは仲間だから。


115 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 23:24:45 ID:kj19Ob8s
「それを使えば、あんただけじゃなくて皆も巻き込むことになるのよ。だから……もう使わないで」

答えは無かった。

ただ見上げたエレの赤い瞳はいつになく澄み、深い闇色を映し出しており、蠱惑を孕んでいるようで。
シアナは暫くそのままエレと向き合っていた。

月が雲から姿を現し、燦然とした光をあたりに散りばめ始めた頃、
エレはシアナに背を向けて、足早にその場を立ち去った。
シアナは来た道を引き返す。
先程イザークを置いてきた場所へ戻ってみると、リジュは既にいなくなっており、イザークだけがぽつんと突っ立っていた。

「ごめん、遅くなったわね」
「いえ……用事は終わりましたか?」
「ええ、終わったわ」
「そうですか。よかった。じゃあ、帰りましょうか」


116 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 23:26:19 ID:kj19Ob8s
随分待たせてしまったというのに、さっきと変わらない態度のイザークに申し訳ない気持ちが湧いてくる。

「……ごめん」
「やだなあ。謝らないでくださいよ、今日楽しかったですか?」
「そうね、悪くなかった」
「ならいいんです、僕も楽しかったですから」

イザークは満足そうに微笑んで、シアナの隣を歩き始めた。


――お姉さんは、このままだと死にます。
――これを持った所有者は……徐々に死に脅かされ、例え刻印を使わなくとも、いずれ死にます。

シェスタの告げた真実が耳に焼き付いて離れない。

「隊長、どうかしたんですか」
「え?」
「顔色よくないから……あ、もしかして怪我が痛むんですか?」
「……何でもないわ、平気よ」
「そう……ですか。帰ったらゆっくり休んでくださいね」

祭が終わろうとしている。
蛍がそれを惜しむかのように、ゆるりゆるりと、しめやかに飛んでいた。


117 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 23:28:08 ID:kj19Ob8s
それからしばらくは戦の後とは思えないほど平穏な日が続いた。
ゴルィニシチェの件もあり、緊張状態であることには変わりないが、敵が動く様子も今のところ見受けられなかった。
先の戦いで兵を消耗した為だろうと皆考えていた。相手が攻勢を建て直した頃が一番危険ということも。
その為騎士隊は警戒は怠らず、常に相手の出方に気を配っていた。


刻は夜半。
エレは自室にいた。
椅子に座して、何をするでもなく天井を睨みつける。

――怖くないの。

あの言葉は、エレに投げかけられたというよりむしろ、自分に問うているように見えた。

「……馬鹿が、怖がっているのは貴様の方だろう……」


118 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 23:29:19 ID:kj19Ob8s
頬に手を添えると、体温と共に刻印の鼓動が――伝わる。
顔という一番分かりやすい部位に刻まれた呪いの証。
本質は魂に刻まれた、怨嗟の記憶。
エレの刻印は昔から、痛みを与え続けてきた。
刻印を使う時だけではない常時であれ、それこそ絶えずと言っていいほどに、痛みを内側から放出してエレを苛み続けている。
昔は、その痛みごく軽いものだった。しかし時が経つにつれて症状も重くなり
今は、一箇所を刃で内部から削られているような不快感と痛みが永続している。
刻印が身体を冒し、範囲を広げていく様子すら、克明に感じ取れる。
魂が、肉体がじわじわと刻印に引きずり込まれていっている。
やむことのない痛みと、終わらない苦痛が生きる限りこの先も継続していくのだと、何よりエレが一番分かっていた。

だから――この世界はエレにとって地獄よりも酷い。


「ぐっ……う」

そして痛みは深さを増して、エレを侵食していく。
元々茶色だった瞳は日の経過、刻印の侵食と共に色を変え、血を思わせる深紅へ変貌した。
茶の髪も、漆黒の髪へと。とうの昔に、肉体は刻印へ引きずり込まれていたのだ。
今の姿はエレにとって、憎悪の対象でしかなかった。
これら全てが、刻印が顕現した証であり、忌まわしい力の表れ故に。


119 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/06(月) 23:30:05 ID:kj19Ob8s
「は……っ」

頬を押さえて、床に膝をつく。

ドクン、と鼓動が脈を打つ。

血ガ、欲シイ。
モット、モット、血ガ欲シイ。

枯渇した心臓を癒すように、甘い声が内側から響き渡る。
刻印の――悪魔の刻印の囁きだった。

人々ノ悲鳴ト、
     嘆キノ声ト、
        苦痛ニ滲ンデ吐キ出ス憎シミガ

――欲シイ。

欲シイ。欲シイ。欲シイ。欲シイ。
捧ゲヨ、捧ゲヨ、捧ゲヨ、捧ゲヨ。
贄ト生キ血ヲ我ニ奉ジ全テノ償ヲ
我ニコノ身ニ与エヨ煉獄ノ炎ガ汝ヲ滅ボス前ニ

目の前は赤に霞むみ思考が朦朧とする。
エレは腰に下げていた短刀で自らの皮膚を傷つけ暗い誘惑を払う。大きく息を吐いた。


120 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 00:58:43 ID:MWgsKLaZ
「……はっ……消えろ、二度と出てくるな」

この渇きは、お前のものじゃない。俺自身のものだ。
だからお前になどくれてやるものか。
この身体も、心も、全て俺以外に使わせてたまるか。

こうして刻印から湧き出る衝動が、エレを食らう。
抗っても抗っても決して終わらない悪夢のような責め苦。
この責め苦を振り払っても、根源から上ってくる欲求を封じることは出来ない。
殺したい、と、エレの中で刻印が叫び声をあげる。
ゆらりと立ち上がり、エレは部屋を出た。

廊下を出た所で、リジュと出くわした。

「……おや、どうしたんですか?」

エレの顔は青白くなっており、誰が見ても尋常でない雰囲気が感じ取れた。
心配したリジュの言葉を無視して、エレは歩いていく。

「……」


121 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 00:59:38 ID:MWgsKLaZ
痛みが、止まらない。
壁にもたれかかり、手を付いた。そこに声がかかる。

「……エレ」

シアナだった。
心配そうな表情でこちらを見上げている。

「ちょっと……大丈夫? 死にそうな顔してるわよ、リジュ呼ぼうか?」
「……うる、さい」
ぜぇ、とこみ上げてくる吐き気を懸命に抑えながらエレは言う。
「でも……」
「うるさい、いいと言っているだろう、俺に構うな」
「あんたね、そんな具合悪そうにして何言って――」

反射的にシアナを見た瞬間、白い喉が目に飛び込んできた。
刻印が、ずくりと我鳴る。瞼に焼きついた炎が揺らめく。

――痛ミガ止マラナイ。

自分のものでない思考が広がる。視界が真っ赤に染まった。
気が付くとシアナの首に両手を伸ばし、締め付けていた。
ぎりぎりと喉を圧迫すると、シアナはか細い声を出して苦しげに呻く。


122 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:00:33 ID:MWgsKLaZ
「ぐ……っ、が……な、にを…」

必死に手足をばたつかせ、逃れようとするシアナ。
エレは容赦なく力を込めていく。

「……うるさい……目障りだ」

目が、雰囲気が、いつものエレではない事にシアナはその時初めて気付いた。
エレはこんな形でシアナを殺そうとはしない。
殺そうとするならば、剣だ。
私もエレも対等な状態で、全力で打ち合った果てに私を殺すことを望むはずだ。
違う。目の前の人間はエレじゃない。これは……誰だ?
呼吸がままならない中、シアナはエレの顔を見た。――悪魔の刻印を。
刻印は黒く、赤く燃えていた。
頬を覆うように、広がっているそれは、シアナが今まで戦ってきたモノを思わせる――鱗。
ふいに首の拘束を解かれ、シアナは床に崩れ落ちた。


123 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:01:30 ID:MWgsKLaZ
「……はっ、はあ……」
「もう俺に構うな……次に声を掛けた時は、殺す」
「……っ」

刻印が、エレを支配しようとしているのか。
身体だけじゃなく心までも。
もしあの鱗が……エレの全身に広がったら、エレは一体どうなるんだろう。

――龍へと、変わる。

自分の想像に、背筋が震えた。
シェスタの言うことが現実になろうとしている。

どうしたら止められるんだろう。
シェスタは刻印を罪の記憶だといった。
だとしたら、その罪はどうやって償えばいいんだろう。
誰に許しを乞い、罪を贖えばいい。

「……エレ」


124 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:02:24 ID:MWgsKLaZ
悲しい。何もかもが悲しくてたまらない。
罪も。刻印の起源も。そして――私も。
死を感じた時が一番愉しいといった、あいつも。

立ち上がって、シアナは壁に背を預ける。

「どうすれば……いいのよ」

締められた首が、ずきずきと痛んだ。
部屋に帰ろうとした所で――鼻をくすぐる妙な臭いに気付く。

「……?」

丁度その時、警報を知らせる鐘が鳴り響いた。
「急襲だーーー!!龍が空から……!!」

急いでシアナは窓を開けて空を仰ぐ。
ぱちぱちと爆ぜる火の音。舞い上がる火の粉。
天空から舞い降りてきたのは一匹の紅蓮の龍だった。
口から火炎を撒き散らしては周囲を旋回する。


125 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:03:38 ID:MWgsKLaZ
「……龍」

私を狙ってきた野生の龍か。いやそれにしては粗暴さがなく妙に動きが整えられている。
寄宿舎だけを狙い撃ちしてきた点も気になる。
おそらくゴルィニシチェの支配に置かれた龍だろう。
……行かなくては。私が出て行けば龍は私を狙いに降りてくる。そこを仕留めれば――。
怪我が完治していない身で、シアナは廊下を走る。
火は寄宿舎をあっという間に取り囲んで、勢いを増していった。

「……っ」

柱が轟音をあげて、崩れ落ちてきた。シアナの行く手を塞ぐ。

炎。火。赤い。燃え盛る真っ赤な炎。
煙。熱い。悲鳴。叫び。何もかも焼き尽くす。それは、とても、紅い、炎。


126 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:04:58 ID:MWgsKLaZ
「あ……」

やめろ。思い出す。思い出したくないのに。
目の前の出来事と十年前の出来事が、ダブって投影される。
ここから走って逃げなくてはいけないのに、足が床にはりついたように動かない。
メキメキと天井から瓦礫が降り注いでくる。
シアナを飲みつくそうと、天井が一気に崩落した。

刹那、誰かに背中を押された。

「……」
目をあけると、イザークの顔が傍にあった。

「よかったああ〜、間に合って、シアナ隊長、無事ですか?」
「……平気よ、イザークは!? 怪我しなかった!?」
「え? 僕は平気ですけど」
「そう……ならいいんだけど」


127 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:06:00 ID:MWgsKLaZ
ほっとして息をつく。
珍しく慌てた様子のシアナに、イザークは疑問を感じた。
しかし今はそれを問いただしている暇も余裕もない。急いで二人で寄宿舎を出る。
既に退避した騎士達が消火活動に当たっていた。火に巻かれて崩れ落ちていく寄宿舎を、シアナは凍るような瞳で見ていた。

「……龍を倒しに行ってくるわ、イザークはここで待ってて」

無意識に刻印に触れてしまい、シアナは舌打ちする。

もうこの力は使えないというのに。私はまた懲りずにこの力に頼るつもりか。

「隊長、でもその怪我じゃ……!!」
「他にあの龍を倒せる人がいる?」
「それは……」

刻印を使えば死期を早める。
でも。今は。
そんなことをいっている場合じゃない。
放っておけばフレンズベルは大火に包まれて燃え尽きてしまう。


128 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:07:52 ID:MWgsKLaZ
「いないわ。……私以外にはね。待ってなさい、さっさと倒してくるから」

エレに刻印を使うなと言った以上、ここは自分が行くしかない。
剣を片手に。紅き龍へ向かってシアナは疾駆した。

ああ、ごめんと謝るのは私の方よシェスタ。
私は――やっぱりこの刻印を使わないで生きるのは難しそうだから。
せっかく忠告してくれたのに、ごめんなさい。

忠告は破った。でも一つだけ、誓ったことがある。


龍と対峙するシアナ。紅蓮の龍は高い声をあげてシアナを威嚇する。
剣を構え、シアナは自身の鼓動に耳をそばだてた。


129 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:16:24 ID:nvEocd2O
私は、最後まで――この力と共に戦う。
例えこの力が私を殺そうとも。龍に狙われて殺されそうになったのがこの刻印のせいであっても。

私はこの力のおかげで今まで生きてこれたのだから。
刻印が罪だというのならば私はそれを背負い最期の瞬間まで生き抜こう。
それが私に出来るたった一つの贖罪だ。

「――私が欲しいか。その牙を突き立てて喰らいたいか、ならば来い!!」

龍が吼えた。
翼が風を巻き起こし、上下に振られる。
死を畏れていて何が守れる。――私は、私の守るべきものの為に、全力で戦う、それだけだ。

「私は……ここにいる!!」



130 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/07(火) 01:17:41 ID:nvEocd2O
PCから連投してたら、さるさる食らったのでこのへんで…
ではまたー!


131 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 03:10:17 ID:+mVCBkvj
「スケェェェェェェェイス!!!」

132 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 03:44:15 ID:DuEHJRR3
いかにも邪気が滲み出るような設定でありつつ
普通に面白い人間ドラマと燃えストーリーの良作だな・・・

ガ板の邪気眼スレに紹介するには、ちょっと良作すぎてイタさが足りない。
彼らが求めているのは稚拙でまとまりもなく、終始主人公に都合のいいストーリーが醸し出す
読者の黒歴史の記憶を刺激するようなうわあああ感だからな・・・。

っふ・・・流石は創発板といったところか。これは楽しめそうだ・・・

133 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 01:57:40 ID:8/vOLGdi
さあ、刻印よ、龍殺しの刻印よ。
お前が敵を嬲るのにうってつけの機会はここに。
聞け!! そして記憶を辿れ!!
私は今、全身全霊の力を持って――龍を討つ!!

刻印は発動した。紫の光が周囲を埋め尽くす。
剣は向かってきた龍の腹を抉り、ひと刺しで骨身を貫通する。
断末魔を叫ぶ龍。切り裂かれた腹部から内臓がばらばらと散らばり、体液が雨となってシアナへ飛散する。
龍は一際高い声をあげて、落下した。
惨たらしい遺体が地面の上に仰向けに横たわる。
紅蓮の龍は息絶えた。それでも奴が吐き出した炎の勢いは未だ衰えない。

「……はあっ……はあっ……」

呼吸を繰り返しながら、シアナは剣を地面に突き刺して膝をついた。
刻印の力が収まっていく。――ズクン、内部から心臓を丸ごと掻き毟られる感覚にシアナは呻いた。
龍の魂が、シアナの刻印へと吸引されていく。そうと知った今では、ありありとその様子が分かるようだった。

「隊長、大丈夫ですか……」
「……へいき、よ。私に構わないで皆の手伝いに回って」
「で、でも」


134 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 01:58:49 ID:8/vOLGdi
シアナは撥ね付けるようにイザークに言った。
「いいから、行きなさい!!」
イザークは心配そうにまだシアナを見ていたが、言われた言葉に意を決したのか消火活動へ向かった。

「消せーー!! 水をバケツに汲んで運べ!! 早く!!」
「誰かホースを持ってこい!!」
「こっちに救援を頼む!!」


火が燃えている。
火は苦手だ。
何もかも飲み込んで、消していってしまうから。

「う……っ」

気持ちが悪い。せりあがる不快感にシアナは顔を歪めて、口を押さえた。
消火活動を行っていた騎士達が、ざわめき出す。何事かとシアナは顔をあげた。

「おい、そういえばウィナさんがいないみたいだけど……」
「え? まさか中から出てきてないのか?」
「ど、どうするんだよ、中に取り残されてるんじゃ……」
「探したけど外にはいない。……中だよ!! まだおばちゃん中で逃げられないでいるんだよ、やべえよ。どうするんだ、こんな火の海の中」


135 :創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 02:00:39 ID:fgSwDw4T


136 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:01:43 ID:8/vOLGdi
ウィナが中にいる……!!

それを聞いた途端、殆ど反射的と言ってもいい。シアナは後先考えずに飛び出した。燃え盛る火の寄宿舎の中へ、全速力で飛び込んでいく。
騎士達が何人か、シアナの無謀に気付いて止めようとするが、遅かった。
寄宿舎の中は、灼熱だった。熱風が絶えず行き交い、次々と溢れてくる黒煙と火焔のおかげで視界も最悪に悪い。
「……っ、げほっ」
迂闊に息を吸い込むと、尋常でない熱気のせいで喉が咽返る。
口を押さえたまま、シアナはウィナを探す。

熱くて今にも焦げ付きそうだ。
我が身を危険に晒してまで、こんな所まで来て馬鹿だと自分でも思う。
でも、もう嫌だった。
こんな風に誰かを失うのは。
誰かが死ぬかもしれないのに、それを黙って震えて見ていることしか出来ないのは。

「ウィナ、お願い……っ、いたら返事して……!!」

崩れていく寄宿舎。天井から落ちてくる小粒の瓦礫がシアナを直撃する。
構わず走った。
探し続けて結構な時間が経過した。入ってきた玄関口も通れない程に火は広がっている。

「ウィナ……」


137 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:02:28 ID:8/vOLGdi
酸素不足でだろうか。目の前がぼうっとする。
炎が風に煽られてシアナに迫る。意識が落ちる瞬間、誰かの足音を聞いたような気がした。
胡乱に包まれていく思考で、見上げると。
懐かしい人間がいた。――絶対にいない人間の筈なのに。

疲労した頭が、幻影を見せたのだろうか。
それとも亡霊となって甦った?
いいえ、あり得ない。


火が爆ぜる音。舞う火の粉。
背中を向けてシアナの前に立ちはだかる人。
それはあの日の再現だった。

シルクレイスの大災禍と言われた――悲劇の夜の。
シアナは完全に意識を失った。それでも夢の中では在りし日の出来事が刻々と続けられていた。


138 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:04:08 ID:8/vOLGdi
「おかあさん、おとうさん、今日私の誕生日だから早く帰ってきてね」
「ああ、分かった。早く帰ってくるよ。母さんもね」
「ちゃんとよい子で待ってるのよ」
「は〜い」

その日はシアナの八歳の誕生日だった。けれど夜になっても、父も母も中々帰ってこなかった。
外がうるさい。
不安になって外に出てみると、ばたばたと人が走ったり泣き叫ぶ声であたりは混乱していた。
龍が、町を襲撃してきたのだった。
シアナの父の持つ「龍の刻印」に引き寄せられて。
皆が逃げていく中、シアナは家に引き返してじっと両親を待った。約束したからだ。
よい子にして待っていると。

龍の咆哮が近くで聞こえる。町は龍の吐き出す火炎に包まれて燃えていった。
人々の泣き叫ぶ声。家が崩れていく音。町が燃えていく音。
色んな音が聞こえてきて、シアナは恐怖に身を震わせて、必死に縮こまり両親の帰宅を待った。


139 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:06:29 ID:8/vOLGdi
怖い。私どうなるの。怖いよ、速く帰ってきてお父さん。私、死にたくない、死にたくないよ……!!

そこへ、父が帰ってきた。
「遅くなった、シアナ」
父は騎士だった。帰ってきたのはシアナの誕生日を祝うためでなく、龍を退治する為だった。
「おとうさん、おかあさんは?」
「……」
「帰ってくるよね? おかあさんもすぐに帰ってくるよね、私、ちゃんといい子にしてたよ……」
「……お母さんは……」

辛そうな顔になって、父は言った。

「お母さんは龍に……やられたんだ。もう……会えない」
「嘘だ……」
首をふって必死に父の言葉を拒絶する。

「嘘だ!! だって約束したもん!! いい子にしてるからって!! おかあさん帰ってくるよ!!
そんなの……そんなの酷いよ……う……うわああああっ」


140 :創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 02:08:40 ID:fgSwDw4T
 あ



141 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:09:22 ID:8/vOLGdi
泣きじゃくるシアナを困った顔で見つめる父。


父は、髪を優しくなでてシアナを安心させるように笑って見せた。

「大丈夫だよシアナ。……お母さんの仇はお父さんが取るからね。龍を倒して、そうしたら……また戻ってくるから」
「おとうさん、いかないで」
「大丈夫だからここで待ってるんだよ、いいね」
「おとうさん!! 待ってよ!! おとうさんっ……」

父はシアナに背を向けて走っていった。

……もう置いていかれるのは嫌だ。
おとうさんの傍にいたい。

シアナは言いつけを破り、父を追った。

父は燃え盛る火の海の中、龍と戦っていた。父の刻印は既に龍の魂を取り込みすぎていて、もう限界が近づいていた。
だから普段は力を使わなかったのだ。
でも今日は、――力を解放した。シアナを守るために。


142 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:10:35 ID:8/vOLGdi
「おとうさん!!」

近づいてきたシアナに龍が反応する。――鋭い龍爪が、シアナ目掛けて振り下ろされた。

「シアナ!!」

シアナは心臓を一突きにされた。今まで体験したことのない壮絶な痛みが全身を貫く。
子供だったけれど、死がどういうものかは分かっていた。
だから、ああ、このまま死ぬのかな、と思った。

父はその隙を突いて龍を倒した。
そして虫の息のシアナを抱えて、――決断した。

このままでは、娘が助からない。
龍の攻撃に対して……それを無効にさせるようなものがなければ。
父は、刻印をシアナに譲り渡した。
手に輝く刻印を、シアナへと受け渡す。
見る見るうちに、龍の爪で抉られた部位が回復していく。

刻印を剥離させるということは、死を意味する。
シアナは朦朧とする視界で、父を捉えた。
父は笑っていた。「大丈夫だよ、心配ないから」と。


143 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:11:58 ID:8/vOLGdi
「シアナ、聞くんだ、その力はね――それは確かに呪われた証かもしれない。
私も沢山の龍を殺し、沢山の罪を犯した。でも、だからこそ忘れてはいけない」

力は、命を奪うのではなく、誰かを守るためにあるんだよ――。
シアナも、誰かを守れるように、

強くなりなさい。


翌日、豪雨が降り始め、火はようやく鎮火したが、町はごく僅かの住民を残して全焼した。


144 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/08(水) 02:20:55 ID:8/vOLGdi
>>132
そうなんだよね設定はバリバリ中二だよね
中二的描写が…!コンセプトは中二ストーリーで
頑張ってはいるんですが、描写が難しいです先生!!
過去スレのSS偉人達はつくづく凄いと改めて尊敬したよ……
まさか良作とか嬉しいこと言われるとは思っても見なかったありがとう!!

では……また会おう…クク……



145 :創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 00:32:11 ID:YP21eTLq
貴様も選ばれし者のようだな
いや、これは前世から決まっていたことか……

146 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/09(木) 08:12:25 ID:7xxdxn4u
そろそろ設定でも投下してみる

刻印【こくいん・ハディス】
呪い。呪咀のひとつ。
強い怨念や怨嗟が人間に憑依すると、発現する。刻印が刻まれた人間は呪いによって、
自身に苦となる運命を背負わされる。また呪いの副作用で、人知を越えた力を使う事ができる。

所有者の肉体の一部には、刻印が現れる。形状は様々。能力や呪いの形も千差万別。

本質は肉体ではなく魂に刻まれるものなので、魂のないモノ(無機物)に刻印が現れる
ことはない。ただし刻印の所有者が、力を無機物に流動させて発現させることは可能(剣や道具など)

龍殺しの刻印のように、効果が強烈な刻印ほど所有者にかかる負担も大きく呪い
の副作用も多大。

悪魔の刻印と龍殺しの刻印は、世界に一つずつしか存在しない。同時に複数存在することはない。
しかし所有者が死ねばまた新たな所有者が生まれ、永劫に連鎖し続ける。この事
から、二つの刻印のように受け継がれる刻印を流転の鎖と呼ぶ。
起源が近しい、またはかかわり合いのある刻印は引き合う性質を持つ。
例)悪魔の刻印と龍殺しの刻印は互いに呼び合い殺し合う宿命を持つ。

刻印は罪の記憶とも呼ばれる。それは全ての刻印が陰惨だったり悲しい、人間が
犯した「罪」から始まっているからである。
刻印の能力は、魂に刻まれた罪を思い出し起源へと近付けることによって発動し
ている。つまり使い続ければそれだけ起源へと遡っていくことにもなり、力が強くなる分、所有者に現れる苦痛もより強さを増していく。

刻印の所有者は先天的に持って生まれた人間が殆どである。
後天的に獲得する人間も稀であるが存在する。
刻印は一度獲得してしまえば基本的には失われることはないが、条件付きで譲渡は可能。

魂が似ている人間にのみ譲渡できる。
ただし刻印を魂から剥がす行為は精神を分離させるのに等しい行為であり、譲渡
が成功したとしても刻印を剥がした人間は、廃人になるか死ぬ。


147 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/09(木) 08:21:26 ID:7xxdxn4u
龍殺しの刻印【りゅうごろしのこくいん・ドラクブーシ】
龍種、若しくはそれに類する種族に対して絶対的な優性を発揮する刻印。この刻印を
持つものは龍を「必ず殺す」力を得る。反対に龍の攻撃で受けたダメージは軽減される。

しかし刻印によって龍を引き寄せて狂暴化させてしまう力も同時に得ることになる。

刻印がある限り龍に狙われ続け、自身は刻印の力によって死なないが周りの人間
が巻きぞいになって失われていく、という孤独の呪いでもある。
龍を殺す度に、龍の魂を取り込んでいき、刻印に殺した分の線が刻まれる。
所有者は龍の魂を取り込んだおかげで肉体的な強さ、刻印の威力を増すが
限界まで達すると刻印は龍の魂で溢れた所有者を龍と誤認、所有者を殺すために暴走する。
その為、この刻印を持って永らえた者は一人として存在しない。
起源の枷によって、悪魔の刻印と引き合い殺しあう性質を持つ。
殺せば殺すほど一人になる刻印。

名前(ドラクブーシ)の語源はエスペラント語の龍+虐殺から。


悪魔の刻印【あくまのこくいん・ディアボリオ】
別名、悪魔の目の刻印。
あらゆるものを虚無へと還し、殺す刻印。
この刻印を持った者は、力を使う度に刻印に身体と精神を蝕まれ激しい苦痛がもたらされる。
同時に刻印は力の代償に、飢餓感を所有者に与え、殺戮へと誘おうとする。

いずれ完全に刻印が所有者を支配した時、所有者も虚無へと帰る=死ぬ。

扱いが非常に難しく、卓越した所有者であっても暴走することがある。
刻印が暴走すると、周囲に力をばらまきながら所有者は刻印と同化を始め、肉体が龍へと変貌していく。

悪魔の刻印は、その特性から全ての刻印の中でも最も強い絶対性、強制力を持つ。
他の刻印に対して優性を持つので、どのような種類の刻印も悪魔の刻印の力には叶わない。
力だけとってみれば、刻印の最上位に位置する。
故に、エレはこの力で刻無の刻印の束縛を殺し、力を解放出来た。
起源の枷によって、龍殺しの刻印と引き合い殺しあう性質を持つ。
殺せば殺すほど死んでいく刻印。

名前(ディアボリオ)の語源はエスペラント語の悪魔の申し子から。


148 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/09(木) 08:25:52 ID:7xxdxn4u
刻無の刻印【こくむのこくいん・ベルゼ】
あらゆる刻印を封じ込める能力を持つ。
本来は、他者の罪に許しを与えるもの。
刻印は罪の記憶で出来ているので、罪を許されれば存在できない。
ベルゼは刻印の贖罪を肩代わりすることにより、その刻印の力を薄れさせ消失させる。

通常の刻印と異なり、起源はどちらかというと「赦しの記憶」で出来ている。怨嗟故の呪いというよりは祈りから生じた「まじない」に近い。

完璧な状態であれば、刻印を残さずに消失させるが、いつくもの人間の魂を渡り歩いたことにより
人間の思考の影響を受け力が微妙にねじ曲がっている。
今は一時的に力を使えなくさせるという不完全な状態。


149 :創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 01:02:08 ID:x3CGuhiv
3になったんだね。
スレ立て乙です。
久しぶりに来たけど、夏ミカンさんが書いてくれてるんだ。
お疲れ様です。ここまで読んだけど、とても面白かったよ。
息抜きのついでに覗いていますが、ほんと皆さん楽しい小説を書いていてビックリしてしまいますね。
どうかどうか、皆さんがいつまでも楽しい文学に触れていられることを願っています^^

150 :創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 01:03:27 ID:RZhxlfiL
中二設定の用語考えるときって元ネタ本は何?
キリスト教全書とかドイツ語辞典とか手元に置いてるの?

151 :創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 15:11:00 ID:nJBlQELO
(д)゜゜

刻印ってハディスって読むんだ・・・
今まで普通に「こくいん」って読んでた・・・
リジュの詠唱呪文とか、こういうのの読みとか、カッコイイな!!

イザークさんイザークさん、ぼやぼやしてるとエレ×シアフラグが立ってしまいますぞ
と思ってしまった。
いやでもエレはエレで幸せになって欲しい(´・ω・`)

家に戻ってお父さんとお母さんの帰りを大人しく待つ幼シアナたんが健気で泣ける。
良い子にしてればちゃんと帰ってくるって思ってるんだな・・・

152 :創る名無しに見る名無し:2009/04/10(金) 19:43:53 ID:pkxXOnl+
>>151
刻印であってるに決まってるだろ
感じを無理にカタカナで読ませる厨二技さ

153 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/10(金) 20:04:41 ID:8UJvqX3G
>>149
どもどもこんばんは。
このスレで出てた過去作品面白いのが多いですよね〜みんなスゴイ。
面白いと言って貰えて嬉しかったよ。コツコツ書いてたかいがあった。
ビバ文学!なんとか完結できるようにがんばります。ありがとう!

>>150
他の人は分からないけど自分は頭の中で作っていくよ。
それをだらだら書いてまとめる感じ。
特に資料とかも見ずです。名前付ける時だけ辞書を引いたりするです。

>>151
読み方はどっちでもいいよ。カタカナにするとちょっとかっこよくなる
気がするよね。
リジュの呪文が一番考えるの大変だったから嬉しい!!ありがとう!!
おお……このスレでエレの幸せを願ってもらえるとは思ってもみませんで
した。キャラに親しみを感じてくれているようでありがたいこってです。
子供だったのもあると思うけど
元々素直な子だから言われた通りにしてれば〜と信じてたんだろうと思います。
帰ってきてほしいという願望もあっただろうけども。









154 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/10(金) 23:10:44 ID:8UJvqX3G
シアナは灰と瓦礫に変わった町で、一人佇んでいた。
母は死んだ。父は死んだ。大切な人を全て失って、何もない枯地に取り残された。
もう起き上がって笑いかけてくれることもなければ、暖かい手で撫でてくれることもない。
動かなくなった父親の傍らで、シアナは必死に父の名を呼んで身体を揺らし続けた。

「おとうさん、私、もう大丈夫だよ……」

「龍もおとうさんが倒したから」

「だから平気だよ。もう死んだフリなんてしなくていいんだよ」

「おとうさん、」

父の身体がとうに冷たくなっていることに、今更気付いてシアナは揺さぶる手を止めた。

身体に刻まれた痛みなんて――今の現実に比べれば、比べ物にならないくらいに軽い。

痛いなんて言葉で言い表せないほどの喪失感が胸に広がっていく。
心に重い杭が打たれたようだ。目の前さえ滲んでいく。……手が止まる。

「……起きてよ……どうして寝てるの……? おとう……さん」

昨日は私の誕生日だったんだよ。おかあさんが帰ってきたら一緒にケーキを作ろうって約束したんだから。
プレゼントを貰えるのが楽しみだった。何をくれるのか一晩中考えてワクワクした。
でも私が本当に欲しかったのは、物じゃない。物じゃなくて――


155 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/10(金) 23:11:30 ID:8UJvqX3G
「おとうさん……おかあさん……ぅ」

ただ、一緒に。誕生日を迎えたかっただけなのに。

「っ……ひっく……うあっ……うう、うわあああああああ!!」

おとうさんは私のせいで死んだんだ。あの時私が飛び出していかなかったら。
もっと、もっと自分の事を守れるくらい強かったらおとうさんは死なずに済んだのに。

泣いても狂い叫んでも、両親は戻ってこない。
近隣から救助に来た騎士隊がシアナを発見するまで、彼女はそこで父親に縋って声をあげていた。
騎士隊は残された住民を、緊急避難用の仮設住宅へ避難させる為に馬車へ乗せていた。
シアナもその中にいた。窓の外にぼうっとした目を向ける。
心は何処かに置き去りにしてきてしまったようで、空気が酷く冷たかった。

「シアナちゃん、これからどうするんだろうな」
「ああ、確かアレージュ隊長の……」
「両親と別離か……不憫だよなあ、これからだってのに」
「しっ、聞こえるぞ」

何を言われても何も感じなかった。
ただ父が残した「刻印」の熱だけを、えらく鮮明に感じていた。


156 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/10(金) 23:13:43 ID:8UJvqX3G
シアナが住んでいた町は復興のめどが立たないほどに壊滅した。
騎士隊の人間達は、高名な騎士の忘れ形見ということで皆シアナに優しくしてくれた。
本来ならば仮設住宅へ連れて行かれる所を特別の計らいで騎士の駐屯地へ連れてこられた。
それは騎士達の、シアナに対する出来る限りの配慮だった。

悲しみに暮れる日が何ヶ月も続いた。何を見ても、何を思っても両親と懐かしい故郷を思い出してしまう。あの日の悪夢を何度も夢に見た。

騎士達は皆親切で優しかったが、いつまでも、ここに留まっていてはいけない。

他に親戚もおらず、天涯孤独の身となったシアナは――行く場所もない。これからどうしようと、幼い頭で必死に考えた。

『強くなりなさい』

父が残した言葉。
未だ残る痛みの記憶と共に。あの時感じた思いが、今も胸に留まり道先をくれているような気がしていた。

「……騎士になるにはどうしたらいいの?」
「えっ?」

シアナは近くにいた騎士に聞いてみた。
騎士は戸惑いながらも、丁寧に答える。

「シアナちゃん、騎士になりたいのかい?」
「うん。どうすればなれるの?」
「そうか、でも君は女の子だし、こういう荒事に従事する仕事は難しいと思うよ」


157 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/10(金) 23:15:15 ID:8UJvqX3G
それは騎士の優しさだったのだろう。親を亡くしたシアナへの、思いやりだったのだろう。
だが、今欲しているのは他人からかけてもらう優しさではない。シアナは騎士の言葉を跳ね返して、真剣な表情を向けた。
そして――言う。決意をこめて。

「女の子に力がなくてなれないのなら、私は男の人の何倍も強くなる。沢山勉強して剣も覚えて――誰にも負けないような騎士になる。
だから教えて。私は、騎士になりたい。騎士になって……もう二度とあんなことが起こらないように頑張るから」

龍が襲ってきたあの時、何も出来なかった自身の弱さを何度も悔いた。

私は強さが欲しい。
今何よりも望んでいるのは、自分を守れる強さと、誰かを庇えるような逞しさだ。
それが手に入るのならば、茨の道は覚悟してみせる。
騎士は、シアナの決意に心を打たれたのか、ようやく教えてくれた。

「そうだね。騎士になるにはどこかの国の騎士隊とか騎士団に入るのが一番かな。
僕達は地域の騎士隊だけど、もっと上の位の騎士隊は城に使えて王立や国関係の仕事を任されたりするんだ。
そうすれば大きい仕事も回っているだろうし……でも、なるのは段違いに大変だよ」
「そっか……試験とかがあるの?」
「うん。大体騎士に採用されるには、国が主催する騎士の試験を受けて合格しなくちゃいけない。
実技は剣の試験だけじゃなくて、弓や馬術の試験もあるし、地図を見て正確な場所へたどり着けるかなんて項目もある。
騎士としては品格や振る舞いも大事だから礼節のテストなんてものもあるし、それに実技と同じくらい筆記の方も難関なんだ」
「じゃあ……このへんで一番有名な騎士隊は何処?」

158 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 14:56:43 ID:I0mJsF2k
もっと人に甘えていい年なのに、状況なのに、
立ち上がって大きくなろうとするシアナたんの強さはきっとお父さん譲りだな(ノд・。)

159 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 15:04:42 ID:HkFLDoKh
見方によれば、中二病以外の小説なんて存在しないよね…

160 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 21:09:48 ID:kwOhZjKP
トンネルを抜けるとそこは雪国だった。

というような、チラシの裏に書いた日記みたいな文学作品には厨二要素はあまりないと言える

161 :創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 01:15:18 ID:PQIvOFnE
中二病は俺自身の感じで言えば二重人格ってかんじなんだけど、そんな気がしない?
ガイドライン見てたらそんな感じ

162 :創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 11:29:17 ID:xuun7S5D
二重人格ももちろんそうだけどさ。
個人的には、厨房が「カコイイ!」と憧れるようなクールでかつ目立つもの、
「もし自分にこんな設定があったら皆から一目置かれるだろうな」ていうレベルのものなら全て当てはまると思ってる
中二病って誰かに見てもらいたい、憧れられたい、違う自分になりたいってのが根底にあるから
アクション映画の主人公のような設定を好むんだと思う

163 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/13(月) 19:54:10 ID:Y3xI1P9y
騎士は、迷うことなく「有名といえばフレンズベルの王立騎士隊だね。あそこの騎士隊は最強だから」と答えた。

フレンズベル――。
龍が多く存在する森と湖の郷国。
父は騎士だった。自分も騎士を目指すとは、なんの因果だろう。いや、これは――試練なのかもしれない。
私が苦難の道を選ぶかどうか、運命は試しているに違いない。
……くそくらえだ運命の奴め。私は、絶対に服従したりなんかするものか。
シアナはコクンと頷いて、礼を言った。

「ありがとう!! 私、フレンズベルの騎士を目指してみる!!」

その時はまだ、シアナに騎士になる方法を教えた青年も、シアナ自身も、思っていなかっただろう。
シアナが宣言通りに騎士となり、龍殺しの騎士として讃えられるまでになるとは――誰が予想しえただろうか。
それまで剣さえ握ったことのない少女が、血の滲むような訓練を積み、暇さえあれば騎士になる為に勉学に励み
あらゆる騎士試験の中で最も難関と呼び声高い試験を突破し、彼女は若くして騎士となった。
その間も龍が幾度が襲撃してきた。その度に、刻印を使い、シアナは龍を殺してきた。

164 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/13(月) 20:14:14 ID:Y3xI1P9y
我が身の脆弱さ故に父を助けられなかった。
忌まわしい力と知りながら、力を使い続けた。自分一人が生きるために何頭もの龍を殺し続けた。
だから、刻印を持ったことは罪でなないとしても、私はとうに咎を負っているのだ。
祈る神など存在しない。自分を救ってくれる誰かもいない。赦しは永久に与えられないかもしれない。
それでも。それでも誓約がこの胸にある限り、この呪われた証と共に、――生きる。


父は私の生を望んで力を譲り渡したのだろう。刻印を譲れば死ぬと分かっていて、魂から引き剥がした。
私がこの世界に生き続けることだけを、願って。
ならば私は……逃げるわけにはいかない。

私にとって生きることは戦う事と同義だ。目の前から目を逸らし、諦め、剣を下ろした時が私の最期になるだろう。
諦めるものか。みっともなかろうが構うものか。ふてぶてしく足掻いてやる。
生きよう。この先の道が暗く血に浸されていようとも。戦う。戦い続ける。

道の果てにあるのが希望なき未来だとしても。

165 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/13(月) 20:20:39 ID:Y3xI1P9y
そこで、ついに夢が終わる。
シアナは寄宿舎の廊下で目を覚ました。

「う……っ」

すえた臭気。
目蓋を開いて、目尻が濡れていることに気が付いた。乱暴に擦って体を起こす。
周囲を見渡してみると、燃えていたはずの寄宿舎から火の気は消えていた。
建物は所々、焦げ付いた跡が残り、崩れかかっていたが完全に炎焼してはいなかった。
そして壁際には、腰を下ろした人影が。

「ウィナ……!!」
すぐさま近寄り脈をはかる。呼吸も正常で……命に別状はないようだった。
シアナと同じく、酸素不足で気絶したのだろう。
安堵のため息を吐いて、シアナは心からほっとした。

「……よかった、無事で。よいしょっと」

シアナはウィナをおぶさり、廊下を渡る。
みしみしと床が軋む音がする。シアナは慎重に歩を進めた。
「……」

そういえば、気絶する寸前――誰かが私の目の前にいたような気がする。
あれは、誰だったんだろう。
幻、だったのだろうか。
記憶を辿ってみても曖昧な面影しか出てこない。
酸素不足で幻覚でも見たのだろうと自らに納得させる。

シアナはウィナを連れ焼け爛れた宿舎から表に出た。


166 :創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 11:32:43 ID:MIao81W7
ウィナ無事でよかったなぁー
シアナに騎士になる方法教えた青年と再会したりしたらビックリすんだろうね
「えぇ!?あのときのシアナちゃん??」て感じでww

167 : ◆QNz3pdU3go :2009/04/14(火) 19:44:55 ID:4RYEGs2n
接官「特技は邪気眼とありますが?」

学生 「あぁ、邪気眼だ」

面接官「邪気眼とは何のことですか?」

学生 「っふ……邪気眼を持たぬ物にはわからんだろう……」

面接官「え?」

学生 「まぁ力とでも言っておこう」

面接官「……で、邪気眼は当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」

学生 「敵が襲って来ても皆殺しにできる」

面接官「いや、当社には襲ってくるような輩はいません。それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね」

学生 「でも、龍族にも勝てるぜ」

面接官「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね……」

学生 「この世界を終わらせることもできる」

面接官「ふざけないでください」

学生 「いいか、邪気眼というのは……」

面接官「聞いてません。帰って下さい」

学生 「貴様、この俺を怒らせていいのか?邪気眼を解放するぜ?」

面接官「いいですよ。解放してください。邪気眼とやらを。それで満足したら帰って下さい」

学生 「っく……こんな時に奴等が来たようだ……」

面接官「帰れよ」

168 : ◆QNz3pdU3go :2009/04/14(火) 19:52:57 ID:4RYEGs2n
面接官「特技は邪気眼とありますが?」

学生 「はい。邪気眼です」

面接官「邪気眼とは何のことですか?」

学生 「っふ……邪気眼を持たぬ者にはわからんだろう……」

面接官「え、持たぬ者?」

学生 「はい。持たぬ者です。っぐわ!……くそっ!……また暴れだしやがった……」

面接官「……で、その邪気眼は当社において働くうえで、何のメリットがあるとお考えですか?」

学生 「が……あ……離れろ……死にたくなかったら早く俺から離れろ!!!」

面接官「いや、近付きたくもありません。それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね」

学生 「でも、奴等がまた近づいて来たみたいですよ」

面接官「いや、近付いてきたとかそういう問題じゃなくてですね……」

学生 「……ふん……小うるさい奴等だ……失せな」

面接官「ふざけないでください。それに奴らって誰ですか。だいたい……」

学生 「ヤンキーグループです。DQNとも書きます。ヤンキーグループというのは……」

面接官「聞いてません。帰って下さい」

学生 「あれあれ?怒らせていいんですか?使いますよ。邪気眼」

面接官「いいですよ。使って下さい。邪気眼とやらを。それで満足したら帰って下さい」

学生 「っは……し、静まれ……俺の腕よ……怒りを静めろ!!!」



面接官「……自分の力もコントロール出来んとは…半端者は闇に還るがいい」

169 : ◆QNz3pdU3go :2009/04/14(火) 20:31:22 ID:4RYEGs2n
作者がageるウザさは荒らしと同義!
今こそそのウザさを見せてやる!

あと、読者もageるとウザいからね……

170 :創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 21:05:26 ID:MEPcpp7M
コピペ改変は創作ではないような。ガ板向けのネタではないか?
最後の面接官には吹いたけどw

171 :創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 21:36:01 ID:bsBjA41y
こいつ、、、出来るぞ、、、

age作者には俺も同意

他のスレはsageているのに、ageて感想だか何だか貰おうとか思ってるんじゃないかってね

別に見てる人は見てるし見てない人は見てないんだから

だけど、一般的にsage作者の方が良い作品を書く
ほら、このスレの作者だってsageてるだろ?

あなたは今度、ガイドライン板に一度きてください




だがageる

172 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:15:51 ID:bU+EsvuI
>>158
お父さん似の子だから考え方が漢らしいんだよね
むしろ憧れたから近くなろうとしたのかも
感想ありがとう!

>>166
よかったなあという言葉がぐっときた。これ以上書き手冥利に尽きるものはない
確かに!!
ちょっとそれは美味しいし、想像が膨らむ面白い展開かもしれない
書いて見たいなあ……


173 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:17:37 ID:bU+EsvuI
「隊長!!」
直ぐにイザークが駆け寄って来た。

「大丈夫、無事よ」
「良かったああ〜!! 一時はどうなることかと思いましたよ」
心底安心しきって、その場に腰を下ろす。
「火が消えても帰ってこないし……隊長がいなくなったらどうしようってそればかり考えてました」
本気で心配して狼狽していたのだろう。目の下には憔悴しきった跡が残っていた。
「大げさね」
「当たり前ですよ!! 火の中に飛び込んでいくなんて無茶もいい所です。あんまり心配掛けさせないで下さい」
「はいはい、分かったってば」

全く本当に分かっているんだか、この人は。イザークは小さく呆れ声を漏らした。

次に同じことがあっても、おそらくまたこうして我を省みず飛び込んでいくんだろうな。
隊長としては本当に何か大切なものが欠落しているように思える。まあ、そこが隊長の長所でもあるんだけど。
イザークもシアナとの付き合いで、大体シアナの在り方が分かるようになってきていた。
……だからこうして諌めても無駄にしかならないってことも十分承知の上だ。

無謀な行動をハラハラしつつも仕方なく思ってしまうのは――きっと毒されているんだろうな。自分も。

「……ウィナさんは、無事ですか」
「多分ね、具合を診てもらうからリジュを呼んでくれる?」
「分かりました」

174 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:18:28 ID:bU+EsvuI
リジュを呼びに行くイザーク。
シアナはウィナをそっと腕の中に湛えてしゃがみ込んだ。
ウィナの顔は所々、黒く煤に塗れている。シアナは指先で汚れを拭ってやった。
「……ん」
すると意識を取り戻したのか、小さく声をあげた。

「ウィナ、気付いたの? 大丈夫……?」
「あ……シアナ……さん」
「痛い所はない?」

老婆は微笑んだ。
それが何よりの答えだった。シアナはそこで初めて緊張から解き放たれ、全身の力が抜けるのを感じた。
「……よかった。私ね、総長にまだウィナからの伝言を伝えてないの。
あれを言ったってウィナに報告するまではいなくなられちゃ困るわ」
「……ふふ、そうでしたね、お待ちしてます」
「でも何で寄宿舎に残ってたりしたの? 逃げる時間はあったでしょう」
シアナの問いかけに、ウィナはうっすらと目を開いて、ポケットから取り出したものをシアナに手渡した。

「これを……取りに行ってたんです」
「これは……」

ウィナが手渡したのは銀色の短剣。艶めく光沢を放ち、朝焼けの下で美しく輝いている。
柄の部分に名が掘り込まれていた。
――エレ、と。


175 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:19:53 ID:bU+EsvuI
「剣……? エレの剣なの? これを取りに戻ったのね」
「総長に、これはエレさんの、大事なものだからと伺ってましたから」
「でもそれだけで取りに行くなんて……」

ウィナは横になったまま、シアナに目を向けた。
穏やかな面立ちにシアナは思わずウィナを責める言葉を失う。

「エレさんは……幼い頃、総長に連れられてこの騎士隊にやってきたんです。
私はエレさんがここに来た当時から、食堂のおばさんをしていたんですよ。
昔っからあの子は……きかん坊で、喧嘩好きで、ひねくれていて……見ているこっちが何度ドキドキさせられた事か」
「……」
「でも……不思議ですわね。ずっとあの子の成長を見ているうちに、自分の子みたいな気がしていたんです。
それはエレさんだけじゃなくて私にとっては皆同じ。ここにいる騎士達は全員、我が子みたいに思ってますから。
この剣は、エレさんが総長に一番最初に貰ったものだそうです。大きくなって剣を変えても、この剣はずっと大事に取ってあったみたいで……。
それが燃えてしまったらきっとエレさん、悲しみますわ。多分表面ではどうでもいいと言うかもしれませんけど」
「ウィナ……」
「大切なものが無くなってしまうのは誰だって悲しいでしょう?」

シアナは手渡された剣を見た。
エレが初めて総長から受け取ったと言う白銀の剣。
騎士にとって剣は特別な意味を持つ。
それは攻撃の武具であり、守りの盾でもあり、そして国への忠誠を示す証でもあるのだ。
しかも一番最初に手にした剣となれば、エレといえど特別な感慨を持っていても不思議ではない。


176 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:39:36 ID:bU+EsvuI
「それに……危ないと私を諌めるのなら、私もシアナさんを諌めなければいけません。
貴方も自分の身の安全を考えず私を助けてくれたんでしょう?」
「……それは、そうだけど」
「私も同じです。自分が大事だと思うものを消したくなかった。――それだけですわ」

シアナは、複雑な表情で息を吐く。
確かに自分もウィナを救出する為に火の中へ突撃していったのだ。
その行為を咎められる謂れはあれど、彼女を責める資格などない。

「まあ、ともかく大した怪我がなくてよかったわ。ウィナも私も」
「ええ、そうですね。きっと悪運が強いのでしょう。私もシアナさんも」
「そうね。きっとあの世が私達のこといらないっていってるのよ」

見合って、少しの沈黙の後。どちらかともなく「ぷっ」と噴出した。
住む場所は火に燃えてみる影もなく無残な姿を晒している。
またいつゴルィニシチェが攻めてくるともしれない。
ゴルィニシチェに対抗する力を使い続ければ命は持たない。分かっている。全て分かっていた。

それでも、そんなこの上なく厳しい状況下で、湧いてくるのは絶望ではなく。
笑顔だった。
苦しい状況も連続でここまで続くと、何かが吹っ切れてしまうのかもしれない。


177 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:41:16 ID:bU+EsvuI
「……エレさんは、今何処に?」
「え? そういえば姿を見てないわね。そのへんにいると思うけど……」
シアナが立ち上がろうとした時、ウィナはシアナの手首を掴んだ。
さっきとは打って変わり、真剣な表情でシアナに告げる。


「私、見たんです。火の中で……エレさんが……何か力を使って火を消していくのを……」
「えっ……?!」
「凄く苦しそうにして……」

その時の事を思い出したのか、辛そうに眉を寄せるウィナ。

「あんなに苦しんでいるエレさんを見るのは初めて……でした」

あいつ――刻印を使ったのか。
シアナは唇を噛んだ。

エレは悪魔の刻印を使って火を「殺した」んだ。あれは何もかもを殺す死の刻印だから。
どうして。使えば死ぬと分かっているのに、何で……!!


ふっと、先ほどみた「幻影」の記憶が鮮明に甦る。
父だと見間違えた人物。――それは確かに存在した。
ただ朧げな思考では、それがはっきりと分からなかっただけだったのだ。
父の幻と。そこにいた――シアナが目撃した人物のイメージが乖離していく。

178 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 00:42:14 ID:bU+EsvuI
「あ……」

あそこにいたのは――亡くなった父じゃない。
勿論、亡霊や幻でもない。
エレだ。

エレがあそこに現れて私を救ったんだ。

「あいつ……」

その場をぐるりと見回した。エレはいない。

「ごめんウィナ、私、あいつのこと探してくる。助けられっぱなしってのは癪だもの。一言、言ってやらないと気がすまないわ」
「……分かりました。エレさんのこと、お願いしますね。あの子は貴方には気を許しているようだから」
「任されたわ。でも、気を許してるってのは悪い冗談ね」
「あら。冗談なんかじゃないのに……気付いていないんですか?」

照れ隠しに顔を背けるとシアナは歩き出した。


「……行って来る」


179 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 01:53:54 ID:bU+EsvuI
生まれた瞬間から呪われた宿命を背負わされていた。
いや、この世界に産声をあげるよりも遙か以前から、魂に呪いが降りかかることは決められていたのかもしれない。

そうであったとしても、だ。そのようなことを今更問うても何の意味がある。無意味だ。
この呪いに意味などなく、この刻印に意義などない。
世は不平等の集合で造られている。――その皺寄せが、多く此方へ来たまでのこと。
名も知らぬ他人への怨念を肩代わりし、力を手に入れた。それだけのこと。


「ぐ……っ」

それだけ、だ。
今に始まったことでない。痛みには慣れた。吐き気にも終わることのない頭痛にも、燃えるような疼きにも慣れた。
これは死ぬまで続く決して終わらない病だ。死を絶対のものとする対価として、人の何倍もの速度でこの身体は朽ち滅びへ向かっていく。
それを承知で力を使っているのだ。不満などありえるはずもない。

ひとつ慣れないものがあるとしたら、それは――それは。



エレは自身の手を見た。
黒い鱗が、皮膚の上を這っている。
内側から、着実に自分以外の何かへ変貌する実感があった。
魂に穿れた刻印は肉体を、精神を覆い尽くしていく。
やがて所有者を食らい自らも虚無へと還る為に。

180 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 01:54:51 ID:bU+EsvuI
「……龍に、変わるか……それもいい」

ぼそりと呟いた独り言を、「よくないわよ」と一蹴する者が現れた。
顔をあげる。
怒ったような顔をしたシアナがそこにいた――。


「何故ここへ……来た」
「来ちゃいけないの」
「次に声を掛けたら殺すと言っただろう――俺は本気でお前を殺すぞ。容赦なくな」
「……そう」

臆することなくエレの目の前まで近づいてくる。
立ち止まり、じっと静かにエレを瞠目した。

「私、言ったわよね。力を使わないでって。何で使ったりしたのよ」
「理由を聞いて……どうする、つもりだ? 俺が何に刻印を使おうと俺の自由だ。誰に指図される謂れはない」
「あ……あんたね!! 分かってるの!? 使ったら死ぬんだからね!!」
「……くどい。前にも言ったはずだ。知っている」
「じゃあ、何で……」

181 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 01:55:44 ID:bU+EsvuI
先ほどの一件だけじゃない。
何でこいつは――人が窮地に陥るといつもいつも、救ってくれるんだろう。
巨龍の時も、蒼黒龍の時もそうだ。
どうして自らの命を削ってまで、憎い筈の宿敵を助けるのか。

「自惚れるなよ龍殺し。……お前は俺が殺すからだ。他の誰にも止めは与えず、俺が殺すと決めた。
それまで死んでもらっては面白くない。お前を生かす気など俺には毛頭ないのだ。
ゆくゆくはこの手で、貴様の心臓に剣を突き立てて哂ってやる」
「……わかんないわよ。どうしてそこまで私を殺したがるの」
「そうだな……」

今も猛烈に痛む心臓を押さえて、エレは不敵に笑う。

「魂が疼くからだ。お前の死が欲しいと、俺の魂が声をあげている。
お前を殺せるのは俺だけのように、俺を殺せるのもお前だけだろう。
だとすれば本気で切り結んだ果てにどちらが勝つのかは誰にもわかるまい。
お前が生き残るのか、それとも俺が生き残るのか、な……。
そうして死が側に垣間見えれば俺は満足なのだ。
彼岸と此岸の狭間で命を賭して戦うこと――それこそが俺の望みだ」
「そんなの……っ!!」

そんなのは、悲しいだけじゃないか。
こっちはエレと殺しあうことなんて望んでいないのに。――それでも戦わないといけないのか。
私はエレを殺したいなんて思っていないのに。

182 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 01:59:28 ID:TiFTSZbI
 
 


183 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 02:01:23 ID:TiFTSZbI
 
 
 


184 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/15(水) 02:02:50 ID:PBg614fI
傍からみても分かるほどにエレの苦痛は激しさを増していく。唇を歪ませながらも、エレは喋るのをやめない。

「俺には……分かる。お前は戦うさ、龍殺し。必ず……な。俺が龍へ近づけば近づくほど、お前は俺を戦わざるをえなくなる。
俺の肉体はいずれ龍へと変わり、龍殺しの刻印を持つお前を食らうために牙を剥くだろう。その時お前は俺に剣を向けて戦う。
これは予言ではない。必ず実現する未来だ。逃れる術はない。絶対にだ」
「私が……嫌だっていったら?」
「妄言を口にするな。お前は生きる為に今まで剣をふるってきたのだろう――ならば残された道はひとつしかないと分かっている筈だ」
「……」
「そうして、龍を何百と倒してきたのだろう。俺も同じだ。自身の生存の為に刻印を使ってきた。咎の重さも多さも何も変わらぬ」
「……ええ」
「今更、その道を違えることなど出来はしない。お前も、俺もだ……ぐうっ……!!」

エレは痛みに呻き声をあげてその場に膝をつく。
シアナが心配そうに伸ばした手を、振り払らい立ち上がった。


185 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 12:36:08 ID:X6AnyS/E
エレって何気に愛されてるよなー
ズイマ総長とかウィナとかさ、イザってときにエレの為に危険を冒してくれる人がいるんだもんな
でも命を削ってまで火を消そうとしてたりするエレだからだよなー、と妙に納得

186 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 22:40:15 ID:2tU9Gphm
夏みかん氏の作品はもちろん面白いが他の作品も見てみたいな

187 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:02:12 ID:LXE5r6gm
夏みかん氏の作品が終わったら短編をひとつ投下する予定でござる

188 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:17:19 ID:wlfhl6eW
俺も短編を書いてみたけど体が拒否したのかあんまり痛くならなかったな

189 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:34:00 ID:5YFEJkMA
>>187-188
期待w
早く読みたいなw

190 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:38:24 ID:2tU9Gphm
最近このスレに来たからよく分かんないんだけど、誰かが連載中は他の職人が投下不可みたいなルールがあるの?

191 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:43:56 ID:5YFEJkMA
無いと思うよ?

192 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:49:37 ID:LXE5r6gm
ないと思う
俺は個人的に夏みかん氏が終わるまで自粛してるだけ
とはいってもまだ書き終わってないんだけどな

193 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:52:33 ID:5YFEJkMA
短編投下してもいいと思うけど……
実際、夏みかんさんの小説は続きからだから、新参にはよく分からんw

194 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 00:20:06 ID:armvPFlW
夏みかん氏の作品はもちろん面白いけどな

195 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 00:37:39 ID:armvPFlW
ちょっと大分前から気になってたんだが。。。。。。

性格が悪いのだろうか?
次スレに移ったら、スレ立て乙くらい言ってやっても良いんじゃないのか?
前スレの流れからして、スレ主=夏みかん氏ではないだろうに。
自分で立てるとか言って、自分じゃ立てられなかったから立腹?
自重しろよ……

196 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 00:40:16 ID:aCNq1Bxv
お前が自重しろよ
荒れるだろうが

197 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 01:05:25 ID:g9Ocl7Df
>>196
夏みかん乙

198 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 01:15:37 ID:AoPfiwNp
ここでは乙を言わなかったくらいで叩かれるのか、世知辛いな
いつもコテハンつけてるわけじゃなかろうに・・・

199 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 01:34:21 ID:3xLm1JXh
>>185
そうだね。何気に愛されてるね。
自分で書いてるくせに言われて初めて気付いたよ……
年配の方に気に入られやすいのかもしれない

>>186
どーもっす!!
そうだね、皆待ってくれているようなので申し訳ない
早く終わらせるようがんばります



補足しておくと、ここのスレ立てたのは自分です。自分乙!
投下中に投下しちゃいけないなんて決まりはないから
好きに投下していいと思うんだ……!読むの好きだから待ってるよ!!
あんまりピリピリしないでまったりいけばいいと思うんだ…



200 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 01:35:37 ID:3xLm1JXh
「俺に……触れるな」
「エレ、でも……」
「黙れ……っ、俺に慈悲を掛けているつもりか、貴様の情けなど欲しくもない……俺が欲しいのは……」


喋るのも儘ならない苦しみに侵されながら、それでも決して誰かに助けを求めようとはしない。
他人を助けるのは、その人物の為でなくあくまでも自分の為だと割り切っている。
情けはいらないと、救いの手を跳ね除けて、最期の時まで剣を交わそうとする。
全ては戦う為に。生き抜く為に。死を感じたいというのもそこに生を見出す為。
なのに自身の魂を削ると知りながら、なおそれでも、躊躇わずに刻印を使う。

「くそ……っ」
ああ――こいつは、孤高だ。悔しいけれど認めざるをえない。私なんかよりずっと、誇り高い騎士じゃないか。
その時、初めてシアナはエレに騎士たる誇りを感じた。
その高潔さを、綺麗だとさえ思った。

残酷で、戦闘狂という鎧に惑わされて自分はエレを見誤っていた。自分とは指向性が違うだけで、本当は――


201 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 01:37:04 ID:3xLm1JXh
「……っ、うぐ……っ」

エレの呼吸が荒くなる。瞳は火を含んだ如く緋色に燃えて、爆ぜる。
視界が揺らぐ。痛みは鼓動と同期し、肉体と溶け合い一体化していく。
内側から外側から悪魔の刻印の侵食に食われていく。

――殺セ。

耳に囁くは甘い誘引。
内側に轟くは痛い吸飲。
外部に出でるは黒い刻印。

――血ヲ。渇エテイルコノ身ニ血ノ飛沫ヲ浴ビセヨ。
龍殺シノ肉体ヲ抉リ、我ニ歓喜ノ雨を齎セ。

暗い影を打ち払う声が耳元で響く。

「……エレ、エレ!! しっかりしなさいよ!!」

それでも悪魔の刻印の力は絶対だった。声が聞こえなくなっていく。
意識が暗がりの安寧に、沈む。

――殺セ、殴レ、抉レ、嬲レ、屠レ、血ノ海ニ浸セヨ!!
――殺セ、――殺セ、――殺セ、殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ
殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ!!

202 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 01:38:08 ID:3xLm1JXh
エレの刻印は龍殺しの刻印に共鳴し、低い唸りをあげて荒れ狂う。
悪魔の刻印は龍殺しの刻印と引き合う性質を持っていた。
引き合い、どちらかが果てるまで殺しあう宿命を。

「エレ!!」

死が、エレの中に溢れ、蠢き、調和する。

――殺セ!!


「うっ……があああああ!!」

悲痛な雄叫びをあげて。
悪魔の騎士は――龍殺しの騎士に向けて剣を振り下ろした。


203 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 01:39:32 ID:3xLm1JXh
「あ……」

巻き起こる衝突の烈風。
その剣を受け止めた者がいた。シアナの前に立ち、豪剣を持ってエレの狂風めいた一太刀を受けきって見せた。

「総長……!!」

颯爽と現れたのはズイマ総長だった。
背中をシアナに向けて、総長はエレと邂逅している。
嵐の如く繰り出される連撃を、巧みな剣捌きで迎えては押し流す!!

「全く……この馬鹿息子が……!! 正気を取り戻さんか……!!!」
「があああああっ」
「……飲まれたか……未熟者め、仕方ない、ひとつ私からじきじきに痛いのをくらわせてやる」

熟練された太刀筋。――重さが違う。速さが違う。重ねてきた修練の年月が違う。
鍛え上げられた一刀、そこには魂が宿る。想いが宿る。その一振りは魂の斬撃だ。
傍で二人の剣闘を目の当たりにしたシアナは、鳥肌を覚えた。

刻印の呪いにより精神を侵され、飲まれてしまった今のエレは理性を無くしている。
理性をなくした事によって箍が外れたのか。いつにも増して攻撃の様は鬼――或いは羅刹を思わせる修羅ぶりだった。
ただ戦い血を降らせることのみを志向し、そこに僅かの躊躇もない。
目の前のシアナを殺そうと、剣を振るう。そしてそれを邪魔する者も殺そうと、鬼神じみた猛攻で攻め立ててくる。
邪魔する者がズイマであろうと――容赦なく。


204 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 02:23:51 ID:3xLm1JXh
「がああああああああっ!!」
「はあああっ!!」

その連なる剣の突進を、ズイマは回避することなく受け止める。

ズイマは、正気を無くしたエレを現実に引き戻すべく一撃一撃に渾身の力をを込めているのだった。
かわすことなど出来るはずもない。

この一撃はエレの苦しみだ。
それを受け止めずに、親などと名乗れるわけがない。
刻印がお前を苦しめているのなら、その辛さごと――受け止めてやる!!

「目を覚ませ!! エレ!!」
「がああああああぅううう!!」

エレの目は吊り上り、口は大きく開かれ、瞳に理知はない。殺戮を行う為だけに特化した「悪魔」へと変貌したエレは獣めいた狂相で攻撃してくる。
エレは、唐突に剣を放った。直線に乗って剣はシアナへと飛ぶ。
ズイマはそれを叩き伏せた。

瞬間――ズイマに隙が生まれた。
本の数秒。だが――狂戦士と化した悪魔の騎士にとっては十分過ぎるほどの時間。

エレの手が、ズイマへと伸びる。
そして手は――ズイマを正面から貫いて血飛沫を降らせた。


205 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 02:26:44 ID:3xLm1JXh
「総長おおおおっ―――!!」

シアナの悲しい叫びが空にこだました。


「がぶ……うっ」

口から大量の血を滴らせるズイマ。
返り血を浴びて真っ赤に染まったエレを見て、苦しげに口を動かす。
「エ……レ、」

息子の名前を愛しげに呼んで、一度大きく身体を痙攣させるとその場に崩れ落ちた。
すぐさま総長を抱き起こし、止血を施そうとするシアナ。

「総長!! 総長!! しっかりして下さい、今すぐリジュを呼びます」
「いや……いい……」
「なっ……そんなわけにはいきません! ちゃんと治療すれば――」

シアナは傷口に目をやる。胸から背まで貫通している。目を覆いたくなるほど酷い傷口だった。
これでは……助からない。今喋れているのが不思議なくらいだ。湧いてきた絶望的な考えに、シアナは首を振ってそれを断ち切る。
駄目だ。諦めるな。総長を助けなくては。

「シ、シア………エレ、を……たの、…頼む、ぞ」
「総長――」
「あいつを……って……くれ……は…………」
「総長っ、ズイマ総長!!」


206 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 02:29:02 ID:3xLm1JXh
ズイマの身体の痙攣が止まる。
静かすぎる空の下、穏やかな微笑を浮かべて、目蓋を閉じた。

「あ……」


脈が途絶えた。鼓動も聞こえない。身体は徐々に冷たくなっていく。
ズイマは――死んだ。

「ああああ……」

空を仰ぐ。
シアナは絶叫した。
心が張り裂けそうな程、悲痛な声をあげて。慟哭があたりに響く。

ズイマの死を目の当たりにして、意識が戻ったのか。
エレは何も言わなかった。戦おうともせずに虚ろな様子でシアナの腕の中に抱かれたズイマを見ていた。
悲しみも喜びも、希望も絶望も、何処かに置き去りにしてしまった目で。


207 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/16(木) 02:31:18 ID:3xLm1JXh
今日はここで終わります
面白いと言ってくれてありがとう!みんな大好きだ!
ではまたー

208 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 23:49:01 ID:XxUgcYii
試しに短編を書いてみた
が、あんまり期待しないでくれ

ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp01327.txt

209 :創る名無しに見る名無し:2009/04/16(木) 23:59:55 ID:aCNq1Bxv
>>208
なんという俺好みの能力
面白かったよ

210 :創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 20:25:07 ID:pZcISagF
>>208
これは……いい中二病……

211 :創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 20:46:42 ID:Dw2VNUQN
>>208
久しぶりにいいものを見せて貰いました。
グリモアールも最後通牒って使ってるのも私好みですw
良い厨二を見せてもらいました!!!
また短編書いたら見せてくださいね^^

212 :創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:31:24 ID:nb1ih6B6
面白いなw(このスレ的な意味で)

213 :創る名無しに見る名無し:2009/04/17(金) 23:45:15 ID:QyE7CG6m
く……俺の邪気眼と共鳴している……!

214 :創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 00:04:12 ID:Ji9uQkHJ
>>208

俺以外に『塔』の存在を知っているやつが居ようとはな・・・
しかし『俺の』「グリモアール」は半端無いぜ?

215 :創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 03:09:43 ID:2K6/1Ihf
久しぶりに邪気眼っぷり抜群の小説を見たぜw

216 :創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 12:58:53 ID:y2ApSIHz
>>208
文章が『巧い』、な……?
組織は貴公に並々ならぬ期待を寄せている。
ゆめゆめ裏切る事の無きよう……

217 :創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 22:43:54 ID:zb6Fi8xp
ほう
こんな辺鄙な所にこれほどの「使い手」がいたとは……
これからが楽しみだ……

218 :創る名無しに見る名無し:2009/04/18(土) 22:58:28 ID:uhMQPcWU
とうとう住人までが厨二病となったか・・・っふ・・・
これが弱き者の落ちる道よな・・・

219 :創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 01:37:19 ID:ykJaRl27
おいお前らしっかりしろ!!
真の邪気眼使いは俺だけで十分だ!!

>>208
俺の黒歴史思い出した。
いい中二っぷりだ。
伊集院さんも満足だろうよ。

220 :創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 09:53:01 ID:EfCNsz2F
>>208
お前の才能に全俺がShift!

221 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 00:29:59 ID:FQodj2ZM
>>208
中二病な小説設定って言うからはじめてみたけど、面白いね
ファンタジースレと変わらんじゃんとか思ってたけど、理解したよ
これが邪気眼っぽい小説ね
面白いわ

222 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 01:28:18 ID:pPBYpkCp
夏みかん氏はもう来ないのだろうか……

223 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 02:36:03 ID:+WwG68Dt
というか今までの作品を、夏みかん氏の前スレ分も含めて
テキストで欲しいんですが、どなたか書き留めておられる方は
いないですかね?

224 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 08:26:55 ID:uBSzuStb
>>222
氏にだってリアルの生活があるんだから数日来なかっただけで心配しすぎだろ

>>223
wikiにあるよ
http://www26.atwiki.jp/sousaku-mite/

225 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 09:46:25 ID:OwDlzhrX
>>223
つttp://www6.uploader.jp/dl/sousaku/sousaku_uljp01341.zip.html

zipファイル
邪気眼氏と夏みかん氏の作品を.txtにまとめたものと1、2スレの過去ログ
それと他にひとつふたつ作品が入ってます
各作者さんにおこられたら消します
passはjakiganです

226 :223:2009/04/20(月) 19:49:04 ID:s2s/Vuex
>>225
どもっす!

227 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 00:40:30 ID:WtHJjDhE

               £__
              / ̄   \
     〜 &     |      :::|
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              |  ∬      ∬:::| チーーン、、、
               |  ii ,,≦≧、 :ii :::::|
            _ |  旦‖===‖旦::::::| _
    -W-----┘二二二二二二二二二└--ff---\--


228 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 01:06:28 ID:Vo4oJ0Ds
こうやって一度に読めると嬉しいね。
このスレから見始めたからさ

229 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:37:39 ID:UTdDm2CA
再び、鼠色の空から雨が降り始めていた。
悲鳴を聞きつけ、その場に隊員達が駆けつけた頃には既にズイマの息はなく、
疲労で地面に倒れたエレと、悲壮な姿のシアナを見つけた。
騒ぎを耳にしたリジュとイザークもやって来る。

「これは……一体何があったんですか、シアナさん……!!」
「……リジュ」

気絶したエレの手には、夥しいほど血が付着している。

それと、ズイマの惨い亡骸を見て――その場に居合わせた全員がようやく真実を知った。
悪魔の騎士が総長を殺害したという、残酷な真実を。
「……そんな」

イザークが唖然と呟く。
無理もなかった。
誰がこんな悲しい未来を予想出来ただろうか。

「……こいつ……」

騎士の一人が、怒りを露にしてエレに近づく。
利き手は剣の柄に。足は強く地を踏みしめ。
地面に身体を横たえたエレを憎憎しげに睨み付け、ぎりぎりと歯を噛み締めた。


230 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:38:28 ID:UTdDm2CA
「こいつ、ズイマ総長を殺すなんて――何て事を……!!」

そうして今にも斬りかからんばかりに、全身を憤怒で震わせた。
剣を抜こうとした手を、リジュが押さえる。

「――やめなさい。怒りで目を眩ませてはいけません」
「ですがリジュ隊長、こいつのやったことは……!!」
「ええ。分かっています。彼は……エレは罪を犯しました。……それは当然、裁かれるべきものでしょう。
ですが、だからといってここで貴方が、私怨で彼を裁いていいという正統な理由にはなりません」
「くっ……」
「いいですね。分かったら剣から手を離して下さい」

騎士はリジュの言葉に気圧され、俯く。
その表情は暗い怒気が滲んでおり納得がいっていない様子だった。

「リジュ、後は……頼んだわ。私はエレを雨が凌げる場所で休ませてくる」
「はい。シアナさん、後で……事情を聞かせてもらえますね」

シアナは無言で頷く。
気を失ったエレを肩に担いで、歩き出した。


231 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 01:39:56 ID:VxS7S52S
 


232 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:40:14 ID:UTdDm2CA
「……屋外に仮設の救護施設が出来てます。東側へ行ってください」

返事はなかったが、リジュの言葉が届いたのか、シアナは重い足取りで東へと向かった。


身体が凍るように冷たかった。
外側だけでなく内側の芯、もっと深い所が凍て付くように寒い。
雨のせいでは決して無い。

……何度経験しても慣れることがない、死の痛み。
胸を深い所から抉る、絶望と不快感が埋め尽くす。
この感覚に身を委ねていれば、きっと深みにはまる。

――悲しみに溺れてしまう。痛みの海に沈没する。
子供の時、両親を失った時みたいに。何も出来なくなってしまう。

だから、心を凍らせる。悲しいという気持ちを、一時だけでも忘れようと努力する。
今やるべきことを考えて、苦しみに飲まれないように。

エレの身体を仮設のベッドに置くと、シアナはその場に立ち尽くした。
エレを見る。

頬にあった刻印は禍々しい色合いに変色し、皮膚には鱗が浮き出ている。
シェスタがかつてシアナに告げた通り、エレはゆっくりと着実に龍へと変化していた。


233 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:41:27 ID:UTdDm2CA
こんな姿になるまで、一人で刻印と戦い続けてどれほど苦しんだだろう。
――それでも、こいつは、助けてなんて言ったりしない。
絶対に誰かに救済してもらおうなんて考えたりしない。自分の命の拠り所は自分で決め、孤独を守り、一人戦うのだ。
人に頼ること、それが弱さだと思っているから。
弱い自分が許せないのだ。
許せないから、絶対に自分の誓いを破ることもしない。

「エレ、貴方……似てるわ」

似てる。馬鹿馬鹿しいくらいに誰かとそっくりだ。
だから、分かる。
エレは辛ければ辛いほど、絶対に弱音を口にしたりせず、一人戦おうとするだろう。
その心は悪魔。
人が寄り付くことを好まない、潔癖の悪魔。

だからこそズイマは、自分に言ったのだろうとシアナは思う。
エレを頼む、と。



翌日になった。
長らく続いていた雨が止み、雲間が晴れてきた頃、リジュがビィシュを連れ立ってやってきた。


234 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:42:21 ID:UTdDm2CA
「……シアナさん」
「リジュ」
「エレ君の具合はどうですか?」
「……ずっと寝てるわ。当分は起きないと思う」
「そうですか」

嫌な沈黙が場を支配する。
切り出したのはビィシュだった。
いつもと変わらない表情で、シアナに告げる。

「いつまでも引き伸ばしていても仕方が無い。単刀直入に言う」
「……何?」
「シアナ。エレの処分が先ほど決定した。……騎士隊総長を殺害、ならびに騎士隊を刻印によって危機に追いやった罪として死刑に処す」

世界が、揺れる。
冷たく凍らせた心に杭が打たれる。
ビィシュが告げたエレの処分は、あまりに重いものだった。


「……そん、な」
「言っておくがこれは全隊長、それから国王の意を汲んでの決定でもある。このままエレを放っておけば良い事態にならないことは明白だ」

ビィシュは鋭い視線をエレに向けた。

「エレ自身の為、にもな……」


235 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:43:02 ID:UTdDm2CA
「どうにか、ならないの……」
「無理だ。平時において騎士の人殺は重罪、極刑に値すると知っているだろう。覆りはしない」
「だって、そんなのってあんまりじゃない……!! こいつは……エレは、」

ずっと、一人で。
戦ってきたのに。

「……シアナさん……」

命を減らしてまで刻印を使い続けて、
その結果が――これだとしたら。

なんて、報われない。

「エレが目覚めたら連行する。意識が戻ったら……知らせてくれ」


236 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:43:50 ID:UTdDm2CA
夜になった。
周囲は見張りを幾人か覗き、仮設の寝床で就寝している。
星は空に瞬き、不規則な煌きを零していた。
シアナは、エレの傍に椅子をおいて、その上で座ったまま寝ていた。
深夜、人の動く気配に目が覚めて起きてみると、エレの姿がなく寝床がもぬけの殻だった。
シアナは急いで立ち上がり、エレを探しに走り出す。

何処に。こんな時に、何処に行ったんだろう。

何処に行ったのか――思いつく場所は、特になく。
シアナは手当たり次第に周囲を探した。

最後に向かったのは、寄宿舎だった。
延焼し、焼け果てたかつての住処。

一歩、足を踏み入れる。
庭に人の気配を感じ、シアナは庭へと向かった。


「エレ、起きたの?」

237 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:44:33 ID:UTdDm2CA
薄闇の中にうっすらとエレの姿が見える。
エレはじっと、真っ黒になった建物に目を向けていた。
崩れ落ちた寄宿舎。それでもかつての面影は少しだけ残っている。
この距離では表情も伺えず、エレが何を考えているのか分からない。
だがシアナは、エレが沈んでいるように見えた。
いつもの覇気が感じられず、こちらに向かってくる闘争心も見受けられない。

「……ああ」

やけに素直だなとシアナは心の中で苦笑する。
いつもだったら厭味のひとつやふたつ、連続で飛んでくるところなのに。

「刻印は……どう?」
「……いつもと変わらんな」
「そう」

それが、自分の想像を上回るほどに強い苦痛なのだろうと、淡々と告げる口調からかえって知ってしまう。

「……何の用だ」
「用……って」


238 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:46:25 ID:UTdDm2CA
ああ、そうだ。
特に目的もなく追いかけてきてしまった。
シアナは少し考えて、そうだ、と思い出した。
大事にしまい込んでいた剣を取り出す。
そして、エレに手渡した。

「これ」
「何だこれは」
「何って、大切なものなんでしょ? ウィナが燃えてる寄宿舎から取って来てくれたんだからね。
感謝しなさいよ」
「フン、そんなもの誰も頼んでいない」
「あんたね――!!」

食って掛かろうとして、やめた。
……エレに処せられた処分を思い出して、押し黙る。
エレは死ぬのだ。
刻印に殺されるのか、法に裁かれるのかの違いだけで、どちらにせよ助からない。
その厳しい現実を。

「……どうした、掛かってこないのか」
「怪我人を甚振る趣味はないわ」
「貴様も大して違わんだろう」
「それはそうだけど……」


239 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:52:42 ID:VxS7S52S
シアナの声が徐々に小さくなる。

そしてぷつり、と途切れた。
それを聞き届けると空に向けて、エレは声を発する。

「……俺は、死ぬだろうな」
「…………」
「総長を殺したのだ。科せられる処罰など大体検討が付く。大方、極刑か」
「エレ……」
「その顔は……知っていたようだな。もう決定事項か、思ったよりは随分と早かったが……まあいい」
――よくないわよ!
反論しようとして、顔をあげた。エレと視線が交錯する。
言おうとした言葉が声にならず、喉の奥で静止する。
エレの目が見たこともないくらに、悲しかったから。

「……あれは。ズイマは俺の父代わりだった。俺は認めていないが奴は勝手に俺を拾い、俺の保護者となった」
「え……」
唐突に身の上話を始めたエレに、シアナは戸惑う。
戸惑ったのは、それだけではない。今までのひねくれた態度ではなく、エレは素直にありののままを喋っていた。
それが意外でシアナは黙ったのだ。エレは続けた。
 
「シルクレイスの大災禍。お前も知っているだろう。アレで俺は親を喪い孤児になったのだ」
まさか――
シアナは驚愕した。
 
まさか、エレもあの災禍の被害者だったのか。
「……そう、だったの……」
「何だその目は。気色が悪い。お前に同情してもらう趣味はないぞ」
「……失礼ね」
「フン、何処までも勝手な……奴だった。俺を拾ってきた時もそうだ。こちらの意思など問題にもせず……。
父と呼べ、父と呼べと小煩かったが、俺はあいつを一度も父などと考えたことは無い」
エレはそこで一旦、言葉を区切ると顔をあげた。


240 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:55:18 ID:VxS7S52S
「だが、そうだな。……多分、俺は奴が拾わなければ、行く場所もなく野垂れ死んでいたのだろう。
……俺は、そのズイマを、奴を殺した。これ以上の罪が何処にある? 刻印のせいなどということは関係がない。
俺がズイマを殺した。それだけが事実だ。
刻印が罪だというのなら、おそらくそうなのだろう。
これは罪だ。所有することが罪悪ならば、使い続けることも罪悪なのだ。
“刻印”という罪の存在を許すこと、それがすなわち罪なのだからな」
「罪……?」
「ああそうだ。お前もとっくに自覚しているだろう?
何故、刻印を使えば使うほどに力が増し、対価が重くなるのか。
答えは簡単だ。刻印を使えば使うほどに、俺達の罪もまた重くなるからだ。
俺もお前も、咎人だ。罪を負い、罪を犯しながらしか進むことが出来ない。
許されようなどと考えるな。救われようなどと甘い夢を見るな。
気休めに逃避したとしても待ち受けているものは一つ。それは死だ。
俺は……自らの罪によって滅ぶならそれでいい。この身はいつか滅ぶ。それが早いか遅いかだけのこと」
 
存在を許されない証。呪われた印。
魂に刻まれた、罪の記憶。
許されないと知っておきながら、穢れた刻印を使い続けた。
それが罪なのだと、エレは言う。

それこそが罪悪、罪を許そうとする行為自体が、また罪に他ならないのだと。
 
「じゃあ……どうすればよかったの」
シアナは喉の奥から声を絞り出して言った。
「じゃあ、諦めればよかったの?! 全部投げ捨てて龍に食われろって? 御免だわ。
生きたいって思うのがそんなに悪いことなの? 私は……私は……っ。……あんただって、エレだって……」
ただ、生きたかっただけじゃない。
それだけ、なのに。たったそれだけ。
他には何も望んでいないのに。――望むことすら、許されなかった。
世界は全てを静かに押し付け、救済の手すら差し伸べてくれない。

ああ、それならば、一人でも戦おうと誓った。業を負い罪を成し続け龍殺しの騎士と悪魔の騎士、道は違えど目指した場所は同じだった。
「あんたは……それでいいの」
「……それでとは、何がだ」
「私は全然納得してないわ。あんたが刻印で苦しむことにも、この処罰にもよ!! 答えてよ、それで満足なの!?」
 
必死の叫び声に、悲しみに満ちた目の奥が、僅かに揺らいだ。
だがそれも、少しの時間のこと。
感情は色を変え、徐々に収まっていく。
エレは無表情になり、シアナと正面から睨みあった。


241 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/21(火) 01:57:13 ID:VxS7S52S
「……満ち足りることなど、生まれてから一度も有りはしない。
俺は、いつも乾いていた」
「……」
「だから……分からない。今も酷く、乾いているのだろう。渇望が感じられないほどに」
「どうしたらいいのよ……」

シアナは項垂れて、ぎゅっときつく目蓋を閉じた。
浮かぶのはズイマの最期。
シアナを庇い、重症を負いながら、エレを頼むと告げた最後。
初めてズイマに頼みごとをされたのだ。
自分はウィナからの伝言を告げられなかったのに。
だから……せめて、あの願いだけは叶えてあげたかった。
ズイマはこんな未来は、望んでいないはずだ。
そして自分も。
「どうしたら、あんたを救える……?」
「分からぬ奴だな。俺にもお前にも救いはない、と言っただろう」
「……そんなの、不条理だわ」
「今更、何を言う。この世界は不条理だらけだ。条理の通ったものの方が遙かに少ない。
クッ、良かったではないか。一つ賢くなったな」
「アンタって……嫌な奴」
「それも、今更だな」
言葉が止まる。この先、何と続けていいか分からない。
エレに生きてて欲しいと思う。
だがそれは、エレにとっては救済ではないのだろう。
……自分に、何が出来るのだろう。
ズイマとの約束を守るために。
「……俺は、もうすぐ龍に変わる」
「……エレ……!!」
「おそらく、後一回、力を使った時が限界だ。もうこの先はない。それもいつ刻印が発動するか分からない。
……俺は龍に変わり、刻印に自意識を奪われお前達を食らい尽くすだろうな。刻印は暴走し、フレンズベルを死の森へと変えるだろう」
「――っ!!」

「龍殺し。それでもお前は、俺を救うというのか?」

……ああ。
最初から、こうなることは決まっていたのかもしれない。
逃げる道も選ぶ道も、行くか戻るかの二つしかないのならば。
私はいつだって、――進む方をとるしか出来ないのだから。
龍になったエレを生かし続けることが救済だとは思わない。
そんなのは救いじゃない慈悲でもない。……ただの傲慢だ。
そうなった時、私に与えられるのは生じゃない。
シアナは、エレを間近で捉える。

そして――告げた。壮絶な決意を込めて。


「……もし、そうなった時は――私が貴方を殺すわ、エレ。
私が全力で……殺してあげる」


242 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 08:58:55 ID:+Zzs9MvM
>>夏みかん氏
乙です

なんつーか普通に文章の組み立てが上手い人ばかりだよね、このスレ

243 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 09:43:43 ID:PcMhkOpv
ファンタジースレとかに投下しても普通に乙やGJが貰えそうだしな

244 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 12:33:29 ID:GiUXjzHz
まあ、ファンタジースレが無いからこのスレに投下したんだろうけどね

245 :創る名無しに見る名無し:2009/04/21(火) 13:12:10 ID:ID3uO/Ay
ファンタジースレあるよ

246 :創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 06:58:49 ID:SRxNYIGb
一族を滅ぼした兄を殺害することを生きる目的にする天才美形少年や、幻術や黒焔を召喚する邪気眼
なんてどう?

247 :創る名無しに見る名無し:2009/04/23(木) 11:19:30 ID:nSLG+FSH
――――真の邪気眼なら
発言と同時に既に形に成っている

248 :創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 20:53:31 ID:+PocrALs


――ああ


――お題をくれ




249 :創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 21:33:16 ID:2RIzIWsd
>>248
モノリス

250 :創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 23:29:06 ID:/r4yOtSw
>>246
じゃあ技名は「千鳥」や「月読」「天照」で良いかな?

251 :創る名無しに見る名無し:2009/04/24(金) 23:52:23 ID:SgjBi4We
ちょっとずつ書いてたんだけど規制されちゃった……

252 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 00:13:08 ID:bMsqR6nR
規制解除&PCが修理から帰ってきたので投下します
前スレの途中で終わってしまった小説です


『ゲーム』


俺は夜の世界に立っていた。
胸の中に広がる喪失感。
夢の中で、俺は泣いていた。
広い草原の中に、誰かが立っている。
大きな満月が彼女の後姿を照らしていた。
「……その代わり」
彼女が振り返る。
「私を愛してくれますか?」
また、あの夢だ。
彼女の頬をつたう涙が見える。
けれど、顔が見えない。
そして、俺は――

「……朝か」
目を覚ました。
差し込む光が眩しい。
夢の断片が残っていたが、それらは思い出そうとするたびに、手のひらから零れ落ちる水のように消えていく。
鳴り響く目覚ましを止め、起き上がる。

今日から京都に二泊三日の、修学旅行だ。

253 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 00:18:56 ID:bMsqR6nR
>>251
どんまいっす^^;
規制解除スレに相談したらいいのかな?
自分は諦めて放置していたら治りました。

さるさんかかるまで投下します。

>>夏ミカン氏
投稿かぶっちゃって申し訳ないっす。
最初から読み直しましたが、すごく良い文章です。
文才あるとここまで違うんだな〜って思っちゃいました。
つづき期待してますw

254 :かねごん ◆uvoLj2S3GM :2009/04/25(土) 00:19:48 ID:bMsqR6nR

「うーーーーっす、カオル。遅いぜ」
クラス委員の拓真が名簿をチェックしながら俺を指差した。
どうやらクラス委員として点呼をしているらしい。
「……ん、俺が最後?」
眠いので適当な返事を返す。
「最後も最後。学年で最後だぜ、お前」
修二が笑いながら話しかけてくる。
「……そっか」
あと五分で来なかったら置いていかれる所だったらしい。
――どうでもいいが、眠い。思考が回らない。昨日は夜遅く寝たしな。

地元の駅に向かうバスの中では爆睡していた。

ここから京都駅までは新幹線で二時間。
その間に俺達はトランプを切り、大貧民をやる。
最下位のやつが、一位の奴に何か奢るという賭け付きで。
「……うわ、最悪なカードだ。こりゃ負けたな」
俺は裏腹な事を言い、頭の中で出す順序を組み立てる。
友人4人で向かい合わせに座ってお菓子を食べ、あっという間に過ぎ去っていく景色を見て、ああ、旅行に出かけてるんだな、と思った。
そしたら興奮して目が冴えてきた。
「8切り」
カードを流す。俺が最初から飛ばしているのを誰か気付いただろうか?
そうだ、別の話題をふって誤魔化すか。
「拓真、アレ持ってきた?」
「ん?持ってきたけど」
俺は鞄からUSBを差し出す。
「これ、お前が作ったゲームの続き?」
そういって携帯ゲーム機を取り出し、USBを接続させる。
「ああ。昨日夜遅くまでかかったけど、5面まで作った」
拓真はすっとゲーム機を隠し、トランプを握る。
担任が通り過ぎるのをまち、また取り出して再開する。
大貧民を再開しながら、拓真はテーブルの下でカチカチとゲームをやっていた。
「……あれ?こいつ、ここで死ぬんだ」
ああ、あいつの事か。
「まぁな」
「ふーん。せっかく育ててたのにな」
12を四枚出しで、俺は革命を起こした。
「嘘っ!?」
文也が素っ頓狂な声を出し、5の四枚出しで革命返しをするが、その革命を更に返してやる。
「じゃ、俺のあがり。最下位の奴はあとで何か奢ってくれ」
最弱のカードを出し、あがる。
安心したら、また眠くなってきた。
「すまん、また寝る。着いたら起こしてくれ」
「了解。おれもあがりっと」
拓真が手札を出し切り、携帯ゲームをしているのが閉じていく瞼の隙間から、ぼんやりと見えた。
俺は座席を倒し、眠りについた。


255 :かねごん ◆uvoLj2S3GM :2009/04/25(土) 00:21:40 ID:bMsqR6nR

京都駅に着いた。
生徒が多いので降りるのにも一苦労だな。
重い荷物を持って、俺らも列の後に続く。
ウトウトしていたら、説明とかなんやらを聞いていなかった。
「あ、拓真。悪いけどトイレいってくる」
「はぁ?さっき行ってこいって言ってたじゃないかよ」
そうなのか。寝ていたから分からなかった。
拓真が腕時計を見て、言う。
「こっちは全員いるって事で点呼済ませるから、早く帰ってこいよ」
「ああ、わかってるよ」

しかし迷ったな。広すぎだ、京都駅。
トイレを済ませて出てきたのはいいが、集合場所に誰も見当たらない。
立ち止まって考える。もう別の場所に移動したのか?
バスの方に行ったのかもしれない。俺がいないことで、皆待っているだろう。
めんどくさいが、探さないと流石にマズいだろ。
歩こうとしたとき、俺の足に柔らかいものがまとわりついた。
黒猫?
「……なんだ、お前。危ないじゃないか」
腕を伸ばすと肩に乗っかってきた。
「おっと」
抱き上げて、腕に抱える。
人に懐いているということは、飼い猫だろうか?それにしては首輪が無いが。
「どうしたらいいんだろうな」
仕方ないから猫を抱えたまま歩き回る。
駅員さんがいたら、渡そう。
そう思って、歩き回っていると、女から声をかけられた。
「居た」
振り返る。学生服ではないことから、俺の学校の生徒ではない。
と、いうことは。
「……この猫、あんたのか」
彼女はだいぶ凝った服装をしていて、ぼさぼさの銀髪が目を引く。
ファッションデザイナーの学校にでも通ってるのだろうか。
「来な、ユラィ」
俺の腕から黒猫を引き離そうとするが、猫が俺にひっついて離れない。
俺も協力したのだが、学生服に爪を立ててまで抵抗している。
黒猫は俺の胸にぴったりひっついて、気持ち良さそうに頬をすり寄せてくる。
「……時間無いから一緒に来い」
「……おい」
彼女は腕を掴んで俺を引っ張った。
女のくせに強い握力だ。
「あのな、俺も時間が無いんだぞ。早く帰らねぇと置いてかれちまう」
「……」
この女は俺の話を聞く気がないらしい。


256 :かねごん ◆uvoLj2S3GM :2009/04/25(土) 00:23:11 ID:bMsqR6nR

そのまま引っ張っていかれると路地に出た。
「あら、遅かったわね」
……今度は和服の女かよ。
ここまで引っ張られてカツアゲにでも会うのかと思ったが、違うようだな。
「悪ぃ。ユラィが見つからなくて。行こう」
黒髪の女は溜め息をつくと、空を見上げた。
「……三日探しても見つからないなんて」
「諦めな、かぐや。そういう運命だったんだよ」
銀髪の女が諭すように言う。
ふと、かぐやと呼ばれた女は俺に視線を向けた。
「どうした?かぐや」
黒髪の女の子は俺をじっと見た。
「あなた、名前は?」
「……真山。真山カオル」
「……彼でいいわ」
俺のもう一方の腕を、彼女が掴んだ。
「……何すんだよ」
俺の携帯が振動した。
拓真が連絡してきたのだろうか。しかし、両腕を二人に掴まれたこの状態では取れない。
「――開いて」
和服の女が、壁に何かを押し当てて、それを回した。
路地の壁が、二つに裂けた。
「なっ……」
驚いて声が出ない。
壁の向こうは、空が広がっている。
二人の女が腕を引っ張り、俺をそこへ落とした。
黒猫が俺からはなれ、彼女達の足元に器用に着地する。
裂け目が閉じられていくのが見え、閉じた瞬間、携帯の振動が止んだ。
下へ、下へ。俺は空を落ちていった。


257 :かねごん ◆uvoLj2S3GM :2009/04/25(土) 00:23:56 ID:bMsqR6nR

私の家に、かぐやが訪ねてきた。
「相変わらず、ごちゃごちゃしてる部屋ね」
「……珍しいな。お前から私んとこに来るなんて」
研ぎなおした剣を、ドラゴン・ギアに戻す。
「シルバーレイン、アルバイトしない?」
「かぐやの方から依頼なんてね。いいよ、どんなやつ?」
「私の護衛」
「護衛って……かぐや、まさか出かける気なのか?」
「そうよ」
何年ぶりだろう。かぐやが外界に行くなんてな。
「どこに行くんだ?」
「私の故郷よ。おそらくだけど、危険な所では無くなっていると思うわ」
「それは残念だな」
ドラゴン・ギアを使う機会がないのか。
「それと、これから行く世界にはコアは無いと思うわ」
「……そうなのか」
行く気が失せた。
「そこのユラィでも連れて行けばいいんじゃないか?」
黒猫を指さす。
日向で眠そうに欠伸をして、小さな口から火花を吹いた。
「ダメ。あの怪獣を連れて行ったら故郷が灰になっちゃう」
それに、とかぐやは付け加えた。
「一緒に行ってくれたら、あの子の飼い主が滞納している三ヶ月分の家賃は見逃すけど?」
「……わかったよ」
仕方ない。金は正義。
金は誰も裏切らない。
「しょうがねぇな。お金様の為に、働いてやるか」
「そう。よかったわ」
かぐやが青色の鍵を取り出す。
それを私の物置にある鍵穴に差し込み、回す。
その扉を開いた。
ドアの向こうには、雑多な街並みが見えた。


258 :かねごん ◆uvoLj2S3GM :2009/04/25(土) 00:24:46 ID:bMsqR6nR

全身が軋むように痛い。
背中に、草の感触がある。
ぺたぺたと、僕の顔を触る小さな掌の感触がある。
目を覚ました。
目の前には、少女の顔があった。
「〜〜〜♪」
嬉しそうに笑っている。
僕はその顔を見て、少しだけ幸せをもらった気がした。
僕は手をのばして、少女の頬に触れた。
カチリ。
何かの錠が外れる音がした。
彼女が何かに気づいたように、立ち上がる。
小動物のように、警戒して周りを見渡す。
僕が引きとめる間もなく、走ってどこかへ行ってしまった。
体の上半身を起こす。
痛みが駆け回り、苦痛で顔を歪める。
特に右腕は石で切ったのだろうか。軽く裂けて、血が流れている。
何でこんなに怪我してるんだろう?
骨は、折れていないようだ。
頭がひどくぼんやりする。
カサリ、と草木を踏み分ける音。
音をした方に、視線を向ける。
黒髪の少女と、銀の色の髪の少女がいた。
「ほら、やっぱこっちに落ちてただろ?」
銀の髪の少女が言う。
「大丈夫?立てるかしら?」
黒髪の少女が、僕に手を差し出す。
僕はその手をとり、彼女に聞く。
「あなたは誰ですか?」
「かぐやよ。そっちの彼女はシルバーレイン」
ぼさぼさの銀の髪をした少女は、肩に乗った黒猫を指先であやしていた。
かぐやの手を借りて、立ち上がる。
「ところで、ここはどこなんですか?」
「【境界】だよ。全ての界と界を繋いでいるところだ」
シルバーレインがぶっきらぼうに答えた。
彼女の眼は、退屈そうに半分程閉じられている。
境界。
「それで――」
僕は躊躇しながら、彼女らに聞いた。
「僕が誰だか知っていますか?」
思ったとおり、二人は顔を見合わせ、戸惑いの表情を浮かべる。
「あーあ。居るんだよな、たまに。記憶を消しちゃう奴が」
「でも、そのうち戻るでしょ」
行きましょう、とかぐやは僕に言った。
「どこへ?」
「私たちの家へよ。マヤマ・カオル」
彼女はそういうと、ほほ笑んだ。


259 :かねごん ◆uvoLj2S3GM :2009/04/25(土) 00:26:48 ID:bMsqR6nR

全身が軋むように痛い。
背中に、草の感触がある。
ぺたぺたと、僕の顔を触る小さな掌の感触がある。
目を覚ました。
目の前には、少女の顔があった。
「〜〜〜♪」
嬉しそうに笑っている。
僕はその顔を見て、少しだけ幸せをもらった気がした。
僕は手をのばして、少女の頬に触れた。
カチリ。
何かの錠が外れる音がした。
彼女が何かに気づいたように、立ち上がる。
小動物のように、警戒して周りを見渡す。
僕が引きとめる間もなく、走ってどこかへ行ってしまった。
体の上半身を起こす。
痛みが駆け回り、苦痛で顔を歪める。
特に右腕は石で切ったのだろうか。軽く裂けて、血が流れている。
何でこんなに怪我してるんだろう?
骨は、折れていないようだ。
頭がひどくぼんやりする。
カサリ、と草木を踏み分ける音。
音をした方に、視線を向ける。
黒髪の少女と、銀の色の髪の少女がいた。
「ほら、やっぱこっちに落ちてただろ?」
銀の髪の少女が言う。
「大丈夫?立てるかしら?」
黒髪の少女が、僕に手を差し出す。
僕はその手をとり、彼女に聞く。
「あなたは誰ですか?」
「かぐやよ。そっちの彼女はシルバーレイン」
ぼさぼさの銀の髪をした少女は、肩に乗った黒猫を指先であやしていた。
かぐやの手を借りて、立ち上がる。
「ところで、ここはどこなんですか?」
「【境界】だよ。全ての界と界を繋いでいるところだ」
シルバーレインがぶっきらぼうに答えた。
彼女の眼は、退屈そうに半分程閉じられている。
境界。
「それで――」
僕は躊躇しながら、彼女らに聞いた。
「僕が誰だか知っていますか?」
思ったとおり、二人は顔を見合わせ、戸惑いの表情を浮かべる。
「あーあ。居るんだよな、たまに。記憶を消しちゃう奴が」
「でも、そのうち戻るでしょ」
行きましょう、とかぐやは僕に言った。
「どこへ?」
「私たちの家へよ。マヤマ・カオル」
彼女はそういうと、ほほ笑んだ。


260 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 02:13:16 ID:bMsqR6nR
ミスりました^^;

261 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 14:10:24 ID:KUdxpFeR
つまんね
1人が書いている時に書き込むなよ……

262 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 19:47:29 ID:bMsqR6nR
すみません。自重します。

夏ミカンさん、申し訳ありませんでした。

263 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 19:55:18 ID:joOlsZvg
いちいち荒らしの言う事を真に受ける必要はない
夏みかん氏も好きに投下していいと言っている

264 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 20:22:13 ID:KUdxpFeR
どもども。
1人が投下中に他の奴が投下してはいけないのは常識だよね。
スレ主の言うことは絶対なんだよ。
死んじゃえばいいと思うんだ。

265 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/25(土) 20:30:17 ID:O2XlcfS6
>>262
決まりはないから大丈夫。
不可な言葉は耳に入れる必要はないよ。気にすんな。 

読みやすくて面白かったよ。
キャラが続々と出てきたね。
また投下してくれ。
待ってる。 


266 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 20:34:08 ID:huKJTINb
ただ二人の書き手がいっしょに投下してると
読みづらいし書き手も投下するタイミングが掴みづらいのではなかろうか

267 :創る名無しに見る名無し:2009/04/25(土) 23:10:34 ID:e0KrpIvC
なんの為の専ブラだ

268 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 00:21:00 ID:ZWETIptJ
つまり夏ミカン氏の投下が終わって初めて次の投下OKなんだね

269 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 00:41:23 ID:ey9fEVDv
明確なルールはないが空気嫁と、そういうことだろ

270 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 01:16:27 ID:vNv7k4m9
なら、作者さんは完成された物を出さないといけないね
すでに書き上げたものじゃないと次の人に迷惑がかかる
遅筆などもってのほか、と

投下する気満々だったけど、せっかくだから俺は小説サイトに投下する方を選ぶぜ^p^
じゃあの

271 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 01:45:40 ID:gyAl8euU
好きにやればいいよ
読みづらいと思うなら読む側が工夫すればいいだけ。
専用ブラウザなりまとめサイトなり
いっそ作品別にメモ帳にコピペして読めばいいさ

272 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 02:34:12 ID:rPlIzQFX
このスレは痛いテンプレにもあるような
中二病小説を書いて中二を楽しむスレなの?

それとも中二っぽい要素をふくむ小説というのを読むスレなの?

273 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 02:55:15 ID:ZWETIptJ
気になったからちょっと調べてみた。

中二病
思春期にありがちな微妙にずれた自意識過剰、それから転じて起こる数々の「中学二年生(14歳、ティーンエイジャー)くらいの頃にありがちな言動」をユーモアを交えて、「病気」として比喩したもの。
伊集院光がラジオ番組「伊集院光 深夜の馬鹿力」の中で用いたのが最初とされる。病という表現を含むが、実際に治療の必要とされる医学的な意味での「病気」または「精神疾患」ではない。

思春期の少年が子どもから大人になろうとして、「大人が好みそうな(子供基準での)格好のいいもの」に興味を持ち、子供に好かれそうなもの、幼少の頃に好きだった幼稚なものを否定したりする気持ちが要因で、
「もう子どもじゃない」「(格好の悪い)大人にはなりたくない」という自己矛盾からくる行動が、実際に大人になってから振り返ると非常にピントが「ずれ」ており、滑稽に感じることが大きな特徴である。

加えて生死や宇宙、人間や身近なものの存在に関して思い悩んでみたり、政治や社会の(子供基準での)矛盾を批判してみたりするのも特徴的である。
さらに実際の自分よりも自らを悪く見せかけようとするものの、結局何も行動を起こさないでそのまま収束するといった性質も「中二病」の「症状」として含まれる。

その後、定義はそれ自体が非常に曖昧なものになってきているが、多くの場合、初期の意味である「自分を特別視」し、「中学二年生くらいの世代の好みそうな趣味・嗜好」を持っていると言う意味をさす。
それに伴って高二病や大二病などの類似する派生語が自然発生し、現在では自虐の意味というより蔑称の一つとして定着するに至っている。

邪気眼
中二病期に、アニメや漫画に影響されて非現実的な架空の設定を作り上げることで悦に入っている状態の人間、または非現実的な架空の設定そのものを指すこともある。
最近では邪気眼の設定自体が一人歩きしている感もある。

邪気眼と呼ばれる行動をする彼ら自身が「自らの行っている事は妄想である」という事を認識している点が重要である。


・邪気眼とは『第三の眼』である。
・邪気眼は腕にあり、邪気眼を有するものは邪気眼使いと呼ばれる。そのため邪気眼使いは邪気眼を人目から隠すため、腕に包帯を巻いている。
・また邪気眼は本人の意思では制御することは出来ず、時にその強大な力に本体を乗っ取られてしまうことも有り得る。寄生(憑依?)している何者かの感情が高ぶると邪気眼が暴走し、周囲の人間を徹底的に傷つけるようになる。
・邪気眼使いたちは何者かと戦う宿命を背負っており、敵が近づいてくると邪気眼が疼き出す。しかし邪気眼を持たぬものにはその疼きがわからない。
・そのため邪気眼使いたちは他人と衝突することも少なくなく、次第に周囲から距離を置くようになり、厭世的・虚無的になってゆく。

邪気眼は自己で架空の設定を作りそれを演じている状態を指す言葉であり、思春期に背伸びをしている状態を指す中二病とは若干の差異があると思われる。


つまりこの小説に当てはまればOKじゃね?
個人的に思ったのが、
・設定上、現代人が主人公。
・主人公には特別な力が存在する。(あるいは物語が進むにつれて取得)
・力を持つ者同士で何故か対決する。
・あとはよくわからん。

274 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 02:59:13 ID:ZWETIptJ
小説⇒設定

275 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 20:58:56 ID:5ZFtdNKm
設定→小説を書くプロセスの1つ
その証拠に派生として、後付け設定というものがある

276 :創る名無しに見る名無し:2009/04/26(日) 23:39:07 ID:ZWETIptJ
あ、「小説⇒設定」って意味は、
>>273の文で書いてある「小説」って所を「設定」に読み替えてねって意味です

277 :創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 23:02:19 ID:q8kF8ZGL
少し来ないうちにスレの空気が妙な事になってるな

278 :創る名無しに見る名無し:2009/04/27(月) 23:03:46 ID:4NLI0Fhs
色んな人が投下したくてうずうずしてるんだろうな

一方俺は黒歴史すぎて封印した

279 :創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 03:56:31 ID:mjXSl2IM
俺も封印中だ・・・

そのうち使えそうな設定だけまとめて投下しようかね。
見て (ノ∀`)アイタタタ となるもよし、無理矢理活用してみるもよし
阿鼻叫喚の何かが生まれるかも知れん

280 :創る名無しに見る名無し:2009/04/28(火) 15:49:51 ID:wb+Ugwkp
ふと思いついた人工魔眼という設定…

281 :創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 18:55:53 ID:fdHCydZx
>>280
暇だし設定聞かせて

282 :創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 20:17:19 ID:sA6USLSD
魔眼という超越的な能力を宿した眼を持つ人間が支配する世界で
とある研究者が作り出した唯一魔眼に対応しうる武器、それが人工魔眼
脳と眼に改造を施し、スーパーコンピューター並みの演算能力を得て
右目で魔眼の能力を解析、左目で解析した魔眼の能力を無効化または模倣する
非常に脳に負荷がかかり、半日の間発動させることで、一週間しよう不可能になる

283 :創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 20:27:25 ID:QU++fqkY
おうふw思ってたよりステキ

284 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/29(水) 23:21:07 ID:W5P8aV18
風が吹いた。
エレは、たった一瞬。
それでもシアナを真正面から見て、笑った。
それはいつもの皮肉めいた笑顔だった。

「無理だな。お前に俺が殺せるわけがない」
「どうして」
「俺らの力は五分。実力が互角ならば勝敗を決めるのはなんだと思う。
運か、神の加護か。 いや、違うな。それは、殺意だ。
戦いにおいては相手を殺したいと思う気持ちが勝る方が常に圧倒する」

だから、とエレは続けた。

「お前に、俺は倒せない。

俺はずっとお前を殺したいと思っていた。死闘の果てにこの手で、お前の命を断ちたい、と。
以前よりお前を“殺したい”と望み続けてきた俺と、今ここで決意したお前とでは、年月も思いの深みも違いすぎる。
……お前は、甘いのだ。俺を救うなどと戯言を吐く気持ちがある以上、お前の敗北は決まったようなもの」

甘えを捨てろ、と悪魔の騎士はシアナに告げていた。
決意した以上、相手を救おうなどと考えるな。
迷いも躊躇も捨て、容赦することなく切り伏せろと。


285 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/29(水) 23:22:14 ID:W5P8aV18
「それでもお前が俺を殺そうと言うのなら……」

風に吐息が混じる。

「――死の淵まで俺を追って来い。待っているぞ、“シアナ”お前を殺すためにな」

シアナは、エレを倒すことを決意し、エレもまたそれを迎え撃つと宣告した。
もう翻ることのない、悲しい約束だった。

「エレ……」
「フン、リジュ達の元へ向かえというのだろう。逃げるつもりはない。こちらから行ってやる」


エレは一人、来た道を戻る。


道は定められた。悪魔と龍殺しは分かれた道を進む。
その道が再び交わる時、剣を抜いて戦う為に。

この先、エレとは命を賭けて決することになるだろう。
――そう、あいつを殺せるのは自分だけで、自分を殺せるのもあいつだけなのだから。


286 :創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 23:25:22 ID:9NnwbHFb
キターw支援ww

287 :創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 23:33:56 ID:sA6USLSD
久しぶりだな

288 :創る名無しに見る名無し:2009/04/29(水) 23:50:52 ID:9g4xTosC
さるさん?

289 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 00:20:16 ID:J+w10IlQ
だからもう迷わない。
……もしエレが龍に変わってしまったのならば、私はあいつを討つ。
自分の全てをぶつけて、戦う。


龍殺しの刻印が我が身を食らい、屠ろうと。
私には、これしか出来ない。

悲しい決意を胸に湛えたまま、シアナは明け方を迎えた。


翌日、エレの処刑が施行されることになった。
話はすぐさま隊内を駆け巡り、様々な感情と憶測を呼んだ。
エレが隊長を務めていた第二騎士隊の者は特に顕著で、全員これまでにないほどに消沈していた。
何よりもエレの刻印が暴走し、総長を殺害したという事実が彼らをいっそう困惑させ、苦しめていた。

「……どうしてこんなことに……、シアナさん、エレ隊長を助けることは出来ないんですか」

肩を落として悲壮の内にそう告げる隊員に、シアナは返す言葉がなかった。
ごめんなさい、と心の中で謝罪しその場を後にした。
処刑は一部の隊長を除き、非公開で行われることになった。
シアナにも同行は許されなかったが場所は知らされた。処刑地はヘイレズの丘。

エレはリジュとビィシュに率いられ、処刑地へ向かった。

290 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 00:22:46 ID:J+w10IlQ
「隊長……」
「イザーク」

リジュ達が戻るのを待っていたシアナに、話しかけてきたのはイザークだった。
イザークも何度もエレと言葉を交わした仲だ。
特別、仲が良いとは言えないまでもこの現状に痛みを感じていることは間違いがなかった。

「……俺、わかんないです。何が正しいのか……エレ隊長がズイマ総長を殺したのは、刻印のせいなんでしょう?
エレさんのやったことは憎むべきことだと思いますけど、でも……」

イザークは歯を食いしばった。
シアナには、それが必死に感情の爆発を堪えているように思えた。

「こんなの、あんまりじゃないですか……」

シアナは答えなかった。
答えたら、自分の感情もイザークに引きずられて壊れてしまいそうだった。
だから無感情を装ったまま、イザークを見た。
イザークは、シアナの表情を見て憮然とする。

「やめてくださいよ、その顔。もううんざりだ」
「イザーク……」
「俺は、貴方のそんな顔見たくないんですよ、何で悲しい時に平気なふりするんですか」
「平気なフリなんて」
「してるでしょう。悲しい時は悲しいって言えばいい。泣きたいなら泣けばいいのに。
――俺は、辛いですよ。シアナ隊長の凍て付いた顔みてると。
……隊長、教えてください。貴方が今、一番したいことは何ですか」

291 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 00:23:45 ID:J+w10IlQ
――イザークの言葉に、胸の奥がざわめく。

「エレ隊長の処刑が終わるのを、黙って待っているのが隊長のしたいことじゃない。
そうでしょう?」


その口調は、力強く、話しかけられる度に何かが生まれていくような気がした。

「隊長。俺、手伝いますよ。隊長のしたいことなら何でも。決めたんです。隊長に助けられた時に、俺この人の隣で使命を果たそうって。
だから、聞かせてください。――隊長の望みを」

エレが龍へ変わったのなら殺すと決めた。
だがこんな結末は望んではいない。
そして殺されたズイマも望んでいないだろう。
総長には思いを託された。

私の、望みは一つ。

「……ふっ」

シアナは低く笑う。

このひよっこ騎士に気付かされるとは。
私もまだまだ甘ちゃんだということか。
急に笑い出したシアナをイザークはぽかんとした表情で見つめる。


292 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 00:25:37 ID:J+w10IlQ
シアナはマントを翻して、背を向けた。
颯爽とした足取りで、扉へ向かう。

「何処へ行くんですか」
「私の望みを手伝ってくれるんでしょう? なら早くして。行くわよ」
「行くって……まさか」

シアナは意味ありげに笑って見せた。
悲しい笑顔でもなく、何かを誤魔化すためでもなく。

それは決意から湧き出る、勇猛な微笑みだった。

「時間がないから手っ取り早く任務説明するわよ。
任務場所はヘイレズの丘。目的は死刑を実行される前に、エレを奪還すること。
それでこの任務のランクだけど、リジュとビィシュが阻止してくるだろうからSSSって所かしら」
「……SSS」
「そう。未だかつてないくらい高難易度の任務ね。致死率はかなり高いわ。
相手は全騎士の中で最強の名を冠する第一番隊長の隊長様と、第四番隊の魔術騎士様ってワケ。
エレを仲間に加えても勝率は高くない。なにせ、王者と死神を同時に相手にするんだもの。
それで? ここまで聞いて、どう? 怖気づいた?」

イザークはごくりと唾を飲み込む。
そして――

「――いえ、臨むところです!! 刃向ってくるならコテンパンにのしてやりましょう!!」

強く頷いて、シアナの後に続いた。


293 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 00:30:15 ID:M8gPQDlv
燃えるな

294 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 01:11:23 ID:J+w10IlQ

馬に乗り疾風となって駆ける。
目指すは処刑地の丘。罪を犯したものを断罪する戒めの場。


――死刑の阻止、か。罪人を庇うなど、騎士失格だな。
同罪とされて罪を被せられても仕方ない。


シアナとイザークはヘイレズの丘へ着いた。
乾いた風が荒涼とした大地に横なぐりに吹き付けている。
そこにエレ、リジュ、ビィシュ、処刑を執行する執行人、監視役の五名の姿が見えた。
まだ刑が執行されていなかったことに安堵しつつも、緊張を漂わせながら歩き出すシアナ。
すぐさま、登場したシアナ達に気付いたビィシュとリジュが顔をあげる。

「シアナ……さん。何故ここに」
「どうやら大人しく刑の執行を見守りにきた、というわけではなさそうだな」

イザークもシアナの傍に歩み出た。
その場の雰囲気が一気に張り詰めていく。

シアナは、あっけらかんと吹っ切れたように返した。

「ええ、そうよ。悪いけどこの刑の執行をやめてもらいに来たの」

信じられないといった表情でビィシュが即、口を開いた。
「……何だと? シアナ、君の言っていることが何を意味するのか分かっているのか?
今回の刑の執行は、騎士団の総意、そして王の意でもあるのだぞ。
これに反することはすなわち――」
「国に対しての反逆とみなします」

295 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 01:12:38 ID:J+w10IlQ

リジュが淡々とビィシュの後に続けていった。

「騎士の名を保つどころか、逆賊になることになりますね。シアナさん。
それでもエレ君を助けるつもりですか?」
「……ええ」

シアナは剣の柄にそっと手をかける。
鋭い眼はリジュ、ビィシュ、そしてエレに向けられた。

「今、ここで彼を助けても、いずれ彼は国を滅ぼすような存在に成り果てるかもしれない。
死を巻き散らかして暴走するなんて病原菌と同じだと思いませんか?
彼がそんな風になってしまったら――
そうしたら貴方はどうするつもりです、彼を助けた責任を取れるんですか?」
「……責任はとうに負ってる。もしエレがそんな風になったら、私が殺すわ」
「何故そんなことが言い切れるんです」
「悪魔の刻印は暴走すると所有者を龍へと変じさせる。そうなったら殺せるのは私以外にありえない」
「なんと……では益々、彼を殺さなくてはいけなくなりましたね。龍は化け物。害悪でしかありません」
「そんなことはさせない!!」

シアナは剣を抜いた。
目には強い血潮が脈動し、迸っている。
じゃり、と足先で地を噛み、リジュと対峙した。

「貴方は……残酷ですね。ここでエレ君を助けてどうなるんです?
死期を無駄に遅らせて彼を苦しめるだけじゃありませんか。しかも、彼が龍に変わったら自分で殺すなんて。
矛盾していると思いませんか?」
「……そうかもしれない。それでもここでエレを殺すのが正しいとは私にはどうしても思えない。
今のエレは無差別に人を襲ったりはしない」
「現に総長は殺されたではないか」
「あれは……総長は私を庇ったのよ。エレは私を殺そうとしたんだから……全部刻印のせいだわ」

296 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 01:17:31 ID:J+w10IlQ
「そうだとしてもです。彼から刻印を引き剥がすことが出来ないのならば、同じことです。
シアナさん、名誉も地位も捨てて僕達に剣を向けるおつもりですか。それで貴方が得るものはなんです。
死に逝く悪魔の騎士の命と引き換えに、貴方は騎士の名を捨て全てを失うんですよ。
貴方が、今まで護ってきたもの全部」
「……いいえ」

シアナは首をふる。

「私はいつだって自分が守りたいものの為に戦い、護るべきものの為に剣を振るってきた。
国と、民と、そして仲間と。例え名誉や地位を捨てても譲りたいものがある、間違っていようと譲れぬものがある。
総長から引き継いだ志がある。それを違えるつもりはない。私にはこの誓いと誇りさえあればいい!
名誉や地位などくれてやる!! 今の全てを奪われようと私の胸には決意が残る。

それさえあれば私がいくら逆賊と言われようと――この魂は騎士のままだ」


297 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/04/30(木) 01:19:36 ID:J+w10IlQ
今日はこれで終わります。
久しぶりの投下にも関わらず、しえんありがとうございました!!
あと遅レスになりましたが、感想をくれた人もありがとうございました〜
ではでは

298 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 03:11:56 ID:NVBSX0rU
中二系の転生物二次創作で

「全てが終わったか……」

とかいきなり主人公が高齢とかで死ぬクライマックスから始まって
若い頃の体に戻って転生して俺Tueeeeeeeee!!する作品増えてる気がする


有名どころのNARUTOなんかだと、
『成長して火影になり、天寿を全うした最強のナルトが異世界で子供に生まれ変わる』
みたいな感じをよく見る

299 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 17:56:07 ID:yh0LpELj
>>297
乙かれ様!!!
戻って来てくれて、とっても嬉しいんだぜ!!!

>>298
そうなのかー
俺はゴクウが小さい体になっちまったのしか知らないなぁ
でも一応制約が付くよね
「まさか……昔の1/10の力しか出ないだと……」とかね

300 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 18:47:04 ID:YPptOnow
最強の魔王が本になって戦えないとか
魔族が転生して人間にとか
最強が転生や事故で弱体化からスタートは昔からあったよ
それを続編に利用しただけじゃない?

301 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 18:50:13 ID:FBfDvbzB
>最強が転生や事故で弱体化からスタート
そいや珍遊記もそのパターンだったw

302 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 23:14:15 ID:RjnzO1L6
>>208だがまた短編を書いてみた(続編にあらず)
微妙な内容かもしれないがよければどうぞ

ttp://www6.uploader.jp/user/sousaku/images/sousaku_uljp01386.txt

303 :創る名無しに見る名無し:2009/04/30(木) 23:46:23 ID:mcUUkbWH

キャラの名前がいい感じに痛いなw

304 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/01(金) 01:23:14 ID:CEM1XPM9
>>302
乙!!面白かったーー!!
文章を書くのがべらぼうに巧いね!!続きが気になる


自分も投下しまーす



それこそが誓い。それこそが誇り。他の何を譲ろうと、この約束だけは譲れない。

馬鹿が、と毒づくいたのはエレだった。
罪人が纏う黒い装束を着て、目隠しをされている。
死刑の際に恐怖を与えないための配慮だった。
視覚で認知できなくとも、音だけを頼りに何が起こっているのか瞬時に察したらしい。
死の瀬戸際に落とされようと、能力は微々たりとも鈍ってはいないようだった。

それでこそ、悪評名高き悪魔の騎士。そうでなければここまで助けに来た意味がない。

「エレ、助けに来てやったわよ」
「……正気か」
「一応ね」
「……貴様、死ぬぞ」
「死なないわよ。ここであんたを助けるまではね――、ほら、イザークもいるし」
「雑魚を何人連れて来ようと気休めにもならんな」
「ひ、酷いですよエレ隊長、せっかく急いで来たのに……」
「まあそうだけど、いないよりはマシでしょ」
「ぐあ……シアナ隊長まで!!」

305 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/01(金) 01:25:12 ID:CEM1XPM9
お茶らけた会話を続けていると、リジュが手を合わせ、パンパンと拍子を打った。
「はいはい。お話はそこまでにしましょう。これ以上長引くと僕達も突っ込みざるを得なくなっちゃいます」

一陣の乾いた風が、そこに居る者達の合間をすり抜ける。
リジュは、これが最後の宣告だと言わんばかりに、努めて穏やかに振舞って見せた。
事実、これは最後の宣告である。

「……シアナさん。考え直す気はありませんか? ここでエレ君が死刑に処されるのを黙って見守る心構えは?」
「そんなものはないわ」
「そうですか、それは残念ですね。貴方はもっと明晰な人かと思っていましたが――」

リジュの目が、三日月を引っくり返したように細くなる。
酷薄な微笑が唇に浮かぶ。
それだけで、その場の空気が一気に冷えていく。

「死刑囚に味方するなんて、呆れ果てましたよ。反逆者には死あるのみ。ここで貴方を殺さなくてはいけないのは、本当に残念です」

“疾風の死神”は開眼した。
冷え冷えとした眼をシアナへと向ける。
感情のこもらない闇を飲んだ眼晴。
戦場でしか見たことがない、冷徹な眼差し。いつもならば、敵へと向けられていたものだった。
あの瞳は敵を屠る時にのみ、――虚を宿す。
ならば今、目の前にいるリジュはシアナを殺すと決めたに違いない。


306 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/01(金) 01:29:05 ID:CEM1XPM9
ゾッとした。
味方ならばこれ以上ないまでに逞しい死神が、敵に回ればこれほど脅威を感じるものになるとは。

これまでにリジュと対峙して来た者達は、この視線を受けてきたのだ。
そしてこれまで彼の前に立ち塞がり、四肢が無事だったものはない。
死神の瞳に睥睨され、生を掴んだ者は一人も存在しない。

「――愚かですね。僕とビィシュさんを相手に、どう立ち回るつもりですか、シアナさん。
まさか、あの下っ端のイザーク君をお使いになるつもりで?」
「……さあ、どうすると思う?」
「貴方のことですから何か考えがあるんでしょう、でもそれはさせません――!!」

リジュが抜刀し、シアナに切りかかる。
ビィシュも剣を抜こうとしているのが見えた。
シアナは声をあげてイザークに合図を送った。

「イザーク、ビィシュの相手は任せたわ!」
「はい!!」

イザークはビィシュの元へ飛び込む。イザーク対ビィシュの剣戟が始まった。


307 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/01(金) 01:30:11 ID:CEM1XPM9
「……狂ってますね、実力の差さえ考えられないほど落ちぶれてしまったんですか、彼にビィシュさんの相手は務まりません」
「そんなこと……分かってるわ」
「では何故、彼を向かわせたんですか」

先ほど、ここにくる最中イザークと話していた作戦を実行するつもりだった。
自分の考えが正しいのなら、この作戦は必ず成功する。成功してもらわなくては困る。
その為に今は、やれることをやるしかない。

「イザークはリジュが思ってるほど弱くないわよ。ビィシュに勝てなくても――私がリジュを倒すまで持ちこたえてくれればそれでいいんだもの」
「僕を……倒す?」

リジュは手をシアナの前に翳した。

「シアナさん、あんまり僕を笑わせないで下さいね――手加減が出来なくなっちゃいますから」

ああ、この表情。
シアナは震える。――まさか私が脅えを感じるなんて、なんて奴。
だが、ここで退く訳にはいかない。私は、騎士だ。

我が身、最期の瞬間まで騎士であれ。

シアナは土を蹴り、踏み込んだ。
「はあああっ!!」
「はっ!」


308 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/01(金) 01:32:25 ID:CEM1XPM9
斬音が虚空にこだまする。
リジュと実際打ち合うのは初めてだったが、実力のほどは嫌というほど見せ付けられてきた。
しなやかな太刀筋、無駄のない剣さばき。そして容赦なく敵を刻む姿は名の如く、まさに風。
分かっていたつもりだったが、打ち合ってみて実感する。
強い。――そう、この強さこそ疾風の死神に相応しい。

ならば私は、龍だけでなく、死神の力さえ屠る騎士となる。

目まぐるしく行われる応酬の中、リジュがシアナを挑発する。

「彼を置いて逃げたら如何ですか、それこそ裏切り者の貴方にぴったりですよ」
「……くっ、誰が逃げるものか!! 私は逃げるのが嫌いよ!!」

空気の流れが変わった。異変を感じ、シアナは跳ぶ。
風がシアナの横を薙いでいく。――リジュの口詠呪文だった。
いつの間に唱えたのか、いやそれよりも。
まだ呪文を唱える余裕があることに、シアナは内心驚愕した。
呪文を浴びたら一巻の終わりだ。呪文を唱えさせるな。余裕さえなくすほどの剣を浴びせろ。
そしてシアナは行動に出る。

「それより嫌いなのは――負けること。でもそれより許せないのは、負けて逃げることよ」

シアナは剣を振り被った。剣は大気を殴り、風を生む。
風は空気の刃となって、――目標へと走駆する。

リジュでもなく、ビィシュでもなく、エレに向かって。


309 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/01(金) 01:33:30 ID:CEM1XPM9
「な、に……っ!!」


絶妙の力を持ってしてコントロールされた風の刃は、エレの肌を傷つけることなく目隠しと拘束縄だけを断ち切る。
真っ二つに切られた布は地面に落ち、エレの顔が露になった。
これこそがシアナの狙い。
悪魔の騎士が戦力に加われば、戦局はこちらへ傾く。
肝心のエレが戦う気がない? 確かにエレは死を望んでいる。――だが、シアナには分かっている。
何よりもあのひねくれた性格を理解しているのはシアナだ。
エレは必ず戦うだろう。

自分が最も殺したい相手――シアナが目の前で殺されそうになっているのだ。
狩人にとって獲物を他人に横取りされるほど、屈辱的なことはない。
そう、エレがシアナを殺したいと望み続ける限り、あいつは必ず剣を持ち戦う。戦わざるをえない。

刻印に体を蝕まれながらも、エレはそのためだけに生きていたのだから。


シアナはエレに向かって剣を放り投げる。それは――エレがかつてズイマから受け取った剣だった。


310 :創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 12:31:45 ID:weT5Ul5y
>>302
面白かったが、別にろだを使わなくてもいいのに

311 :創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 12:45:26 ID:yP+S0LEf
あれだ。
この掲示板に直接書き込むと、著作権が無くなるけど、ロダ使うとURLだけだから大丈夫って法則がある。

312 :創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 16:50:51 ID:dqll2dgk
夏みかん氏以外は投下するな!って言ってる奴がいるからな〜

313 :創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 20:16:04 ID:QPagXN06
あれの著作権なんて誰が欲しがるわけ?


314 :創る名無しに見る名無し:2009/05/01(金) 21:17:58 ID:DXaSqbUg
ただ単に規制中だっただけなんじゃないか?

315 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 00:52:24 ID:jdwpj6FN
それか。
確かにロダ使えばさるさんなんて関係ないよね。

316 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 01:24:34 ID:jdwpj6FN
まぁ、著作権なんて誰も欲しがらないけど、ブログに勝手に載せてもOKってなると色々とウザい。

317 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 06:21:27 ID:4BD0ytXs
ここって誰でものせていいの?

318 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 09:15:21 ID:4BD0ytXs
返事がないので設定(?)とストーリー?だけ載せますね(・ω・`)
時代背景 今の日本
ジャンル ファンタジー(ローファンタジーとダークファンタジーの中間くらい)
異能という使い古されたものを題材としてます
プロローグ
敵視点から インパクトを出すためにとりあえず死体を転がす
一章
主人公の日常から入って最終的にトラックにひかれそうになり片手で止める
二章
トラック片手止め事件が気になった主人公が調べ始める そのあたりでもしかして超能力?って思い出す
ライバル(の予定)と遭遇
雰囲気にのまれ話しかけもせず逃げる
三章
夢だったんじゃ…と考え始める しかしまだ怪力が残っていて夢だとおもえない そこで強盗団乱入。主人公、異能(?)を使い撃退(←今ここ


319 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 09:37:46 ID:4BD0ytXs
やべぇwww
過去レス読んでたら>>302とかぶってるシーンがあったwしかも異能(^^;
今書いてるんですが他意はありません(^^;
マジで

320 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:11:20 ID:jdwpj6FN
>>317
誰でも載せていいよ。
てか載せちゃいけないルールなんて存在しないのに、
何かそういう流れになってるが、別に個人のホムペでもなんでもないから。
みんなの掲示板だから。

って事で書くの頑張ってね〜

321 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:14:11 ID:4BD0ytXs
じゃプロローグだけ載せちゃうんでアドバイスor駄目だしあればよろしくお願いします
俺、ゆとり世代(?)なんで文章力とかヤバいんで見苦しいかもしれませんが(笑)

322 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 10:15:29 ID:4BD0ytXs
いきなり始まります


プロローグ
A prologue

暗がりで、一人の青年が空を見ている。
黒髪に緋色の目をした青年だ。端正な顔立ちをしていて、道を歩けばかなり目立つだろう。しかし、それよりもっと目立ちそうな特徴が、彼にはあった。
全身が血塗れなのだ。
男は血塗れの服を脱ごうともせず、空を見上げている。
「……」
その男が視線を下に向ける。
そこには、ぎりぎり人間だと分かるがほぼ肉塊と化した、少年の亡骸がある。恐らく男についている血はその少年のものだったのだろう。
男はその亡骸を見ても驚いた風もなく、冷静に見つめ、呟く。
「悪く思うなよ。仕事なんでな」
そう呟くと、仄暗い通路を歩きだす。飾りもなく、ただ暗いだけの通路だ。よく言えば質素だがもう少し実直に言えば地味だ。
青年が足音を殺して歩いていると、急に後ろから話しかけられる。
「やあ、柊さん。終わりましたか?」
柊と呼ばれた青年がゆっくりと振り返る。
「……瞬間移動か。急に話しかけるな。次は殺すぞ」
かなり物騒なことを平然といい放つ。
すると急に現れた男──神谷秋夜が反論する。
「だってこれ便利なんですよ。それに柊さんを驚かせられるなんて最高じゃないですか」
ヘラヘラと軽薄な笑みを浮かべる。
すると柊が鼻で笑う。
「くだらないな。そんなことをしている暇があるなら、働け」
「そんなこといって内心ビビってたくせに〜」
柊が言い返そうとするが、その前に秋夜が言う。
「とりあえず柊さんのいうとおり自分の役割でも果たしてきますかね〜。じゃ、アディオス!」
あっというまに秋夜の身体が、目の前から消失する。先程二人が話していた瞬間移動という能力だ。
残された柊は通路で立ち止まり、溜め息をつく。
そして、また空を仰ぐ。
「この街にあと何人、『異能者』がいるかしらんが」
柊の表情が急に険しくなる。

──こちらに従わないなら、今までどおり消す。

その言葉は口に出さず、心の中で思うだけだった。
 そしてまた溜め息をつき、独り言を呟く。
「……長くなりそうだな」
柊は、通路の奥に進み闇の中へと消えていった。

──続く

323 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 15:31:09 ID:hDGXs/wf
うん……

すっげ面白くておれ好みwww

324 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 15:41:16 ID:4BD0ytXs
お世辞だと思うけど誉められたから一章のせる
因みにこっから主人公視点
一応三人称?

325 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 15:43:46 ID:4BD0ytXs
一章:始まりの予兆
The omen of the opening

今日は数学が二時間もあるじゃないか!
 朝起きて昨日書いた自分のメモを見た瞬間に、朝倉海斗は思わず悲鳴をあげそうになった。
 只でさえ嫌いな数学が二時間!?考えただけで、自分の表情が歪むのを感じる。
 どうにかしないと、このままじゃ数学を二時間もうけることになってしまう。そう思い海斗は真剣な表情で悩む。彼は数学が苦手なのだ。
 そして悩みに悩んだ結果、真面目でまともな中学生である彼が下した決断がこれだ。

(──よし、今日はサボろう)

海斗は今日、学校をサボることに決めた。
「仕方ないよな……。二時間も数学があるんだし……それに多分俺以外にもサボる奴はいるだろうし、別にいいよな。全国の数学嫌いの中学生達よ、オラに勇気を分けてくれ」
などとふざけたことをぶつぶつ呟きながらどんなふうにサボろうか考え出す。
「仮病って手もありだけど、問題は父さんや母さんが気づくかどうかだな……」
昔、学校を休みたくて仮病を使ったことがあるが、三秒で見破られた事を、海斗は思い出す。
 彼は溜め息をつき、別の手を考え始めるが、全くいい考えが浮かばない。しかし15分程悩んだ結果、一ついい考えを思い付く。
「そうだ、学校へ行く振りをして、途中でどこかに逃げよう。我ながら完璧な計画だなー。流石俺」
自分で自分を褒めながらニヤニヤする。
「ふふふ……完璧すぎる。後は実行するだけだな……」
今は7:30分。余裕をもって登校しようとするなら、そろそろ出発する時間だ。
 海斗は鞄の中の教科書を全て出し、自分の簡素なベッドに放り投げ、代わりに携帯と財布を入れる。そして二階の自分の部屋から出て、階段を降り、玄関に着く。
 海斗はニヤッと笑い、親に聞こえるように大声で言い放つ。
「行ってきます!」
そして、外に出て走り出す。
 学校とは真逆の方向に走っているが海斗は何一つ気にすることもなく、全力で走る。
(とりあえず図書館にでも行ってみるかな……)
とりあえず図書館に行くことに決めた海斗は更にスピードを上げる。


暫く走ると、大きくて白い図書館が見えてくる。
疲れたのでそこからは歩いて向かう。
 そして自動ドアの前までくるとドアが開く。ドアが開くと同時に、図書館特有の匂いが漂ってくる。本の匂いだ。
どんどん奥に進み、図書館の一番奥の部屋につく。学校の机と同じくらいの大きさの机が並んでいて、海斗は一瞬ドキッとする。
そして、図書館の奥の部屋をゆっくりと見渡すと端の方に凄いものがあった。
机に積まれた大量の本。まるで椅子に座っている人を隠すかのように積み重なっている。
(……隠す?)
海斗はまさかと思いながらも机の後ろに回り込み、座っている人を確認する。
座っていたのは茶髪の青年だった。髪が所々跳ねている。
 初対面なら声をかけるのを躊躇うほど真剣な表情で本を読んでいが、初対面ではなかった。それどころか親友だ。
三鷹飛鳥。品行方正、眉目秀麗、運動神経抜群でモテモテ。ちょっとバカだが野球部に入っていて、四番。ベタなスポーツ漫画の主人公みたいな奴だ、と海斗はぼんやりと考える。
何故本の山に隠れているのが親友だと分かったか。
 それは、昔もこんなことがあったからだ。
昔、海斗が小学校の図書室に行くとこんなふうに隠れている彼を見つけたのだ。こんなふうに本を積み上げたら逆に目立つだろうに。
ずっと後ろにたっていたせいか飛鳥が彼に気付き、話しかける。
「あ、海斗じゃん。何でこんな所に?」
「こっちのセリフだよ。今日学校だろ? サボッてるのか?」
飛鳥がニヤッと笑う。
「こうしてたら見つからないだろ?」
聞いた瞬間、海斗は溜め息をつく。彼の目は既にバカを見る目になっていた。
「逆に目立つってそれ」
「大丈夫。どれだけ目立っても俺は本にかくれて見えないはずだ」
胸を張って自慢気に飛鳥がいう。海斗は、駄目だコイツ、という感じでまた溜め息をつく。
そして本の山から適当に五冊程本を取る。
「ああっ、俺の作ったな本の壁がぁっ!」
悲痛な表情で飛鳥が叫ぶ。
「図書館では静かにしろよ」
海斗は彼の耳元で囁く。
すると壁を修理するために新たな本を探しに飛鳥が本棚に向かって走っていくが、無視して海斗は飛鳥が座っていた席の隣の隣の席に腰掛ける。
そうでもしないと彼の作った「本の壁」の中に入ってしまうからだ。「本の壁」は、迷惑なことに彼の席と、その両隣の席に渡って作られているのだ。

326 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 15:44:44 ID:4BD0ytXs
一章:始まりの予兆
The omen of the opening

海斗は、飛鳥から奪った本の題名を読み上げる。
「『本当にあった超能力!!』……?」
(超能力ねぇ……ESP(超感覚知覚)とかならギリギリありそうだけど、流石にPK(念動力)あたりまでくると胡散臭いし、ありえないよな)
彼はそんなことを思いながら別の本を手に取る。
「『猿でもわかる超能力の使い方』……?変な本ばっかだな……」
本を隣に置き、また別の本を取る。
「リアルかくれんぼ……。誰もやらなさそうな遊びだな」
海斗はとりあえずこの本を読むことに決めた。
 暫くして飛鳥が本探しの旅から戻ってくる。
そしてお互い無言で本を読む。

 時折飛鳥が、読んでいた本が面白かったのか急に笑いだすので、通りかかった人がビクッとする。別に通りかかった人が小心者だった訳ではない。急に本の山から笑い声が聞こえてきたら誰でも不気味に思うだろう。
そんなこんなで三時間くらいたっただろうか。飛鳥が本を読み終わったようで、唐突に立ち上がる。
「なあ、どっかに行かない?ずっと座ってたから腰が痛くなってきたんだけど」
「ナイスアイディア」
海斗も立ち上がる。腰が痛かったのか、僅かに顔をしかめる。
「とりあえず本を借りてくる。先に外出といてくれ」
「はいはーい」
飛鳥が手をヒラヒラと振る。
海斗は、顔をしかめながら貸し出しカウンターまで急ぐ。カウンターにいた女の人が笑顔を向けてくる。海斗は適当に微笑み返すと、本を出す。
「五冊、来週の火曜日までになります」
(ゲ……ミスって超能力の本まで借りてしまった……ま、いいか)
本を受け取り、自分の黒い鞄に入れる。女の人がまた笑顔を向けてきたので、海斗はさっきよりさらに適当な笑顔を返すと外に向かう。
 自動ドアが開き、新鮮な空気が入ってくる。
外に出た瞬間、飛鳥が彼に気付き話しかける。
「じゃあどこにいく?」
海斗は一瞬悩むが、答える。
「とりあえず腹減ったしなんか食いにいこーぜ」
「賛成」
飛鳥が手をあげる。
そして、どうでもいいことを話ながら、飲食店に向かう。
道は綺麗に掃除されているのかゴミ一つ落ちていない。 道の脇に建っている白い家も綺麗だ。
涼しい風が吹き二人の顔を撫でていく。天気もいいし、気分もいい。
(本当なら今頃は数学を受けていたんだな……サボってよかった)
そう思いながら海斗は日向ぼっこをしている猫のような気分で歩いていた。
下らないことを話ながら二人が道を右折すると、信じられない光景が目に飛び込んでくる。
 青い、大型のトラックが走っている。そこまでは普通だ。
しかし、そのトラックの前に猫がいた。その光景は、自他共に認める猫好きである海斗が見逃せる光景ではなかった。
だから、海斗は飛び込んだ。
トラックの目の前に。
隣にいた飛鳥が止めようとしたが間に合わなかった。
勿論、海斗も何も考えず飛び込んだ訳ではない。海斗の当初の計画としては、華麗に飛び込み優雅に猫を突き飛ばしなおかつトラックを避けるつもりだった。普段の海斗ならギリギリ成功できただろう。
 だが、誤算が二つあった。
一つ目は、トラックがスピード違反をしていて予想以上に速かったこと。
二つ目は、海斗が本が入った鞄を背負っていていつもより動きが鈍かったこと。
海斗がその事に気付いた時には、避けようのないほど近い位置にトラックが見えた。
飛び込んで死ぬだけ、は流石にカッコ悪いのでギリギリのタイミングで猫を突き飛ばす。
猫の無事を確認した瞬間、トラックが海斗に衝突した。今まで経験したことのないような激しい痛みが海斗を襲う。だが海斗はまだ諦めてなかった。
(──こんなところで、死んでたまるかっ!!)
咄嗟に全力で右手を突き出す。
途端に右手にとてつもない負荷がかかる。踏ん張っている足が悲鳴を上げる。
だが、唐突に右手が軽くなる。それと同時に足も軽くなる。
一瞬マジで死んだのかと思い海斗がビビるが、違った。
──なんと、海斗は巨大なトラックを片手で受け止めていたのだ。

──続く

327 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 15:48:31 ID:4BD0ytXs
中二臭いのは仕様ですって

328 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 16:02:13 ID:FAs3HZ/2
VIPかこっちかどちらかにすりゃいいのに

329 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 16:07:08 ID:4BD0ytXs
じゃあVIPにします
ここまで駄文をよんでくれた皆様さようなら
ありがとうございました

330 :創る名無しに見る名無し:2009/05/02(土) 17:13:50 ID:jdwpj6FN
>>302
今、読んだ。
すっげ面白かったw
また書いて読ませてくれw

>>329
ありゃりゃ、結構期待してたのに。残念。
また書く気が起きたら書きに来てくれよw

331 :創る名無しに見る名無し:2009/05/04(月) 16:01:13 ID:MKcRadWF
しばらくネットから離れてて久々に来てみたら
ズイマ総長亡くなってるしエレが大変なことになってるし!
しかしリジュと敵対とか怖すぎる・・・((((;゜Д゜)))
この夏一番のホラーです
イザークがシアナに発破かけるとこよかった!なんかこっちも気持ちが盛り上がった!

332 :創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 10:13:01 ID:QMMaHuMc
螺誓 迷 (らせん めい)
迷宮世界(ラビリンスワールド)の旅人。覚醒すると強くなる。
初めての覚醒で倒した敵が言うセリフ
「ま・・・まさか・・・お前・・・・ッ!グアアアア!!」

姉といっしょに考えた中二病キャラクター。

333 :創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 10:14:40 ID:PHBuMlw9
姉ちゃんとwww

334 :創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 12:36:17 ID:PHBuMlw9
なかなか新人さんが育たないスレだなぁ・・・・・・

335 :創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 18:22:04 ID:gdhB99N/
なんの新人よ

336 :創る名無しに見る名無し:2009/05/05(火) 23:10:00 ID:ZomAC96a
農学部の学生が異世界トリップ
 → 農業の発展に貢献
 → 現地で奥さんを貰って幸せに暮らしました

こういう現代の知識を持ち込んで俺様SUGEEEEE!! するのも
ある意味厨二要素だよな
主人公の苦労話が展開すれば面白いんだろうけれど……

この前某小説投稿コミュ見てきたら
「お前その道具や化学物質どうやって手に入れたんだよ」
な内容のばかりで萎え萎えだった

337 :創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 19:42:36 ID:BSj3L2NI
>>336
厨二・・・か・・・?

スマン偏見だがそれが科学者とか医学部学生とかならまだアレだが、
農業に貢献して「作付面積に対する収穫量上げたぜええええ!」
とか言われてもイマイチ・・・

338 :創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 19:57:20 ID:N+GOaDED
なにをいうんだ農業は社会の基本だぞ
食料に余剰ができたらどれだけ生活の質が上がると

339 :創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 20:05:34 ID:lM2INKXF

生活の質が上がったら中二病と何か関係あるの?

340 :創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 21:23:09 ID:xDKLmCAB
そういう描写が全て「主人公スゴイ」に向けられてたら厨二……かもね

341 :創る名無しに見る名無し:2009/05/06(水) 21:41:55 ID:lM2INKXF
なるほど

342 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/06(水) 23:43:48 ID:N8sqPzzb
>>331
おひさー。
リジュと敵対する所は自分も書いててちょっとホラーだなと思った…
まさしく裏ボスですね。急展開が続いてたからちょっと見ないと
大分話が変わってて分かり辛かったと思んだけど、見てくれてありがd!!

↓投下します。

343 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/06(水) 23:44:57 ID:N8sqPzzb
それだけで十分。戦えと他所から声を荒げるまでもない。
悪魔の騎士は剣を取る。その行為が何を示すのか、この場にいる誰しもが知る所。
剣を取るということは、彼にとって、否、全ての騎士にとって<ただ一つの誓い>と同義である。

即ち、戦い生き抜くこと。主への忠誠と共に。
それこそが騎士の本分であり、誓約であり、護らなければいけない最初の誇り。


全ての騎士が護らなければならないモノの為に剣を振るうのならば、
エレ自身もまた護るべきモノの為に剣を振るっていることになる。
だが自分には護るべきものなど、何一つ存在するはずがなかったのだ。

闘争意識に身を委ね、彼岸が交差する戦場に惹かれ、彼の地で見える甘き死に焦がれ、
自身の空虚を埋める為に、ひたすら干戈を求めた。
理などは蚊帳の外に置いて、全ては自分の欲望の赴くまま。
自らに宿る刻印が穢れた力だと知りつつ、刹那の歓喜を求め、血の道を選んだ。

自らは今、その代償において裁かれようとしている。
エレを滅ぼそうとしているのは、法でもない国でもない。そして騎士団の総意でもない。
己が今まで為してきた業。
裏返せばそれは、エレ自身に他ならない。
過去の罪が彼を裁定し、――死を与えたのだ。


344 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/06(水) 23:52:16 ID:N8sqPzzb
自らの視界を覆っていた布が、はらはらと風に舞うのを目の端で追いながらエレは嘯く。

最も殺したいと願ってきた相手――シアナが自分を助けるとは。
死の淵で喘いでいる身を救った所で、非難はあれど、賞賛は決してなかろうに。
我が身は、悪の魔。悪魔を此の地では龍と謂う。
二つ名に過ぎなかったその名は、刻印の副作用のおかげで真となりつつある。

傍らには死が横たわり、機会があれば首を狩らんと虎視眈々と息を潜めている。
死は内に。虚無はこの魂に。歪曲はこの体。矛盾だらけの魂魄を抱え、処刑地に立っている。
そう、自分を救えた所でその末路に救いはない。救いのない未来になんの希望があろう。
あるのは絶望だけだ。地獄は現世でとうに見た。ならばこの先に待ち受けているものは、地獄より最悪なモノに違いない。

苦しむだけ。緩慢で鋭利な痛みを与え続けられるだけ。それは死よりも性質が悪い。

にも拘らずだ。それを死って尚、
地位と名声と。およそ誉と呼ぶべきもの全てと引き換えに、目の前の女は剣を渡した。

「それでも……お前は俺に戦えというのだな」

その身が龍になるのなら私が殺すと、シアナは言った。
だから、ここにシアナの姿が見えた時、最初に覚えた感情は――苛立ちだった。

莫迦な。何を考えている。あの女は。殺害宣告をした相手を救うなんて狂った真似をする相手が何処にいる。

矛盾だ。清清しいまでの背反。何しろ、殺すと言った相手を処刑台から、掻っ攫おうとしているのだから。

どちらも本気の言葉であり、真実である。その度し難きまでの矛盾。
それがそれほどの決意を要したものなのかエレは知らない。知る理由もない。

345 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/06(水) 23:54:50 ID:N8sqPzzb
だが、お前が――唯一この剣を受けるに相応しいお前が、俺を全力で殺すと言うのならば。

「ああ、その申し出――受けてやるさ、シアナ・シトレウムス。
俺もこの身が龍に変じるのならば、死ではなく生を賭けてお前と戦おう」

護るべきものはない。……なかった。
今の、今までの瞬間までは。
エレの護るべきモノの中には、自分さえ入ってはいなかった。
自らさえ入らない許容の中に、他人が入るくべもない。
だが、今は違う。

「……この上ない皮肉だ」

エレは自らが最も殺戮したい相手を、自分の腕で打倒する為に。
<シアナ>――殺害対象を、護るべきものとして認識したのだった。

そして同時に、自らも、守護すべき対象として定めた。
いつか目の前の女騎士と“生”を賭して戦う為に。

哂う。哂う。哂う。
いきなり笑い出したエレを、リジュは怪訝な目をして睨む。

「は……ははははっ、莫迦な……」
「どうしました? 死期が近づいてとうとう頭までいかれちゃいましたか?」


346 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/06(水) 23:56:26 ID:N8sqPzzb
シアナと剣を交し合いながら、皮肉を吐いてみせるリジュ。

「貴様に心配されるまでもない、至って正常だ」
「……どうだか」

すぐ傍で冷ややかに唇を歪めるのは死神だ。
その死神に凍て付く視線を送られても、込み上げて来るのは恐怖ではなく、嘲りだった。

狂った運命に対する、精一杯の抵抗だった。

ああ、おかしくて涙が出そうだ。
こんな滑稽な喜劇があってたまるか――最も殺したい相手が、護らなくてはいけない対象になり得るとは!!

だが両者が両立しているのは事実だった。
エレはシアナを殺したいと望み、シアナもそれを望んでいる。
邪魔をするものは容赦なく仕留めよう。悪魔の剣によって。

故にエレは――走る。
激突するリジュとシアナの間に一息で肉薄し、剣を振るった。

後ろに下がることによって間一髪、稲妻めいた剣戟を回避するリジュ。


347 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/06(水) 23:58:37 ID:N8sqPzzb
「ほう、かわしたか。……まあそれくらいでなければ面白くない」

エレの言葉に、シアナの怒号があがる。
「ちょっと!! 今の、私まで巻き込むつもりだったでしょう!!」

シアナもリジュとほぼ同時に、エレの剣をかわしたのだった。
咄嗟に避けなければ、十中八九、肩から切り裂かれていただろう。
エレはそれがどうした、と言わんばかりにシアナを一瞥する。

「ふん。貴様ならかわせるだろうと検討を着けて踏み込んだのだ、現にかわしたではないか」
「それは結果論よ。全く、乱暴なんだから……ここは貴方に任せたわ。私はイザークの所に行く。じゃあね」

シアナは一気にそれだけ告げて、さっさとイザークの助太刀へ向かう。
すれ違い様、微かに。

――負けないでよ、と。
聞こえた気がした。


348 :創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 02:42:37 ID:KF7brnku
おおっ
続き来てる!夏みかんさん乙!

邪気眼っぽい能力@
全ての物を圧搾する能力
左手を対象に向けて握る動作をするだけで、全ての強度を無視して圧力攻撃する
相手は(ry

349 :創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 10:32:40 ID:qShI9KWf
全ての〜
ありとあらゆる〜

こういう能力ってたしかに多いよね

350 :創る名無しに見る名無し:2009/05/07(木) 13:16:46 ID:ApZv8rzI
エレとシアナ、このコンビ共闘すると相性いいよなぁー
なんか「言わなくても通じる」感があって戦いがスマートだ
ていうかこの展開がwktkすぎる!!
夏みかん氏はストーリー構成うまいよな

351 :創る名無しに見る名無し:2009/05/08(金) 16:08:20 ID:65nZFI6W
ファンタジースレに逝け

352 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:18:56 ID:CUYh7Tbw
「さて……貴様と戦うのは初めてだったな」
「そういえば、そうですね。でも――今日が初めてで最後です、どちらにせよ次は与えません」

初戦にして終戦。
二度はない、とその瞳が語る。


「貴方の死は確定事項です。今更覆りはしない。それは自分でもよくお分かりでしょうに。
死に逝く者が醜く足掻く様程、浅ましいことはないですね」
「……人の浅薄さを責める暇があったら自らを省みたらどうだ」
「ほう? 僕が浅ましい、と?」
「俺に言わせれば、人は皆浅ましい。蛆虫のように地べたを這って生きることしか知らず、自身が虫であることさえ理解しない。
例え王であろうとその範疇から逃れることは出来ぬ。そのような生き様の何処が浅薄でないと言うのだ」
「…………」
「それとも貴様は、自分だけ特別になったつもりでそこに在るのか――それこそ愚昧だな、リジュ・ゴールドバーン」
「まさか……僕とて理解してますよ、自分が平凡で凡俗な人間なことはね。そして人は皆愚かです」
「ならばそれ以上の言葉は要らぬな」
「ええ。僕も貴方に倣って、愚かに浅ましく戦うことに致します。貴方はここで僕に殺されて死んで下さい」


睨み合った刹那、突風が二人の間を駆け抜けていった。

353 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:20:28 ID:CUYh7Tbw
風を機に戦闘が開始する。
同時に踏み込むリジュとエレ。

閃光が散る。
鼓動が躍る。
騎士が踊る。
打ち合う剣と剣。その狭間において美しい謳が、鳴る。

「Ισχυρε? ανεμου」


接近距離からの呪文発動。
短い詠唱であれば当然威力は落ちる。
しかしこれほど近ければ、外す事は無い。命中のみを考え放たれた魔術。
風は烈風となり、エレの身を切り裂かんと咆る――!!


354 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:22:00 ID:CUYh7Tbw
「Ισχυρε? ανεμου」

言葉が重なった。
リジュの呪文ではない。
驚愕に目を瞠るリジュ。

「な……」

風は風に巻かれ、相打つ。周囲に空気の波を撒き散らし、沈む。
予想外の出来事に、追撃の手が緩む。

「どうした? 疾風の死神、得意手を取られて怖気づいたか。
ひとつ忠言をしておこう。魔術は貴様だけの本分ではない」

今の詠唱は、エレから発せられたものだった。
右に左に。兇刃を手向け続けながら、処刑場を走る。

何故――自分の魔術を相殺出来るなど、それこそ長けた魔術師でなければ在り得ない。
それは驕りではなく、歴然とした事実である。
人の身において、我が身に対峙出来る者は極めて稀。
何故なら自分は――――

「……魔術が使えるなんて知りませんでした」
「そうだろうな。俺は呪文なんてまどろっこしいものは好まない、剣で切り伏せた方が早いからな」
「結構なお手前ですね。……血が特別なんでしょう」
「理解が早いな。血筋が魔術を生業とする一族だった」

355 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:22:46 ID:CUYh7Tbw
エレの一族は無宇の民と呼ばれていた。
自然の中で生き、学び、精霊を信仰し、魔術を使う。
赤い髪に、赤い瞳。そして白き肌を持つ希少種族。
魔術を生きる糧に使う。その生業からか、無宇の民の血を引く者は絶大な魔力を持つ事が多い。

彼らはその異端とされる外見から迫害にあい、今では殆ど面に姿を現さないという。
多くの無宇族はひっそりと集落を形成し、暮らしている。
しかし少数の者は迫害を恐れず町へと旅立っていった。
エレの両親のように。


「そう……ですか、無宇の民。どうりで……」
「風と生き、水と暮らし火と唄い地に還る――そのような教えが鬱陶しくも身に染み付いているものでな」

集落を移り住み、悪魔の名を冠し
髪は刻印の作用によって黒くなったものの、体を流れる血に代わりは無い。
この身は死すまで無宇の民。

「俺に魔術は効かない。理解したなら剣で戦うがいい」
「……ええ。十分理解しました。普通の威力の魔術なら、貴方に届かない――ならば」
「――はっ!!」
剣の切っ先が戯れあう。

356 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:29:26 ID:CUYh7Tbw
「それをも凌駕する圧倒的な力で捻じ伏せればいい」
剣と剣の隙間から、
震えるような宣言を送り、リジュはいつもの微笑みを浮かべた。

流れるまま、呪文を。この言の葉を、手向けの賛歌とする為に。

それは即ち、死神の死刑宣告である。

「Ανεμο ειναι σαν ενα μαχαιρι」
「Ανεμο ειναι σαν ενα μαχαιρι」
次いでエレの呪文が紡がれる。
リジュの口を読みながら、同じ呪文を唱える。
相手の呪文を計りつつではどうしても後手に回ってしまう。
後手では間に合わない。死神の鎌を食い止めるには、最悪で同時、最上で先手を取らなければ――刈られる。

「Οδπγησε σε θανατο」
「Οδπγησε σε θανατο」
――もっと速く。吐き出された言葉を読むのではなく予測を。次の呪文を、読め。
目の前の死神の次言を予言しろ。


357 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:30:26 ID:CUYh7Tbw
「Πυροβολησεσα」「Πυροβολησεσα」

――風は剣のように死を率いて
汝を穿つ。

「Ελα, ελα」「Ελα, ελα」
――さあ集え
そして踊れ。

『Ο θανατοτου ανεμου!!』
――疾風の死神よ!!

唱和が完全に重なった瞬間、二つの同じ魔術は真正面から衝突した。
風牙が大気を掻き毟りながら激突する。
凄まじい暴発。続いて轟音。空気の渦は大地を引き裂き、狂騒を奏で空へと昇る。
吹き上がる砂土で周囲は白く煙った。

358 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:31:35 ID:CUYh7Tbw
視界が晴れぬ間に。
荒れた地を蹴り、死神は再び攻撃を開始する。

悪魔は死神の猛攻を迎撃す。


「詠唱速度、質共に申し分ありません。今すぐ魔術師に転向したらどうですか」
「抜かせ。――言っただろう。剣の方が性に合う」
「そうですか。そういうの宝の持ち腐れっていうんですよ、清貧を良しとする騎士が贅沢はいけませんよね。
ああ、貴方はもう騎士じゃなかったんでしたっけ」

悪魔と死神が躍動する、此の地は彼岸か、此岸か。
或いは地獄か煉獄か。

灰白き外套を棚引かせ、鋼鉄の鎧を鳴らす。
黒き悪魔と白き死神は向かい合う。


359 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:32:56 ID:CUYh7Tbw
「僕ずっと貴方が気に食わなかったんです――思う存分、心行くまで殺戮してあげますよ」
「奇遇だな。俺もお前とは相成れぬと思っていた」
「それはそれは。忌々しくて何よりです」

重なった剣が離れる。

「貴方を殺したら次はシアナさんですね。彼女を甚振るのは小鳥を握り潰すくらいに容易い」
「……あいつを侮るな」
「へえ、これは珍しい。仲が悪いとばかり思っていましたが、擁護するおつもりですか」
「擁護ではない。確信だ。小鳥だと? 笑わせる。あれはお前が容易く傷を付けられる相手ではない」
「随分、彼女を買ってるんですね」
「当然だ。……俺の宿敵だからな。それに」

ズイマから、そしてシアナから受け取った剣を掲げる。

「そのような台詞は俺の命を狩ってから吐くのだな、疾風の死神よ。悪魔は存外、しぶといぞ」

前傾姿勢で突進し、渾身の一撃を。
これがかわされたと見るや体を回転させ、横殴りに続けざま一発。
怒涛の乱舞に、軽やかな動きで応じる死神。

「ふっ……やれやれ。これだから人間は嫌いなんですよ。見境がなくなると手に負えない」
「まるで自分は人間ではないと言っているような戯言だな」
「……そうだったらどうします?」
「何」

360 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:33:53 ID:CUYh7Tbw
見上げた相貌は青白く、双眸は青に濡れて。
瞳に宿る陽光が、白き鎌のように映った。

「貴方もシアナさんも。今からどんな断末魔を上げてくれるのか楽しみで仕方ありません。
想像するだけでゾクゾクします」

鼓動が、震える。
近づいてはいけない。あれは、人が対峙すべきものではない。
逃げろ。逃げなければ生は掴めないと、細胞が警告を発している。

そして悟る。
直感、本能。何でもいい、人間としての勘が告げている。
目の前の男は――人間以外の何かだ。

「……貴様、人ではないな。何者だ」
「貴方が無宇の民だと聞いておいてなんですが、僕自分のこと喋るの嫌いなもので。だから教えません」

今度は先手を打ったのはリジュだった。
否、既に“打っていた”という方が適切か。

「何一つ知ることなく死になさい」


361 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/08(金) 19:58:04 ID:CUYh7Tbw
――魔術発動。
「……!!」

先ほど発せられた詠唱――高速詠唱の最中、「もう一つ」呪文を唱えていた。
リジュの得意技、複数の魔術の同時詠唱である。
わざと発動時期をずらし、ここにきて完成した魔術がエレへと向かう。
風は大津波を生む。エレを飲みこまんと牙をあげ襲い掛かった。

波は没し、海に凪が降りるよう静寂が戻ってくる。
そこに――いた。

「ぐ……はあ……っ」

エレが。腕に傷を受けながらも、前を見据えてしっかりと地面の上に立っている。

「――……まさか」
「人の忠言は……素直に聞くものだぞ死神。何度も言わせるな。魔術を使うのはお前だけではない」

あの瞬間、あの刹那。エレも片方でなく両方の魔術を唱えたというのか。

「同時詠唱をしたと……いうのですか」
「ああ。貴様の技は何度か戦場で見たからな」
でなければ目の前に立っていられるわけがない。エレは同じ術を使い、相殺を果たしたのだ。
リジュの術の錬度は僅かに上。しかしエレの術とてリジュに迫る。
抑え切れなかった分、手傷を負ったが、リジュの攻撃を防御できただけで上出来という所だろう。

362 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/09(土) 00:14:53 ID:VtY5Pj9l
「生憎だが、人を謀るのは悪魔の本業でな。いや貴様は人でなかったな、まあどちらでもいい」


――人の身ならざる術を使い、悪魔はふてぶてしく言った。

「さあ、戦うか死神よ。来い。俺が窮地に到るまで追い詰めて見せろ。それが出来ないのならお前は」

いつだって悪魔を死の淵にまで追い詰める――
シアナに、遠く及ばない。

363 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/09(土) 00:18:39 ID:VtY5Pj9l
「ぐっ……!!」
イザークはビィシュの剣の前に膝を付いていた。
流石は全騎士隊中、最高位の騎士。全ての騎士から憧憬されるだけのことはある。
正直、この間の戦の方がまだ温く感じるほどの実力だ。
その熟練された剣に翻弄され、まともに打ち込むことさえままならない。

「何故、ここに来た。若き騎士よ。大人しく処刑を待っていれば済んだだけの話ではないか」

ビィシュは一歩前に進み、諭すように問いかけた。

「お前は名のある家の出なのだろう。……その名家から反逆者を出したとあっては、家族が泣くぞ。国にお前の居場所はなくなるだろう」
「……僕……いや、俺、もう戻るところなんてないんです」
「ほう?」
「騎士隊に入る時も、反対されて、それで親父と滅茶苦茶に喧嘩して――勘当されて出てきたようなものだし……だから戻る家はないんです」
「親を泣かせて出てきたわけか」
「はい。俺、とんでもない親不孝者ですよね。でも……」

剣を地面に突き立てて、立ち上がる。

「後悔はしてません。例え、親を泣かせようと反逆者になろうと俺は俺の守りたいもののために戦います」
「家族より、自身の信念を取るというのだな」
「ええ――」


364 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/09(土) 00:20:36 ID:VtY5Pj9l
その為ならば、徹底的に卑怯者になったって構わない。
俺の在るべき場所は、安寧と安全しかない、ぬるま湯のような豪邸ではない。
埃塗れになろうと、泥だらけになろうと
――戻るべき場所は、ひとつ。


「俺は死ぬまで隊長の傍で戦うって決めたんです」

「……いい度胸だ」

ビィシュは心なしか嬉しそうに答えた。
剣を引き抜き、ビィシュの重い打ち込みを受け止める。

「く……っ!!」

なんて馬鹿げた強さだ。受け止めただけで腕が――全身が痺れる。
剣の重みは、心の重みだと、誰かが言った。
――この重みが、全騎士隊の上に立つものの、重みだ。

「はああっ!!」

ギインッ!! ギインッ!!  

「くそ……っ!!」

元より、
実力が違いすぎるのは目に見えている。
剣の腕が劣っているなんて知れたことだ。
目の前の壮麗な騎士に勝てるところなんて、ちょっとやそっとじゃ見つからない。
彼は王者。その力は、シアナやエレさえ飛び越える。

365 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/09(土) 00:22:15 ID:VtY5Pj9l
シアナ隊長より強い相手か――参ったなあ。

一度として勝ったことのない相手より強者を相手にしているのか。
本当に、何て馬鹿な事態だよコレ。畜生、泣ける。でも笑ってやる。
だって辛い時ほど、あの人は笑うから。自分だけ泣いていられるか。
「はは……っ」

勝てる要素は皆無。
ならば俺は、決意だけは。
この誇り高い決意を上回るだけの想いで、それに応えなければ。

「はああああっ!!」
「――はっ!!」

でなければ追いつけない。追い越せない。シアナも、目の前の騎士さえも。
食らい付く。必死に剣戟についていく。
家も安泰な未来も全部捨てたんだ。今更失うものなんてあるものか――!!

「ふっ!!」

何度目だろう。
思い切り剣を打たれ、地面に転がる。

366 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/09(土) 00:23:26 ID:VtY5Pj9l
「そろそろ諦めたらどうだ? いくら威勢がよかろうとお前は私には勝てない。敏捷さも力も、何もかも私に劣る」

言葉が沁みる。膝も腕も、剣がかすって血を流してる手も酷く痛む。
それでも立ち上がる。
ここで倒れたら、生涯自分が許せない。
再びビィシュの追撃を迎え撃つ。

「ちっく……しょう、負けるかよ」
「諦めが悪いな。……何処かの隊長に似たか」
「そうですよ、いい長所でしょう?」
「ふっ、堂々と……想定したより遅かったな。噂をすれば影か」
「え」

そこに――ようやく来た。待ち焦がれた人物が。

「――よくやったわね、イザーク」
「隊長〜!! 俺、頑張りましたよね!!」

シアナはイザークへ駆け寄り、小さい声で「上出来」と言った。
剣を構え、王者を見据える。

367 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/09(土) 00:25:49 ID:VtY5Pj9l
「ビィシュ、私が相手になるわ」
「いいだろう――来い、シアナ」

言葉が終わった途端、シアナはビィシュに接近した。
斜めに斬る。
シアナの振るう、厳つい剣をものともせず、ビィシュは一撃を薙ぎ払った。
息吐く暇すら許されない連撃。薙いで、斬って、受けて、そして切り結びあう。
その一太刀、一太刀全てが渾身の力を込めて放たれている。

天に轟くは剣の合唱。
地に響くは靴の輪舞。

音が鳴り止むことは無い。両者の剣は猛り、ぶつかる。
なんて美しい――――不覚にもイザークは言葉を奪われた。
実力の逼迫した強者同士の戦いというのは、これほどまでに美しいものなのか。
これはもう戦いではなく、舞踏だ。

処刑地にて龍殺しと王者が舞い踊る。

壮絶という言葉が相応しい舞台に、観衆――イザーク、そして処刑者が見入る。
これを見て、何かが言える者など居るはずが無い。

言葉など不粋にしかならない。
この美しき宴の前にあっては。

368 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 06:26:14 ID:/JGKb1UR
>>337
ゆとり以下の情弱を相手にすることになるんだから医者や科学者じゃ無理
信者集めや詐欺だのが得意なぺてん師じゃないと絶対に俺sugeee出来ない

↓ヨーロッパの黒死病の時の情弱共↓
人々は恐れおののいて、神の怒りを感じ、悔恨の行列を組み、鞭で自分の体を叩いた。
治療法も予防法も知れず、ひたすら祈り、そして死体や患者を遠ざけ、ところによってはユダヤ人を病気を撒き散らした張本人として血祭りにあげた。


どんな凄い知識持ってたとしても、蛮族相手に個人が裸一貫で出来ること何てたかが知れてる

369 :創る名無しに見る名無し:2009/05/09(土) 15:13:52 ID:M9LLmBjA
>忌々しくて何よりです
今年の流行語大賞決定↑
やべえエレ・リジュ戦が熱い!
ていうか刻印もあって魔術も使えて剣の腕も達者て、最強じゃないかエレ!


370 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 16:19:55 ID:ZrqxNvct
>>368

GAIJINGどもってなんでやたらとヒスるのかな
何かにつまずいたりするといきなり神様の名前出して罵ったりするし……強暴過ぎる……

肉が主食だから?

371 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 20:38:32 ID:wBzkwQVx
>>370
ウチの大学の留学生は全然そんなことないぜよ
偏見だぜ

372 :創る名無しに見る名無し:2009/05/10(日) 22:54:51 ID:AFu889kY
思うに>>370のは、
外人日本人問わず低所得者層の集まる地域での話ではないかな。

そこに住んでんのか
出かけた先なのかはともかくとして。

373 :370:2009/05/11(月) 01:56:25 ID:EznJg8F0
マジで?
映画とかドラマでやたらジーザスジーザスうるさいから
みんなそんなもんだと思ってたわ

374 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 05:52:14 ID:NDaX/jku
>>373
映画やドラマでか……偏見だぜ
お前がそう思うならアメリカ人達こそ日本人を黄色の猿としか思ってないだろうな

375 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 09:19:26 ID:4XhLTEAT
いやむしろ、
相当欧米人に近い
スタイル良くてはっきりモノを言う人種だと誤解されている可能性が高いのではないか?

376 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 12:40:40 ID:FbW6Xyk9
マジレスすると

サムライとニンジャが今でも現役で活躍しハロワには「○○城城主の用心棒募集中でござる」みたいな求人があり
カメラが大好きでいつも一眼レフを首から下げ丸ブチ眼鏡をかけ
家庭を顧みず日夜勤勉に仕事に勤しみ殉職することを美徳とするという価値観を持ち
尚且つワビサビを愛し質素を好み贅沢をせず兎小屋のごとき家に住み
さういふひとに
わたしはなりたい

と思われてる

377 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 13:14:39 ID:IpZdfHQ+
邪気ネタから完全に離れてきたな
誰か邪気ネタ投下よろ

378 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 17:14:35 ID:BooFstZn
>>377
スカウトしてこい

BLEACHのオリキャラを挙げる
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1240981546/

霜月格子朗(しもつきこうしろう)
護廷十三隊に所属していた死神
相手に対して敬語で話す一見紳士のようだが、実際は切ることで快楽を得る快楽殺人鬼
その満たされぬ心を満たすために死神となったが、虚を切るだけでは満足できず
影で多くの死神を切るという暴挙に走った。
その行いが発覚し蛆虫の巣に連行される寸前で逃亡
その後は自らの斬魄刀の鍛錬も兼ねて虚や死神を切り続ける生活を続けていた。
熱い性格のやつは嫌い

斬魄刀の名は「紫鏡(しきょう)」
【始解】
「映し出せ」で水晶の結晶のような形に変化する。
霜月曰く「この形は防御に特化している」らしく、敵の飛び道具を弾き返す能力が付加される。
「写し取れ」で相手の斬魄刀と同じ形(始解状態)に変化する。
さらには、相手の斬魄刀の持つ能力、技も使える。
「卍解」も使えるが一回使うと元の形に戻ってしまうという弱点がある。
さらに、あまりに強力な技だと耐えきれず折れてしまう。
【卍解】:「呪舞紫鏡(じゅぶしきょう)」
解放すると刀身が2枚刃に変化する。
霜月曰く「この形は攻撃特化」

「破片砕切(はへんさいせつ)」
砕けて破片状になった刀身を敵に向かって飛ばす技
なくなった刀身は再生する
「呪鏡の舞(じゅきょうのまい)」
解放すると刀身が巨大な2枚の鏡に変化し相手の両側に出現する。
直後、相手の周りを鏡が回り始め相手の霊力を吸い取り消滅させる。
紫鏡最強の技


379 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 17:23:06 ID:KE1BY8v2
卍解があまりオサレじゃないな
そこが惜しい

380 :創る名無しに見る名無し:2009/05/11(月) 17:56:07 ID:kRdmHniX
○○の作品の檻キャラを考えるスレとか
真性が紛れ込んでそうでこあい

381 :創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 18:02:13 ID:Mi1/oqhJ
いろいろ書きたいが参考にする資料を買う金がないでござる
資料っつっても漫画と小説なんだけどな

382 :創る名無しに見る名無し:2009/05/12(火) 23:58:02 ID:uSJIT1Qw
図書館行こうぜ

383 :創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 00:00:42 ID:Mi1/oqhJ
>>382
長編書く予定だから何度も見直すと思うわけよ
だったら図書館で借りるよりも買って手元においておいたほうが便利かなと

384 :創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 00:52:45 ID:M7iEf6St
要点と設定だけメモればいい

385 :創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 18:06:21 ID:9ySmXrRq
>>382
だったら借りてきたものをコピー機でコピれば・・・
多少かさばるが、安くつく
でもマンガくらいだったら、コピるより買った方が安いかもしれんが
学部生だったときに卒論で使う資料は全部コピってたぜ、買うと高いから
もちろん全ページだと死ねるので、必要なページのみ

386 :創る名無しに見る名無し:2009/05/13(水) 22:20:07 ID:WQ5WnUD8
コピーか! その手があったぜ。thx

387 :創る名無しに見る名無し:2009/05/14(木) 20:58:41 ID:vyEjvV+q
作品の投下がないとすげえ過疎るな


388 :創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 12:53:54 ID:1Fe8SBdx
毎日来ても誰もいないこの寂しさ・・・

389 :創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 17:51:17 ID:oNac7NyV
いるけどROMってる

390 :創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 17:55:24 ID:uEceXLb0
他人に頼ってるうちはどんどん過疎るよ

391 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/18(月) 22:47:45 ID:5gvYAWWh
マントがなびく。風に攫われる前に前に出る。
剣撃を立て続けに放つ。呼吸が聞こえない程、速く。

――決して逃がすな。追い詰めろ。


声もなくビィシュから刃が振るわれた。
細い月のような軌跡が残像として瞳に焼きつく。

「ぐ……っ」

ギインギイン!!
切っ先を直前の所で、太刀が受け止める。
――押されている。

「シアナ隊長!!」
イザークが名を呼ぶ。

「大丈夫よ、手出しは不要!! イザークは黙って見てなさい!!」

攻防はビィシュの優勢にあった。
一対一、万全の戦いならば優勢を決定するのは武力に寄る所が大きい。
武力が勝る側が有利を取るのは必然と言えた。


392 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/18(月) 22:49:17 ID:5gvYAWWh
刃の競合が続く。
長期戦に持ち込まれれば、ビィシュに体力が劣るシアナは不利だ。
それを計って、シアナは唇を噛み締めた。

――ああ、未だ自分は到らないのか。

悔しい。
ズイマ総長にエレの事を頼まれたのに――それを果たせないでいる自分が不甲斐ない。

総長は自分を庇って死んだ。庇わずに傍観する事も出来たのにそれをしなかった。
この命は――生かされた。一度目は父親に、二度目は総長に。
そして三度目は――エレに生かされている。

きっとエレを見捨てていたら、生きていたとしても心は死んだままだっただろう。
私は生かされた。色んな人の手によって、今ここに生きている――!
私は志として命を受け継いだ。誓いと祈りはこの手に。

だから、最後の望みくらいは絶対に聞き届ける。


――エレを、頼むぞ。

「分かってます――総長」


393 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/18(月) 22:50:56 ID:5gvYAWWh
エレを今まで保護してきたのは、総長だ。
総長がこの世界でエレの味方だった。
きっと何を敵に回しても、総長はエレを守り続けただろうから。
総長がいなくなったら、エレの味方はいなくなる。
今までどんなに苦しくても頑なに助けを求めなかった頑固な騎士。


(エレ、あんたは馬鹿よ――苦しいなら苦しいって言えばいいのに)

だが、苦しければ苦しいほど言わないのだろう。
この戦いが終わったら、何度でも言ってやる。
この大馬鹿野郎。
そうしたらまた喧々とした喧嘩が始まるだろうが、知ったことか。



――到れ。そして勝利せよ。

「はあああっ!!」


一瞬の隙も与えず、一寸たりとも近づけさせはしない。
ビィシュを窮地へ追い詰めるにはそれしかない。
奴を人と思うな――あれは人の身において武の境地へ到った者。
其国の強者にして剣の覇者。
打ち勝つには自らもその高みに到達しなければ。


394 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/18(月) 22:52:05 ID:5gvYAWWh
踏み出さなければ、届かない。
届かなければ、倒せない。
倒せなければ、進めない!!

ならば私が超える。幾千の強者を束ねる王者をこの手で。
超える。超える。超える。

――超えろ!!


ビィシュの眼前に接近した刹那、シアナは刻印を解放した。
白い光がビィシュの網膜に突き刺さる。
目を至近距離から光で直射され、――視界が白濁した。
心地の良い金属音が響く。ビィシュの剣は空を飛んでいた。
回転しながら、落ちていく。地面に落下した剣は乾いた土上に突き刺さった。

気付けば喉元にシアナの剣の先があった。
シアナは複雑な表情でビィシュを見つめている。
勝敗は決した。敗北を期した者に、剣を取る資格はない。
自らの敗北を受け止め、騎士はゆっくりと口を開く。


395 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/18(月) 23:01:14 ID:5gvYAWWh
「……見事だ。今日から騎士隊一の腕と名乗るがいい」
「それは無理ね。こうして反逆者扱いされちゃ自慢にもならないわ。それに――こんな卑怯な手で勝ったんじゃね」
「勝ちは勝ちだろう――行くのか」
「ええ、行くわ」
「お前達は険悪な仲だと思っていたが――奴を庇って何の得がある」
「得? ないわよ。報酬もなければ、多分謝礼も言われないでしょうね。
それどころか厭味を吐かれる可能性大よ、言ってしまえば、これはただの自己満足なの」
「自己満足……成る程な。自己満足ならば理解に足る。独善的な正義よりはよほど好ましい」
「それはどうも。決めたの――他に誰もいないなら私くらいは味方になってあげようって」
「ほう?」
「それにね」

シアナは笑う。

エレはシアナを殺せるのは自分だけだと言った。
ならば逆にこうも言えるのではないだろうか。

「あいつを殺せるのも私だけだから――」


396 :創る名無しに見る名無し:2009/05/18(月) 23:22:57 ID:fluG0gUy
おいす
久々ね

397 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/19(火) 00:32:44 ID:jeCetHva
エレとリジュが呪文を紡ぐ度に、空に杭が打たれる。
風は相手を繋ぎとめる桎梏。貫く刃でもあった。

風が頭上で衝突し、慟哭する。
一陣は猛る稲妻の如く烈千の嵐となりて敵を狙う。

空を凄まじい勢いで疾駆する風は、まさに天を駆ける龍のようだ。
違いは目に見えるか見えないか。双つの天龍は空気を裂いて絶唱する。

「Ισχυρε? ανεμου!!」

見えない龍が牙を剥く。相手の龍に向かって一直線に飛翔する。
衝突。龍は相討ち破裂する。衝撃波が大気を揺らす。
風の残滓は混じりあい、天へと昇る。



先程から延々と相討ちが続いていた。
リジュが複数紡ぎ上げた詠唱を、エレが同じ数を持って阻止する形で戦いは繰り返されている。
それだけではない。悪魔の騎士にも死神にも、剣がある。
呪文での攻防、そして地上では激しい剣の交合。
魔術と剣術を巧みに操りながら、両者は一歩も退かぬ戦闘を続行する。


398 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/19(火) 00:34:18 ID:jeCetHva
「貴様……本当に何者だ? 大学で習っただけではこれ程までの魔力は習得できまい」
「何も教えないと言ったでしょう――貴方には知る必要もない、その資格もない」

後方に飛んで距離を置く両者。
砂煙が二人の間を過ぎていく。

「風の魔術に特化した力……複数の呪文の同時詠唱――それを可能にしているのは精神ではなく、貴様の外観、肉体か?」
「よく分かりましたね。的中させた事に免じてそれだけは答えてあげましょう。当たりです」
「やはりな。貴様と太刀を交わした時、微かだが呪の匂いがした。貴様をそうたらしめているのは……呪術か」

魔力の源は精神であるという。
所謂、精神力。精神力の根源が深ければ深いほど術者は強大な魔力を持つとされている。
生まれながらにして根源の深さは大抵決まっている。根源が著しく上下する事は基本的にはない。
エレの一族が魔術に特化しているのも、根源が深いからであり、無宇族はその血濃さ故に代を重ねる度根源を増やしていった。
つまり生まれた瞬間に、魔力の大きさは定まっているも同じなのだ。

人の種族で最も魔力があるとされているのが無宇族だ。
それを超越する者は、人外ということになる。
――しかし、それが答えなのだろうか。
エレはリジュを推し量る限り、力の源は膨大な魔力というよりも、魔術そのものにあると踏んだ。


399 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/19(火) 00:35:37 ID:jeCetHva
魔力を体の奥底から強制的に引き出し、具現させている――呪術。
肉体に取り付けられた歯車。
意思とは無関係に力を排出し続ける機械。

「精神では補えない分を身体で補っているのか。肉体に呪術を埋め付けることによって魔力をあげている。
身体が、魔術のために造られている。最初からそう生み出されたようだな。
……フッ、なんて仕様だ。これでは貴様は、まるで――」
「Ισχυρεανεμου!!」

エレの言葉を遮るようにリジュが風を放つ。
それはエレの呪文にかき消された。
しかし一歩遅く、僅かに威力が勝ったリジュの風はエレの頬を掠める。
一筋の血が唇へ流れる。

皮肉めいた嘲笑を零し、エレは手で血を拭う。
真紅に染まった唇を舌で舐め取って、リジュの聞きたくない言葉を放つ。

「まるで――兵器だ」

血が滾る。


400 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/19(火) 00:40:01 ID:jeCetHva
お久しぶりです
今月に入ってから中々進まなくてすみません。感想くれた人ありがとう。
また来ます。

401 :創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 01:03:30 ID:hyhNoZtx
投下しようか?とか言おうと思ったけど、夏ミカン氏帰ってきたのか
400でもう242KBか……
さすが一日一万字書く人は違うな……
俺も投下しようと思ったけど、スレ見直したら別の人が投下するとアンチが沸くのね
困ったな

402 :創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 01:31:46 ID:jbdChwii
いや全く問題ないから投下しようZE
鳥で抽出しちまえば有象無象の発言なんて関係なくなるし

403 :創る名無しに見る名無し:2009/05/19(火) 02:22:41 ID:KSZatWNU
>>402
IDが wii

404 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 17:46:33 ID:ji6sZdBp
おお久々に続きが!!乙です
シアナは反逆者扱いになってもやっぱり騎士だね
つかリジュの素性がすげー気になる!!

405 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 17:50:41 ID:ji6sZdBp
>>401
投下全然おkだと思う
長編になるなら、見やすいようにトリ付けてくれればいいし
アンチなんかごく一部だと思うよ、スルーすればおk

406 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 19:28:40 ID:jYbJ3R7+
「神様にお祈りした。だからてめえは負けたんだ」

こんなキメ台詞考えた。ありがちっぽいがどうよ?

407 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 19:41:34 ID:dZ/l0iwP
「ただの小童じゃなかったのか。お前は一体何者なんだ」

「俺がその、神なのさ」バキューン

良いね。

408 :創る名無しに見る名無し:2009/05/20(水) 22:41:48 ID:9mPVBEMs
ベルセルクで同じようなのあったな。

409 :創る名無しに見る名無し:2009/05/22(金) 20:23:03 ID:xeMX62nm
過疎ってるから近々なんか短編かいて投下するぜ

410 :創る名無しに見る名無し:2009/05/22(金) 22:43:54 ID:YiUQPI+g
>>408
かつて考えていた厨二ファンタジーの設定がその作品とかなり似てて断念したんだが、それ以来「ベルセルクのパクリ」的なフレーズがトラウマになった


411 :創る名無しに見る名無し:2009/05/23(土) 00:15:09 ID:MABZw2dE
俺も投下しようかな
迷惑掛けるから見にくいけどロダ使うかもしれない。

412 :創る名無しに見る名無し:2009/05/23(土) 00:32:52 ID:c0V2515u
ロダだと消えちゃうし普通に投下すればいいじゃない

413 :創る名無しに見る名無し:2009/05/23(土) 01:27:01 ID:MABZw2dE
>>412
でもロダが好きだからロダに投下する。
ロダに投下して、新しく書いた分に古い分をまとめておいて、古いやつを消していく作戦にします。
ちょっと書けたら投下しやす。

414 :創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 02:02:45 ID:fh7RD9R4
投下するって言ったんならさっさと投下しろ!!

415 :創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 02:33:02 ID:lXWeNLyK
来週末まで仕上げて投下すると遅筆の自分を追い詰めてみる

416 :創る名無しに見る名無し:2009/05/24(日) 09:26:30 ID:uaL+xQ0f
じゃ俺がロダから代理投下してやる
自意識過剰な著作権厨じゃないなら問題ないだろ?


417 :創る名無しに見る名無し:2009/05/25(月) 21:10:07 ID:hBwZlPZb
それが自意識過剰だと思う


418 :創る名無しに見る名無し:2009/05/25(月) 22:53:08 ID:VKY/pzjH
ロダに小説載せて投下して意味あんの?
ちなみにロダ使っても読めないから

419 :創る名無しに見る名無し:2009/05/25(月) 22:59:44 ID:0VjF8GWf
改行考えてあるとロダ読みやすいが

420 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 01:50:49 ID:1Pmw/R/A
htmlとか良い感じ

421 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 17:59:58 ID:wFuHqrv2
とりあえず、夏みかん氏の投下が終わるまで待った方がいいと思うんだks共

422 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 19:48:16 ID:Ik7bA2oK
その夏みかん氏の投下が最近少ないから
盛り上げるために短編投下しようと思ってた

423 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 20:11:39 ID:Virwt4k3
ひとりのためのスレじゃないし、そんなことされたら夏みかん氏もかえって気を遣うだろう

424 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 20:28:03 ID:aIvI3DrY
ぐだぐだ荒らさずに、さっさと投下すりゃ良いじゃん
遅筆のカスほど投下量が多すぎるから制限しろとか言い出すんだよな

しかも中身もカス

425 :創る名無しに見る名無し:2009/05/26(火) 20:33:01 ID:sxwd8u0f
話が見えない。誰が荒らしてるの?

426 :創る名無しに見る名無し:2009/05/27(水) 19:04:24 ID:84GbquKK
>>423に同意。
夏みかん氏の作品は俺も楽しみにしてるが、だからって他の奴は投下スンナみたいになると
それが夏みかん氏のプレッシャーになるかとも思うし

あと上で話題になってる形式だけど、ロダとかじゃなくて普通に投下すればいいんじゃないかと個人的には思うが

427 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/28(木) 02:52:56 ID:YA9c12uS
ちりちりと、焔が胸の中で燻ぶっている。
四肢の先、末端にぴりぴりと電流が巡る。
神経を繋ぐ回路は果てなくからりからりと回り続ける。
魔術を唱えれば唱えるほど、肉体を酷使すればするほどに性能を上げていくこの肉体。
制御装置の付いていない機械のようなものだ。身体の限界はとうに訪れている。
目は乾き、脳は揺らぐ。体は奮え、骨が軋む。
少しでも休息を求めれば一秒後にはバラバラになるであろう、脆弱なカラダ。
全身が悲鳴を発している。その、声にならない救難信号を抑えつけているのは、
頑なに剣を取り続ける――心だけだった。
戦いは持久戦へと移行し、今は只、鬩ぎ合いだけが続いていた。

目の前の男。
この死線上、一歩でも足を踏み外せば即終幕の戦場において。
死神は笑っている。華麗に微笑みながら剣を繰り出してくる。

エレは思う。
俺の命を狩るのがそんなに愉しいのか――
いや、その気持ちは分からないでもない。
自分とて同じだ。最も殺したい人間と戦っている最中が、一番愉しい。

だが、リジュの笑みは喜びを噛み締めている類のものではないように思えた。
それは寧ろ、何かを封じ込める為に思えた。
愉しくもないのに笑う――無為な嘘。虚飾の仮面。エレにはその行いの意味が全く理解出来ない。
自分の意思を無意味に偽ってなんの得があろう。

だが。
あの種類の笑いには見覚えがある。
いつか誰だかが、ああやって笑っていたような気がする。
全身を悪意に満ちた絶望に浸されながらも、虚ろな目をして……微笑みかけた。


428 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/28(木) 02:54:17 ID:YA9c12uS
気が遠くなるほど。ずっと、昔に。
あれは。あれは確か確か確か――

……やめろ。やめろ。思い出させるな!!

厭な記憶が脳裏をかすめる。それは一瞬の事だったが、死神にとっては十分過ぎる程の時間だった。

「――戦いの最中に考え事ですか? らしくないですね」
「チッ……!!」

眼前まで迫るリジュの刃。
それを太刀で受けて、魔術への対処が遅れた。
風が湧く。途端に気流の渦の中に放り込まれる。
身を大気に縛されて、エレは顔を歪めた。

「宣告しましょう。次の一撃は全力です。絶対に避けれません、貴方は死ぬ」

四方八方から肌を刻む風に乗せてリジュが声をあげた。
状況は圧倒的不利。
敵は優勢。
打開策は――――この風の結界を破ることが叶わないのなら、一つに絞られる。

悪魔の刻印を発動し、風を殺す。
しかし、それは同時に時限爆弾に刺激を与えるようなもの。
この場を凌いだとしても、ぎりぎりにまで迫った刻印の堰を破ることは確実だろう。


429 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/28(木) 02:55:53 ID:YA9c12uS
龍に変わる……か。
それが何だ。
むざむざこいつに殺されるくらいなら、龍に変わるなど苦痛にすらならない。


刻印を発動させようとした瞬間、自分でも意識していなかった言葉が降って沸き、エレは発動を止めた。

――刻印は使わないで。
――周りの人まで巻き込むことになる。

祈るような目をして自分を見上げた、シアナの言葉を。


「こんな時まで俺の邪魔をするのかお前は――馬鹿め」

ああ、お前の言葉を素直に聴くのは癪だ。
このまま死神に狩られるのも、耐え難い。
生か死か生きる道は一つしかない、その道が断たれては手も足も文字通り出はしない。
全身が風圧にひしゃげて厭な音を立てる。
歪な不協和音が耳へと昇る。
それでも痛みに慣れた悪魔にとっては、日常茶飯事のこと。
時折襲ってくるあの吐き気がする痛みに比べればこれしき、


430 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/28(木) 02:57:44 ID:YA9c12uS
「ぬる……いぞ」
「何ですか」
「お前の風は、そよ風のようだ。……本気で俺を殺そうとするなら、こんなちゃちな風でなく、
台風でも起こすがいい」
「言いましたね――覚悟は出来てるとお見受けしました、もう、死になさい」


急流の中で狭まっていくのは虚ろな思考。
交差する風は刃物と同じ。冷たく身体を切り裂いて深みまで抉る。


仮に誰かに殺されるとしたら、
自分を殺すのは、死神ではなく。
シアナだと思っていた。
そんな驕りが、自分の確信が、外れたことが何よりも。
何故か酷く腹立たしい。


エレを封じこめ、風刃がその身を一気に裂こうとした時――
風が消えた。


431 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/28(木) 02:59:59 ID:YA9c12uS
弾ける金属の音。砂の上を走る鉄靴。
なびく亜麻色の髪。重厚な鎧をその身に纏い。


「エレ、苦戦してるみたいね――。変わってあげようか?」

ここに騎士は来た。反逆者の名を負ってまで、誓いと想いを果たすがために。

「……フン、いらぬ世話だな」
「死にそうになってた癖によく言うわね。そういう所だけは素直に感心するわ」

いつもは苛つく減らず口が今は無性に心地よかった。
迷いはもう無い。大剣を大振りに回して、リジュに迫る。


「ようやく――来ましたか、後少しで彼を殺せたものを……」
「させないって言ったでしょう!!」


432 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/28(木) 03:08:29 ID:YA9c12uS
お久しぶりです。
とろとろしてるせいで投下に気を使わせてしまって申し訳ないです。
自分の事は気にせずジャンジャン投下しちゃって下さい。


>>404

おひさ!!d
リジュも色々設定を詰め込んでるので書いていきたいですねー
正体もかく予定なのでお待ちくだされ…!

433 :創る名無しに見る名無し:2009/05/28(木) 16:04:59 ID:eBtuu2Fz
否! 出来る! 可能! 出来る!
地獄の門に画鋲を打ち込みそれを痩せた髪のひとひらで万力で持って引き抜き門をこじ開けるかのように!
全霊の思いが壁を伝わり虫けらを伝わりコケを伝わり柱を伝わり遥か遠くに届くように!

ここにはそれを可能とすることを阻む何らの障害も存在しなかったっ。

獅子がうさぎを取り逃がすだろうか、否! 手柄を前にした兵が逃げるだろうか、否!


今、ここに、完全な三次元空間への突入が、確かに可能になった、行われたのだ!

434 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:24:08 ID:toHVUfQa
ギインッ!! 

リジュは交わった剣の向こう側で、不敵な表情を浮かべる。
繰広げられる激しい応酬を、児戯だと嘲笑するように。
シアナはそれを見て熱り立つ。

まだ、笑える余裕があるのか。
なんてふざけた実力だろう。私と果し合いの最中に微笑んでいられるなんて――
心の底から褒めてあげたいくらいだ。
ああ、凄い凄い、流石は第四騎士隊の隊長様。二つ名を疾風の死神。
華麗なる剣裁きは芸術そのもの。何処にも隙が見当たらない。

「さっきの勢いはどうしました? 段々と力が落ちているんじゃないですか?」
「まさか――じゃあ、これから倍にしてあげる」

――だが、それがどうした?

リジュが死神だというのなら――自分は今まで何頭もの「龍――死神」を相手に戦って来た。
遅れを取る理由など、只の一つも存在しない。

「舐めないでよね――私は」

本気で打ち込んでいる相手に、余裕綽々の笑顔を向けられるほど屈辱なことはない。
それはつまり、遠まわしに「貴方じゃ相手にならない」と言われてるのと同義だ。

相手にならないだと――誰を目の前にしてると思っている。
一際強い一振りを死神に。
シアナはリジュに顔を近づけた。

435 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:26:23 ID:toHVUfQa
「私は――貴方の笑顔を消す」
「へえ、貴方に出来るんですか、シアナさん」

普段のリジュは笑顔だ。
それは自分が追い詰められていないことの現れでもある。

ならば、彼から笑顔が消えた時は――追い詰められた時だ。
敵に追い込まれ心から余裕が奪われた瞬間、彼の笑顔も消える。

微笑を作っている間など与えない。
完璧に完全に完遂してやる。
この剣で表層を切り裂いて。
柔らかな微笑の奥に潜む、獣を呼び起こしてやる!!

「出来る出来ないじゃない。やるのよ!!」

風が流れていく。二人は睨み合ったまま、距離を置く。


436 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:27:10 ID:toHVUfQa
「さあリジュ、踊りましょう――相手は私で不足はないかしら」

優雅な誘いに、死神は品格ある振る舞いで応えた。

「勿論、貴方ならば僕の相手としては十二分に」

それは――ここが城内で二人共に礼服に身を包んでいたら
これからダンスでも始まるのかと思わせるような会話だった。
しかし、この場は処刑場。咎人の首を討ち取る、寂れた地。

故に。ここで行われるのは、舞踏などではなく。

首を取るか取られるかの死闘だ。

「ぐっ――!!」

剣先が目の前を通過する。
紙一重の所で回避し、シアナは次の攻撃動作へと移る。
リジュの攻撃は、繰り出される毎に速度をあげていく。
鮮やかな乱舞、一秒でも遅れればこちらの命はない。

その目まぐるしい嵐の中でリジュは――言葉を放った。


437 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:27:54 ID:toHVUfQa
「Ο ανεμοξαφαιρειτον αερα, το δακρυ, και να αδειασει」

甘美な詞が空へ跳ぶ。
         見事までに完成された高速呪文を止める手立てはない。

「Καλουμε το ουρανιοχορο」

                この真白き死神は、翼を持っていた。
敵を引き裂く時にのみ開かれる羽根を。

「Βρισκονται πανω απο τι?πινακιδε? των προγονων ανηλεη」

そして弓を。
      敵を射抜くために矢を番える。
容赦なく踊れと死を与える者が微笑む。

そこら中の風がこの場所を目指して結い、渦を巻く。
シアナは構える。魔力が薄い自分にさえも空気を通して伝達するこの力。
リジュが今まで発動した術とは桁違いのものを感じた。
「――ぐ……ぅっ」


438 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:28:53 ID:toHVUfQa
シアナは烈風が身体を浚う中、必死に目を開けていた。

ああ――本気だ。本気でリジュは私を殺しに来ている。
それでなくては。
本気で戦ってもらわねば、私も立ち向かう意味がない。

「Ειναι κακο αδελφο」

暴風がシアナに直下する。
丁寧に織り編まれた詠唱は、標的を食らう為に檻と成す。
鎧の上から圧迫され切り刻まれていく体。髪。
予感がする。次の一言が遂げられれば――リジュの呪文は自分を必ず殺す。


負けるか。負けてたまるか。
自分はまだ死ねない――!!

キュイイイン――
檻が鎖される数秒前。
上方で、けたたましい鳴声が聴こえた。

「隊長!! あれっ……!!」

イザークが指すのは空の彼方。
幾数もの黒き影がこちらを目指して飛んで来る。
影は龍だった。ゴルィニシチェの国旗を纏い、悠然と飛翔する龍騎兵共。

「ゴルィニシチェ?! こんな時に――!!」

誰も戦闘の手を止めて、進軍してくる黒き大群を睨んだ。

「ようやく来たか――あの数からすると……今度は撤退しないだろうな。完全制圧が目的だろう。
リジュ、行くぞ。戦の準備だ」

ビィシュは身を翻して城へと向かう。
リジュは今までの緊張を解いてシアナに向き合った。


439 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:29:47 ID:toHVUfQa
「……残念でしたねシアナさん、決着はお預けみたいです」
「リジュ……」
「やれ、エレ君の首も狩り損ねましたね。では僕達はこれで」
「待って!! ゴルィニシチェと戦うんだったら私も」
「言ったでしょう? 貴方はもう反逆者なんですよ、手を借りたいのは山々ですが――そうもいきません」
「…………」
「早く行ったらどうですか。ここにいては危険ですよ。これ以上留まるというのならゴルィニシチェ兵がこちらへ到着する前に殺してあげてもいいですが」

シアナはハッとして顔をあげた。
相変わらず飄々として読めない微笑だが――そこに、確かな意思が感じられるような気がした。

「……ごめん」
「謝罪するくらいなら最初からしないで下さい。それでは、さよならシアナさん、皆さん」

ありがとう、と小さく呟いて、シアナはエレとイザークと共に走り出す。
その背を、死神は透徹した眼差しで見つめていた。

440 :夏みかん ◆6/YyOSVhvI :2009/05/31(日) 00:31:14 ID:toHVUfQa
「殺ろうと思えば殺れただろうに。甘いな、お前も」
ビィシュが背後から声を掛けてくる。リジュはうっすらと溜息を零して、「そうですね」と肯定した。
「無感情に殺せれば一番良かったんでしょうけど、容易くそうさせてくれない相手だったものですから……ね」

シアナとエレと、イザークと。共に過ごした日々が、記憶として浮かんだ。
「今までの思い出を断ち切れるほど、僕も酷ではなかったようです」
「さっきまで死闘を演じていた人間の言葉とは思えんな」
「僕は本気でしたよ。手は抜いてません」

それも、本気で戦って尚、シアナがエレが生き残ると信じてこそ。
仲間としてここまで歩んできた中で、紡がれた絆は確かにここにあったのだ。

「さて急ぎましょうか」
「ああ。そうだな……私達の敵はシアナでもエレでもない。国を侵す者共だ。今、力を発揮出来なかった分存分に戦場で暴れてくれ」
「はい。それは勿論――」


441 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 21:28:32 ID:dAT9jpje
短編が仕上がったので投下しますよ

前スレで投下した規制ネタで厨二魔法物と同じ設定でのストーリーなので
そっち見ないと分かりづらいところがあるかもしれません
メモ帳から世界観、設定等を引っ張ってきたので先に書いておきます

この話の舞台となる国は大きく分けると三つの区域に分けられる。
貴族住居区域と魔監獄エルサレム区域、そして以外の場所はソロモン七十二区域と呼ばれる。
七十二区域は名前通り悪魔の名前が地区ごとに割り振られている。県のようなもの。
貴族住居区域は昔からの貴族が住む区域。三つの中では一番狭く、閉鎖的。
魔監獄エルサレムはこの国唯一の監獄。あらゆる犯罪者が収容されている。犯罪を犯したもの、
容疑をかけられたものはまず最初にここへ送られる。裁判等もここで行う。
ソロモン七十二区域は一般の住民が住む区域。
ここらへんはあまり今回の短編に関わらないのでどうでもいい。

用語

魔術 みんな大好き魔術。古代人が生み出した奇跡の産物。
    数百年前に発見された最初の魔導書により、魔術の普及が始まる。
    様々な系統(発火、召喚、等)と効果の度合いによってレベル分け(10段階)がされている。

魔術師 魔術を使う人。広義的に見れば魔術を使えれば誰でもそうなのだが、
     法律では最低三つの系統の魔術のレベル3まで発動できる者を正式に魔術師と呼称する。
     魔術師にもいろいろな種類がある。大まかにわけると普通の魔術師と魔術を悪用する悪性魔術師。
     さらに今回の話では国の最高位魔術師、断罪術師が出てくる。

魔導書 本編にて説明あり。

政令魔方陣 七十二区域内全域に張り巡らされている魔方陣。犯罪が確認されると起動。
      断罪術師によってセットされた高レベルの魔術によって拘束し、魔監獄へと送る。
      区域ごとに魔方陣を描き手と魔術をアップロードする断罪術師が違う。
      魔方陣に不備があれば、担当した断罪術師たちが責任をとらされる。
      ちなみ国民から税として徴収した魔力を消費して発動する。

規制 魔術を行った犯罪が起きた時、場合によってはその時使用されていた魔術が規制される。
    規制された魔術を使うと魔監獄へと送られる。

魔族 この世界とは別次元に住む魔力を有する生物。悪魔などが主な種族。
    低級魔族は召喚系魔術によってこちらの世界の住人に使役されることが多い。
    自分の実力以上の魔族を召喚すると、逆に向こうの次元にさらわれてしまう。
    その場合、召喚した魔族の電池として、半永久的に魔力を吸い取られる。

今のところ俺の脳内に保存されている設定はこれくらいです
では投下開始します

442 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 21:31:09 ID:dAT9jpje
 人気のない裏路地で、がらの悪そうな少年五人が一人の白いスーツを纏った長身の青年
を囲んでいた。誰が見ても恐喝しているようにしか見えない場面だが、青年は臆すること
なく余裕のある表情で周り少年たちを見回していた。

「ふむ、これは私から金銭を奪おうという魂胆だね。不良少年諸君」

 青年は落ち着き払って言った。
 さらりと眉のあたりまでかかった前髪が揺れる。透き通るような碧眼が値踏みするよう
に少年たちを見回す。

「他に何があんだよ。あんた、どっかの会社のエリート社員さんか何か? 有り金全部置
いてけや。痛い目に会いたくなかったらな」

 不良たちのリーダー格と思われるニット帽を被った少年はつばを激しく飛ばしながら言
った。その手にはメリケンサックが握られている。

「この魔術社会でただの暴力によるおどしか。馬鹿らしいな」

 青年はニット帽の少年を鼻で笑う。
 五対一。完全に不利な状況でありながら、青年はどこまでも余裕だ。ニット帽の少年が
逆上して腕をわなわなと震わせているのを見ても表情一つ変えない。

「てめえ、俺らが魔術すら使えない底辺野郎だと見た目で判断したろ? 俺らも魔術くら
い余裕で使えるんだよ!」

 少年たちが一斉に呪文を詠唱開始。身体強化レベル2『剛腕力−ストレングス−』を発
動。長袖でも見て分かるくらいに筋肉が膨張する。
 五人は華奢な青年の顔を一撃で原型をとどめなくさせることが可能なほどの腕力で、一
斉に殴りかかった。

「ぐあぁっ」

 激痛による悲鳴があがる。しかしその声の主は青年ではなかった。
 不良少年の内の二人が、お互いの拳で肩を壊していた。砕けた骨が覗く傷口から大量の
血がアスファルトの上に流れる。

「はっはっは。見事な同士討ちだ」

 先ほどいた場所から数メートル離れた場所に、無傷で青年は立っていた。その手には黒
い革の財布が一つ握られていた。

「身体強化系魔術は数ある魔術系統の中でも最も習得しやすいものだ。治癒と身体強化の
レベル1なら十五歳くらいで誰でも学校で習う。レベル2だって大差はない。その程度で
魔術師きどりとは片腹痛い。そもそも腕力ばかり強化したところで鉛みたいな足をしてた
ら簡単に避けられるに決まっているだろう。当たらなければ意味がないんだ。自分のスペ
ックくらいしっかりと把握していたまえ」

 青年は完全に不良たちを見下していた。彼の戦闘能力は、先の一斉攻撃を難なく回避し
たことから十分高いことが伺える。
 不良たちはわずか一瞬で痛感した。相手と自分たちの実力差を。

443 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 21:38:48 ID:dAT9jpje
「さて、ちょっと拝見させてもらうよ」

 青年はそう言って手に持っていた財布の中身を漁りだした。

「あ、俺の財布!」

 ニット帽の少年は慌ててジーンズのポケットに手を当てる。きっとそこに入っていた財
布を取られたのだろう。あの一斉攻撃を避けるついでに、だ。
 男は一枚のカードを取り出すと、そこに表記されているものを声に出して読み始めた。

「セーレ地区第七魔術学院学生証。ジョン・フレンツェ。あそこの学生なのか。生年月日
から見ると第二学年か? いやさっきの魔術の使い方から考えると留年してまだ第一学年
というのが妥当かな? ふむ、その表情を見ると図星のようだ」

「うるせー! 早く返しやがれ」

「わかったよ」

 青年はニット帽の少年に財布を投げ返す。

「で、どうする? このままおとなしく引き下がれば学校には連絡しない。もしこれ以上
やるというのなら……そこで肩を壊して倒れてる二人よりもひどい目に合ってもらうが」

 青年の目つきが鋭いものに変わる。圧倒的な殺気に不良の内の怪我をしていない二人が
ひぃっ、と悲鳴を漏らす。そして震える足をなんとか動かすと、怪我をした二人を連れて
逃げてしまった。残ったのはニット帽の少年だけだ。

「君は逃げないのかい?」

「俺はあんな腰抜けのガキとは違うんだ。それにここまでこけにされて黙っていられるか
よ! ぜってぇぶっ飛ばしてやる!」

 そういうと、少年はポケットから小さな本を取り出した。表紙には魔方陣が描かれてい
る。『簡易式魔術発動型魔導書 氷結系魔術レベル5 氷獄の手−コキュートスハンド−』
というタイトルである。

「ほう、グリモワールもどきか。簡易式魔術発動型はレベル5以上が販売禁止になって流
通していないはずだ。出回ったものは全て回収済みでもある」

「俺の先輩が裏で流通してる違法魔術道具を扱ってるんだ。高い金出して買った高レベル
魔術だ。これでぶっ殺してやる」

 少年は魔導書を開くと、二ページに渡って魔方陣が描かれた見開きを青年に向けた。青
白い閃光。魔導書の中に蓄えられていた魔力が開放され、魔方陣の上を走り、輝かせる。

「くらえええええええええ!」

 青白い魔力を帯びた冷気が、まるで手のひらのように広がり、青年へと襲い掛かった。

444 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 21:48:05 ID:dAT9jpje
 魔導書、またの名をグリモワール。これは別次元に住む悪魔や天使などを呼びだす方法
や呪いをかけるための魔方陣、また魔術や呪術などの知識、発動方法などが記された書物
のことである。
 広義では魔術関係の内容が記されたものは全て魔導書と呼ばれるが、本来は古代の魔術
師たちが己の研究の成果などを封印した書物のことを指す。
 後者の魔導書は国が厳重に保管されていたり、まだ遺跡の中に眠っていて一般人の手に
渡ることはまずない。前者のような魔導書なら、現代の魔術師が記し、商業目的で流通さ
せているものがほとんどなので、書店に行けば誰でも手に入れることができる。
 少年の持つ簡易式魔術発動型魔導書は前者の魔導書である。このタイプの魔導書は、一
定量の魔力を本に注入することで、本に記された魔法を一度だけ発動することができるの
だ。使い手が本に記された魔術と同じ系統やレベルの魔術を使えなくても発動できる点か
ら、多くの人に愛用されている魔導書なのだ。
 しかし、誰でも魔力さえあれば発動できるという使いやすさから、高レベル魔術での事
件が多発。政府はレベル5以上の魔術発動型魔導書を販売禁止にした。
 少年が発動した魔導書の魔術はレベル5。禁止されていることから分かるように相当な
破壊力を秘めた魔術である。
 それが今、青年に向かって発動された。

 魔力を帯びた冷気は前方に進むにつれて形を変えた。氷塊で形成された大きな手。敵を
地獄の底に引きずり込まんと指を広げ、青年を包みこもうとする。このままぎゅっ、と握
ればひとたまりもないはずだ。
 だが青年は握りつぶされる直前まで表情を変えず、少年のほうを見据えていた。
 氷の手が完全に握りきる。青年は押しつぶされた。
 だが少年は安心することができなかった。握りつぶされる直前の表情と何かを唱えてい
るような口元の動き。それが気になってしかたがないのだ。
 大丈夫だ。やつは間違いなく死んだ。完璧だ。少年はそう自分に言い聞かす。

「そうだ……。発火系魔術はレベル2以上が規制されているんだ……。やつにこれを防ぐ
手段なんてあるわけ……」

「ない?」

「ああ、ない! ないはず…………だ?」

 本来聞こえることがないはずの声。少年は氷の手を凝視する。
 アスファルトに水溜りができていた。氷が解けているのだ。少年の体からどっと汗が噴
出す。まずい……。
 それと同時に氷の手の甲にあたる部分から青い火柱が上がる。発動したのは発火系レベ
ル4『青炎柱−ブルーピラー−』。青炎に溶かされてできた穴から青年が飛び出した。

「残念、ありえてしまったようだな」

 青年は涼しい顔をして――実際は魔術を使った際に熱さで汗をかいたが――言った。

「ど、どうして……どうして発火系魔術が使えるんだ! 今は規制されてるし……この裏
路地にも政令魔方陣が敷かれているはずだろ……」

 少年の言うとおり、本来ならレベル2以上の発火系魔術は規制のため使えないはずなの
だ。ひとたび発動すれば政令魔方陣が機能を開始し、発火系魔術を無効化する。そして使
用者を拘束して魔監獄エルサレムへと強制連行するのだ。

「残念。私に対して政令魔方陣は機能しないのさ」

 そう言って青年は一枚のカードを取り出し、見せた。
 この国の最高レベルの魔術師であることの証。断罪術師のライセンスを。

445 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 21:57:24 ID:dAT9jpje
 断罪術師。この国で悪を裁く最高位の魔術師。膨大な魔力を有し、レベル8以上の魔術
までも扱うことができる魔術のエリートである。
 合格率2%の国家試験を合格したものだけがなることができる。政令魔方陣を作成し、
その中に高レベルの魔術をアップロードしているのも断罪魔術師である。
 断罪術師といってもその仕事は人によって違う。前述の政令魔方陣作成もあれば、魔監
獄エルサレムで特定エリアの看守を勤めたりと様々である。
 断罪術師にはもちろん他の魔術師にはない数々の特権が与えられ、その中の一つに
政令魔方陣からの干渉を受けないことがあげられる。ライセンスを携帯している場合に限
るが、これはどの特権においても同じことだ。
 そして青年はその断罪術師のライセンスを自らの懐から取り出したのである。つまりそ
れは彼が断罪術師であることの証明なのだ。
 だから、彼は規制された発火系魔術を発動することができた。

「あ……あ……」

 少年は腰を抜かし、ライセンスに釘付けになっていた。

「これの意味は分かるのか。なら話は早い」

 青年は短い呪文を詠唱する。ライセンスが白く光る。そして政令魔方陣が地面から浮き
出てくる。少年を裁くため、魔方陣を機能させたのだ。

「さて、魔監獄にでも行ってもら……おやおや」

 少年は失禁し、そのまま気を失っていた。目の前にいる男の圧倒的な力と魔監獄に送ら
れる恐怖で限界がきたようだ。
 それを見て青年は魔方陣を停止させる。ライセンスから白光が消える。顕現していた魔
方陣はアスファルトに溶けるように消えた。

「私も鬼ではない。ここまでにしておいてやろう」

 青年はライセンスをしまうと、スーツの襟を整える。溶けた氷でびしょぬれだった。

「びっちゃびちゃじゃねえか。きもちわりぃ」

 口調が百八十度変わる。今までの偉そうなものとは打って変わって、やんちゃな若者の
ような喋り方だ。
 青年はスーツを破りかねない勢いで脱ぐと、その場に投げ捨てた。

446 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:04:27 ID:dAT9jpje
「暇だな」

 青年はセーレ地区の歓楽街を歩いていた。
 脱ぎ捨てたスーツの代わりに革のジャケットと紺色のジーンズを身に纏っている。服と
は人の印象をがらっと変えるもので、さきほどまでの誠実さと優秀さをかもし出していた
雰囲気が、今の青年にはまったくない。
 これなら先ほどのようにどこかの会社のエリート社員と勘違いされたりすることはない
だろう。だが、国の最高位魔術師である断罪術師にしてはいささかラフすぎる格好のよう
にも思える。しかし当の本人はまったくそういうことは気にしていないようで、何事もな
いように周りにある飲食店や遊技場を見回している。

「軽食でも取るか」

 そう言って青年は洒落たカフェテラスに入った。
 注文を聞きにきた店員にアイスコーヒーとクラブサンドを頼むと、道行く人々をぼうっ
と見つめる。他人に関心はないが、他にすることがない。そんな感じだ。

 しばらくして運ばれてきたクラブサンドを青年が夢中になってほうばっていると、後ろ
から「こんなところにいたのか」と声がかかった。

「ああ」

 青年はゆっくりと振り向くと、声の主を見て適当に答える。
 そこに立っていたのは三十代前後の男性だった。口の周りに生やしている髭と、大柄な
体躯が荒々しい雰囲気をかもし出している。

「前回の定期報告会にはどうして出なかったんだ?」

 巨漢は問う。

「いろいろと野暮用があったのさ。私も忙しい」

「馬鹿言え。断罪術師なぞ暇をもてあましているやつばかりだろうが。俺らのような政令
魔方陣管理者は特にだ」

 この男もどうやら断罪術師らしい。

「月二回の点検くらいだからな。今の仕事と言ったら」

「ふん。それすらこなせないやつが何を。お前が今月の点検をサボったせいで報告会では
俺が大目玉だ。俺ら以上に仕事をしてないジジイ共の説教は一種の攻撃魔術のようだ」

「それは悪いことをした。どうだ、クラブサンドでも奢るぞ」

「割に合わんな。酒を奢れ。うんと高いのをだ」

「ああ。機会があればの話だが」

「いつになることやら」

 他愛ない会話。二人はどうやら同じ仕事をしている同僚のようだ。

「で、用件はなんだ?」

 話に一区切りついたところで、青年は訊く。

447 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:12:51 ID:dAT9jpje
「いや、たいした話じゃない。次の報告会に出席しなかったらライセンスの剥奪を検討す
る、との伝言を受けている」

「そんなことか。次は出るよ。忘れるといけないから、行く前には連絡をくれ」

「面倒なやつだな。それと、これは俺の個人的な用件、というか頼み、というか命令なん
だが、来月の点検は全部お前がやれ。以上だ」

「把握した。やれやれ、面倒くさいな」

「いつからそんな面倒くさがりになったんだお前は」

 そう言って、巨漢は笑う。

「それと最後に。最近ここら辺で魔術師に窃盗事件が頻繁に起きているらしい。ついさっ
きも近所のブティックでも何か盗まれていたみたいだ。もし見つけたら捕まえてみるとい
い。いい点数稼ぎになるぞ。今のお前は評価が下降気味だからな」

「素敵な助言をありがとう。それじゃあ」

 巨漢の断罪術師はカフェテラスから去っていった。青年はアイスコーヒーを飲みながら
見送る。姿が見えなくなったあたりで、ポケットから財布を取り出した。
 中を漁り、カードを一枚取り出す。断罪術師のライセンス。青年のものではない。

「ジョージ・マクスウェル、ね」

 青年はぽつりと呟いた。


 カフェテラスを後にすると、青年はまた歓楽街を歩いていく。しばらくすると街の喧騒
は消えて人気がぐっと少なくなる。歓楽街を抜けてセーレ地区の端までやってきたのだ。
周囲には住居がまばらに建っており、他には空き地と林程度しかない。
 その中に一つだけ目立つ家があった。三階建てのレンガ造りの家だ。小さな庭があるが
花はみな枯れ果てている。
 青年は鍵を取り出すと、玄関のドアに差し込む。どうやら彼の自宅のようだ。

「ちょっといいか」

 青年がドアノブに手をかけたところで後ろから声がかかる。

「今日はよく後ろから声がかけられるな。何のようだ?」

 青年は振り返らずに答えた。

「あんた、断罪術師のウォルターか?」

「だったらなんだ?」

「雇われの強盗だ。あんたのライセンスを奪いにきた」

 強盗だと自称する男は、そのまま早口で呪文の詠唱を開始すると、広範囲に渡り魔方陣
を展開。人型の魔族を十体、同時召喚した。どれもみな、鋭い光を放つ真紅の甲冑と、漆
黒の長剣を携えていた。

「殺してもいいと言われている。容赦はしない」

「雇われの強盗? 殺し屋の間違いではないか」

 青年、ウォルターは不敵に笑った。

448 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:22:35 ID:dAT9jpje
 まず最初に三体の魔人がウォルターに向けて同時に剣を振り下ろす。
 魔族特有の高い身体能力から繰り出されたそれは、肉眼では捉えきれないのではないか
と思われる速度でウォルターを襲う。しかし聞こえるのは肉を切り裂く音ではなく、鉄製
の玄関を切り裂く鈍い音だった。
 ウォルターもまた、超越的な速度で庭のある左側に避けていたのだ。膝から下が白く輝
いている。身体強化系レベル5『天馬の両脚−ペガサスフッド−』だ。

「追いつけやしないさ」

 別方向から襲い掛かった魔人の横薙ぎを跳躍で回避。十数メートルの高さまで上昇する。
そのまま呪文の高速詠唱を開始。巨大な漆黒の魔方陣が展開され、魔人の集団に向けて陣
と同じ色をした光線を放つ。空間系レベル7『帰界門−リバースゲート−』が魔人を元の
世界に強制帰界させる。

「無駄だ」

 強盗は無表情のままで言った。
 漆黒の光線が魔人たちを上空から包み込む。しかし、帰界することなくその場に留まっ
ていた。

「何だと?」

 ウォルターは余裕の表情を崩す。

「アーティファクトだ。召喚系魔術を強化する効果がある。これによって俺は高レベルの
召喚系魔術を扱えるようになっている。
 さらに召喚した魔族の能力を通常の百五十パーセント引き出し、魔術による干渉を五十
パーセント遮断する。効力が半減した魔術では強制帰界などできない」

 強盗は古代文字の描かれたブレスレットをウォルターに見せ付ける。

 アーティファクト。古代人が残したとされる、魔術が付与された人工遺物。古代人が記
したグリモワール同様、遺跡などで発見されるものが主で、その多くは政府によって厳重
に保管されている。
 それ以外にも政府の要人や断罪術師などの、高位にいる人物などが所有していることが
多い。だが一般人の手に渡るようなことは滅多にない。

「なぜ貴様ごときがそれを持っているのだ?」

 ウォルターは落下しながら問う。

「依頼主から借り受けた。ライセンスを確実に奪うためにな」

「なるほど。貴様の依頼主、大体の予想はついた」

「予想したところでどうなる。お前はここで死ぬんだ」

 ウォルターの落下地点には魔人たちが待ち構えていて、剣先を天に掲げていた。串刺し
にするつもりなのだろう。
 強盗は計算していた。ウォルターの落下速度と高速詠唱の早さではレベル3程度の魔術
しか発動が間に合わないと。

「お前の負けだ」

 強盗は冷たく言い放った。

449 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:31:34 ID:dAT9jpje
 強盗に一つの誤算があったとすれば、ウォルターが先ほど発動した『天馬の両脚−ペガ
サスフッド−』の効力がまだ続いているのに気づかなかったことだろう。
 ウォルターは呪文を高速詠唱する。一瞬で身体強化系レベル3『鋼鉄の両脚−アイアン
フッド−』が発動。
 本来なら同じ部位に付加される魔術の効力は上書きされるが、ウォルターは二重展開に
より、二つの魔術の効果を両立させることが可能だった。彼の両足に天馬のごとき脚力と
鋼鉄のごとき硬度が付加される。
 落下の勢いを利用し、数対魔人の剣先に思い切り蹴りを入れる。アーティフェクトで強
化されているため、粉砕することはかなわなかったが、魔人の手から離すことに成功する。
 そしてさらにもう一発、強烈な蹴りを剣を手放した魔人の内の一体に叩き込む。地面に
衝撃が伝わり、周りの魔人も数メートルほど吹き飛び、体勢を崩した。
 ウォルターは足に多少の傷を負いながらも、無事着地に成功した。

「無傷とまではいかなかったか」

 どくどくと右足から血が流れているが、ウォルターはさほど気にはしなかった。己の使
えるレベルの治癒系魔術で何とかなる程度の傷だったからである。
 しかし魔人たちはあっという間に体勢を整えてウォルターに襲い掛からんとしていた。
治癒する余裕はない。ウォルターは敵の殲滅に集中することにする。
 強化した足で魔人の攻撃をかわしながらカウンターの要領で次々と蹴りを入れていく。
魔族とは言っても人型なので、人体の構造は人間と似ている。ウォルターは人間の急所と
同じ場所を的確に狙い、確実に魔人を倒していく。
 ウォルターの高い近接戦闘能力で魔人の数は半分まで減った。しかし強盗はそれを黙って
みているわけではなかった。
 二体の魔人を足払いで地面に転ばせる。止めを刺そうとするが、足払いをした際に右足の
傷がさらに開き、ウォルターの動きが一瞬止まる。強盗はその隙を逃さなかった。
 あっという間に距離を縮め、ナイフで腹部を突こうとする。ウォルターは魔人に止めを
刺すことよりも強盗の攻撃を回避することを優先させる。しかし少しばかり優先順位の切
り替えが遅かった。ナイフは吸い込まれるように腹部へと近づく。
 飛び散る鮮血。しかしその量は強盗が期待していたほどではなかった。刃は刺さること
なく、ウォルターの腹部を掠めた。できたのは切り傷だけだ。
 だが外したことを瞬時に理解した強盗は腰に肘打ちをすると、さっとその場から離脱す
る。そして召喚系魔術レベル4『飛翔魔−フライングエビル−』を発動。大きな翼の生え
た悪魔を召喚する。

「悪いが目的の物はいただいた。できれば殺しておきたかったがそれは無理そうだ」

 強盗の手にはライセンスがあった。肘打ちした際に掏ったのだ。

「任務完了。離脱する」

 悪魔は大きな翼を羽ばたかせると、強盗の肩を掴む。そして空高く飛び上がると、その
まま飛び去っていった。

「やってくれたな」

 ウォルターは悪態をつく。その後ろではすでに魔人が起き上がって剣を構えていた。

「俺から物を掏るなんていい度胸だ。後悔させてやる」

 また口調が変わる。
 魔人はお構いなしに剣を振り上げる。
 同時にウォルターは呪文の詠唱を開始した。

450 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:40:14 ID:dAT9jpje
 ――。
 ――――。
 ――――――――。

 強盗はセーレ地区を超え、隣のデカラビア地区へと入っていく。

「あと五分ほどか」

 依頼主の待つ場所へ向かって、悪魔は天を翔ける。
 あとはライセンスを渡せば莫大な報酬が手に入る。当分遊んで暮らせるだけの額だ。強
盗は金の使い道を考えながらほくそ笑む。

「どうした。そんなににやにやして」

 強盗と悪魔を覆う大きな影。そして次の瞬間、ウォルターが大きな翼を広げながら――
正確にはウォルターの背中に張り付く悪魔の翼なのだが――強盗の目の前に現れた。

「追いついたぞ。ライセンスを返してもらおう」

「馬鹿な! 追いつけるわけが……」

 残りの魔人を急いで倒したとしても、アーティファクトで強化された悪魔に追いつける
わけがない。強盗はそう思っていた。

「自分の手首を見てみるといい」

 強盗は言われた通りに自分の手首を見て、驚愕した。本来、そこにあるべきものが無か
ったのだ。手首につけていたはずのアーティファクト。それが無い。

「あの時掏ったのは貴様だけではないということだ」

 ウォルターは自分の手首についたブレスレットを見せ付ける。

「もう分かるだろう。私の悪魔はこれで強化された。お前に追いつける程度にな」

 ウォルターはにやりと笑う。

「これを装着している者は高レベルの召喚系魔術も扱えるようになるのだったな。面白そ
うだ。少し、試してみようか。覚えてはみたものの、発動することができなかった召喚系
魔術があってね」

 呪文の詠唱を開始。空に黒雲が立ち込める。大型の魔方陣が展開、大量の魔力がほとば
しり、陣を駆け巡る。
 ゆっくりと、悪魔がこの世界に顕現する。存在自体が周囲の環境に影響を与えているこ
とから高位の魔族であることが分かる。

「ほう、これはすばらしい。レベル8の召喚系魔術はこれほどのものなのか」

 三本の巨大な角を生やし、額に五亡星が刻まれた山羊の頭。耳は狐で羊の髭を靡かせて
いる。人間の腕に獣の足。背には漆黒に染まった翼。尾には獰猛な蛇が生えている。直視
しがたい禍々しき姿。
 召喚系レベル8『魔女の夜宴−サバト−』により顕現した悪魔、その名はレオナール。

「五秒だけ待とう。死にたくなければ依頼主の場所を吐け」

 ウォルターは悪魔のような表情で言い放った。


451 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:47:51 ID:dAT9jpje
 強盗はこの時点で自分に勝ち目が無いことを悟っていた。プライドと命を天秤にかける。
一瞬でそれは命のほうへと傾いた。

「この先の農場地帯にあるボロ小屋だ! その中にやつはいる!」

「そうか。ありがとう」

 ウォルターはレオナールの方を見る。

「殺れ」

 氷のように冷たい声で、そう命じる。

「ふざけるな! 約束が違うぞ」

 強盗は必死の形相で叫ぶ。

「約束? どうでもいいな。お前は私から物を盗った。だから死ね」

 レオナールの雄たけびが空に響き渡る。たった今、この空域は一体の悪魔によって支配
された。逆らえるものは使役するウォルターのみ。

「ちくしょおっ」

 強盗は苦し紛れに三体の悪魔を召喚した。いずれもレベル3相当の低級魔族だ。
 レオナールは三体に向けて手をかざす。悪魔達の腹部に五亡星が浮き上がると、その
まま消滅し、塵に帰った。
 圧倒的なまでの強さ。強盗はその場で失禁し、恐怖で目を見開く。

「死にたくないのなら……戦え」

「うわああああああああああ!」

 強盗は二冊の本を取り出す。両方とも簡易式魔術発動型魔導書だ。右手には氷結系レベ
ル6『凍結殺−キルフリーズ−』、左手には雷光系レベル6『射手座の雷−サジタリウス
サンダー−』の魔導書が握られている。
 二つの魔導書にはすでに魔力が充填されているようで、青白い閃光を放っている。
 強盗はその二つを開くと、そのまま空中に放り投げる。それが起動の合図になったのか、
魔導書に描かれた魔法陣が展開、二つの魔術が発動。万物を死に至らしめる冷気と矢のよ
うに鋭い雷がレオナールに襲い掛かる。
 まず最初に雷が命中、そのまま間髪入れずに冷気がレオナールを包む。
 頼む、死んでくれ。強盗はそう願った。

「どうしたレオナール。腹がかゆいのか?」

 ウォルターは言った。
 レオナールは魔術が直撃した部分をぼりぼりと掻いている。痛くも痒くも無い、とはい
かなかったが痒い程度で済んだということなのだろう。
 アーティファクトの効果を差し引いても驚異的な魔術耐性だった。
 レオナールはぎろりと強盗を睨むと、一本の巨大な鎌を召喚する。そしてそれを構える
と、また大きな雄たけびをあげる。
 それが処刑の合図となった。

452 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:53:42 ID:dAT9jpje
 強盗は死を覚悟して目を瞑る。死は一瞬だ。怖くない。そう自分に言い聞かせている。

「私から物を盗っておいて楽に死ねると思わないことだ」

 ウォルターは言う。それと同時にレオナールは鎌を振るった。
 人間が発することができるのかというような凄まじい叫び声が響き渡る。レオナールは
強盗の右腕を細切れにしたのだ。決して殺すことなく、苦痛だけを味わわせるために。
 また鎌が一振り。正確には早すぎて一振りにしか見えない幾重にも重なった斬撃。
 今度は左腕が細切れになった。肉片は次々と地上へ落ちていく。

「そろそろショック死してもおかしくないか。もっと苦しめたかったがしょうがないな。
レオーナル、全身をバラバラにしてやれ」

 ウォルターの死刑宣告。レオナールはそれに従って鎌を振るう。飛び散る鮮血と肉片、
内臓と骨。強盗は原型を留めないまま落下していく。

「レオナール。あの肉片を取れ」

 レオナールは服のポケットがついた肉片を取ると、ウォルターのもとへと持ってくる。
ポケットの中にはウォルターのライセンスが入っていた。

「よくやった」

 レオナールは残された飛行用の悪魔を指差す。

「レオナール、そいつは無視していい。召喚者が死んだのだ。そのうち帰界するだろう」

 レオナールは指示に従い、そのまま空中で待機する。

「確かやつの依頼主はこの先の農場地帯にあるボロ小屋にいると言っていたな。早速向か
うとしようか」
 
 ウォルターはレオナールの背に飛び乗ると、今まで自分の背中に張り付いていた飛行用
の悪魔を帰界させる。
 そして身体強化系レベル3『看破−インサイト−』を発動すると、強盗に教えられた方
向を強化された視力で見る。

「なるほど。レオナールの速さなら一分もかからないな」

 農場地帯はこの場所から十キロメートルほど離れているのだが、アーティファクトで強
化されているレオナールなら一分足らずで行くことが可能なのだ。

「行くぞレオナール。全速力だ」

 使役者の命令に雄たけびで答えると、レオナールは大きな翼を羽ばたかせ、目的地へと
飛行を開始した。

453 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 22:59:44 ID:dAT9jpje
 農場地帯に到着する。ウォルターはふらふらになりながらボロ小屋を探していた。

「全速力はやめさせるべきだったな……速すぎてこちらの身が持たん……」

 上空から辺り一帯を見回す。すると、明らかに誰も使っていないと思われるボロ小屋が
一軒建っていた。おそらく強盗が言っていた小屋だろう。

「降りるぞレオナール。急がなくていいからゆっくりたのむ」

 レオナールは言われた通り緩やかな速度で降下する。ウォルターは地面が近くなったあ
たりで背中から飛び降りた。

「レオナールの姿を近所の住民に見られたら大変だな」

 ウォルターは透過系レベル6『完全透過−パーフェクトインビジブル−』を発動する。
本来なら透過系魔術は規制中なのだが、取り返した断罪術師のライセンスのおかげで問題
なく発動することができる。

「屋根の上で待機だ」

 透明化したレオナールは指示通り屋根の上に滞空し、そのまま待機する。

「さて、依頼主とご対面だ」

 ボロ小屋の扉を思い切り蹴り飛ばす。金具が弱っていたのか、扉はそのまま外れる。
 中には明かりがなく、真っ暗だ。ウォルターは床に転がっていた木材を超能系レベル4
『観念動力−テレキネシス−』で操り、天井に思い切りぶつけて大きな穴を開ける。たち
まち室内は明るくなる。

「よう、やっぱりお前が依頼主か」

 またしてもウォルターの口調が変わる。そして部屋の奥にあるベッドに座る一人の人物
を見て言った。

「貴様……あの男でも殺せなかったか」

 依頼主は忌々しげに言う。

「俺もお前が生きてるとは思わなかったぜ。なあウォルターよ」

 ウォルターは依頼主に自分と同じ名前を投げかける。
 明るみになったその依頼主はウォルターと瓜二つの顔をしていた。

454 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 23:05:02 ID:dAT9jpje
 全身の怪我とやせこけた頬以外はウォルターとまったく同じ外見をしている。しかしウ
ォルターは動じない。まるでこのことを事前に分かっていたかのように。

「まさか私に成り代わるのが目的だったなんてな。貴様が欲しかったのはライセンスでは
なかったということか。この泥棒め」

「どうしても欲しいものがあるんだ。そのために断罪術師という地位が欲しかったのさ。
だから俺はお前になった。お前を殺してお前に成り代わろうとした」

 ウォルター、いやウォルターに成り代わった男は呪文を詠唱、禍々しい装飾がされたナ
イフを召喚する。そして本物のウォルターへと切っ先を向けた。

 ――。
 ――――。
 ――――――――。
 
 その日、ウォルター・ストラウスはとある取引を終えて自宅へ戻った。開錠をしようと
鍵穴に鍵を差込む。しかしノブを回しても扉は開かない。おかしいなと思いもう一度鍵穴
を回すと、今度は扉が開く。
 つまり、誰かが施錠した扉を開けたということなのだ。ウォルターは用心しながら家の
中に入る。侵入者がいるのかもしれないのだ。
 薄暗い家の中を進み、リビングへとたどり着く。大きな革張りのソファーに一人の見知
らぬ男が膝を組んで座っていた。
 黒髪のオールバック。獣のように鋭い眼光。歳は十代後半から二十代前半くらいだろう
か。若干顔に幼さが残り、少年とも青年ともとれる。

「やっと帰宅したか。この地区の盗賊団との取引はうまくいったか?」

 ウォルターはぞっとする。見知らぬ男が留守の間に自宅に侵入していたことにではない。
つい先ほど秘密裏に行われた取引のことがばれていることにぞっとしたのだ。
 誰にもばれないようにおこなったはずだ。取引の場には相手側のリーダーとその部下一
人しか来なかった。やつらがばらすわけがない。ウォルターは必死に思考を巡らせる。

「三日後にセーレ地区B−18ポイントにある宝石店周辺の政令魔方陣を夜中の間だけ封
印するんだっけ? いったいいくら何を貰ったんだ? 金か? 宝か?」

 全てばれていた。見知らぬ男の言うとおりの取引をウォルターはさきほどしていたのだ。
アーティファクト一つと引き換えにだ。

「関心しないね。偉い偉い断罪術師様がそんなことするなんて。この国では正義の象徴み
たいなものだろうに」

 殺さねば。ウォルターは一歩前に出る。しかし、それがまずかった。
 足元に突如魔方陣が展開される。男が仕掛けた魔術トラップだ。拘束系レベル4『黒蛇
−ブラックスネイク−』が発動。黒い触手が蛇のようにうねり、ウォルターの両足に絡み
つき、動きを封じる。

「ふん、足が動かなくとも貴様を殺すことは容易いぞ!」

 ウォルターは呪文の高速詠唱を開始。だが男は魔術の発動を許さない。
 もう少しで唱え終わるというところで、ウォルターはうめき声を上げる。右肩にナイフ
が突き刺さったのだ。男が投げたのである。
 ウォルターはもっと詠唱の短い呪文を唱えようとするが、男は次々とナイフを投げ串刺
しにし、それを妨害する。

「魔術にばっか頼るからいけないのさ。時には物理的な攻撃も大事だ、覚えとけ」

 男はナイフを左手に持ちながらウォルターへと近づいた。

455 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 23:11:37 ID:dAT9jpje
 ウォルターは動けない。追い詰められていることによって頭がうまく回らないのか、自
分の足に絡みつく魔術を解除しようともしない。
 男はそんなウォルターの体を容赦なく斬りつける。致命傷を与えず、痛みだけを味わわ
せる浅い斬撃。ウォルターは徐々に繊維を喪失する。

「まずはライセンスをいただこうか」

 男はウォルターの衣服から財布を取り出すと、ライセンスを抜き取った。

「どうして……私を狙う?」

 息絶え絶えになりながらウォルターは男に問う?

「お前がクズだからさ」

 そう言って男は右手をウォルターの顔に当てる。そして呪文を詠唱。右手が光る。発動
した魔術にウォルターは驚愕する。

「今発動した魔術はなんだ!? そんな呪文知らないぞ!」

 ウォルターは断罪術師である。つまり誰よりも多くの魔術を知っていることになる。し
かしそのウォルターでさえ知らない魔術を男は発動したのだ。

「俺が作ったんだ。大変だったぜ。検索系や身体強化系、他にいくつかの魔術の特性を合
わせた。複合魔法とでも言うのかな?」

 馬鹿な、とウォルターは震えた声で言った。新たな魔術を作る才能を持った魔術師は現
代でもそれなりにいる。しかし複数の系統の特性を合わせた効果を持つ魔術を作れる魔術
師などウォルターは聞いたこともなかった。

「見てろ。人に見せるのはお前が初めてだ」

 右手の光が腕を伝い全身に広がる。そして光が頭部に達すると、男の顔をまったく別の
ものに変貌させていく。
 前髪はさらりと眉まで下がり、目の色が青くなる。幼さも消え、完全に別人の顔になっ
た。男はウォルターへと姿を変えたのだ。

「たった今俺はお前になった。外見だけじゃない。脳や内臓の一部を除いてお前になった
んだ。コピーしたんだ、お前という存在をな。これで記憶もコピーできれば完璧なんだけ
どな。そこはまだ俺の腕が足りてないだけなんだが」

 男は笑いながらそういうと、呪文の詠唱を開始。ウォルターのしたに白い輪が表れる。
空間系レベル5『輪内転移−リングワープ−』が発動されたのだ。あらかじめ一つの輪を
移動させたい場所にセットして後から発動したもう一つの輪と空間を繋げる。それがこの
魔術の効果だ。

「この輪は海のど真ん中に繋がってる。もう片方の輪をセットするのが大変だったんだぜ。
それじゃあ、死んでくれ」

 男は指をパチンと鳴らす。輪と輪が繋がる。遥かかなたの海上へと繋がる空間のトンネ
ルに、ウォルター落下していく。
 ウォルターは落ちていく最中、お前は一体何者なんだ、と声を振り絞って叫んだ。

「俺はこの国で一番の盗賊さ」

 ウォルターに聞こえない声で、男はそう答えた。

456 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 23:15:51 ID:dAT9jpje
 ――――――――。
 ――――。
 ――。

「あの状態でよく死ななかったな。関心するよ」

「召喚強化のアーティファクトのおかげさ。あれがなかったら私は死んでいたし、お前に
復讐することもできなかった」

 ウォルターはナイフを前にしても臆することなく話を続ける。

「散々だった。なんとか戻ってくれたがライセンスも金もないから何もできない。国に事
情を説明しても信じてもらえる可能性は低いし、何よりライセンスの剥奪は間違いない。
自分の力だけでお前を殺す必要があったのだ。私は犯罪という犯罪を犯し、まず金を集め
た。そしてあの強盗を雇った。それでも失敗だったがね」

「残念だったな。じゃあ、おとなしく死んでくれ」

「馬鹿め。私の復讐はまだ終わっちゃいないのさ」

 そう言ってウォルターは自分の親指を歯で切ると、血を数滴ほど床に垂らす。それが魔
方陣起動の合図となった。地面から大きな手が現れ、その掌に槌を形成する。地表系レベ
ル8『地神の鉄槌−ガイアハンマー−』が発動したのだ。。

「あの時は罠のせいで負けたものの、本来なら私の方が実力が上なのだ! 魔術師として
貴様に勝っているのだ!」

 盗賊を名乗った男に、大地の神を模した手が狙いを定める。

「レオナール!」

 盗賊は叫ぶ。すると、巨大な槌はあっという間に細切れになって地面に落ちた。

「『完全透過−パーフェクトインビジブル−』解除」

 禍々しき悪魔の姿が露になる。レオナールは盗賊が天井に空けた穴から室内に入り、手
に持った鎌で槌を切り裂いたのだ。しかし、槌の硬度も凄まじく、鎌の刃もぼろぼろにな
っていた。これではもう何も切れないというほどに。

「残念だがお前のアーティファクトは俺が持っている。今のお前にレオナールは殺せない
だろう? 詰みだなウォルター」

 レオナールはウォルターの眼前まで迫ると、そのギロリと見開いた目で見下ろした。

457 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 23:21:35 ID:dAT9jpje
 ウォルターは諦めた。この男に狙われた時点で自分はもう終わりなのだと悟った。

「最後に訊かせてくれ」

「なんだ」

「貴様は私の断罪術師という立場が欲しかったのか? だから私という存在そのものを盗
んだのか? 教えてくれ」

「確かに断罪術師という立場が欲しかったからお前の存在を盗んだ。それは確かだけど、
目的はそれじゃない。これはまだ過程にすぎないんだ」

「どういうことだ?」

「俺はな、昔から他人の物を自分の物にしないと気がすまないんだ。だから欲しい物は全
て盗んできた、奪ってきた。生まれつきの盗賊なんだよ。この服だって盗んだものだ」

「理解できんな」

「お前はこの国をどう思う? ちょっと魔術で事件が起こるとすぐに規制。なんでもかん
でもだ。魔術を規制したところで犯罪を犯すやつは犯すんだ。意味がない。国民の自由を
奪っているだけだ。そんな居心地の悪い国に住んでいられるか? 俺は嫌だね。だが世界
中でもっとも繁栄している国はここだ。離れるのは惜しい。
 だから俺は決めたんだ。ここを居心地のいい国しようと。この国を奪って俺の物にしよ
うってな。お前に成り代わったのはそのための第一歩だ」

 馬鹿げている。ウォルターはそう思った。

「無理だと思うか? でも俺はやる。今まで欲しいと思って盗めなかった物、奪えなかっ
た物は一つもないんだ。どれだけ時間をかけてでも俺はこの国を奪う」

「馬鹿げている」

 ウォルターは我慢できず、つい口にだした。

「だからこそやりがいがある」

 盗賊は笑った。

「訊きたいことはそれだけか?」

 ウォルターは黙ってうなずく。
 盗賊は殺れ、と冷たい声で命じる。レオナールは雄たけびで答えた。

 この瞬間、同じ空間にいた二人のウォルターという存在が一人になった。

458 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 23:25:06 ID:dAT9jpje
「ご苦労だった」

 盗賊。否、ウォルターはレオナールにそう言うと、呪文を詠唱。本来いるべき次元へと
帰界させる。悪魔は粒子状になってこの場から消え去った。

「さてと、面倒ごとも片付いた」

 大きく伸びをする。レオナールが帰界したからか、空を覆っていた雲は消え、眩しい日
の光がこの世界を照らす。
 傾きかけた日が広がる草原や農場を照らす景色は絵になりそうなほどに綺麗で、ウォル
ターはしばらくそれを見つめていた。

「ますます欲しくなってきたな」

 ぼうっと立っていると、腹の虫がなった。間抜けな音でウォルターはつい笑う。

「腹が減った。そこらへんで野菜でも盗って食べるか」

 一番近くにある農場に目をつけ、ウォルターは歩き始めた。

 ――Fin――

459 :規制ネタで厨二魔法物 Part2:2009/05/31(日) 23:30:01 ID:dAT9jpje
はい、お終い。オナニー終了
見事に人がこなくてワロタwww
もし楽しめたのなら幸いです
うぜえ投下すんなって人はごめんね
それじゃノシ

460 :創る名無しに見る名無し:2009/06/01(月) 00:03:50 ID:2Qi8AA4S
さがりすぎあげ

461 :創る名無しに見る名無し:2009/06/01(月) 09:13:30 ID:yxIeS9wc
うおお! 続編か!!
前回よりも更に主人公が厨二っぽいキャラでアレな感じだな

大学遅れそうだけれど一通り読んじまったわ

462 :創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 12:34:14 ID:M3zpVmJL
ゴルィニシチェGJ!!と言わざるを得ない。
でも個人的にはリジュ×シアナ&エレ戦は一番盛り上がったー

>「出来る出来ないじゃない。やるのよ!!」
カコヨス!!良い言葉だ!

そしてリジュの意外な優しさにちょっとクラっときたのは内緒だww

463 :創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 18:00:22 ID:9boaKUSi
>>462
夏ミカンさん、マジ乙なんだぜ〜

464 :創る名無しに見る名無し:2009/06/05(金) 19:37:42 ID:dBCsymMo
定期的に変なのが沸くねこのスレ。

465 :創る名無しに見る名無し:2009/06/10(水) 23:54:16 ID:4tqIAhjX
だから過疎だってば

466 :創る名無しに見る名無し:2009/06/11(木) 05:07:10 ID:hfkrXvUJ
それがー
世界のー
選択だー

467 :創る名無しに見る名無し:2009/06/12(金) 11:46:47 ID:0kTfDERS
自分が高校生の頃考えた痛い恋愛小説のつもりで作った設定です。当初は小説ではなく、漫画を書くつもりで
考えたのですが、自分に描き上げるだけの根性と画力が無かった為、小説に変更。でも、それでもやはり書き
上げられずに挫折したものです\(^o^)/

【ジャンル】青春、学園、少年、恋愛・・・等の色んな要素あり。
【ストーリー】高校で美術部に入部した主人公が、校内でも「七画衆(しちがしゅう)」と呼ばれて
恐れられてる絵の達人7人と絵を競い合い倒して行きながら校内の頂点を目指し、やがてはプロ
の画家を目指す。
【備考】スポーツで敵と競い合う漫画は巨人の星から現代のテニプリに至るまで昔からあるのに、
芸術分野(特に音楽よりも美術部門)で人と競い合う漫画が無いのは何故だろう、と思ったのが
書くきっかけに。主人公達よりも敵キャラの七画衆の設定を作るのが個人的には楽しかった。
ストーリーは「史上最強の弟子ケンイチ」を格闘漫画から美術漫画(?)にした様な感じか。

468 :創る名無しに見る名無し:2009/06/12(金) 11:59:50 ID:0kTfDERS
↑ミス 七画衆(7人)×→八画衆(8人)○

メインキャラ
【江垣純一(えがきじゅんいち)】・・・平凡な高校生。ヒロインが気になり、彼女と同じ美術部に
入る。最初はヒロイン目的で入っていただけだが、次第に絵に目覚め、才能を伸ばしていく。16歳の
高校1年生。

【墨田奈菜絵】・・・様々な展覧会で入賞している絵の達人。地味だが良く見ると可愛い。控えめで
優しい女の子。次第に純一の絵に対する熱意に動かされていく。16歳の高校1年生。

【土田巌(つちだいわお)】・・・七画衆のうちで1番最初に純一と戦った男。マッチョで単細胞な
大男でどう見ても美術部が似合わず、どちらかといえば体育会系。だがそれでも七画衆だけあって
通常の部員よりも遥かに絵が上手い。野生動物・植物といった自然に関するワイルドな絵を描く事が
多い。尚、七画衆のうちでは「1番弱い(絵が下手)」だと言われていた。老けて見えるが、八画衆の
中では若い。主人公達と同じ16歳の高校1年生で、趣味は筋トレとキャンプ。

【草薙春樹(くさなぎはるき)】・・・七画衆で2人目に戦う相手。美術部だが、歌や踊りの才能もある
アイドル系の美少年。スポーツ選手や歌手、芸能人等の肖像画を描く事が多い。人の顔を書く事が多い為、
人の顔や表情などを描写するのが得意。ダンスとカラオケが趣味の17歳、高校2年生。

【劉雷鈴(りゅうれいりん)】・・・3人目のボス敵として立ちはだかる画衆でアジアンな絵(中国風の絵
だけでなくインドや東南アジア風の絵も描く)を書く事が多い中国からの女子留学生。陽気だが真面目な
性格でもある。中国や天竺などで過去に生きた東洋の画家の技法を研究し、自分の技として模倣するのが
得意。趣味は胡弓、太極拳に飲茶。石窟寺院、東洋の城壁、仏像、陶器、等を描く。陽気だが真面目な性格
でもある、17歳の高校2年生。

469 :創る名無しに見る名無し:2009/06/12(金) 12:30:10 ID:0kTfDERS
【伊吹風間(いぶきかざま)】・・・4面ボスで学者肌のサイバー画衆。機械の設計図を描いてるうち
に絵にはまった人。精密で細かく、正確な絵を短時間でしあげるのが特徴で、これも設計図を書く事で
上達したものらしい。機械やロボット、サイボーグ等の絵を描く。無口で冷静な人、気に入らない事が
あるとブツブツ独り言を言う事があるが、怒る事は稀。趣味は機械いじりとプログラミング。裾長の
白衣にグラサンとも取れるゴーグルを掛け、篭手の様な手袋をはめた長身痩躯の男。18歳の高校3年生。

【清水七海(しみずななみ)】・・・5人目の相手でゴスロリにパラソル姿だが、おっとりした小柄な
文学少女。神話の神々、天使や悪魔、ドラゴン、ペガサス、小人、妖精、巨人などの神話や伝説、おとぎ
話などに関連するファンタジックな絵を書く事が多い。実在しない異形の神や架空の生物などを違和感
なく写実的に描写するのが得意。趣味は小説(書くのも読むのも)。妄想癖が激しいが、服装から受ける
印象に反し常識的な人物で、後に主人公に絵の技術を教えたりもする。童顔・低身長・貧乳などの身体的
特徴から外見が幼く見えるが(本人もその事を気にしている)れっきとした18歳の高校3年生。

【氷室雪乃(ひむろゆきの)】・・・6人目の壁として立ちはだかる相手。長い黒髪をポニー状に後ろへ
結んだ和服姿の大和撫子。八重桜、藤、山鳥、富士山、十六夜の月、などの花鳥風月を描き、「雅」や
「和」を基調とした日本的な絵が特徴。また『源氏物語』などの古典文学を題材にした作品なども描く。
だみ絵や錦絵といった古来からの日本画の技法になれている。また、墨の扱いにも長けている。趣味は
長刀、弓道、生花。18歳の高校3年生。

【兜鉄次(かぶとてつじ)】・・・七画衆の副将を務める7人目の壁。良家の出身で、資産家である父が
構えた豪邸に暮らしているヨーロッパからの帰国生。外見は眼鏡を掛けた痩身の青年。プライドが高い割
に、落ち着いており紳士的な性格。だが火庄に心酔している為、彼を侮辱されると激昂する。火圧の事を
信頼しており、広大な邸宅の一室をアトリエまた画衆達の集会所として彼に貸している。甲冑、中世の古城、
紋章、教会、騎士、修道士、舞踏会など西洋史に関係する絵が多い。東洋風の絵を描く劉に対して西洋史
に関心があり、ダヴィンチやルノワールといった過去の西洋画家の技法を研究し、それらを自分の技として
模倣し習得している。チェス、ピアノにフェンシングが趣味の17歳、高校2年生。

【火庄篤(ほむらあつし)】・・・七画衆のうちで主人公が最後にに戦う相手。七画衆の中でも 他の6人を
遥かに陵駕する腕を持つ、ラスボス的な存在。他の6人とは異なり、特にこれといったテーマ には固執して
はいないが、それぞれの特技を全て1人で兼ね備えているとも言われる。外見は金髪に 着崩したスーツ姿の
青年。冷静で落ち着いているが、ただならぬオーラ&威圧感を放っている。17歳の高校2年生。

470 :創る名無しに見る名無し:2009/06/12(金) 12:32:48 ID:0kTfDERS
↑長々と失礼致しましたm(_ _)m こんなんで宜しければ使っしまって下さい。

471 :創る名無しに見る名無し:2009/06/14(日) 10:53:11 ID:bP+6MLxK
>>463-464
いやそれ俺だ・・・
なんか前スレからずっと見てきたから、個人的に親しみ持っちゃってたんだよ勝手に
それでテンション高め
まぁ控えめにしますよ

472 :創る名無しに見る名無し:2009/06/14(日) 19:56:19 ID:vjzIBm9K
>>462>>471
一週間+一日

473 :創る名無しに見る名無し:2009/06/19(金) 12:38:02 ID:gf2PXvqu
夏みかん氏と規制ネタの両氏が書き続けてくれれば
一週間の楽しみが2倍になるんで、楽しみにシテマス

474 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:39:27 ID:5HD8ewsG
おひさしぶり〜また投下しに来ました!!

>>462
良かった〜戦闘はいつも頭を悩ませて書いてるので
そう言ってもらえるととても嬉しいんだぜ!!
リジュは美味しい見せ場が多いよね
今後も多分、美味しい所を掻っ攫っていくことでしょう
感想ありがとう

>>473
二倍に貢献出来るよう頑張ります

475 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:44:22 ID:5HD8ewsG
三人は駆けていた。
何処を目指すわけでもなく、ひたすらに処刑場から離れるべく、走る。
ヘイレズの丘から北へ、辿り着いたのは深い森だった。
木々が風に揺れてざわざわと囁いている。
時折、鳥の甲高い囀りが聴こえてきていた。

高く聳え立った樹木の傍に腰を下ろし、息を休める。

「さてと……これからどうしましょうか」

シアナはあっけらかんと言った。

「どうしようかって……あの、シアナ隊長。これからどうするか、何か考えてたんじゃないですか」
「考えてたら聞くまでもなくそうしてるわ」
「ってことはまさか」
「そう、考えなしにここまで来ちゃった――って言ったら怒る?」

イザークは「えええええ!!」と驚愕の叫びをあげて、髪の毛を掻き毟り始めた。
ここに画家がいたら、“苦悩する青年”とでも題を付けてキャンバスにこの光景を描き出すに違いない。
髪の毛をくしゃくしゃにした後で、彼は盛大な溜息を吐き出した。


476 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:45:37 ID:5HD8ewsG
「いえ、怒りません。怒りませんとも。隊長を炊きつけたのは僕ですからね。僕にも責任があります。
でもちょっと、予想外だったので。……びっくりしただけです」
「そう。じゃあ今日はこのあたりで野宿といきましょうか」
「……やっぱりそうなるんですね」

二人のやりとりを見て、今まで黙していたエレが毒づいた。

「相変わらず計画性も何もない女だ。
こんな奴が一個の隊の長を務めていたかと思うと、部下に憐憫さえ感じるな」

そうして、イザークに視線を向けた。

「た、隊長を馬鹿にしないで下さいよエレ隊長!! 
確かにシアナ隊長は猪突猛進ではねっかえりで後先考えないところがありますけど――」
「イザーク。私を怒らせたいの?」
「えっ、あっ、違いますよ!! 断固として違います!!」
「あんたの言い方だと、エレより馬鹿されてる気がするわ」
「隊長〜!! そんなあ、僕が隊長を馬鹿にするわけないじゃないですか」
「ええい、寄るな鬱陶しい!!」

漫談を繰り広げる二人を眺めながら――エレは知らず顔に微笑を浮かべていた。

「……ふっ」

477 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:47:01 ID:5HD8ewsG
風が吹く。
月がいつの間にか空に顔を見せ始めていた。
徐々に下がってきた気温に、イザークは身体を震わせる。

「寒くなってきましたね。焚き火でも出来ればいいんですけど」
「イザーク、ここに火気はないわよ」
「そうなんですよね。あると便利なんですけど」
「……火、か。おい、そこの役立たず、枯れ木と枯れ葉を集めろ」

指名されたイザークは、「え? 僕ですか」と声をあげた。

「お前以外に誰がいる。とっととしろ、この能無し」
「ひ、酷すぎる……分かりました、集めればいいんですね集めれば。全く、人使いが荒いなあ」
「何か言ったか」
「いえ、何でもありません、集めてきます」

イザークの収穫によって集まった枯れ木と葉の山。
エレはぼそりと呟くと短い詠唱を始めた。
じわじわと周囲の温度が上昇する。
指の先を翳した瞬間、枯れ木は赤く燃え上がった。
煙を燻らせながら、ぱちぱちと焔が爆ぜている。

「うわ、凄い。これって魔術ですか、エレ隊長!!
ていうか魔術使えるんですね、凄いなあ」
「ふん。才あるものならばこれくらいのこと、誰でも鍛錬を積めば出来るようになる」
「へえ。じゃあ僕も出来ますかね」
「お前には才能がないから無理だ」
「…………」
「温かいわね……ありがとうエレ」
「ふん、この程度で礼などいらぬ」

478 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:48:08 ID:5HD8ewsG
三人は焚き火を取り囲んで再び座った。
膝を抱えて火を見つめるシアナ。
炎は嫌いだった。全てを奪っていったから。
だが目の前で燃えている火は優しく、温かかった。

「明日からどうしましょう」

イザークが誰に言うでもなく呟いた。
焚き火の中に、枯れ木を折って放り込むシアナ。

「そうね……とりあえず安全な場所まで行きましょうか。ここからもっと北に行くと、シルクレイスっていう町があるの。
昔、火災があって燃えてしまったけど、随分復興したって聞いてるから……」

考えていたのはこれからの事、そして残してきた隊員達のことだった。
シアナが誓いを破った背徳者と成り果てたと知ったら、彼らは落胆することだろう。
シアナが率いていた隊員達も、糾弾され汚名を着せられるかもしれない。


「……隊長、隊員達のこと、心配ですか?」
「ええ。何も説明しないで飛び出して来たのは不味かったかなって。
何を言っても今更だけど」
「ああ、それならご心配なく。僕が出発する前に説明してきましたから」
「えっ?」

いつの間に――準備にかかった時間はそう長くないはずだ。

479 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:49:39 ID:5HD8ewsG
「エレ隊長の事、シアナ隊長に話す前に、隊員達に説明しておいたんです。
もしかしたらこういう事態になるかもしれないって」
「みんな……何て?」

イザークは、にっこりと笑った。

「そりゃあ勿論、隊長の決めた心に従うって言ってました。
最初は危険だからって反対する奴もいましたけど……、皆理解してくれましたよ」
「……」
「シアナ隊長の部下なんですから、隊長の決断を重んじるのは当たり前じゃないですか。
だから、何も心配要らないと思います。きっと皆、今頃は――上手くやってると思いますよ。
第三騎士隊は。それと――エレ隊長の第二騎士隊も」
「イザーク……」
「やだなあ隊長、しんみりしないで下さいよ。今日は明日に備えて休みましょう!!」
「そうね」

三人は火の見張り順を決め、眠る事にした。
シアナが見張りを努める時間、起きてみるとそこにエレの姿はなかった。
シアナに見張りを受け渡すはずのイザークはすっかり就寝している。
「……まったく、もう」

480 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:50:31 ID:5HD8ewsG
シアナはエレを探す為にその場を離れた。
夜の森は暗く陰鬱な雰囲気を漂わせている。
いかにも妖鬼が這い出してきそうな空気だ。

星々が梢の隙間から姿を見せている。
草を踏みしめ、周囲を探索した。
エレはすぐ見つかった。
木々に囲まれた小さい池のほとりで、佇んでいる。
暗がりでよく見えないが、水面に目をやって考え事をしているようだった。

「エレ。どうしたのこんな遅くに」
「……お前か」

シアナを見ようともせずにエレは呟いた。

「眠れないの?」

エレの刻印は痛みを今も与えている筈だ。
耐え難い痛みによって眠れないとしても無理はない。
エレはその質問には答えず、話を始めた。


481 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:51:42 ID:5HD8ewsG
「……シアナ。前にお前にシルクレイスの話をしたのを覚えているか」
「ええ、覚えてるわ。どうして?」
「あの町は、お前にとって良い町だったと言えるか」

シアナは口を閉ざした。
自身が生まれた町。そして両親が死んだ町。
幸せな記憶と、不幸な記憶が眠る場所。
シアナにとってシルクレイスは深い悔恨の残る場所だった。
シアナは首を振る。どちらとも答えかねた。

「わからない。エレは……?」

「俺にとってあの場所は最悪の土地だった。
無宇族で異端のなりをしていたからだろうな。毎日毎日誹謗され、姿を見ると石を投げられた。
“出て行け悪魔!!”とな」
「……そんな」
「当然のことだ。人は自分と違うものを畏れる生き物だ。それが当然の反応だ。
だからそうした奴らを愚かとは思えど責める気にはならん。何処へ行っても俺たちは受け入れられない、無宇の民だからな」

石が当たる度に世界を呪った。
どうして自分達だけこんな目に遭うのか。
どうしてこんな呪われた道が何処までも続くのか。
好きで異端の容姿に生まれたわけでも刻印を欲したわけでもないのに。

「……あの大災禍の日――俺の母親は町人に殺された」

482 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:52:56 ID:5HD8ewsG
「魔女狩りのつもりだったのか。……それとも異邦人に対する嫌悪や不信感が爆発した結果なのかは分からない。
だが結果として母は数名にとりおさえられ、魔女と罵られ、殺された。
あの大災禍の起こる直前のことだ」

風。静かな水面に波紋が流れる。

「俺は――それを見て思った。
何故、何もしていない俺たちが罪人として裁かれなければいけないのか。
そして人の命をくだらない理由で奪っておきながら、どうして奴らは罰を受けることなく生きているのか」

神がいるとしたら、何故奴らに罰を与えない。
どうして母親は殺されなければいけなかった。

「世界なんて滅んでしまえばいいと願った。皮肉だな。そう思った直後に町が滅ぶとは」
「……エレ、ごめん私――」

シアナは俯く。

「こんな時、何て言ったらいいか分からない」
「気休めの言葉を掛ける必要はない。お前が何をしたってもうどうにもならない話だ」
「……でも」
「子供だったお前に非も責もない。そうだろう」

エレは小さく息を吐き出して、目をつむった。

483 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/19(金) 22:54:14 ID:5HD8ewsG
「……ひとつ聞きたいことがある。シアナ。もし、あの時、町を襲った龍がお前の目の前に現れたとしたら、お前はどうする?」

「どうするってそれは――」

「貴様の事だ。さぞ勇猛に切り伏せてくれるのだろう? 期待しているぞ。その光景がこの目で見られないのが残念だ」

さて、とエレは踵を返す。

「俺は戻るとするか」
「……待って、何処に行くつもり?!」
「何処へ行こうと俺の勝手だろう」

その様子に只ならないものを感じてシアナはエレを引き止める。
エレは邪険にシアナの腕を払いのけた。

「……フレンズベルに行くつもりね。ゴルィニシチェと戦うために」
「だとしたらどうする? また前のように俺と戦って止めてみせるか?」
「――言ったでしょう、怪我人をいたぶる趣味はない」
「そうか。ならば話は早いな。そこをどけ」

二人は濃闇の中で睨みあった。
エレを行かせてなるものか。
わざわざ処刑台へ自ら赴くようなもの。リジュ達も次は見逃しはしないだろう。

「駄目。駄目よ!! 冷静になって考え直しなさい。行ったら殺されるわ」
「……冷静になるのはお前の方だろう。俺たちの本来の責務は何だ」
「それは――」
「国を守る事。王を守護する事。そうだろう。俺にはさして興味のない事だがな。
あの地を敵に侵されるのは、気分のいいものではない。それに――」


484 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/20(土) 00:44:03 ID:eQgs+UnM
真正面からシアナを捉え、エレは言う。

「ズイマは――あいつがいつも言っていた。
例えどんな状況下にあろうとも、最優先されるべきは国なのだと。
あいつが口うるさく忠告してきた事柄を聞いた事は一度もないが、こんな折だ。
ひとつくらいは聞いておいてやってもよかろう。俺が……あいつを殺したんだからな」

エレは黙り込む。
そうして小さく何かの言葉を紡いだかと思うと、シアナに向かって「言葉」を放った。

「――くっ、これ……は」
「安心しろ。眠りに落ちるだけの無害な呪文だ。副作用もない。明日の朝には目覚めるだろう」
「ま……、待って……待ちなさい、エレ……!!」

その場に倒れ、必死に襲い来る睡魔に抗おうとするシアナ。
意思に反して閉じていく視界の中、エレと視線が交錯する。

「じゃあな龍殺し。――処刑場での戦いは、悪くなかったぞ」


翌日。シアナが目を醒ましてみると、エレは何処にもいなくなっていた。
シアナはすぐに眠りこけているイザークをたたき起こし、火を消した。
今まで来た道を急いで戻りながら、エレの向かった場所――戦場となるであろうフレンズベルへ向かう。

485 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/20(土) 00:45:10 ID:eQgs+UnM
「シアナ隊長……エレ隊長、一人で行っちゃったんですね。一声かけてくれればよかったのに」
「誰かの手を借りたがるような奴じゃないでしょう。……急ぐわよ」


夜の内にフレンズベルに戻ったエレは戦場に足を踏み入れた。
既に両国の旗は勇ましく掲げられ、戦乱が行われていた。
轟く悲鳴と馬の嘶き。剣戟。
空を飛行する黒い龍達――ゴルィニシチェの兵がフレンズベルの騎士隊を押している。
それも当然だった。この場所には、戦力の要であったエレもシアナもいない。
先の戦いで隊員も多く失われている。
それに対し敵方であるゴルィニシチェは兵を増員し、この戦いに決着を付けるべく
一気に攻め入って来たのだ。
圧倒的な戦力の差が、戦局を分けていた。

多くの兵と騎士が戦っている。その渦中に――エレは帰還した。
あちらこちらで死闘が繰り広げられている。その中を、まるで自分には関係ないかのように黙々と進む。

エレを目撃した者達は一様に息を飲んだ。
禍々しい空気を纏い、ゆらゆらと戦場を歩む。
その周囲を、小さな黒点が飛び回っている。
悪魔の刻印から放たれる気だった。触れた者は皆、虚無へと返る暗黒の蛍。

486 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/20(土) 00:46:19 ID:eQgs+UnM
(おい、あれ、エレ隊長じゃないか!!?)
(何故ここに――処刑されたはずじゃあ)

騎士隊は思わぬ人物の登場にざわめいた。
勿論それは敵側も同じ。先の戦いで、多くの兵を殲滅した騎士の風貌をよく知らされていたからだ。
近づけば刻印によって殺される。故に手出しが出来ないでいた。
エレに気がついたリジュは、彼の行く手を阻むように立ちはだかった。

「エレ……」
「ふん、リジュか。不甲斐ない、押されているな」
「どうして帰ってきたんです。国を裏切った貴方の居場所はもうここにはないんですよ」
「そうだな……俺は罪人だ。だが俺には畢竟、これしかないらしい」
「これ、とは」

エレは頬に触れた。


「戦う事だ。剣を奪われ、罰を与えられたとしても、やはり――戦うことでしか俺はどうやら生きられぬ」

物心ついた時からずっと、痛みがあった。
生きる事は痛む事だったが同時に、戦う事でもあったのだ。
この呪われた身では痛みに負けることは、即、死を意味したから。

487 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/20(土) 00:47:36 ID:eQgs+UnM
「……シアナさんは」
「あいつが、俺が戻ると知って放っておくと思うか? 少し眠ってもらった。今頃こちらに向かっているかもしれんが
間に合わないだろうな」
「驚きました。貴方って意外と義理堅い人だったんですね」
「義理? 馬鹿を言うな。俺はただ――」

リジュの横を過ぎ去るエレ。
目の前には数百、数え切れないほどのゴルィニシチェ軍兵が広がっていた。
視界を覆う龍騎兵、大砲を運ぶ歩兵、群れをなす矢兵。
何処もかしこも敵だらけ。あたりはまるで地獄絵図。

「むざむざフレンズベルが侵略されるのを手を拱いて見過ごすのが、気に食わないだけだ。
いいか、二度は言わない。今すぐ全隊員を連れて退却しろ」
「エレ、貴方まさか――」
「俺はもう長くない。だが自分の命の最期くらいは自分で決めよう。――さあ行け、死神よ。ぐずぐずしていると巻き込むぞ」

リジュはエレの言葉を――承諾した。
このまま戦いを続行しても勝率は思わしくない。
全隊員に、すぐさま退避を命じる。
エレに背を向けて、言った。

「……ありがとうは言いません。どうか、ご無事で」
「ふん、さっさといけ」

488 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/20(土) 00:49:38 ID:eQgs+UnM
フレンズベル騎士隊は撤退を開始した。

「さて――見せてやる、暗黒の龍の国の兵達よ。
目をよく開眼させて、焼き付けるがいい。
どうせ、これが最後となろう」

相手にとってもエレにとっても。
この一撃で敵は殲滅する。
そして自分も――限界を超えて、シアナの言った通り力を暴走させるだろう。
哀れで愚かな男の末路だ。

「そうなったら――」


龍殺し。

お前が俺を、殺してくれよ。

489 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/20(土) 00:52:04 ID:eQgs+UnM
エレの「悪魔の刻印」別の名を「悪魔の目の刻印」は力を解き放った。
彼の周囲を飛び回っていた黒点は徐々に大きさを増していき、あたり一体をゴルィニシチェ兵ごと飲み込んでいく。
一騎にしてエレは数百を討たんとしていた。

痛みが増す。刻印の怨嗟が体内に満ちて広がっていく。
汗が額を流れて落ちた。
手の先が僅かに震える。

まだだ。まだ飲まれるわけにはいかない。
この兵を全て虚無へと同化させてしまうまでは。


悪魔の刻印は主の性質に似て苛烈だった。
敵を一網打尽にしていく代わりに、主には過激な痛みを与える。常人では到底我慢しきれぬ痛みだ。
だがエレは死の執行者として、貫徹した。

目の前には、最早兵はいない。
乾ききって血を吸った大地と、死体と、敵の武器が転がるばかり。

エレは満足そうに笑って――意識を、刻印に飲まれた。
完全に。


そして彼は、龍へと変わっていった。

490 :創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 11:57:51 ID:ObO3IXLb
>>467
面白い設定だから、自分で書いたら?
美術系は漫画でも小説でも難しいっすよ。ガンバ
ただし、このスレに投下すると荒らしが沸くから別スレでね
しかし、荒らしが一人いるな・・・・・・中二病設定で新スレ立てようかな〜

491 :創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 12:36:56 ID:cffLj4Z4
夏みかんさん、アドバイスというか忠告だけど別板に移動した方がいいと思うよ
前スレから見てたけど変な粘着が付いてるみたいだし
新スレ立てて夏みかんさんの名前出してまで荒らしやってるからさ・・
その方が俺も安心して話が見れる

492 :創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 12:41:13 ID:cffLj4Z4
>>491
間違えた、別板じゃなくて別スレね

493 :創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 12:53:00 ID:L3RQ84Qk
>>489
エレ……かっこ良すぎだ!!
レスしないけど、毎回見てるよ〜

>>491
荒らし居ない所に行けばいいってのは認めるけど、別板行けってのはどうなん?
俺だったら暗に消えてくれって言われてるように感じちゃうんだけど……

494 :創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 13:01:20 ID:cffLj4Z4
すまん、そういうつもりで言ったんじゃないんだ
気を悪くさせたなら謝る
荒らし野郎が夏みかんさんのせいにしようとしてるみたいだし
このまま荒らされてるとこのスレ投下止まっちゃうんじゃないかと思ってさ
応援してるからガンガレ!!


495 :471:2009/06/20(土) 14:05:28 ID:cUntVOLZ
エレ・・・!遂に・・・!!!

なんかスレが変な流れになってるな
前スレから妙に粘着してたのは俺だ、前スレ後半くらいから新しいの投下される度にレスしてた。
でも他の人の投下に対してアンチしてないし、むしろ色んな人が投下すればいいと思ってる。
もちろん新スレ立てたのも俺じゃないしあっちで夏みかん氏の名前出してもない。

何が言いたいかっていうと、夏みかん氏の粘着野郎=荒らしじゃない、んだ・・・
頻繁な感想レスが、粘着で荒らしだって言うなら、もうしない、おとなしくROMる。
俺みたいな粘着がいるせいで夏みかん氏がこのスレから移動させられることになると申し訳ない。
今まで空気読めなくてごめんなさい。
でも応援してます。

496 :創る名無しに見る名無し:2009/06/20(土) 15:39:48 ID:cffLj4Z4
感想書いてるだけなら粘着じゃないと思う
酉割ったり感想があるといちいち本人乙とか言いだす奴が粘着荒らし


497 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:02:20 ID:mVLSQCas
感想をくれた方と、
別スレに移動した方がいいよと言ってくれた方ありがとうございました。

荒れの原因になってしまって申し訳ないです。
勿論自分は荒らしたこともなければ、投下作品に否定的なコメントをした
こともありません。このスレで感想を付ける時はコテハンを入れています。
作品を見るのは大好きなので、投下されるのは嬉しいですし、
他の作品に触れる事でいい刺激にもなります。
ただ投下し続けることで荒れてしまうのは申し訳ないので、このスレの投下を
今日の投下を最後に自粛したいと思います。
続きはまとめWikiの方にあげますので。
それでは今までありがとうございました。
次からお話本文です↓

498 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:03:53 ID:mVLSQCas
シアナが戦場に辿り着いた時、目にしたものは黒く蠢く異様な影だった。
世界から切り離されたようにぽっかりと周囲から浮いている。
それほどまでに異質で、無機質で、“あってはならぬモノ”として、彼はそこにいた。

「――エレ」

声を掛ける。
ビクンと身体を震わせてこちらを向いたエレの瞳に、シアナの知るエレの面影はなかった。

頬に烙印された痕。悪魔の刻印からは炎気が根の如くエレの身体を覆い、巣食い。
悪魔、即ち龍の鱗が皮膚の上を這っている。
猛々しく伸ばされた腕を飾っているのは装甲と見紛うばかりの兇刃な龍腕。
口から零れて見えるのは鋭い牙。


彼は人の姿をしていながら、半身半龍。
悪魔でありながら神の身に到達してしまったのだ。
圧倒的な威圧感を肌に感じる。
龍を前にしているという感覚――今までにないくらいに強く龍殺しの刻印が反応していた。
にやりと目の前のエレが笑う。いや、もう既にエレとしての自我が奪われてしまった彼が。
一歩一歩、ゆっくりと彼はシアナ達に接近する。

「シ、シアナ隊長……!! どどどうしましょう!! あれエレ隊長ですよね俺――」
「イザーク、お願いがあるの」
「は、はい」
「ここを離れて。エレと私、二人で戦わせて」
「……えっ?」

499 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:04:44 ID:mVLSQCas
ざくざく。かしゃん。
黒き者が兵士の死体を足蹴にしてやってくる。

「でも……!! でも危ないですよ!! あんな……っ、俺だって見ても危ないって分かります。
やられちゃったらどうするんですか!! 駄目ですよ!! 絶対駄目です!
俺は確かに役に立たないかもしれないけど、でも少しくらいなら役に立てるかもしれないじゃないですか!!
一人で戦おうとなんてしないで下さい!」
「お願い。私、エレと約束したの」
「な、何をですか……」

シアナはすらりと剣を抜いた。

「あいつがもしこうなったら――私が殺すって、そう約束したのよ……」

「隊長……」

イザークに背中を向けるシアナの表情は伺えない。
だがきっと、――苦しそうな顔をしているのだろうとイザークは思った。
それともいつものように泣き出しそうな顔をして、笑っているのだろうか。

「だからお願い。私は……負けない。絶対に負けないから、だから、
ここを離れていて。私がエレを倒すから」

振り向いたシアナの表情はどちらでもなかった。


それは今まで幾頭の龍を殺し、戦場を駆けてきた龍殺しの顔だった。
シアナに退く気はない。妥協も容赦も微塵もない。決意だけがそこにあった。
それを見て、イザークは決めた。

500 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:05:47 ID:mVLSQCas
「……隊長、ご武運を」

祈りだけをシアナに託し、その場を後にする。
今まで戦いがあれば、常に傍に居た。
エレを強奪した時も、イザークが奮起させてくれたのだ。
隊長を守るといった彼の、先ほどの一言がどれだけの葛藤から生まれたものか。
シアナはありがとうを心の中で呟いて感謝した。

イザークをいつも助けていたのは自分の方だったと思っていたけれど、
助けられていたのは、本当は自分の方だったのかもしれない。
そんな予感が頭を巡る。それも一瞬。


真たる悪魔と変じたエレはシアナの前に迫った。

「龍殺し……貴様を殺せる非ヲどれ程待ち望んだ事カ……」

その声はエレの声ではない。
エレの身体、声帯機能を使って発せられる“別人”からの声だ。
おぞましく不気味な唸声、呪詛にも似たそれにシアナは対峙する。

「貴方は……エレじゃないのね」

ククク、とソレは笑った。
「然様。我は刻印の意思によって形作られ産み落とされタ、人デ無きモノ。
コノ肉体を支配シ、我デ埋め尽くし、ソシテ我はこうして此処に成った――」
彼は自身の胸に手をやる。
「期待しても無駄だ龍殺シ。この人間の人格は我が飲み込み取り込んだ、
最早奴は何処を探してもイナイ」

501 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:08:05 ID:mVLSQCas
そうか。
もう飲まれてしまったのだ。
自分の知るエレは何処にも居ないんだ――シアナは理解した。

ならばもう手加減はいらない。私は戦う。この身体の全てを持って。
エレを――殺す。

哄笑が空へ響き渡る。
血の滲むような夕暮れ。赤き赤き斜光が二人を照らす。

「我は呪イ。我は刻印。我は記憶。我は礎。我は闇。我は影。
我は死。我は悲鳴。我は荊。我は罰。我は罪。
我は男の魂に宿りテ、汝ヲ喰らおうとするモノなり。
――我は龍。コノ世の叡智を賜りテ、人を蹂躙するこの世の王」

エレは、地面に落ちていた剣を拾う。

「さあ!!! 戦おうぞ龍殺し!!
お前も私も!! 永劫この瞬間の到来を望んでいたのだからなーーー!!」

悪魔の剣がシアナに迫る。
シアナはそれを刀身で受け止めた。
「が……っ」

振動。臓腑まで抉るような一撃に、シアナの顔が歪む。
これが――悪魔の刻印。人でなきモノの力。

502 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:09:16 ID:mVLSQCas
一撃を受け止めた瞬間、次の一撃が振り下ろされる。
それをすんでの所で受け止めて、競り合いが続いた。

「どうした? 龍殺し、刻印は使わないのカ?!
この身は龍。お前ノ刻印を使えば倒せるやも知れぬぞーー!!」

ぎいんっ!!
剣が弾かれる。
シアナは屈んだ体勢で土の上を滑った。

「……面白い事を教えてやろう。我の見立てではお前の刻印は後、一回が発動の限度ダ。
一回使い、龍の魂を取り込んだらお前は終わりダ、はははは、はははは!!
どうする龍殺し!! 我を倒すには刻印の発動は不可欠!!
しかし、刻印を使い我を倒したらお前に未来はない!! この男と同じようにな!!」


――私は。

「それでもお前は刻印を使えるかそれとも我に嬲られ殺されるか!!」

――私は。

「それとも我が身可愛さにこの男を殺さず逃げ帰るか!!」

――私は!!

「……使うわ。刻印を使う。例え……例えこの身が滅んだとしても、貴方を殺す!!」


503 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:10:49 ID:mVLSQCas
龍殺しの刻印が光を放った。
シアナは刻印に語りかける。これが最後だ。十分に暴れなさい。
私は――エレとの約束を守る。

さあ共に戦おう龍殺しの刻印。
罪の記憶を辿り喚起せよ。

この刻印が罪ならば――私は背負おう。
罰も荊も枷も。この身に集い力とならん。
痛みも苦しみも悲しみも全て私が引き受けよう。

目覚めよ。

この身に満ちて龍を喰らえ!!


そしてシアナは――龍殺しとなる。

「はあああっ!!」
「ぐあああああっ!!」

龍と龍殺しは突した。
シアナから溢れ出た白い光と、龍から湧き出る黒い光が散乱する。
剣の薙ぎで払われた光は花弁のように舞い散り掻き消える。
一撃一撃の素早さが光の如く。一打の重みは龍の拳。
シアナの大剣でも受け止め、弾き返すのが精一杯だ。
刻印の力を持ってしても五分に持っていくのがやっととは。
だが嘆く暇はない。思考している間に次の攻撃がやってくる。
一撃、ニ撃。惨劇の舞台で二人は踊る。


504 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:14:45 ID:mVLSQCas
「ぐっ!!」

剣がシアナの肩を抉った。鎧が陥没する。赤い華が地面に散る。

「ぐあはははははは!! 遅い遅いぞ龍殺し!! そんなに我に殺されたいカ――!!」

言葉と同時に追撃が迫る!!
ギイン!!

「……か……っ」

怯むな。怪我がなんだ。こんな痛みよりもっと辛い痛みをエレは感じてきたに違いない。
こんな程度で、痛いなどと言っていられるか――!!

ギインッ!!
ガキインッ!!

剣の摩擦で火花が飛ぶ。一秒たりとも休息はなし、猛烈な攻め合いが繰り広げられる。

突進。連打。打擲。回避。衝突。
薙払。打合。乱打。剣戟。躍動。

因果によって惹かれた二つの刻印が、壮絶な死闘を演じていた。
シアナの剣を打ち払い、腹部に蹴りを叩き込む龍。


505 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 17:15:30 ID:mVLSQCas
「ぐ――げほっ」

痛烈な一撃を食らってシアナは呻いた。胃が僅かに痙攣する。
そこに振り下ろされた剣を、仰向けのまま受け止めた。

「愚かだな……龍殺し。
今の自分の状況ヲ省みるがいい。お前の下には奈落があろう。
送ってやろうカ今すぐに――」

顔を近づけて心底愉しそうに嘲る龍。
シアナは刻印の光を剣に宿し、押すと同時に立ち上がった。
「はあっ!!」

龍は僅かに後退する。
対峙しあったまま剣をシアナに向けた。

「難儀な事ダ。最後マデこの男との約束を守り通すつもりか龍殺シ」
「そうよ。他の全てを投げ打ってでもこれだけは必ず果たしてみせる」
龍は顔を醜く歪めて体を狂おしく震わせた。

「くくく、くくくっはははは!! 愚かにも程があるぞ龍殺し!!
男の為に命を燃やすか。色恋沙汰に盲目したわけでもあるまい。
利もなく益もなく、何故ソコまでする!?」
「それが――エレとの約束、エレの望みだからよ」

あいつは自分に似ているから、きっとこんな状態になったら
思うだろう。
――殺して欲しい、と。


506 :創る名無しに見る名無し:2009/06/21(日) 19:48:06 ID:1a9GZuhr
もう話も終盤ならこのスレで投下しちゃえばいいのに
と、俺は思う

507 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:26:43 ID:mVLSQCas
ズイマにエレの事を頼まれた。エレと誓いを交わした。
自分はそれを全て受け入れた。
自分が与えられるのは生ではない。
彼を苦しみながら生かす事は出来ない。このまま龍を放っておけば間違いなく国が滅ぶ。
あのひねくれたエレが最期の瞬間まで守り通そうとしたフレンズベルが。

彼が守りたかったものを、私は守らなくてはいけない。
エレを打ち倒し背徳者と蔑まれたとしても。

だから最後に自分が与えるのは、仮初の生ではなく。
重い一撃でなければならないのだ。

「デハ貴様がそうまでして殺そうとしている男の真実を教えてやろう龍殺シ。この男が犯した罪をナ――それを知って世の真に幻滅スルガイイ」

ぶわり。暗黒が揺らめいて周囲を覆っていく。

「何……っ」
「これは記憶だ。十年前の――大災禍の記憶。忌まわしい罪の記憶――」

暗闇に何かが映っている。シルクレイスだ。
シアナが幼少期を過ごし、家族を失ったあの場所。

そこに女性がいた。燃えるような緋色の髪。
エレに似た面影を宿した彼女は、エレの母親だった。

「魔女!! 町から出て行け!!」


508 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:27:55 ID:mVLSQCas
石が投擲される。
彼女の後頭部に次々と灰色の石が投げつけられた。
頭を庇うように腕で覆い、地面に倒れこむ。

「やめろ!! やめろよ!!」

母を庇うように飛び出してきたのは幼い姿のエレだった。
今とは違い、刻印の支配が及んでいない時だ。
髪の色もまだ生まれたまま、赤に近い色をしている。
無宇族特有の赤い髪に白い肌。それが外の世界では畏怖の対象となった。

「うるさい!! 餓鬼はどっかにすっこんでろ!! 魔女の産んだ忌まわしい悪魔め!!」
町人に殴られて崩れ落ちるエレ。
母はやめてくださいと涙声で懇願した。

「黙れ!!」

男が叫んだ瞬間――男の手の先に火がともった。
それはエレが感情を掻き乱された結果、魔術を無意識に使ってしまった結果だったが、
町人にとってはそうではなかった。

魔女と悪魔が、自分達を殺そうとしたと思わせる切欠になってしまったのだ。

「うわああ!! 魔女が!! 魔女が火を使った!! 俺を殺そうとしたんだ!!」
「やはり……魔女は魔術を使う。殺したほうがいい」
「悪魔と魔女に神の裁きを!!」
「誰か!! 何か武器を持ってきて!」


509 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:29:49 ID:mVLSQCas
町人は群がってエレの母に棍棒を振り翳した。

「エレ、逃げなさい、早く!!」

母の声が悲鳴に変わるまでエレはそこを動けないでいた。
目の前で母が殺されていく。
罪もない母が殺されていく。
穢れた人間達の手によって。

「あ……あああ」

赦せない。
何が悪魔だ魔女だ。お前達の方がよほど悪魔じゃないか
人一人を無意味に殺しておいて――世界なんて滅んでしまえ。

エレが強く世界の破滅を願った瞬間、刻印が暴走した。
世界の死という強い破滅と悪魔の刻印が呼応し、エレは――龍へ変わった。
そしてシルクレイスの悲劇が起きた。
エレは龍殺しの刻印に引き寄せられ、シアナを、そしてシアナの父を攻撃し、町を破壊し、
シルクレイスは崩壊した。

エレは一夜、龍へ変化し、そしてあくる日人間の姿へ戻った。
まだ刻印の力に侵されていなかった為、暴走が止まったのだ。
救援にきた騎士隊の中に、ズイマがいた。
ズイマは龍からエレが人間の姿に戻る光景を目撃して――殺そうかと逡巡した。
だが安らかなエレの寝顔を見ていると、とても出来そうになかった。

510 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:30:56 ID:mVLSQCas
こうしてエレはズイマに引き取られて騎士隊へやってきたのだ。

映像が消えていく。シアナは言葉を失っていた。

……エレが、シルクレイスの原因となった龍だった。

「はははは!! 愚か愚か、愚かにも限度があるな龍殺し!!
貴様ノ親の敵が目の前の我だとはな、いや、この身体――エレと言った方がいいか!?
ともかくお前が仲間だと思っていた存在は実は宿敵だったのだ!! 滑稽だな!!」

シアナは剣をきつく握る。
母を殺し、父を殺し、町を滅ぼした相手がそこにいる。

エレはその罪を抱えて今まで生きてきたのか。

『……ひとつ聞きたいことがある。シアナ。もし、あの時、町を襲った龍がお前の目の前に現れたとしたら、お前はどうする?』

『どうするってそれは――』

『貴様の事だ。さぞ勇猛に切り伏せてくれるのだろう? 期待しているぞ。その光景がこの目で見られないのが残念だ』

エレは知っていた。自分がシアナに殺されるという事を知っていて、聞いたのだ。
――ああ、彼は決めたのだ自身の最期を。だったら、


511 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:31:50 ID:mVLSQCas
「……それでも私のやるべきことは変わらない。お前を倒す、それだけだ!!」

シアナは龍へと向かう。
龍は高々と笑ってシアナの剣を救い上げた。剣が空を舞う。

「さて徒手空拳の龍殺し、いかに私と戦ってくれるのか」

これで詰めか。

シアナはふとエレを見た。
それを確認すると、何も持たず龍に接近する。

「――馬鹿が、血迷ったか!!」

剣が振り下ろされる一瞬、エレの腰に付いていた剣――
ウィナがくれた短剣を抜いて龍の胸に突き刺した。
同時に龍の剣はシアナ切り裂いた。

「あ……っぐ!!」
「ぐああぅっ……」

痛みに耐えながら、剣を握る手に力を込める。

「これで――締めよ。死になさい!!」

刻印の力を思い切り込めて、シアナは叫んだ。
龍殺しの刻印が喚起する。光が爆発し、視界を遮り世界を満たしていく。
刻印の決闘に決着が付き、舞台の幕はおろされ、
龍となったエレは倒された。シアナはエレの頭を膝上に抱え、息を吐き出す。


512 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:33:48 ID:mVLSQCas
「……はっ、終った……わね、……これで全部」

エレに張り付いていた禍々しい気は消えていく。
シアナはエレに目をやった。微かに唇が動く。

「エレ!!」
「耳元で……叫ぶな鬱陶しい」
「……貴方、意識が戻ったの?」

エレはうっすらと目を開けてシアナを見た。

「どうやら……奴は……刻印から生まれたアレは……先に黄泉路へ向かったらしい……その、せいだろう」
「そう……」

じゃあ、私ももうすぐ終わりか。
シアナは微笑する。
悪くなかった。

「シアナ、お前の刻印はまだあるか」
「え……ええ」
かすれた声でエレは続けた。


513 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:35:09 ID:mVLSQCas
「そうか、なら……ばいい。お前と、地獄に……向かうの……はごめん……だからな……冥土の土産に受け取っておけ」

エレの刻印が再び光る。

「まだ後一回くらいは力が残されている。殺してやろう龍殺し。お前の「龍殺しの刻印」を悪魔の刻印で殺してやる」

そんな事出来るのか、口を開こうとしたシアナにエレは言った。

「忘れたのか、俺の力は何人、何物たりとも逃れられぬのだぞ――」

悪魔の刻印の光が爆発した。
シアナの魂に刻まれた「刻印」だけを殺す。
喪失感がシアナの中に広がっていく。
無くなっていく。自分が父から受け継ぎ、今まで共に戦ってきたものが。
幾多の記憶が甦る。龍を殺し、龍を倒してきた記憶が。
力が失われていく。熱いものがこみ上げてきてシアナは俯いた。

あれは私だった。呪い、忌まわしい罪の記憶だとしても、力となって何度も救ってくれた。
……相棒だった。
そしてエレも。


514 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:36:55 ID:mVLSQCas
悪魔の刻印の光が爆発した。
シアナの魂に刻まれた「刻印」だけを殺す。
喪失感がシアナの中に広がっていく。
無くなっていく。自分が父から受け継ぎ、今まで共に戦ってきたものが。
幾多の記憶が甦る。龍を殺し、龍を倒してきた記憶が。
力が失われていく。熱いものがこみ上げてきてシアナは俯いた。

あれは私だった。呪い、忌まわしい罪の記憶だとしても、力となって何度も救ってくれた。
……相棒だった。
そしてエレも。

「……私、あんたの事嫌いじゃなかったみたい」

エレはいつもの皮肉っぽい表情になると、シアナの目を見た。

「生憎だなシアナ。俺はお前がこの世で一番嫌いだ」
「エレ……」
「……では、な」

エレの目蓋が閉じていく。

「エレ……」

吐息が止まる。生命が停止する。ここに悪魔の騎士は果てようとしていた。
シアナは、じっとそれを見つめたまま動かなかった。
死にゆく最期の瞬間に、自分を救ってくれた。
罪を抱え、ずっと苦しんできたエレは赦されることがなかったのだろう。
自分自身にも。


515 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 20:38:34 ID:mVLSQCas
「……っ、ふ……っ、く……」

目から溢れるものを拭いもせず、シアナは震える声で、言った。エレとそして龍殺しの刻印に。

「……さようなら」

エレは誰かに赦して欲しかったのだろうか。でもそれを聞く相手はもういない。
永久に失われてしまった。

シアナから龍殺しの刻印は抹消した。
シアナは生き残った。代わりに大事なものを失って。
悪魔を、――龍の騎士を打ち倒した。


516 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 21:42:38 ID:mVLSQCas
後日。
シアナはエレの逃亡を手助けした罪を処されたがエレの暴走を食い止めたとして特例により騎士隊の帰還を許された。
またエレは死刑の身でありながら逃亡したが、国を守った功績により死後、国中に讃えられた。
ゴルィニシチェは先日の戦いで戦力の大半を失っており、自国の統治を立て直すのに追われている。
同盟破棄などの不当行為を、各国から非難され非情に危うい立場に立たされた。
再びフレンズベルに攻めて来ることはないだろう。
フレンズベルに平和が訪れたのだ。

あの戦いから暫くしたある日。
シアナは墓石の前に立っていた。
目の前にはエレとズイマが並んで眠っている。

エレ、あんたが必死に守ったフレンズベルは今も無事よ――
シアナは心の中でそう語りかけた。

「シアナ隊長」
「何?」

背後からイザークが声を掛ける。

「もう御加減はいいんですか?」
「そうね、大丈夫みたい。結構動けるようになってきたし任務にも戻れるかな」
「……そうですか、良かった」

517 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 21:43:32 ID:mVLSQCas
ズイマが亡くなった今、ビィシュが総長を務めている。
そして一番隊隊長ビィシュが総長の座に収まった為、シアナは一番隊隊長に格上げされた。
本来ならば二番隊の隊長が任を負うのだが、エレはもういない。
ニ番隊の隊長はリジュが務めている。
この春二番隊に格上げされたイザークによると、訓練がシアナよりきついというのだから、
恐ろしい。
他に変わった事といえば、寄宿舎が修繕され元の姿を取り戻した事だ。
騎士隊は前のように寄宿舎に住んで任務をこなしている。

「早くまたランクをあげて隊長の所へ行ってやります」

そうイザークは嬉しそうに話すのだった。

「そう。期待しないで待ってるわ」
「あっ、言いましたね。剣の腕も最近上がってきたんですから――」
「ふうん。そうなの。やっぱりリジュのお陰ね。私の所に来たら訓練を今までの三倍にしましょう」
「殺す気ですかーーー!!」


518 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 21:44:36 ID:mVLSQCas
シアナに刻印はもうなくなった。
龍に襲われる事もない。
龍を打ち倒す力は失われたが、確かにあの時受け取ったものがここにある。

この大地が、この空が、この自然が、騎士隊が、エレの守りたかったもの。
そして私の守るべきもの。命ある限り守り通そう。彼が望んだ全てを。

「帰りましょうイザーク、次の任務よ」

受け取った命を携えて、シアナは顔をあげた。
二人は歩き出す。
エレの墓石にはこう刻まれていた。

“命を賭して国を守った者。
その勇猛さは龍にも勝る。

――龍の騎士、ここに眠る”




519 :夏みかん ◆Egqp0jh9qCN4 :2009/06/21(日) 21:50:08 ID:mVLSQCas
どうにか今日投下できました。
一部投稿に失敗して重なってしまった上、長くなってしまい申し訳ありません。
リジュの過去など書けなかった部分は、またいつかお披露目できればと思います。
その際は別スレで。
それでは今まで感想をくれた方や見ていただいた方に感謝!!ありがとうございました


520 :創る名無しに見る名無し:2009/06/21(日) 21:58:28 ID:1a9GZuhr
おつかれー

521 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 15:01:02 ID:VmC4QpWn
ちょwwww
なんでこんなスレが動かないのww
夏ミカンさんが終わったら投下したい奴がいたんじゃないのか?

522 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 17:41:46 ID:2Vzi4shN
ごめん
終わった頃にまた来ようと思ってたんだけれど
スレの存在自体を忘れてた

523 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 19:40:04 ID:MQAKxJTy
別の所に投下しちゃったから投下しようにも面白い文章がオモイウカバナイ

524 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/12(日) 00:51:55 ID:uLM0kcet
基本sageでお願いします。

さざ波が聞こえた気がした。潮の匂いを嗅いだ気がした。
それと同時に車体に異常音、そして振動して惰性で動き続け、やがて停止した。
「  、燃料が切れた」
彼女の言葉に僕は黙って頷いた。
僕らはバイクを隠し、暗い松林の中を歩いていた。
繋いだ掌が、僕の掌は熱く、彼女の掌は冷たかった。
彼女の手を引いて、そして視界が開けた。

そこは海だった。

繰り返すさざ波が、磯の香りが僕らにまるで叩きつけるように押し寄せて、僕は少しだけ泣きそうになった。
テトラポットを伝い、僕らは砂浜へとおりた。
僕らは歩く。夜明け前の海岸を。
このまま逃げていけると思った。
永遠に、二人だけで。

彼女の足が止まった。
その拍子に繋いだ手が離れた。

「どうしたの?」
彼女は答えず、ただ、明けていく海岸線を見つめていた。
僕もその視線を辿る。
空はまるで幻想のようで、そこに映る景色はどこまでも透明だった。
そして彼女は僕の方に向き、唇を開いた。
あの時彼女は――

「ごめんね、  」

そして僕は目を覚ました。

525 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/13(月) 00:46:49 ID:28zayC/r
「では、今日の検査は終わりです」
「ありがとうございました」
真っ白なスライドドアを開け、診察室をでて三歩目で僕は大きくため息をついた。
何の進展も無かった。
僕は交通事故にあったらしい。
らしいと言うのは僕はその事を全く覚えていないからだ。
僕の両親はその事故で他界。
僕の体についた火傷は、わずかに跡が残った程度で済んだのは、現代医療に感謝するしかない。
だが、その事故のせいで僕は記憶を失い、空っぽの人間になってしまった。
部屋の和室の隅に飾られた遺影を見るたび、まるで誰か赤の他人の遺影をみているように、僕の心に何の感傷も残さないというのが、辛い。
だからこそ早く記憶を取り戻したいという衝動に駆られているのだが……
「……ってあれ?」
考え事をしていたせいか、知らない道に入ってしまったようだ。
引き返して、自転車をこいでいくが、来た道を覚えていないせいで、さらに迷い迷って行く。
「……あはは、ここ、どこだ?」
完全に、完璧に迷子だった。
そこは人気がなく、高台にぽつんと明らかに廃墟と化した建物があるだけの場所だった。
仕方なく、何の考えも無しに、その建物へと向かう。
「学校か……」
窓ガラスは所々無くなっており、校門は鎖で閉鎖されていたが、その横の小さな扉は鍵が壊れており、僕はそこから自転車を押して入って行った。
靴箱がすべて無くなった昇降口や、クラスの中は部屋の隅に机が積み上げられていた。
そうやって廃墟の学校の周囲を回りながら、僕はそれを見た。
人だった。
三階のさらに上、屋上に女の子が立っていた。
「な、なにしてんだあいつ……」
そう思うのもつかの間、彼女は勢いをつけて走って行き、ジャンプして視界から消えた。
「……!!!三階だろ、あそこ!」
飛び降り自殺。
そう思った。
死体を見るかもしれないという恐怖はあったが、何かしなければいけないと思い、すぐに落ちたと思われる場所へと走って行った。
白い服の彼女がうつぶせで倒れている。
動いて、のろのろと起き上がろうとしている。
見たところ、たいした怪我はしていないようだ。
「大丈夫か、お――」
銀の光が一閃した。
真っ直ぐに、僕の喉もとにカッターナイフを突き付けられていた。
「あなた、誰?」
それが彼女、日向井 鳶との最初の出会いだった。

526 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/15(水) 00:49:22 ID:ZBaADHCf
鋭い眼差し。
真っ直ぐに突きつけたカッターナイフより鋭い視線が僕を睨んでいた。
彼女のはねたセミロングの茶髪が風に揺れていた。
しばらく時間が経ち、僕の冷汗が一滴顎から自分の影に落ちた後、彼女は刃を引いた。
「あなた、嫌い」
カチカチカチとカッターの刃を収めた後、急に言われた。
「……なんだよ、それ」
恐怖より不快感が先に立ち、むっとして言い返す。
そのまま立ち去ろうとする彼女の後を追い、その後を付いて行った。
彼女は校舎裏の非常階段を昇り、三階の壊れたドアを脚で押しあけて、音楽室だと思われる場所を通った。
その間、彼女は一度も僕の方を振り返らなかった。
そのまま廊下を通り、学校の中にある階段から屋上へと続くドアに消えた。
僕もゆっくりと後を追い、そのドアを開けた。
風が吹き抜けた。
ここは多分、この街で一番高い場所なのだと思った。
「すげぇ……」
落ちた夕暮れが、青い雲や街を彩っていた。
空がこんなにも鮮やかに映える瞬間があることを、初めて知った。
その景色に圧倒されて言葉を失っている僕の傍に彼女が座っていることに気づいた。
「あなた、どうしてここに来たの?」
「……道に迷った」
「へぇ」
そのまま二人でしばらく空が青く変わり、日が完全に落ちるまで眺めていたと思う。
「日向井 鳶」
「何?」
「私の名前」
街を眺めていた彼女の眼が、少し光った気がした。
「……人は嫌い。弱くて愚かだから。だからあなたも嫌いだけど、それは私の生理的な嫌悪感のせい」
それは独り言だったのだろうか。
「あなたは嫌いだけど、嫌いの中ではそこまで嫌いな方じゃないよ」
そういって景色の果てを指さした。
目を凝らして見ると、そこには電車の明かりが入って行く、見知った駅があった。
『ありがとう』
感謝の言葉を述べようとして、そこにはすでに彼女の姿が無い事に気づいた。

527 : ◆g0nVLFyxuw :2009/07/16(木) 19:18:10 ID:XKA6oKhp
ビュウウウ…
風に砂塵が舞う。 
顔面に闇を飲み込んだような漆黒のマスクを張りつけた男は俺と対峙し、ニヤリと笑った。
「久しいな、トルギダ。五年ぶりか?」
親しみやすい口調とは裏腹に、奴のまとう空気は、硬質めいていた。極限まで研ぎ澄まされた氷の刃を思わせる。
重厚な存在感。
数々の戦場をくぐり抜けてきた戦士のそれだ。
「いや――正確には六年と二ヶ月だ」
俺は手の中のチップ(愛用の商売道具だ)を転がしながら、距離を目算する。
いちにいさんで踏み込んだら到達する距離。
多分、奴ならばいちにいで事足りるかもしれない。
「はあん、ちゃあんと覚えてたってワケかよ、泣かせるねえ――お前は殺せたと思ってたよ」
奴は芝居がかった仕草で手を広げた。 
「……忘れる?」 
馬鹿言うなよ。
俺が今までどんな気持ちでここまで来たと思ってる。
「忘れやしないさ。なんたってお前は、俺と俺の家族を殺したんだからな」
奴は、俺を虫でも見るかのようにして蔑んだ。
「ケッ、うさんくせえ科学療法に頼ってまで蘇ったっつうわけか。
全身をサイボーグ化しやがりましたか、生意気な少年だこと。
やっぱりあの時殺しとくんだったぜ、全身を七十五切れの肉片に分割してな! アア、やってやろうか? 今でもいいぜぇ坊主!」

そうだ――――俺は一度死んだ。目の前の奴に殺されて。
肉体機能は機械的に変化した。
臓器は人工物て取り替えられ強化され手を加えられ、そこに血は通わない。
大部分が損失した脳は義脳へ。
以前の記憶は保持されある程度埋め込まれているが各所に穴空き欠陥あり。

古いSFの小説でいえばサイボーグって奴だ。

ここにいる俺は、もはや以前の俺ではない。

「出来るならやってみろよ殺人鬼。俺の肉体は鋼鉄になったんだぜ、バラバラにするには少し不便だと思うがな――イン(発動)」

手の中のチップが空を飛んだ。




528 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/19(日) 02:13:13 ID:5rMvrkn4
まるで薄い靄で視界が曇ってしまったような、そんな感覚。
遥か遠いところが近く見え、近いところが遠い錯覚。
「これで三回目の投薬ね。気分は?」
「……最悪です」
目まいがする。
僕が頭を抱えている様子を見て、小夜先輩はクスクス笑っていた。
昼休み。僕は小夜さんに呼び出されて生徒会室でT-002の点眼を行った。
最初の時ほどではないが、相変わらずこの薬をつけた後は気分が悪くなる。
「ところでコレ、修理しておいたわよ」
そう言って差し出された卵型の黒い物体を受け取る。
「相変わらず無茶な使い方。ガタついてたから歯車の部分も調整し直しておいたわ」
「すみません」
「できればもっと丁寧に扱ってほしいのだけどね。ま、いいわ」
そういってパイプ椅子から立ち上がり、近くにあった消しゴムを手に取り、意味ありげな微笑で放り投げる。
なるほど。
僕は黒い卵型の装置、通称シェルを起動させ、極細のワイヤーを噴出。
それで消しゴムの落下軌道に先回りし、ワイヤーの上を転がすようにして、躍らせる。
二、三回、自分の周囲で跳ねさせた後、元の軌道から小夜先輩の掌の上に戻す。
「お見事。相変わらず素晴らしい才能ね。だけど」
ポン、と消しゴムを元の場所に戻してから言った。
「後は視力。彼らを見ることができなければ、戦うことすら敵わないわよ?」
「わかっています」
シェルを握りしめて、決意を言う。
「彼らに存在を消させることは、させません」
僕を見て、小夜先輩はもう一度笑った。

529 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/21(火) 00:26:59 ID:41dhk7Ke
夢を見た。
俺は白い髪の男の胸を武器で貫いた。
その瞬間、その男から炎が噴き出し生きながら焼かれた。目鼻が爛れていった。
悪夢だった。

「……っくは!!!」
俺は飛び起きた。
病室だった。
壁の時計は午後4時12分を指していた。
昼間の日差しが、陽光に代わりかける時刻。
「うなされていたわよ、乖」
小夜が俺の病室の隅に座っていた。
「……何しにきた」
小夜は椅子から立ち上がると、黙って白い紙束を差し出した。
「名前は北条 紫絵。現在の居場所は不明」
紙に載っているのはセミロングの茶髪の女。
その眼が印象的だった。
「彼女の護衛が第一の依頼」
「なるほど。能力者を護衛か」
「それで、第二の依頼は彼女を狙っている"離"はなるべく捕獲して。できるだけ傷つけずに」
「それが出来なかったら?」
「『なるべく』よ。私たちの仕事は分かっているでしょ?」
「……わかった」
じゃあね、と手を振り、小夜は出て行った。
外出用の服に着替え、橙色に染まっていく病室から出ていく。
敵は殺す。それだけだ。

僕はまた学校の廃墟に来ていた。
日向井 鳶は相変わらずそこにいて、相変わらず僕を鋭い視線で睨みつけて、「何しに来た」と一言呟いた。
「別に。暇だったから寄ってみただけ」
それから当たり障りのない事を言い、彼女の傍で景色を見下ろした。
「きれいな景色だね」
橙に染まっていく空を見上げて、思ったことを口にした。
「でも、ここは……」
彼女の言葉が途中で途切れた。
そして何かを決意したように立ちあがった。
「ここは低い」
そのまま僕の腕を引っ張り、一言。
「ついてきて」

530 :創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 22:00:02 ID:A/+vThuZ
俺がキャラクター考えるといつもショタキャラと主人公かそれに準ずるキャラが必要以上に仲良くなる不思議

531 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/23(木) 01:17:00 ID:k7Aphb1z
鳶に手を引かれたまま、僕は夕暮れの街を歩いていた。
遠くに見えていた景色の中を歩いている。
やはり、遠くに見るときと、近くで見るときとでは何か違いがある。
「どこに行くの?」
返事はない。ただ、しきりに立ち止まり、街の空を見上げては歩いていく。
やがて一つの廃ビルの中へと連れて行かれた。
立ち入り禁止の看板を踏み越え、安々と中へ入っていく。
「私はただ一つの願いを追いかけている。生まれてからずっとね」
薄暗い階段をのぼりながら、彼女は言った。
「それさえ叶えれば、私は死んでもいい」
おおげさだな、そう言おうとして止めた。
彼女の表情は真剣そのものだったからだ。
やがて屋上につながるドアに出ると、鳶はその扉を思いっきり蹴った。
ガキン、と小気味よい音がしてドアが開いた。
その場所はやはり高く、見晴らしのいい場所だった。
「……ここも違う」
鳶が小さく呟いた。
「お前の夢って、何だ?」
うつむいた彼女が一言。
「あなたには、教えてあげない」
日が暮れた後、そのまま僕らは別れた。

セミロングの茶色の髪。
街中の暗い路地を一人歩いていたところを見つけた。
「止まれ。北条 紫絵」
「……あなた、誰?」
彼女が立ち止まり、こちらを見た。眼には警戒の光。
「俺は梁川 乖だ。手伝いに来た」
さらに説明を続けようとするが、中断。
悪意のある視線を感じて視線を上に向ける。
夜空には三日月。そして、ビルの上のフェンスに影が立っていた。
異形の姿。凶悪な爪。鋭く光る金色の眼。
それを組織では総称として"離"と呼んでいる。
カチカチカチ、と紫絵も大型のカッターナイフを引きだす。
それを視界の隅で確認してから、俺も黒いナイフを取り出し言った。
「……お前の"離"を殺しに来た」
異形が闇に吼えた。

532 :創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:39:53 ID:W97IGr3C
「クックックックッ……この技を見せてやろう」
ブオオオオッ!
「何ッ……まさか――この波動(オーラ)は伝説の……」
「そうだ――歓喜するがいい、貴様は我が力の供物として捧げられるのだクックックックッ……いくぞ」
「クッなんて威圧感だ…ッ」
「金色の蒼と夢幻の焔はゆらめき――破邪の剣は堕天を撃つ、呪殺の盾は死神を射つ。
双つの武具を持って今、汝に滅びを与えよう――」
グブワアアアアアアッ!!
「ぐ……っ!この呪文は間違いないっ……“神をも殺す言葉”、ニレキルエ……!」
「暗黒に飲まれよ!!ニレキルエッ!!」
ゴオオオッ!
「く――ならばこちらは――これを出す時が来たようだな」
「何ッ貴様まさかその包帯は…」
「そうだ。これこそ俺の最終兵器……JYAKI☆GANだ――」
「く……名前の真ん中に星を入れるとはッ……つのだ☆ひろか貴様ッ……!」
「クックックックッ……この星こそが強さの秘密なのさ……この結界を解かせたのは貴様が始めてだぜ」
ジリジリッ
「よかろう。貴様の技と私の技どちらがより強いか――勝負だ」
「フッ…望むところだ……ッ」
「「発動オオオッ!!!」」







ブワアアアアアアッゴオオオッガゴオオッブワアアアアアアッブワアアアアアアッ!! 

「きかぬかっ――ならば」
「させるかあ!」
「くらええイリュージョンクリスタル!!」
「ライトニングブリザード!!」
「ファイバアストロイア!!」
「グランダルレイ!!」

ギュアギュアギュアッ! 
ジャリジャリッ!!
「ぬっ…」


533 :創る名無しに見る名無し:2009/07/24(金) 12:20:43 ID:cWdU6IXu
↑この書き方は夏ミカン氏に違いないのう

534 :創る名無しに見る名無し:2009/07/25(土) 02:57:23 ID:0N69NbeF
きのことか中二ぽいと思う

535 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/07/25(土) 18:04:16 ID:HDpJ6pZj
異形が宙を跳ね、そのままビルの壁を走り斜めに紫絵に向かって降りてきた。
紫絵が腕を振る。
危険を察知した"離"は唐突に進路を変更。
壁を蹴って、向かいのビルの壁に張り付く。
ガリッと削れる音。
先程まで"離"がいた場所が何かが通り過ぎたように削れていた。
紫絵は異形に向けて刃を二、三度振り抜く。
それに反応した"離"が避けるが、一撃が腕を掠めた。
赤い血が飛び散る。
紫絵の方を見ると、彼女が腕を振りぬくたびに彼女の方から風圧を受ける。
「なるほど、風か」
紫絵は風を操る能力を持つとレポートに書いてあったことを思い出した。
よく見るとカッターナイフを指向性を持たせた風に乗せて超高速で飛ばしているらしい。
"離"が顔を凶悪に歪めて、腕を舐めた後、金色の瞳で睨みつける。
カチカチカチ。
紫絵がカッターナイフの刃を出し、振った。
"離"が吼えた。
ビリビリと頬の肉を振動させる程の声量。
そして、ナイフは"離"に届かなかった。
「どうして!?」
紫絵はもう一度ナイフを投げたが、今度は宙に静止した。
そして一瞬のうちに紫絵に暴風とともに投げ返された。
「!!!」
紫絵が避けたが、避ける事に気をそがれて、"離"が紫絵の上空から狙っていることに気がつかなかった。
赤い血が跳ね、紫絵の腕から出血。
そして"離"が紫絵を見た。
それはまるで蔑むような瞳。
紫絵の弱さを嘲笑うかのような瞳の色だった。
そして紫絵の首を狙う一撃を、俺は腕で受け止めた。
腕を抉るはずの一撃は、しかし、浅い傷跡を残すだけに済んだ。
「俺の血は特別でな」
傷つき、血を滴らせた腕を一閃。
液体であるはずの血が、"離"の脚に傷をつける。
呻く"離"に向かい、追撃をかけようとするが、突風が吹き体がよろめく。
その隙に"離"がビルの壁を跳ねて逃げ出していく。
「……逃がしたか」
"離"が逃げて行った暗闇を見つめ、俺は呟く。
「あいつの能力も風か。少なくとも紫絵、お前よりは数段使い方がうまいぞ」
「そうね。でも」
怪我をした腕を押え、紫絵が呟く。
「……あいつは私が、必ず殺す」

536 :創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 17:53:29 ID:wJxsb09l
DTB見たんだけど主人公かっこよすぎワロタ
創作意欲もりもりですん

で、なんでこんなに過疎なの

537 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 10:41:14 ID:pAxayyhk
続き期待

538 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/08/10(月) 23:41:56 ID:QB+Ol7uo
夢の中では思い出せる。
君の長い髪が揺れる後姿も。
そのはにかんだ笑顔も。
夏の残滓のように輝いて心の中に焼きついた、あの夢のような日々も。
目を覚ませば全てが泡のように消え去ってしまう。
全てを失って残っているのはただ一つの言葉だけ。
「ごめんね、久遠。     」
その短い言葉すら、すぐに耳元から離れていってしまう。

「その腕、どうしたの?」
ある日の休日、廃墟でぼんやりと座っている鳶に僕は聞いた。
「転んで怪我した。ただそれだけ」
包帯を巻いた彼女は、僕の質問を受け流し、立ち上がって何処かへ逃げようとし、
そしてよろけた。
「おっと」
彼女の手を掴む。
体勢を立て直した彼女が乱暴に手を振りほどく。
「……お前、痩せてるな」
さっきの感触は、人の手ではないようだった。
まるで鳥の骨を掴んだような。
「……私に関わらないで」
冷たい拒絶。鋭い視線で睨んでくる。
「あのさ、僕としては……」
そのまま口をパクパクさせるが、言葉が浮かばない。
彼女が冷め切った視線で僕を見る。そういや、弱い人間が嫌いなんだっけ。
「……あなたは一体何がしたいの?まるで現状に流されている笹船みたい」
それを聞いて、僕は苦笑するしかなかった。
「……何が可笑しいの?」
「いや、的確な指摘だなって思ってね」
そして彼女に向かって自嘲的な告白をする。
「僕には一ヶ月前からの記憶が無い」

彼女に向かって僕はよく見る夢の話をした。
そこに出てくる女の子は、僕にいつも謝っている。
どうして彼女は僕に謝っているのか、彼女が今どうしているのかを僕は知りたい。
「それが僕の望みなんだ。両親の事や、自分の過去以上に、僕は彼女の事が知りたい」
それは人として間違っている望みかもしれないが、それが本心である以上、それを鳶に伝えた。
彼女は、嘘をつく人間は嫌いだと思ったから。
「それと私に関わることに何か関係が?」
「上手くは言えないんだけど……夢の中の女の子がそう望んでいる気がしたんだ」
今度こそ完全に呆れられただろう。
そう思って彼女の方を見ると、予想とは違って鋭い視線で僕を見ていた。
「……本当にそう思っているのね。驚いた」
「何に?」
「あなたは何があってもそれを実行する気でいるわね。彼女の望みとやらを」
「……空っぽな自分には、それしか無いから」
自嘲的な笑みを浮かべ、僕は言った。
「……あなた、名前は?」
たぶん、おそらくだが、初めて彼女が僕に興味を持ってくれたと思う。
「不知火 久遠。たぶんこれが僕の名前」

539 :XXX ◆XF7fqNmV1I :2009/08/11(火) 00:24:34 ID:fXcI/1yG
続きは別の所に書こうと思います。
場所が確保できたらurlを載せようと思います。

540 :創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 12:30:46 ID:HCz9/aRr


中二病小説に使われるカタカナ横文字固有名詞の特徴をまとめてみた
・たいていは英語+ドイツ語+フランス語の響き
 味付け程度にイタリア語、アラビア語、スペイン語
・5文字以上が単語中の半分以上を占め、さらに・の使用率が30〜40%
・人名は既存のものを全てに使用するか自作名を全てに使用するかの二極化状態
・ぶっちぎり一位で使用率が高い文字はル、次点で語尾にン、
 語頭語尾一文字前後にー、母音が語頭語尾、ラ行、サ行
・外国語を意識しているのに語頭にンや無声音、
 イとアの間など日本語に見られない発音は考慮しない
・現実の地名は現地住民が長きにわたり使っていた言語や著名人名、
 特徴的な気候や環境に起因することが多いが、まるで考慮されていない
・総じてRPG、それも典型的な中世ファンタジーRPGに登場しても不自然な点がない語感
・固有名詞化しなくてもよい設定にまで名前・通称を付ける、
 ごく普通の名称を使う気などさらさらない

これ以外だと何があるだろうか

541 :創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 18:06:25 ID:O5LWwVvJ
これからはアーヴ語だな

542 :創る名無しに見る名無し:2009/08/23(日) 17:14:37 ID:C9/w3eFl
固有名詞化しなくてもよい設定に名前を付けまくるのは楽しそうだ

543 :創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 06:28:04 ID:VVFoMLjW
漆黒の剣の名前がクーゲルシュライバーこれ定説

544 :創る名無しに見る名無し:2009/09/10(木) 11:48:53 ID:i3MADx2r
カーボン製か

545 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 13:47:24 ID:hWgotnu4
しかしどんな中二病もウルヴァリンには敵わないんだな。ありゃどんな日本のキャラクターより恥ずかしいレベルで凄まじい。
あの国で漫画は子供だけのものって認識になるのも当然なくらい馬鹿馬鹿しく凄まじい。
かっこいいぜ…。

546 :創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 01:41:03 ID:sFApfrDL
結局、僕はどちらかの道を選ばなければならなかった。
小説家か、それとも別の道か。
だけど結論はいつも後回しだった。
だから捨てられなかった。
この感受性が強い心を。
弱い心を。
だけど、道は見えた。
憧れを追いかけることにした。
すなわち、強い心を目指す事を。
小説家となる道を捨てる事を。
待ってろ未来、必ず掴んでやるからな。

547 :創る名無しに見る名無し:2009/10/06(火) 07:19:28 ID:x0Ioj+IY
みんなで中二設定持ち寄って、一つのストーリー作ろうぜ
http://www21.atwiki.jp/tyuu2story/m/pages/1.html


548 :創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 23:43:58 ID:7kRoSl5k
「それで。【実体無き巨人(ブロッケン)】計画の首尾はどうだ」
「その件ですが……被験体(サンプル)M36を流用しようかと」
「M36? あれは【首を手にした死神(デュラハン)】計画の被験体だろう」
「はい。ですが資質(デュナミス)の値が著しく高く、
おそらく計画に最も向いている被験体かと」
「……うむ分かった。ではそやつを、
【罪人達の七色の檻(プリズムコア)】に埋め込め」
「了解しました、ドクターメイフ」

3分で会話文
厨二ってよく分からない

549 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 20:31:14 ID:8dUOUg2V
危ないですよ

550 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:50:13 ID:ADqLH102
.

551 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:51:26 ID:ADqLH102
.

552 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:52:42 ID:ADqLH102
.

553 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:53:32 ID:ADqLH102
.

554 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:54:21 ID:ADqLH102
.

555 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:55:12 ID:ADqLH102
.

556 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 00:55:52 ID:ADqLH102
.

557 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:02:44 ID:ADqLH102
.

558 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:05:11 ID:ADqLH102
.

559 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:25:17 ID:ADqLH102
.

560 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:32:59 ID:ADqLH102
.

561 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:35:17 ID:ADqLH102
.

562 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:37:12 ID:ADqLH102
.

563 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:51:21 ID:ADqLH102
.

564 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 01:56:30 ID:ADqLH102
.

565 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 02:01:54 ID:ADqLH102
.

566 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 02:05:49 ID:ADqLH102
.

567 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 02:13:07 ID:ADqLH102
.

568 :創る名無しに見る名無し:2009/10/29(木) 02:34:37 ID:ADqLH102
.

569 :創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 00:45:34 ID:46wGVxj3
なんか面白そうなスレなのに過疎ってんなぁ。
邪気眼中二といっても捉え方によって範囲変わるし、
派生で似たようなスレがあるせいかな?

もったいない気がするめ〜。誰か共鳴しようぞ。
うーんなんか書いて投下してみる……か?

570 :創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 00:52:12 ID:lC2chBNP
>>569
なんか頼むよ

571 :創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 00:57:13 ID:RnNStjcI
期待してるぜ

572 :創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 01:07:09 ID:46wGVxj3
ちょっと考えたんだが、邪気眼中二っぽい設定で物語
を考えると、話がデカくなり過ぎて困る。どっかで破綻しそうw

うむ……難しいジャンルだ。

573 :創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 01:19:55 ID:J32mA7Is
むしろ中2スレ的には破綻上等じゃね?w

574 :創る名無しに見る名無し:2009/11/17(火) 07:01:15 ID:lC2chBNP
>>572
気にしないで気のおもむくままに書いてみ

575 :創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 22:32:03 ID:y9lePSYl
ちょっと質問なんだが、邪気眼のある設定なら時代はどうでもいいの?
それとも中世みたいな感じじゃないと駄目なの?

576 :創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 22:40:27 ID:R/RDsbWk
なんでもいいんじゃね?
俺は中世より現代派だが

577 :創る名無しに見る名無し:2009/11/25(水) 22:48:06 ID:g2rHz5t1
むしろほとんどの場合、妄想している邪気眼使いが現代人だから現代が舞台じゃないか?
授業中の妄想の王道としては

俺は普通以下の目立たない人間だが実は特殊な才能を持っている。
それは何らかの(基本的には命の)危機を迎えた時に開花する

ある日突然謎の戦闘部隊が学校を襲撃してくる

俺の特殊な才能が開花して謎の戦闘部隊を全滅させる

表舞台には決して姿を現さない謎の機関が俺の存在を知ってしまう

そして世界の趨勢を左右する俺の戦いが始まった

という感じだろう

578 :創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 09:07:07 ID:NjW8u1u+
なんでもいいから好きなように書けよもう

579 :創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 10:34:23 ID:aAR3D+93
好きなように書いてスレ違いになっても困る
何でもいいから好きなように書いてファンタジーを投下されても困る
厨二病は奥が深いのだよ

580 :創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 11:23:58 ID:K/9h6SCk
確かに奥が深いわw
実際投下しようと書いているけど一番気を使うのが、
ちゃんと厨二要素が盛り込めてるかどうかだもの。

学園モノで伝奇サスペンスっぽいのを書いてたはずなのに、
気付いたら途中でただのラブコメもどきになってたという恐怖。
自分がちょっと嫌いになった瞬間だったorz

581 :創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 11:34:33 ID:IwxG0+WV
確かに掲示板とか投下するときにジャンルの確認って大切だわな
俺も時々路線変更していて、指摘を受けるもの
まぁ、まとめサイトとか覗いて知識を深めれば良いと思うよ!


582 :創る名無しに見る名無し:2009/11/26(木) 17:30:08 ID:NjW8u1u+
あえて中二っぽさが出るように書くってことか

583 :創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 11:55:45 ID:EtP3Yy4p
 イツキの父親は無口な男だった。イツキが物心付く年頃になっても、母親が居ない理由、どんな
仕事をしているか等を話す事は無く、それはとうとう、イツキが十六の冬に父が死ぬまで、謎のまま
残された。

 聞き馴れない音がした。空耳かと思ったが、その音はしばらく間を空けて二度、三度家の中に鳴
り響いた。イツキがくるくると人差し指を回し何の音か思考していると、今度は何かをコンコンと叩く
音がし、
「イツキさーん」
 と、イツキの名前を呼ぶ声が聞こえた。
「ああ、客人か」
 イツキはようやく、今起きている事を把握した。思考の回りの遅さは、やはり少なからず、自分は
ショックを受けているからだなと自己分析する。
 先の音は、久方ぶりに押された我が家の玄関のベル。聞き覚えが無いのも無理が無い。父に家を
訪ねてくる知人も無かったし、新聞やセールスの類は、父が一度応対すると二度と現れなくなる。あ
の音を聞いたのは、人生で何度目か。おそらく数えれば片方の指で足りるな――などと考えながら、
イツキは玄関に向かい、ドアを開いた。
「こんばんわ。イツキさん。あの、私のこと、覚えてます……?」
 ドアを開けると、頭と肩に雪が少し雪がかかった、金髪の少女。
「覚えてるけど――アリサカさん。俺に何か用が?」
 二つに分けてサイドに垂らした髪型と、青い眼が特徴の少女の名前をイツキは覚えていた。例え
交流が無かろうと、クラスメイトの名前くらい嫌でも覚える。イツキは確かにクラス――というか学園
そのものに馴染んでいないが、それでも「覚えてます?」は心外だな思った。まして彼女は、その可
憐な容姿と人の良さで人気があり、印象に残りやすい。ただ、その少女が何故自分を訪ねてくるの
かと考えると、甚だ謎であったが。イツキは父に似て無口で、あまり他者との関わりを持とうとしない。
清楚で可憐な少女――アリサカ・トウカがわざわざ自宅に来る程の縁など微塵も無い。イツキは意
図せずに、父と同じ険しい顔で、尋問のようにトウカに対応した。
「ええと、お話したい事がいっぱいあるのですけど、最初に――お父様のコト、お悔やみ申し上げます
。ご冥福を――」
 トウカは、イツキの態度にまったく臆する様子も無く、イツキの父の為に黙祷した。イツキは、トウカ
は名家の令嬢だと聞いた事があり、実際、トウカの学園での立ち居振る舞いからも育ちのよさ、躾け
の厳しさを感じさせる場面は多々あった。西洋人形のような整った外見に加え気品≠ニいう、同年
代の女子が望んでも得られない美しさが、トウカには有る。そんなトウカが、知り合いの親の死を悼
むというのは、おかしな事ではない。
 ――だが、この瞬間、イツキは生まれて初めて『動揺』を体験する。何故ならば父が死んだ事は、
イツキ以外に知る者が居ない。イツキの父の死因は、鋭利な刃物で喉を真一文字に切り裂かれての
他殺――その死体は未だ自宅に在り、何処にも連絡はしていない。ついでに言うと、イツキが父の死
体を発見したのもついさっきの事で、それから一時間程度しか経ってない。
「……何故君が父のコトを知っている」
 最初と変わらぬ口調で、イツキはトウカに尋ねる。誰も知るはずが無いイツキの父の死をトウカが
知っているという事実は、トウカが父の死になにかしら関係しているのと同義。
「驚かせてごめんなさい――と言いたいのですけれど、あまり驚かれていないのですね、イツキさん」
 口調こそ同じだが、明らかに警戒し、攻撃的な雰囲気を見せるイツキの質問にも、トウカは自分のペ
ースを乱さない。
「驚いてはいるんだ。顔に出ないだけでね。君は、俺にとって危険な存在なのか?」
 トウカはイツキの質問に、今度は首を横に振って答えた。イツキはトウカの真意を見抜こうと、トウカ
の顔を凝視した。すると、妙な事に気付く。玄関を開けて、トウカと話をし始めてからまだ三分程度。な
のに、トウカは最初と比べ顔色が悪い。イツキの気のせいではなく、元々白いトウカの肌はさらに白く
なり、今は美麗さを通り越し、病的な負の白色。小雪が降る中外で立っていたからだとしても、ここま
で著しく体調が変化するのは不可解。
「おい。気分が悪いのか」
 ひどいなら家に入れて少し休ませようかとイツキは考えたが、死体が放置してある家に「どうぞ」とも言
い難い。
「ええ、少し……」
 喋るのも辛いのか、トウカはか細い声で答える。イツキは嫌な予感がして、
「一人で来たのか?」
 と、トウカに問いかける。しかし、トウカの返事より先にイツキの嫌な予感は現実となり、次の瞬間、ト
ウカは風に舞う雪のようにふわりと、力なく横に崩れた。

584 :創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 12:05:37 ID:EtP3Yy4p
書き切って無いSSを載せるのは好ましく無いんだが、
このスレは久しく投下が無かったみたいだし、いいか
なと思って投下してしまいました。

一日毎に更新するべくムチ打ちつつ書いてきます。
まだ未完のSSなんで感想というより、中二要素が足りねぇ!
とか、これがお約束だろ! とか叱咤激励うぇるかむデス。

いやまぁこの短さで感想もクソもあるかっちゅう話なんだがw
作者がウボァーしないように清きGJを!(ぁぁ

585 :創る名無しに見る名無し:2009/11/27(金) 14:43:40 ID:gmn7pYoD
>驚いてはいるんだ。顔に出ないだけでね。

・・・ここから凄まじい邪気を感じた。デキるね、君・・・クックック

586 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 01:29:25 ID:QFfcxHQJ
いや、中二要素は感じるさね
期待して待機する

587 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 06:14:44 ID:3GDmyU8Z
ククク……なかなかの「使い手」のようだね……

588 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 12:41:07 ID:OyN0dhRx
>>9-11
この要素

589 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 12:59:57 ID:NELlYhVX
「トウカ!」
 イツキが崩れ落ちたトウカの体を抱きとめると、同時に女性の声がして、その声
の主はすぐさまイツキとトウカの元へと駆け寄って来た。
「トウカ、しっかり」
 何処からか現れた、ローズレッドの長髪を後頭部で束ねたスレンダーな体躯の
女は、イツキに目もくれずトウカに呼びかけると、トウカの手を握り、目を閉じ集中
して何か≠行った。イツキには女が何をしたのかまったく分からないが、確か
に、女はトウカに何か≠した。イツキはそれを場の空気、肌で、漠然と感じ取る。
「――んん……レッカ……私……ごめんなさい」
「もぉ。だから一緒に行こうって言ったのに……」 
 トウカが意識を取り戻すと、女はイツキから奪うようにしてトウカの体を支えた。イ
ツキは一連の出来事を他人事の様に見守っていた。その視線は、握られたトウカ
と、レッカと呼ばれた女の手に固定されて。
「てか、あんたがさっさと出れば、トウカが寒い中外で待たずに済んだし『負担』も減
ったの。何をのさのさしてたの! 夜なのよ? 雪降ってんのよ!?」
 レッカの怒りが突如、蚊帳の外に居るはずのイツキに向けられる。のさのさ≠オ
てた理由を正直に伝えるなら「ベルが何の音だか分からなかった」なのだが、気性
の激しそうな――否、激しい――レッカにそれを言うと、余計うるさくなりそうだとイツ
キは考え、黙り込んだ。
「ちょっと、聞いてんの」
「落ち着いて、レッカ。イツキさんの事情を考えれば仕方ないですわ」
「ばか兄貴の話が本当ならね。私はまだ信じてないけど。……どうせ、またクスリで
幻覚でも見たんでしょ」
「レッカ。お兄さんの事をそんな風に――」
「とにかく、もたもたしてられない。上がるわよ!」
 レッカは乱暴に言い捨てて、イツキの家へとズカズカ入って行く。靴はちゃんと脱
いだ模様。
「おい――」
 一体こいつらは何なのだろう。イツキは混乱を飛ばして、既に呆れの境地にいた。
二人の会話から推測すると、二人は自分の父の生死を確認に来たらしい。トウカは
クラスメイト。レッカも、歳はかなり近そう――それ以外はさっぱりだ。
「ごめんなさいイツキさん。レッカは、私の事を想って……」
「……それより、これは探偵遊びか何かか?」
 本心でそんな事など思ってはいないが、流石に好き勝手話を進められれば、何か
言いたくなる。おそらくだが、自分ではなく他の人間だったら、もっと怒ったり取り乱し
たりするだろうとイツキは思った。互いに関心の無かった親子といえ、肉親が殺害さ
れ、第一発見者としてその事実を知ったばかりなのだから。
「――だったらいいんだけどね」
 イツキの批難めいた質問に、イツキの父の死体を確認して戻ってきたレッカが答える。
「急いで帰って、兄貴から詳しく事情聴取ね。アレの話が全部真実なら、サイアクの
仮説が出来ちゃうけど――」
 レッカは静かにそう言い、唇を噛んだ。
「トウカ、もう少し頑張れる?」
「うん。レッカと一緒なら」
 トウカとレッカは視線を合わせ、互いに頷き合う。トウカのツインテールと、レッカの
ポニーテールが可愛く揺れる。
「――良い感じの所すまないが、俺は最後まで置いてけぼりか?」
「あんたも来るのよ……拾った命を大切にしたいならね」
「――拾った命? 俺も父を殺した奴に狙われてるという事か?」
 聞き捨てられない言葉を聞いた。イツキがその事を追求すると、レッカはめんどくさ
そうにため息を吐く。
「イツキさん、後で全部お話しますので、とにかく今は私達を信じて一緒に来てください」
 トウカが真剣な顔でイツキを説得する。イツキは、トウカがただの育ちの良いお嬢様
でなく、芯のある娘なんだなと感心した。そして、もし彼女が誰かを騙す様な人間だっ
たとしても、それはそれで興味があるな――と思い、その言葉に従う事にした。
「……わかった。此処は危険――というワケか」
「やけに素直ね」
 レッカは不満気な表情で、トウカの説得に応じたイツキを睨みこう付け足した。
「私の仮説の通りだとしたら、もうこの街に安全な場所なんて無いけどね――」  

590 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 13:04:44 ID:NELlYhVX
続き投下。既に矛盾は無くとも、なんか綻びてる
気がしてならない。タイトルも考えんといけんなー。

主人公のイメージは“氷”なんだけど、今ん所“空気”だw

591 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 19:39:43 ID:QFfcxHQJ
さて、なかなかに不穏な空気が漂ってまいりましたぞよ
続き期待待機

592 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 20:07:35 ID:3GDmyU8Z
クール系主人公か……
クッ……鎮まれ!俺の邪気!

593 :創る名無しに見る名無し:2009/11/29(日) 11:43:41 ID:HAXskrOO
 ずぶずぶと雪を踏む音を立てて、イツキ、トウカ、レッカを乗せた車が発進する。
一日中降り続けた雪は、夜の気温も手助けして、今になって積もりだしたようだ。
「不満そうね」
 助手席に座るイツキの表情をミラー越しに覗いたのか、レッカが言った。
「なんで部外者の俺が助手席なんだ」
 車はレッカの家の物で、四人乗りの普通自動車。イツキの自宅前からギリギ
リ視界に入らない道路脇に停めてあった。トウカが倒れるまで、レッカはこの中
で待機していたのだろう。
 イツキには車の知識などまったく無いが、威圧感を醸し出す黒いボディと落ち
着きのある上品な内装からして、庶民がおいそれと所有できる車ではないと判
断していた。
 車を運転しているのはイブキ・ハヤトという人物で、歳は二十前後、整った顔
立ちのやや中性的な雰囲気の青年。無駄なお喋りはしない性格のようで、レッ
カから紹介されると「よろしく」とだけ言って、黙って運転に集中している。それ
は雪が積もった山路を走行しているからか、レッカの言うとおり、この街一帯が
何やら危険な状態で、緊張感を保持しているためなのか、イツキには分からな
かった。
「なによ。そんなに私の隣に座りたかったの?」
 レッカの的外れな発言に、イツキは閉口した。
 助手席に座る事に不満があるのは、持てる情報量が少ないというだけでも相
当に不利な自分が、いわばアウェイ状態の車内で、無防備に背後をさらす事
への抵抗があったからである。
「お前は、ふざけているのか?」
 そういえばこいつは、トウカと違って父が死んだ事に一切哀悼の意を示してい
ない。別にそうして欲しいという気持ちはイツキには無いが、口先だけでも言うべ
きなのではないか、普通。と、イツキは自分のレッカへ対する不信感を再度確認
した。そもそも、死体を見て何のショックも受けない少女というのがイツキにはお
かしく映るのだ。破かれた窓ガラスの欠片、巻き散らかされた流血、モノ言わぬ
肉塊――その惨状は、漫画やテレビとは違い、圧倒的にリアルなのだ。自分が
特別とも言わないが、父に似て喜怒哀楽が薄く感情の起伏が平坦な男の自分
でさえ、帰宅してそれを見た時には軽い放心状態に陥り、トウカがベルを鳴らす
まで時間の流れの外に居た。おそらくトウカがセットでなければ、イツキはレッカ
をただの異常者と識別していただろう。
「それって、どういう意味かしら」
 レッカの言葉には怒気が込めらている。だがイツキは相手にせず、そういえば、
車に乗り込んでからトウカが一言も喋っていない。こういう時仲裁に入る性格だ
し、少し気になるな――と、イツキは顔を動かさずに、ミラーから後部座席の様
子を窺う。
 トウカは、レッカと右手を繋ぎ、目を閉じて大人しくしていた。それは、気を失っ
ていた時とはまた全然別の表情で、何処か神聖な雰囲気を携えている。そんな
トウカの姿は、レッカの大事にしてるお人形さんのようにも見えた。
 平均はあるレッカの身長よりもトウカは低く、二人並ぶと、バランスの良い絵に
なる。性格的にも――。
「ちょっとあんた。今、失礼な事考えてたでしょ!?」
 感の鋭いレッカの言葉が車内に響くと、それまで一定のスピードを守って走っ
ていた車の速度が、驚いて反応する様にして落ちた。
「どうしたの?」
「対向車です。二台」
 イブキの言う通り、前方から車のヘッドライトの光が二つ、こちらに接近してくる。
 妙だなとイツキは思った。イツキの住む家は街外れの氷室山の中に在る。氷室
山には十と幾つか他の住宅が集合して建っているが、イツキの家は氷室山に在る
住宅の最高所にぽつんと位置し、それより上には舗装された道も無く、完全な野
山。つまり、イツキの家に用がある者以外にこの道を通る者など、道に迷った地元
外の人間くらいなのだ。それも、年に一回あるか無いかのケース。果たして、偶然
今日そんなケースが訪れるか――。
「嫌な予感しかしないわね」
 レッカもイツキと同じ事を思ったのか、鋭い眼光で迫り来る光を見つめ、トウカの
手を握る力を強めた。

594 :創る名無しに見る名無し:2009/11/29(日) 12:24:25 ID:SGUFvTOe
乙です。
久しぶりに見に来たら投下があって嬉しいです。
セリフばかりでない、地の文章の上手さが目を引きます。
続き期待

595 :創る名無しに見る名無し:2009/11/29(日) 18:56:34 ID:U0ptTjv1
確かに地の文がしっかりとしてるわ
このスレで一番の面白いかも
次は戦闘なのか?ざわ…ざわわ…
期待してますよっと

596 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 00:00:22 ID:fRsyf9vh
逢紀は張?の言った意味が分からなかった。
「逆だと?」
逢紀が聞き返すと、張?は気まずそうに答えた。
「これは我々武将の考えだが・・・いくら自分の大切な剣でも、命の瀬戸際で切れない剣を優先するのかって話だ。」
張?はそれ以上言わなかったが、逢紀には何となく分かってしまった。
そして、ひどく気分を害した。
張?の言葉から導き出される仮定は、逢紀にとって相当都合が悪いものだったのだから。
「殿が捨てたかったのが、私・・・ですと?
聞き捨てならぬ!!」
「いや、私はただ仮定を述べただけで・・・。」
張?は慌ててなだめようとしたが、逢紀はすっかり頭に血が上ってしまった。
逢紀はつかつかと歩き出して部屋の出口まで行くと、くるりと振り返って言った。
「今から、私が実際に殿に聞いてきます!!
張?殿、もし違っていたらただじゃあおきませんからね!!」
張?が止めるのも聞かず、逢紀は袁紹の部屋の方へ歩き去ってしまった。これが最悪の事態を招く事になるなど、張?の頭では考えが及ばなかった。

逢紀が袁紹の部屋に入ろうとした時、袁紹は曹操と仲良くおしゃべりの最中だった。
ちょうど脱出の話が終わり、逢紀の事を話し始めたところだった。
扉に手をかけた逢紀の耳に、袁紹の声が飛び込んできた。
「・・・逢紀は連れて行きたくない。
あやつは一瞬とはいえ、わしを裏切ったのだ。」
「!?」
逢紀ははたと手を止めた。
部屋の中から、憎しみと嫌悪に満ちた袁紹の声が流れてくる。雲行きが怪しいのは感じた、しかし聞かずにはいられなかった。
逢紀は扉を開けるのを止め、耳をそば立てた。

597 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 00:02:43 ID:sFe+nBn6
??
誤爆?

598 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 01:08:34 ID:mTLYRrkH
誤爆だね

599 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 15:45:37 ID:8cHZ0L0A
 車一台分の距離を置いて、二台の対向車はイツキ達の車の進路を塞ぐ様にし
て停車する。
「ハヤト。お願い」
「了解した」
 レッカの意を受けて、イブキが運転席から外へ出る。イツキは、レッカとイブキ
の関係についての謎が頭を過ぎるが、その答えを求める事にどれほどの意味が
あるだろうかと考え、映画館の客の様に、ただ目の前で起きる出来事を傍観し、
流れに全てを任せる。
 イブキが車から降りたのと同じタイミングで、反対側の車のドアが開き、中から
漆黒のコートを纏った長身の男と、フードを被った少女が現れる。
「ハヅキ・ライウン――ッ、嫌な時に、嫌な奴と遭うわね。これが偶然なら、笑える
けど――」
 苦々しく顔をしかめ、レッカは舌打ちをする。その言い草から、レッカ達にとって
あまり好ましい相手では無いのだな、とイツキは理解した。
「ハヤト、熱くならなければいいんだけど」
 ――親しい人間に対しては違うのかもしれないが、気性に難があるレッカに
熱くならなければいいんだけど≠ニ心配されるとは、イブキは見かけによらず
激情家なのか。イツキはそんな事を疑問に思いながら、黙って事態を見守った。


「道を開けてくれないか。ライウン」
「やれやれ。こんな寒い中わざわざ出張って来たってのに、味気ないご挨拶だなぁ」
「余計な話をする気は無い。こちらは急いでいるのだ」
 強弁にして強固――相変わらずめんどくさい男だと、ライウンは、挑発も含めて
苦笑いを見せた。
「こっちだって、暇じゃないの」
 フードを被った少女が、ライウンの横からイブキに鋭い目を向ける。
「そう、彼女の言う通り――確かこの道の先にはヒムロの家しか無かったと記憶し
ている。こちらの事情で、この道を下って来た者を黙って通す事は出来ないのよ」
 ライウンはひらひらと手を動作させ、気さくな姿勢で口調も穏やかだが、その眼
は鋭く、獲物を見つけた蛇の如くイブキをねめる。
 ライウンの台詞に、イブキは体を包む緊迫した空気の濃度を一気に深め、硬い
面持ちになる。その背中は、雪が降り続ける十二月の夜の寒さの中、うっすらと汗
を浮かべていた。
「……そちらの事情とは?」
「――ククッ。ハハハッ! 止めようぜ、くだらない問答はよ。エンジョウの人間が、
ヒムロをやっちまったんだろ?」
 突如、堪えきれないといった風にライウンは腹を押さえ、人が変わった様にけら
けらと笑い出す。その言動を目の当たりにしたイブキは、心臓を急につかまれた
様に呼吸が浅くなり、同時に決断を迫られた。
 経緯は一切不明だが、ライウンは自分たちしか知らないはずである、イツキの父
ヒムロ・ソウマが殺害されたという事実と、その犯人の情報を掴んでいる。話し合い
に持ち込もうにも相手と、こちらの材料が悪すぎる。どう運んでも悪い結果にしかな
らないだろう。ならば――。
「……反論しない。どうやら、本当みたいだな。ライウン、早くこいつらを捕らえて帰
ろう。……寒い」
 フードの少女はそう言うと、胸の前で腕を交差させ自分の凍えた体を抱き、この
場に相応しくない可愛らしい動きで、ぷるぷると震えた。
「というわけだ。どうする。抵抗するか?」
 ライウンが状況を愉しむようにイブキに問いかける。フードの少女が車で待機す
る仲間に手で合図を送ると、場には一触即発の気配が漂い始め、不穏な様態に移
り変わる。
 ――ここから先は何か変な動きをすれば、目の前の二人は容赦なく襲ってくるだ
ろう。まともに戦ったところで戦力的に無理なものがある。イブキは一瞬のうちに、
最善と思われる判断を自分の中で下し、後ろを振り返り、車内のレッカに目でサイ
ンを送ると、迷いの無い力強い声で叫んだ。
「――ああ。抵抗させてもらうッ!」

600 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 16:06:49 ID:8cHZ0L0A
読者の方ありがとうございます。
破綻する可能性のある駄文にお付き合い
いただいて、恐縮すると共に、嬉しいです。

タイトル無いと不便ですかね。早く考えます。
あとなんか面白そうな能力無いかなぁ〜。

601 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 23:00:24 ID:e7O2NWA1
楽しんで読ませてもらっているのですよ〜
文章うめえ、ごちそうさまでした
能力:スヤルドカダンエ
効果:経済に影響する、自国と米国はしむ
能力募集なら雑談スレなんかで相談してもいいと思うよ〜

602 :創る名無しに見る名無し:2009/11/30(月) 23:46:52 ID:0Y0Y1VRy
乙です。
次回からイブキの能力お披露目に加え、本格的に戦闘開始するようですね。
凄く楽しみですよ。

603 :創る名無しに見る名無し:2009/12/01(火) 02:16:34 ID:KgY6RTxg
やはり異能力バトルを語らずして邪気眼は語れないしな・・・
っふ、この《物語》の成り行き、見届けさせてもらおうか・・・

604 :創る名無しに見る名無し:2009/12/01(火) 06:43:03 ID:L5WepF8w
 しんしんと降る雪は勢いを増し、一瞬の後に、吹雪とも言える程に吹き荒ぶ。
「くっ――きゃっ!」
 フードの少女の体が宙に浮き、後方へと飛ばされる。それを後ろの車から出て
きた仲間が、ぽすんとキャッチする。
「へぇ。天候を操るのかい?」
 白い息を吐き出しつつ、ライウンはイブキへ不敵に言葉を投げかける。その表
情には憎らしいまでの余裕と愉悦があった。
 その態度がはったりでは無いことを、イブキは承知していた。封印戦争終結後、
抑止力として残されたハヅキ家――その力≠ヘ、数多の異能力者が存在した
過去の時代において、誰しもが最強であると認め、畏れたという伝説を知ってい
たからだ。
 イブキは足元に積もった雪を蹴り上げた。イブキの周囲の積雪が、まるで意思
を持ち、突如息を吹き返した生物かの様に波となってライウンに襲い掛かる。
「――そういうワケでも無いみたいだな!」


「今よ!」
 イブキの起こした雪波によってライウン達の視界が遮られると、レッカは勢いよ
くドアを開け、車から跳ね降りた。トウカも無駄の無い動きでそれに続く。
「まったく。どうなってるんだ」
 イツキはかろうじで、どうやらなにか良くない状況になり、イブキが起こした原因
不明の雪波と吹雪で目くらましをしている隙に逃走するのだなとだけは推察した
が、どうしてそうなったかについて少しでも思いをめぐらすと、頭が痛くなった。意
味不明、日常から逸脱した展開の連続に、イツキの脳はとうとう拒否反応を示し
たのだ。
「説明してる暇ないの。急いで逃げるわよ」
「やれやれ……」
 この悪天候の中何も持たず夜の山に突っ込むのは、自殺行為と変わらない。
そのリスクと比べても勝るほど、ライウンという男は危険なのか。イツキはそんな
事を考えつつ体を動かし車から降りた。
「行くよ、トウカ。ごめん……我慢してね」
「ううん。ちょっとわくわくするね」
 レッカとトウカはこんな時にも手を繋いだまま、道路の横から氷室山の茂みへ
と走って入って行く。イツキはトウカの器の大きさを見習うべきなのか、こんな時
に……と呆れるのが正常なのか悩みながら、二人の背中を追った。レッカに何か
考えがある事を祈って――。



 

605 :創る名無しに見る名無し:2009/12/01(火) 06:55:38 ID:L5WepF8w
今更だが

イツキ イブキ ハヅキ
トウカ レッカ

なぜ……俺はこんなややこしい名前を……。
特に拘りとかないのにw

一度の投下量が少ない気がしてきたんで、
更新頻度を上げてこう思います。

606 :創る名無しに見る名無し:2009/12/01(火) 10:18:41 ID:85kgLWt9
ほう、逃げ出したか
しかしライウンはどれほど強いんだろうね?
それも明らかになるのかな
良作期待

607 :創る名無しに見る名無し:2009/12/02(水) 23:01:42 ID:3hpu5Dbj
 ――夢なら覚めてほしいものだ。
 父が何者かに殺害された事も、何の因果かそれに学園のクラスメイトの女子が
関係してる事も、有り得ない事ではないとイツキは受け入れられた。
 それはとても稀有な出来事なのだろうが、頭の隅に常に在るモノ=\―どん
なに希薄で実体が見難くとも――現実として認識する事が出来る。今は謎のまま
だがこの事件も、事情を知るであろうレッカとトウカから理に適う情報を与えられ
れば、それをパーツとして謎を事実――或いは真実へと即組み立てられる。物事
への関心が薄い故に強い先入観や偏見といった固定観念を持たない性質のイツ
キには、それは数式を解くより簡単な事。そして己が納得出来る事実さえあれば、
それより多くは求めない。父殺害の犯人にも、それらの背景にも、さほど興味は無
い。
 だが、半信半疑を過ぎ一信九疑≠ナレッカの後を追って茂みに飛び込み、夜
闇と降雪。落葉に埋もれ不確かで角度のある斜面。突如目前に現れる木枝――
といった、まさに一寸先は闇。視界も足元もこれでもかと劣悪な氷室山の山中を
進むイツキは、生まれて初めて心の深い場所から、今目の前で起きている現象を
夢幻かと疑った。
 レッカはともかく、箱入りのお嬢様というイメージそのままのトウカを連れては、こ
の決死の逃亡劇が成功するはずがない。流石のイツキもそこはステレオタイプの
思考に染まっていたが、自分だってこの状況下、逃げおおせるどころか、生き残る
事すら現実味が無い――どちらにせよ、破綻は火を見るより明らかだった。
 しかし――イツキが常識という汎用素材を使って組み上げた未来予想図は、驚き
と共に崩れ、違う形へと鮮やかに再構築された。
 レッカとトウカは、その右手を結んだまま、氷室山の斜面を軽快に駆け下りて行く。
その光景は、夜目が利くとか、身のこなしが軽やかで運動神経が高いとかで説明出
来るものでは無かった。地勘や経験云々までを引っ張り出したとしても、納得するに
は弱すぎる。後ろから追いかけるイツキが安心感を覚えるほど二人の進行は迷いも
危なげもなく、まるで『全て視えている』かのよう――。
 二人のなびく長髪がいつ木枝に引っ掛るか、二人が転倒して、自分がそれを踏み
つけはしないかと心配していたイツキは、そんな余裕が消え失せ、次第に自分の中
で焦りが生まれた事を自覚していた。二人に付いて行くだけで精一杯――というより
必死――で、もし自分が先行していたらどうなっていたかと想像するとぞっとするよ
り、何処か可笑しくなった。――どうやら、足手まといなのは自分らしい。
 四百メートルは駆けただろうか。現に、既にイツキの呼吸は乱れ始め、足取りも前
を行く二人とは対象的に危うい。徒競走にすれば大した走行距離でも無いが、人が
走る為に作られたグラウンドをただ走るのと、死を傍に意識して雪の降り積もる夜の
山を走るのでは、疲労の具合も天と地の差がある。
 二人との距離が開きだす。音を上げるまで、もうあとそんなに無い。イツキの頭に
「少し待ってくれ」と情けない声で哀願する自分の姿が勝手に思い浮かび、さらに笑
いが込み上げた。冗談じゃない――それでも、自分自身と闘いながら、スピードを緩
めずに前を行く二人を追走してると、声を出す力も使い切った。体力の限界に到達
し、視界が霞む。そこでイツキは新たに妙な事に気付くが、その両足は次のアクショ
ンを起こせず崩れ、体が宙に浮く感覚を味わった後、イツキの意識は大地の冷たさ
に抱かれて眠って行った。

608 :創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 00:55:12 ID:xug4vxnt
イツキw 頼むぜ主人公


609 :創る名無しに見る名無し:2009/12/05(土) 22:51:28 ID:cQel0+4T
流れ的にあまり“覚醒”フラグには見えないな・・・
無能力で、知性だけで戦う邪気眼もそれはそれで魅力的だが
そういうタイプだったりするんだろうか

610 :創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 01:49:07 ID:mRv7J1F6
「あーらら、酷いねこりゃ」
 骸と化したソウマを見てライウンは言った。その言葉は、道端で虫の死体でも
見つけたかの様に適当で感情は籠っていない。
「役割を放棄し、ヒトの中に埋没した一族の結末がこれか……同情も、理解も出
来んな」
 蒼い瞳を据わらせ、フードの少女が侮蔑の念を込め冷淡に言い放つ。
「そういえば、彼には息子が一人いたっけな。さて、どうしたか……」
「――ライウン様。逃走したイブキを捜索中に、山中で行き倒れていたヒムロ・ソ
ウマの息子を発見、これを保護しました」
 殺人現場であるヒムロ家のリビングに、ライウンの部下が土足で上がりこみ捜
索状況を報告する。
「どういう事?」
「――は。ソウマの息子は未だ意識が覚醒せず、詳しい事情は不明です。が、
おそらくエンジョウの人間が関係しているのではないかと」
「ま、そらそうだろう。おおかた、生き延びた、或いは生かしたヒムロの息子をエン
ジョウが回収しようとしたが失敗――可哀想に、息子クンは見捨てられた――と。
ははッ。こうもイイ目が出ると、恐ろしくなる≠チてもんだな」
 額を押さえ、くくくと笑いを噛み殺すライウン。
「エンジョウが遂に尻尾を出したのはともかく、ヒムロの息子に、何か利点がある
の?」
 ライウンがそんなポーズをとるのは、飾りや偽りで無く喜んでいる証だと知って
いるフードの少女は、引っ掛る部分をライウンに質問した。
「意外な質問だな――勉強不足はいけないぞ、ラピス」
 ラピスと呼ばれたフードの少女はライウンの言葉に、初めて歳相応のムッとした
愛嬌のある顔を覗かせる。
「とはいえ俺も、ハヅキとエンジョウのいがみ合いの確かな理由なんて知らない。
俺の親父も、祖父も知らない――。質問の答えだが、力≠ヘ唯力≠ニして在
る事は出来ない。人間ってのはそういう生きモンだ」
「ヒムロは使える駒になる――そういう訳ね」
「賢いな、ラピスは」
 馬鹿にされた気分だが、ライウンという人間はいつもこうだしと、ラピスは意識を
切り替えた。
「それで、どうするの。ライウン」
「――たまたま今回は、両者の利害が一致し、結果俺にとって最高の目に転んだ。
だが今後、望まない目が出る可能性も大いに有る。それを防ぐにはどうする?」
 ソウマの死体に視線を落として喋っていたライウンは、最後にラピスに振り向け
て問いかけた。
「祈る――もしくは、賽を振る者を――殺す」
 ラピスの答えに、ライウンは満足気に頷く。 
「一天地六の主――神にでもなったつもりか――気に入らねぇ。エンジョウをつぶ
す前に、そいつを消す」

611 :創る名無しに見る名無し:2009/12/06(日) 02:06:25 ID:LUKBQ70d
この後どう展開するのか、
続きが気になりますのう。
期待

612 :創る名無しに見る名無し:2009/12/10(木) 23:47:19 ID:kMVNeIav
シークレットナンバー、通称SN-006ウェルダーは俺に刀を向けて言った。
「意外と早かったな。この仕事もこれで終わりだ」
ただの刀、それだけだが、この戦場であり得ない光景だからこそ俺は警戒した。
黒いスーツを着ておりまるで葬式に参加するような陰気さだが、感じる圧力は今までの追手とはまるで違う殺気を感じる。
「いくぞ」
黒い刀の一振り。
それだけで俺の背後の壁が塵と化した。
高速知覚を発揮していなければ、一瞬で死んでいただろう。
冷や汗が、俺の背中を流れる。
シークレットナンバーとは人の力など超越した、世界の枠の外の化物だ。
関わりあいになってはならない。見かけたら即時退却を優先。
駆け出そうとした先に悪寒を感じた。
それが現実となる前にとっさに左に跳躍する。
破砕音。俺が駆け出そうとしていた広場の半径5メートル程が崩壊していた。
「シークレットナンバーeight、ベルガモット。標的、ジンを発見」
シークレットナンバーが二人だと。
ベルガモットと名乗った男の手には、大型の銃身。
それが煙を吐き出しており、先程の広場への攻撃が、その銃によるものだと悟って戦慄する。
「これで積みだ」
SN-008、ベルガモットが俺の目の前にそれを突き付ける。
「コード94897をこれで終了させる」
刀を居合いで構えるウェルダー
「……」
「なにか言い残す事はあるか、ジン」
ベルガモットが俺に問うた。
俺は空を見上げた。
見ろよお前ら、この空を見上げて何も感じないのか。
ベルガモットが銃弾を放ち、ウェルダーが黒刀を放つ。
そこで、俺の薬の効果が切れた。
常人になるための薬が。
「……くくっ……ひゃはははははははっ!」

意識が戻った時には、俺は何とか薬を口にし、ただの人間に戻っていた。
その間の意識は黒い空白。
ただ、シークレットナンバーの二人が赤と黒の塊へと変貌していた。
「おい、お前ら、満足か?心を無くして、強さだけ求めて……」
返事は無い。
俺を憎みもしてくれはしないだろう。
それが俺たちが望んで、そして俺が取り返したモノだから。
だから――

************************************************************************

終わり。

613 :創る名無しに見る名無し:2009/12/12(土) 07:39:40 ID:eVirKsO5
書き逃げなんて、許さない`д´

614 :創る名無しに見る名無し:2009/12/18(金) 17:26:13 ID:ch2+zIdj
しばらく続きが投下されていないようだが・・・機関は常にこのスレを監視しているぞ。
我らは君たち《黒の歴史を紡ぐ者》に期待している・・・

ラ・ヨダソウ・スティアーナ

615 :厨二病達のレクイエム-1:2009/12/21(月) 00:00:51 ID:xdWWq3Ey
昔作ったノベルゲームから文章を拝借して書き込みます
多少グロ要素があるので注意して下さい

題名:厨二病達のレクイエム

概要
   あなたは主人公「粉鎖生気」を操作してこの物語をHAPPY ENDに導いてください。
  (選択肢はありません)

−繰り返す物語−

ストーリー
  その日も俺は学校に行った。そして教室に入ったはずだったんだが…
  気が付くと見知らぬ部屋にいた。目の前にはあくどそうな教頭が立っている。
  やれやれ、面倒なことになりそうだ。。

登場人物
  ・1−ε組 粉鎖生気(こさなまき)     両親がいなく孤児院で育った
  ・1−μ組 朗波子流(ろうなみしる)    外見中身共に幼い
  ・1−β組 菜夏山沙流香(ななつやまさるか)怒りっぽい
  ・1−ω組 中山悟(なかやまさとる)    行動力はあるがいつも空回り
  ・1ーλ組 ヤー・トルッツエ        とある事情で日本に亡命してきた
  ・教頭                   学校の教頭先生

616 :厨二病達のレクイエム0:2009/12/21(月) 00:02:10 ID:xdWWq3Ey
  「この仕事をやれば…これをやれば全てを許してくれると言うんですね」
  「ああそうだ。出切るよな」
  「もちろん」そう言い放った言葉は今考えると重く沈んでいたような気がした。
  俺にそんなことが出切るのだろうか…心は果てしなくブルーで空に溶けてしまいたい気分だった。
  ガーンコーン。。どこからかそんな音が聞こえてくる。どこだろう。辺りを見回すとそれは教会からだった。
  行ってみることにした。
  「こんにちは」
  「ああ、こんにちは。今はミサをやっている途中でね。あなたも知っているだろ、自治会長さんの所のおじいさんが死んだの」
  「あの家はキリスト教徒だったのか…。ところで今流してる曲はなんていう曲なんですか?」
  「ああ、これはレクイエムだよ」
  「レクイエムと言えば…鎮魂歌だっけ」
  「いやいや、日本ではそう良く誤解されるんだけどね。本当の意味は葬送曲なんだよ」
  「葬送曲?」
  「そう、死者の死を悼むんだ」
  「そうか、葬送曲。葬送曲ね…」
  俺は歩いている途中で少年を見つけた。時計を見る。まだ時間はある。予行演習をやっておくか。
  「おーい、そこの少年」
  「なんだよ、おっさん」
  「いやちょっとね、おじさんの家で子どものパーティをやったんだけどね、お菓子があまっちゃったんだよ。来て食べてくれないかい?」
  「お菓子、うわ、欲しーい」
  「じゃあ決まりだね。さあ、行こうか」
  知らないおじさんに付いて行ったらダメなのに。俺はそう考えながらポケットの銃をカチカチと鳴らした。

617 :厨二病達のレクイエム1(本編開始):2009/12/21(月) 00:03:35 ID:xdWWq3Ey
第零章 聖者の生まれし場所
「一体、ここは何処なんですか!!」
1−βの菜夏山沙流香(ななつやまさるか)が怒鳴り声で叫ぶ。
ふと辺りを見回す。俺とあいつの他にも数名、此処に連れてこられた奴がいるようだ。
教頭は言う、「貴方達みたいな不「優秀」人間は此処で処分されることになっているのだ」
「処分て何だよ」1−ωの中山悟(なかやまさとる)が突っ込みを入れる。
「処分というのは、すなわち「死」です。あなたたちはこれから殺されることになるのです」教頭。
「それはおかしいは。にほんこくけんぽうだいにじゅうごじょうのせいぞんけんというものがそんざいするはずなのでは」
1ーλのヤー・トルッツエが厳しく指摘するが当然、教頭は
「今、決まったことなのです。これは政府という最上位機関による決定なのです。米大統領さえも覆すことはできないのです」
1−μ組の朗波子流(ろうなみしる)が泣き出す
「鳴いても無駄だ。最近ゆとりベビーが問題になっているだろ。そのせいだ。恨むならゆとりを作った当時の政府を恨め!」教頭
しかしまだ鳴いている子流。彼女を見て、俺たちはまだ厨二なんだ、ということを俺は実感せざるを得なかった。

618 :厨二病達のレクイエム2:2009/12/21(月) 00:05:02 ID:xdWWq3Ey
第壱章 有益、有害の違い
俺の名は粉鎖生気(こさなまき)、1−ε組に所属。父母はいなく、孤児院暮らし。そこを出るためのバイトをしていた。
俺の経歴はこんなとこだろう。今となっては昔のことだが。これで登幕人物全てがそろったか?OK、続きを始めよう。
「まあまあ、朗波さん。まだ必ず死ぬと決まったわけじゃないのです」
教頭の方を向く子流。
「いいですか、この中で一番有害でない者、その人は死刑を免れることが出来ます。それは誰か?それをこれから決めるのです。言わば、サバイバルゲーム。頑張りがいがあるってものですよねー」
愕然とする俺以外の4人。俺は死は怖くない。だから別にどうでもいい。
沙流香、「有害、有害ってそんな基準誰に分かるのよ!!」
教頭、「この世にあって邪魔な物です。分かるでしょう、貴方には。この言葉の意味が」
ヤー「自分の国では人類淘汰連盟がテロを起こして白人純血以外の物は全員殺されてしまいました。私には白色、黄色、黒色の血が流れています。私はそのため逃げてきたのです」
教頭「日本もそうなろうというのです。日本はいつでもイヌだったからな。ひゃーたまらねえ。有害な奴は全員処刑だ。ひゃっひゃっひゃひゃh」

619 :厨二病達のレクイエム3:2009/12/21(月) 00:06:11 ID:xdWWq3Ey
第弐章 軽快なプラン
悟が耳打ちしてくる
「おい、あの教頭殺そうぜ。何も武器持ってないみたいだし。あいつを倒さないと俺達に明日はないぜ」
俺は言った
3a。「おい、教頭。この悟って奴がお前を殺そうとしてるぜ」
教頭「何、粉鎖クン、情報ありがとうです。おい、中山、ちょっとこっちこいや」
「はい?誰がそっちなんか行くか!!」中山は叫ぶ。
「ふ、よかったな。他の候補者さんよ。1人減るぜ」教頭はそういったのと同時に胸ポケから錫癌銃を取り出して、あいつの胸を狙った。そして打った。
あいつの胸に弾はあたり、あいつの血が噴出し、あいつの心臓は床に落ちて、硝子のようにペシャっと割れた。
俺はあいつの死体の元に近寄った。こいつキレイだな。本当に死んでいるんだろうか?
俺が教頭に血喰ったのは教頭がどんな武器を出すのかみ見たかったから。そしてこのプランは成功したようだ。

620 :厨二病達のレクイエム4:2009/12/21(月) 00:07:05 ID:xdWWq3Ey
第参章 神は降臨なさる
おい、生気。これっぽっちしか手にはいんなかったのかよ!?そういってアイツはいつも俺を飽きるまで殴り蹴る。
俺は抵抗をしない。別にそれは記憶のあるうちからのことであり、日常茶飯事的なノリだったからである。しかし、当時の俺にもそれが虐待であるということは認識できていた。
ある時、俺には好きな女の子ができた。それは至極当たり前のことだった。2人は毎日遊んだ。向こうがどう思ってたのかは知らないが。
−−−省略−−−
俺はあいつらを台所にあった包丁5で刺しまくっていた。あいつは心臓からのうめき声をあげて助けを予ぼうとしたが無駄だ。暢気なご近所の奴らは全員殺したのだから。
目の玉がころりと落ちる。それはよく輝いていてキレイだった。なので、ラムネ瓶に入れて飲んだら良いだろうなーと思ったが金がなかった。ふといまごろになって気付く。臓器は高く売れたんだなーと。
俺はあいつがうごかなくなってもその部品が完璧に液体状になるまで刺しまくった。やがて、それはどろどろになった。俺は電話をした。

621 :厨二病達のレクイエム5:2009/12/21(月) 00:07:53 ID:xdWWq3Ey
第四章 厨ニ病達のレクイエム
5a。次へ進む
俺の目の前で沙流香、ヤーが殺された。あと残っているのは子流だけだ。
子流、あいつは不成長心身症らしい。心も体も幼いまま成長しないのだ。だから詳しくは、冒頭に言ったことはうそになる。
あいつは俺に訴えるような目でみてくる。俺にどうしろというんだ。敵は銃持ちだぞ。
教頭は2人を見ている。俺は人生に飽きた。だから教頭の元へ行った。
1a。「俺を殺せ。」
「お前に命令される筋合いはない。だから朗波を殺す」教頭はそう言って銃を朗波に向けた。
子流は震えていた。おびえていた。だから教頭は撃った。教頭はあいつに5発弾を打ち込んだのだが…
その内の1発が俺をかすった。なので俺はアイツの頭を、隠していたトンカチで何万回も打った。あいつは鼓動を止めた。
子流が死にかけながらも俺に話してくる
「生気君、お願いがあるの。この桜の木の種を明日ガ丘に埋めて」
「分かった」
それを言うと彼女は動かなくなった
明日ガ丘か?あそこから飛び降りて自殺するのは気持ちがいいと聞いた。自殺ついでに埋めてきてやるか
ふと教頭を見ると血で文字を書いていた。推理小説のAREだ。
−厨二病達のレクイエム−

622 :厨二病達のレクイエム6:2009/12/21(月) 00:08:43 ID:xdWWq3Ey
1b。「何をやっている。早く子流を殺せ」
「お前に命令される筋合いはない。だからお前、生気を殺す」
教頭は銃をこっちに向けて乱射してきた。
だが幾つもの経験を積んでいる俺には全く当たらなかった。
「あー畜生、この銃の役立たずめ!」教頭
「お前の銃の扱い方が悪いからだぞ。日頃ちゃんと練習しないからこういうことになる」俺
「きゃーーーー」子流
俺は教頭の顔、いや全身が赤くなるのを感じた。ほう。人間ってここまで熱くなれるものなのか。
「うるさい、死ねええええええええええええええええ」教頭は子流に銃を向けて打った。
子流は避けようとしたが当然当たった。そして噴出す血。長くは無かった。
「ふはああっっはー。もうヤケだ。お前ら全員殺して殺る!!」
教頭は明らかに興奮していた。興奮というのは人を滅ぼす重大な要素を占めている。
教頭の命がそう長くないのを悟った。
「次はお前だ、生気。さっきのようには生かさないぞ」
俺は生きる気がなかった。なので、教頭が一発だけ撃ってきた威嚇弾に打たれて死んだ。
「これで、俺は、俺はー!!…… …… …… ……」
「俺はなんてことをしてしまったんだ。だれか、誰か、許してくれー」
2a。俺「分かった、許すから黙れ。うるさくて楽に死ねない」
教頭「あ、ありがとう、粉鎖クン!!僕はこの罪を償うために精一杯生きるよ!!」
俺「はいはい、頑張れ」と言おうとしたが僕は既に死んでいたので其の言葉は教頭に届くことはなかった。
「キミの言葉で僕は救われた、本当にアリガトー!!」
その後、教頭は精神病院に送られた。そこで死んだという噂だ。
教頭は死の間際にこんなことを呟いていたという。
−5つの魂よ、安らかに眠れ−

623 :厨二病達のレクイエム7:2009/12/21(月) 00:09:32 ID:xdWWq3Ey
2b。俺「お前の罪は一生許されない。その十字架を一生背負うことになる」
「いやだああああ、そんなのいやだああああああ」
「じゃあ、自殺しろ。自殺は逃げだとか言う奴もいるが、立派な方法だ」
「粉鎖クン。アリガトー。僕は自殺することにするよー」教頭はそう言うと自分の喉仏に銃を向け、撃った。
残念なのは、それよりも前に俺が死んで教頭の死を見れなかったことだ

3b。「OK。その話し乗った」俺はそんなに乗り気でもなかったのだが
悟「まずはどうする。武器を隠してたらやバインダよな」
4a。俺「特攻あるのみだ」
悟「お前正気か?」
俺「良く考えてみろ。敵が銃を持っていたとしても全員を殺すことなんて出来ない。むしろ目標が拡散するので誰に当てるか迷う」
俺「そのすきに攻撃すれば無傷だ。俺達が向かっていった時、教頭には無限心理錯乱の効果が発動する」
俺「奴は全不乱心における正的状況把握能力の力をそれほど持っていない。勝利は確実だ」
悟「良く分からないがそれほど言うのなら大丈夫だろう。あいつらにも言ってくる」
悟の能力があいつらを悟らせたのかは知らないが、教頭にはバレズに伝わった。
そして、
悟る「うおおおおおおおおお」
沙流香「おりゃややあやややややや」
ヤー「やあああああああああああああああ」
子流「ううう」
俺「(無言)」
傍らから見るとそれは見世物小屋だった。4人もの奴が叫んでいる。
教頭はジーパンのポケットから五口乱銃を取り出して使った。
1回引き金を引くと、5個の弾が相手を狙うというアレだ。
奴の銃から引き放たれた弾は軌道線を描き5人の急所へと飛んでいった。
そこで世界は暗転した。
多分他の奴らも死んだのだろう。
俺の耳には教頭の乾いた笑い声だけが響いていた。

624 :創る名無しに見る名無し:2009/12/21(月) 00:30:12 ID:GKPkTZBF
台詞多いんだなー

625 :610:2009/12/22(火) 05:12:46 ID:yat1EgKY
ゴ チ ャ ゴ チ ャ と 詰 め 込 み す ぎ た

一つの物語で色んな事をやろうとして失敗するパターン……。
猛省。己の力量を見定め、リベンジする機会を窺い話を再構成中。
今度は完成させてから持ち込んで来ます。真申し訳ない。

626 :創る名無しに見る名無し:2009/12/22(火) 18:01:54 ID:9Ia8lnWT
おおっ、生存報告乙です。
全く投下が無いのでどうしたのかと気にかかっていた所。

詰め込み超過、自分は大いにOKだと思いますよ。
投下が無いと寂しいお……


627 :創る名無しに見る名無し:2009/12/23(水) 17:08:50 ID:CR0Nl20n
グダグダになって収集がつかなくなり廃棄されるというパターンは
黒歴史ノートそのものであるとも言える

狙ってやっているのなら・・・ククク・・・

628 :創る名無しに見る名無し:2009/12/24(木) 23:45:23 ID:i7GWl4jL
>>625
待ってるぜ〜

629 :創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 15:17:05 ID:EjdboUNa
なんか中二病に目覚めたから来た
今は妄想格闘ゲームを考えている
反省はしない
痛いことをあえて楽しむマイジャスティス

630 :創る名無しに見る名無し:2010/01/06(水) 21:29:25 ID:5n4pX/FJ
黒歴史ノートに描かれし必殺技コマンド……!

631 :創る名無しに見る名無し:2010/01/07(木) 13:05:28 ID:7X6t7BF7
普段は素手だがコマンド入力によって氷の剣を装備、剣装備時専用の必殺技が使えるようになる
敵の攻撃をガードすると壊れて消える(ガードせずに攻撃をくらった場合は消えない)
【霧氷剣】

剣を鎌に変形、高速回転させて投げつける剣装備専用技
もちろん投げた鎌はブーメランのように戻ってくる
【アイシクルツイスター】

FF4の暗黒騎士セシルの【あんこく】のモーションで氷の剣から輝く冷気を放出
ダメージを与えないがガード無視で必殺技ゲージを削る剣装備専用技。使用後に剣は消滅する
【コールドスナップ】

KOF96のゲーニッツの「そこですか?」と同じモーションで地面から氷のナイフを大量に真上に吹きあげる
出が速くて当たりも強い対空技
【フェンリルの牙】

目の前に氷の盾が出現、攻撃を受けるとそれが砕けて無数の氷のナイフになって反撃する当て身技
下段と中段でコマンドが違い、上段には対応できない
【反射氷鏡】

最初の一撃が入ると、氷の分身を生み出して一斉に襲いかかるロック型の乱舞系超必殺技
【コキュートス】


氷属性は割と基本だよな

632 :創る名無しに見る名無し:2010/01/17(日) 23:56:12 ID:3zL/4bgT
全てを凍らせる。
そのイメージは、何もかもなくなってしまえばいいという破滅衝動に
等しく、故にそんな気分になりがちな中2くらいには、とかく氷を
用いた妄想が活発になるのだ・・・。

633 :創る名無しに見る名無し:2010/01/18(月) 10:57:08 ID:MryNhQYi
それの発展型がエターナルフォースブリザード
スレの流れを凍らせちまった時にも使われるのぜ

634 :無なさん:2010/05/04(火) 10:43:35 ID:7AL5C1wp
中二病設定は今でこそからかいの対象にしかならないが、
そういう設定が初めて世に出た時はどんな風に受け止められたのだろうか。
斬新な設定として喝采を浴びたのか、それとも最初の頃からちょっと馬鹿にされていたのか。

635 :創る名無しに見る名無し:2010/06/06(日) 18:29:31 ID:FuMnvARa
あの頃の熱気はもうないのか

636 :創る名無しに見る名無し:2010/06/08(火) 04:56:32 ID:KsxuEEE/
こんなのどうですか

自分が厨2の時に書いたもので、ダークな感じの異世界ファンタジーものです
中学時代書いた時のまま、書式の直し等は行っていませんので、
(直し始めたら余計なところまで直してしまいそうで)読みにくいところもありますが許してください

環境依存文字のハートが文字化けして、数英字のコードになっているのと、
文字の上に振った点々のルビが、横にかっこ付で表示されているところが、一番読みにくいかと思われます
読まれる際に、心の目で補完してくださるとうれしいです

ttp://u6.getuploader.com/sousaku/download/250/%E7%84%A1%E3%81%AE%E5%A4%A9%E4%BD%BF.docx

637 :創る名無しに見る名無し:2010/07/26(月) 18:44:20 ID:dzeq2Q1o
初めて来た。どういうことをすれば良いのか産業で

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